2008年9月アーカイブ

1.オークション用に撮る

目的別撮影テクニック集

1.オークション用に撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

オークションサイトでは写真の良し悪しが、品物の価値だけでなく、販売している人の信用にも影響します。だからこそ余計に、難しく感じられ、どのように撮影したらよいか戸惑うわけです。ここでは、できる限り特殊なテクニックを使わない簡単な撮影方法で、とりあえず見た目のよいイメージにする方法を紹介します。ここに紹介した内容を基礎として、さまざまに応用していただきたいと思います。

2.小物を撮る

似顔絵 光沢が少なく、ガラスやプラスチックのような透明感のない小物なら、基本的なポイントさえしっかり押さえるだけで、わりあい簡単に見栄えのよい写真を撮影できます。最も大切なのは、カメラを三脚などにしっかり固定し、スピードライトを発光させないで、室内照明や窓際の光で撮影することです。また、必要に応じて、露出補正で明るさを、ホワイトバランスで色を調整することも忘れないでください。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

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<01>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。<02>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?<01>と<02>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。

 もっとも気になるのは、下地(背景)ではありませんか? これはシーツを使っています。シーツ自体が悪いというのではありませんが、シワが目立って小汚く感じられるわけです。また、スピードライトの影響で、手前が明るく、奥が不自然に暗く写っています。それから、サボテンとぬいぐるみの並べ方も、工夫がない感じがしますね。
 でも、これらの物だけを撮ろうとすると、意外にも多くの人がこういう撮り方をしてしまいます。一つずつ解決していきましょう。

下地(背景)を考えます。

 オークション用の写真撮影で、一番大切なのは、下地(背景)を何にするか? です。この選択さえ間違えなければ、それだけで十分に撮影できる準備が整ったことになります。
 下地(背景)は、商品の意味やニュアンス、使い方を強くイメージさせるために大切な役割を果たします。
 どんな下地(背景)がいいか? は、その商品がどこで、どのように使われる物かによって変わります。商品の下地(背景)を考えることは、商品のイメージを考えることなのです。その商品が活き活き見える下地(背景)選びを心がけましょう。

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白の紙の上に置きました。無味乾燥とした印象となり、大きさが直感的に分かりにくいイメージになりました。

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<04>木目の机の上に置きました。木目があるだけでやさしい印象になり、大きさもなんとなくわかります。<05>パソコンとマウスを後方に並べました。大きさがはっきりしただけでなく、休憩時間の「なごみ」のニュアンスがします。

ズームとカメラポジションを選びます。

 下地(背景)が決まったら、写真の画面の中にどのように収めるか? を実際にファインダーや液晶モニタを見ながら、あるいはテスト撮影を行いながら、探していきましょう。
 注目すべきポイントは三つあります。

  • 商品の背景に余分な要素が写りすぎないこと
  • 商品の「顔」がよく見えること
  • 商品の「形」を正しく、美しく写すこと

 単純には、ズームを広角(W)にするか、望遠(T)にするか? そして、カメラ位置をどこにするか? を決めることになります。
 ちなみにここまでの撮影は、室内蛍光灯だけで照明したものです。

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ズームを広角(W)にして撮影しました。商品の背景に写っている範囲が広く、パソコンやマウスや机の端などの要素が多く写りすぎています。また、被写体の形も少しゆがんでいます。

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<07>斜め上から撮影しました。写真としては面白いのですが、紹介する商品の「顔」が見えないので不的確といえます。<08>ズームを望遠(T)にして、低めから撮影しました。背景に写っている物の要素が少ないので、商品自体が際だちます。また、商品とカメラが離れているため、形がきれいに写りました。

光に注目しながら撮影してみましょう。

 オークション用の撮影ということであれば、<08>のレベルでも十分かと思います。でも、他人よりも良く見せたい! というのも人情でしょう。そんな時は、ぜひ光に注目しながら撮影することにチャレンジしてみましょう。
 しかし、このステップに進むには、下地とズーム、カメラポジションをしっかり詰めてからにします。これらがしっかりしてこそ、光の違いが際立つからです。
 光を変えるには、窓際の光を使ったり、卓上ランプを使ったり、撮影専用の照明機材を使う方法などさまざまですが、ホワイトバランスで色を、露出補正で明るさを調整することだけは忘れないでください。

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撮影状況です。画面右奥に窓があります。室内蛍光灯は消し、ホワイトバランスを再調整しました。カメラを三脚に固定すれば、薄暗い場所でも撮影できます。

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<10>画面右奥の窓からの光だけの照明です。このため、サボテンやぬいぐるみの手前側が影になっています。これはこれで雰囲気のある写真ですが、影によって暗い印象が強くなっています。<11>露出補正を+1に設定して撮影しました。たったこれだけで、画面が明るくなり、光が強くなったような印象さえ受けます。<08>に比べると、光によって、ぬいぐるみのフワフワ感、サボテンの光沢が美しく再現されました。

 商品撮影が難しいのは、カメラの操作のせいではなくて、その商品をどのような下地(背景)で撮影するか、商品の特徴をどのように見せるか、を考えることが難しいからなのですね。でも、なんとなく簡単そうに思えてきませんか?

3.カメラを撮る

似顔絵 カメラの表面には、金属やプラスチックなど光を反射する素材が使われており、数多くの曲面や平面でできています。このため、ゴールドやシルバーや宝石を用いた宝飾品などと並んで、撮影が難しいものの代表と言われます。もちろん、大手メーカーが広告に使用するような写真を撮影するのは困難ですが、オークションに適した画像なら、あまり難しく考える必要はありません。室内の蛍光灯照明だけでも、ここまで撮影できます。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

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<12>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。<13>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?<12>と<13>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。

 決定的に失敗だな、と思えるのは、ピントですね。ピントが合っていないために、部分がシャープに見えません。コンパクトデジタルカメラならマクロフォーカスモードに設定します。デジタル一眼レフカメラならマクロレンズに交換し、被写界深度を確認しながら撮影しなおします。
 スピードライトが光っているために、変な反射ができたこと。さらに、下地(背景)が小汚いのも、よい印象を与えません。完全動作品なのに故障しているようにさえ感じられます。
<13>は、このあたりの問題をクリアした、基本的な作例です。

形をきれいに写すには、被写体から離れて望遠(T)で写します。

 工業製品は、設計図に描かれているような形で写すと、非常に美しく見えます。頭の中に描かれているイメージそっくりに見えるからです。
 このように、本来の形に忠実に写すには、ズームをできるだけ望遠(T)側にして、被写体とカメラをできるだけ離して撮影するのが基本で。これは、他の全ての商品撮影だけでなく、人物撮影など写真全般の基本ですから、覚えておいてください。
 ズームを望遠(T)にして離れて写すと、形がきれいに写るだけでなく、背景に余分な要素が写りませんから、商品自体が際立って見えることもメリットです。
 いずれも室内の蛍光灯照明だけで撮影しています。

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ズームを広角(W)にして近づいて写すケース<15>と、ズームを望遠(T)にして離れて写すケース<16>。この写真は合成です。

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<15>ズームを広角(W)にして近づいて写すと、形がゆがんだように写り、背景にさまざまな要素が写ってしまいました。<16>ズームを望遠(T)にして離れて写すと、形が設計図のようにきれいに写り、背景がシンプルになりました。オークション用としては十分な写りです。

ホワイトバランスと露出補正は必ず調整します。

 商品の写真にとって、実物の色や濃さを正しく伝えることは、基本中の基本です。しかし、実物の色や濃さを正しく写すことは至難の技でして、不可能なことも少なくありません。なぜかといいますと、光の当たり方一つで実物の色や濃さは変わって見えるのです。実物の見え方、つまり正しい色や濃さが変わるのですから、これが難しくないわけがありません。
 ですから、写真を見る人の想像力にも頼ることで初めて、正しく伝えることが可能になります。完全を期す必要はありません。
 ただ、その前提として、ホワイトバランスで色を、露出補正で明るさを調整することくらいはしっかり行っておきましょう。

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全体的に紫っぽく偏り、かなり淡い感じがします。色や明るさが見た目とかけ離れていたら、ホワイトバランスと露出補正を確認しましょう。

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<18>ホワイトバランスを調整したら、色の偏りが無くなりました。しかし、少し淡い感じがします。これは撮影場所が暗いせいではなく、露出補正の設定が正しくないからです。<19>露出補正を-0.7に設定しなおして撮影したら、濃さもいい感じになりました。サテン布の光沢感も美しく、高級感が際立ちました。

レンズ表面の反射を消すには?

 レンズはガラスでできており、その表面は光を反射します。しかも球面をしていますから、ありとあらゆる方向の光を反射するため、天井などにある照明機材の多くが写ってしまいます。
 こうした反射を、「写り込み」とか「テカリ」などといい、商品撮影をマスターする上でのキーポイントになります。
 しかし単純にいえば、天井などにある照明機材の光を反射しているだけですから、これらを遮ったりするだけで、十分見応えのあるイメージにすることができます。

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レンズ表面が反射している範囲をA4のコピー用紙で覆ってみました。もっと大きな薄手の白紙があれば、便利です。

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<21>レンズ表面に白や紫、青の横筋のように光っているのが、天井の蛍光灯の反射です。細かで強い反射が多く、なんとなくうるさい感じがします。<22>細かで強い反射が無くなり、レンズの全面がやわらかい反射で覆われました。これは、コピー用紙を透過した光を反射したものです。

4.服を撮る

似顔絵 服のシルエットやコーディネート例を見せるのに一番いいのは、モデルが着用したところを写すことです。モデルがいない場合にも、ボディーなどに着せたほうが、立体感がよく伝わります。しかしそうはいっても一般的な家庭には、モデルもいないし、ボディなどもないはずです。ここでは、床に置いて撮影するためのポイントを整理します。陰影の付け方などは、モデルやボディに着用したところの撮影にも応用できるでしょう。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。


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<23>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。<24>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?

<23>と<24>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。
 何がよくないって、ブラウスのシワだけでなく、下地のシーツのシワは、最悪といっていいですね。手前が明るく、奥が暗いのは、スピードライトの影響です。商品撮影には、基本的にカメラ内蔵のストロボは使わないものと考えてください。
 また、カメラ位置が低く、ブラウスが斜めに置かれているために、ブラウスの形がはっきり伝わらないのも問題です。
 <24>は、このあたりの問題をクリアした、基本的な作例です。室内の蛍光灯照明だけで撮影しました。

形をきれいに写すには、ブラウスの真上から撮影します。

 柔らかい素材でできたブラウスは、ボディに着せて撮影すると、却ってシワだらけになって見栄えがしないことがあります。また、このようなブラウスだけでなく、ブラウスなども、床置きで十分きれいに撮影することができます。ですが、その形やプリント柄をきれいに写すには、床に置いたブラウスの真上から撮影しなければなりません。そうしないと、カメラに近い側が大きく、遠い側が小さく(遠近感がついて)写ってしまいます。
 カメラのボディから液晶モニターが離れたり、回転するタイプのカメラでは、こうした撮影が割合簡単にできます。

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(イラスト)形をきれいに写すには、ブラウスの真上から撮影します。大きめの板を下敷きにして椅子などに立てかけて撮影すると、斜めから撮影することもできます。

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<26>普通に立った位置で撮影すると、手前が大きく、奥が小さく写ります。色付きの画用紙を下地にしたら、服の色がよく分からなくなりました。<27>ブラウスの真上から撮影すると、形がきれいに写ります。白地にしたら微妙な色もだいたい正しく見えるようになりました。

布のやわらかさや素材感を伝えるには?

 布のやわからさや素材感は、本当なら触って初めてわかるものかもしれません。
 それを写真で、つまり視覚だけで伝えるにはどうしたらいいでしょう。意外かもしれませんが、シワによってやわらかさが、影によって素材感が伝わるのです。
 シワや影は、商品撮影の敵のように思われがちですが、これらを上手く利用することで、質感が表現できるのですね。逆手をとって、積極的に利用してみましょう。

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シワがないように伸ばして撮影しました。プリント柄はよくわかりますが、布の感じはまったくしません。

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<29>リボンとギャザーの部分を写しました。質感やデザインの工夫がよくわかります。室内の蛍光灯照明で撮影しています。<30>窓際から入る光で撮影しました。画面左上に窓があります。光が横から当たっているために影が強くでき、素材感や立体感が強調されました。

立体感を表現するには?

 このようなブラウスやTシャツは、もともと平面的な服ですから床置きで撮影するだけで、その特徴をよりよく表現できます。
 しかし、立体裁断を施された服をそのまま床置きにすると、不自然なシワができるだけで、ちっともきれいに写りません。こんな時は、緩衝材やレジ袋・新聞紙などを丸めたりして、服の中に入れ、形を整えることで、服の立体感を自然に写すことができます。
 さらに、窓際の光を使って撮影すると、影によって立体感を強調できます。
 手間隙はかかりますが、こうした努力によってこそ、服の特徴をよりよく伝えることができるはずです。

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緩衝材(俗称プチプチ)やレジ袋を丸めたものなどで、形を整えます。

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<32>室内の蛍光灯で撮影すると、陰影が乏しく立体感が感じられないイメージになりました。<33>画面上に窓があります。画面奥からの光ですので、手前に影が落ち、立体感が際立ちました。

最後に

似顔絵 さて、小物・カメラ・服の撮影のポイントを簡単に紹介してきました。商品撮影は、それぞれの商品の特徴だけでなく、売り方によっても撮り方が変わります。だからこそ、奥が深い世界です。でも、ここに紹介したようなちょっとしたアイデアと工夫の積み重ねが基本であることに違いはありません。みなさんの出品商品が、無事に落札されることを期待しています。

2.春を撮る

目的別撮影テクニック集

2.春を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

 春の写真の代表として、「桜」「入園入学」「ID写真」を撮る方法を紹介します。いずれも日本の春をイメージする風物ですが、ちょっとしたポイントを覚えておけば、意外なほど簡単にちゃんとした写真を撮影できます。ぜひお役立てください。桜の撮り方は花や風景に、入園入学は子供写真全般に、ID用の顔写真は室内での人物撮影の基本としても、それぞれ応用可能です。

2.桜を撮る

似顔絵 日本の春といえば、何をさておいても桜です。そして私たちが桜という言葉からイメージする色は薄いピンクです。このため桜を写した写真といえば、そこに写っている花びらがどんな色でも、薄いピンクをした桜として伝わります。しかしできれば、見た目に近い、あるいは見た目よりもきれいな色で写したいものです。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

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<01>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。
<02>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?

<01>と<02>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。
 まず、明るさの印象と花びらの色が違います。よくよく見ると、<01>は、風のために花が動き、ブレて写っています。これらを解決するだけで、十分きれいな桜の写真になります。明るさの印象は「露出補正」、色の印象は「ホワイトバランス」(※)、ブレはISO感度の設定で対処します。操作自体は簡単です。しっかり使えるようになりましょう。

※ネガフィルムで撮影する場合はプリント時の色調整で、リバーサルプリントで撮影する場合には撮影時に色フィルターを使って補正します。

カメラの設定でこれだけ変わる!

 露出モードを、P(プログラム)に設定します。そして露出補正で写真の明るさを、ホワイトバランスで写真の色を調整すれば、ほぼ見た目どおりの写りにすることができます。さらに、三脚などにカメラを固定すればカメラブレはなくなります。ただ、風などのために花自体が動く場合や、手持ちで撮影したい場合には、ISO感度を高く設定して、速いシャッタースピードで撮影するようにします。

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<03>ずいぶん暗く、桜らしくない色で写っています。しかも風で花が動いたために、ブレも大きくなりました。
<04>薄曇りの影で撮影していましたので、ホワイトバランスを「曇り」モードにしました。ブレを防止するために、ISO感度は500に。だいぶんいい感じです。
<05>露出補正を+1に設定したら、とても明るい印象になりました。写真写りの明るさ暗さは、露出補正機能で自由自在に調整できることを覚えておきましょう。

晴れた場所で撮る。

 直射日光が当たっている場所では十分な光量がありますからブレの失敗も少なく、色もきれいに写ります。問題になりやすいのは、キツイ影。これによって、花の柔らかい印象が失われがちになりますので、こんな物を使ってみるのはどうでしょうか。
 もちろんですが明るい場所で撮影しても、白い(明るい)色の花は、濃く写りがちです。このような場合にも、露出補正をプラス(+)方向に調整すればOKです。

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針金(針金ハンガー)を丸くしたものに、レジ袋(乳白のビニールやトレーシングペーパー)を、セロハンテープで張っただけです。写す範囲を覆うくらいのサイズが必要です。

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直射日光が当たっているために、影ができ影によって花びらのシワが目だちます。これはこれできれいです。露出補正は+0.7に設定しています。

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撮影する花を影にするように覆います。影で暗くなっても、カメラの自動露出(AE)機能が働き、写真の全体的な明るさは変わりません。

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白い覆いによって、影の境界が柔らかくなりました。また、ほんのり赤みが増し、桜のピンク色が際立ちました。

青空を際立たせるには?

 桜の薄いピンクは、晴天の青空を背景にすると、さらにその美しさが際立ちます。しかし青空を写真に撮ると、意外なほど白っぽく写りがちです。このように空の青を際立たせたい時には、偏光(C−PL)フィルターと呼ばれるアクセサリーを使います。
 偏光(C−PL)フィルターは、青空の光に含まれる特定の偏光成分をカットすることで、青を際立たせるものです。

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偏光(C−PL)フィルターは、濃いグレーで色はありません。シャッタースピードが遅くなりますのでブレに注意します。

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<11>フィルター枠の回転の角度が悪いと、効果がありません。また、太陽の位置とカメラアングルによっても効果が異なります。
<12>ファインダー像を観察しながら最も効果の強く見える角度に調整すると、青空だけが濃くなり、桜とのコントラストが際立ちました。

3.入園記念を撮る

似顔絵 春と言えば、入園入学。お子さんよりも親御さんにとってこその一生の記念日。できればちゃんとした写真を残しておきたいものですが、入園入学式当日だけに集中するのではなく、毎日が入園入学式と考えて、気長に写真を撮り続けて欲しいと思います。いい表情を撮るには、新しい服で写真に撮られることに慣れることも大切です。シャッターチャンスを狙ったり、背景をボカしたりするには、デジタル一眼レフカメラがオススメです。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。


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<13>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。
<14>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?

<13>と<14>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。
 一番目につくのは、背景ではありませんか? 子供はどのように写っていてもかわいいものですが、駐輪場が背景になっているのはちょっといただけませんね。背景に桜が写っているだけで、春や入園式を連想させていい感じに見えます。でも、自宅や学校には、こんな上手い具合に桜が咲いていないかもしれません。天候もあります。ところがところが、いつでもどこでも桜を咲かせる作戦があるのです。

ズームとカメラポジションに気をつける。

 子供は小さく、大人は大きいですから、普通に写真を撮ろうとすると、どうしても俯瞰気味になります。また、普通にお話ができる距離感、つまり1メートル前後の間隔で撮影しようとするとズームを広角側にしてしまいがちです。

 人物をきれいに写すには、ズームを望遠にして、できるだけ遠く離れた位置から撮影すること。さらに子供の目の高さで撮るようにすることも忘れないようにしましょう。

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普通に構えるとAからになりがちですが、ズームを望遠にして遠く離れ、子供の目の高さのBで撮ってみましょう。

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<16>Aの位置から撮ると、頭でっかちに写ります。これはこれでかわいいのですけれど・・。
<17>Bの位置から撮ると、全身のプロポーションがきれいに写ります。ちょっとだけ大人っぽく見えるかもしれません。

背景に桜を写す、隠し技?

 入園入学式のイメージには、桜がつきものです。しかし撮影に適した本物の桜が近くにあるとはかぎりません。こんな時には、造花を使ってみてはいかがでしょう。最近の造花は安価で、おどろくほど実物どおりにできていることもあり、写真にはまるで本物のように写ります。冗談みたいですが、ぜひ家族で楽しんでください。

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造花の桜をママが持って、背景に入れます。高さや位置も思いのまま。ファインダーを見ながら調整しましょう。

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<19>ズームを望遠にして撮影すれば、背景に写る範囲が狭くなるため、背景がすっきりします。
<20>嘘だとわかっていても、春らしく感じてしまうのです。写真って本当に不思議ですね。

背景をボカして撮影するには?

 人物だけピントばっちりで、背景が大きくボケたイメージは、レンズの小さいコンパクトカメラではなかなか撮れません。背景を大きくボカすためには、(1)一眼レフカメラを使う、(2)ズームを望遠にする、(3)背景と人物をできるだけ離す、(4)露出モードをAモードにしてレンズの絞り値(F値)の数字を小さく設定します。露出モードをポートレートモードに設定しても、同様の効果を得られます。

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Aモードで絞り値(F値)を小さく設定することで、背景を大きくボカして写すことができます。

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<22>絞り値(F値)を大きくすると、背景がボケず、ブレ(桜に注目)が大きくなります。
<23>絞り値(F値)を小さくすると、背景が大きくボケ、ブレは少なくなります。

4.ID写真を撮る

似顔絵 春には、会社やクラブなどに新しいメンバーが増えます。そこで必要になるのが、ID写真です。もちろんプロフェッショナルにおまかせするのが確実ですが、デジタルカメラやプリンターもお持ちなら、自分たちで撮ってみましょう。意外なことに、普通の事務所でも白壁さえあれば、十分きれいなID写真が撮影できます。仲間で気楽に撮れば、いい表情をゲットできるかもしれません。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

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<24>ありがちな失敗写真ですね。何が悪かったのでしょう。
<25>雰囲気のよい写真になりました。何を変えたのでしょう?

<24>と<25>と比べて、何が違うのかを考えてみましょう。
 パッと見た目に<24>はアマチュア、<25>はプロフェッショナルな感じがするはずですが、<25>はプロ用の照明機材を使ったわけではありません。室内の天井にある蛍光灯照明だけで撮影しています。

 まさか? とお思いになられたかもしれませんが、各種の設定を正しく行えば、このレベルの顔写真はかなり手軽に撮れるのです。

ブレ対策と露出補正がポイント。

 室内の蛍光灯照明は暗くて、写真撮影には適さないと信じられています。なぜかというと、光が十分でないためにシャッタースピードが遅くなり、カメラブレや被写体ブレになりやすいのです。このために内蔵ストロボが発光するのですが、これはあまりきれいには写りません。ただし、ブレ対策をしっかり行うこと、そして露出補正で肌を明るく写すことがポイントです。

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カメラを三脚などに固定し、必要に応じてISO感度を400や800などの高感度に設定するだけで、ブレは防げます。白画用紙を壁に貼って背景にしました。

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<27>内蔵ストロボを「発光禁止モード」に設定すると、光は自然ですがブレた写真になります。露出補正をしていないために、暗い感じになりました。
<28>露出補正を+1に設定すると、色白の顔写真になりました。日焼けした顔を強調したい場合には、少しマイナスにしてもOKです。

肌をさらにきれいに写すには?

 肌は、人によって大小はありますが、凸凹があります。このため、光の当たり方によっては影が強調され、見た目よりも凸凹した肌に写ってしまいます。こうした写りを弱めるためには、影を弱めればよいわけです。つまり、光源の反対側に光を反射する白板などを置けばよいのです。実際には、新聞紙大の白紙や白布などを膝上か胸元に置いて撮影するだけです。

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<29>白板は、写される人が手で持ちます。実物の光の当たり具合を見ながら高さや向きを調整してみましょう。白い物であれば、紙や布以外でも使えます。

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<30>

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<30><31>と同じ条件で撮影しています。肌の凸凹はこの写真では見えませんが、髪の毛や鼻、あご下の影に注目してください。
<31>間違い探しのように、<30>との違いを比べてみましょう。影に大きな違いがあります。

外付けストロボでプロ並みに挑戦!

 外付けストロボを使った撮影は、光と影の写り方を調整するのがとても難しいものですが、デジタルカメラなら撮ったらすぐに結果がわかります。何度かテスト撮影を行えば、プロっぽいイメージの顔写真も撮影できます。ポイントは、ストロボの光を白壁などにいったん反射させてから被写体に当てることです。いわゆる間接照明を使って、柔らかい光と影を演出するわけです。

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クリップオンタイプのストロボの発光部を動かし、白壁などに光を反射させてから被写体を照明します。バウンス撮影などといいます。

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<33>(1)(2)は白壁や白板で、光を反射させます。背景に被写体の影が落ちないよう、壁との距離(3)を80センチ以上離すのがコツです。
<34>陰影の感じを<29>と比べてください。光が画面左方向から当たっているため、顔の立体感が美しく感じられるはずです。

最後に

似顔絵 春を撮るというテーマですが、花と子供、顔写真の基礎という具合に考えていただければ幸いです。いい写真を撮るには、ちょっとした手間を惜しまず、数多く撮影することが大切です。一枚で諦めないでくださいね。

3.料理を撮る

目的別撮影テクニック集

3.料理を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

 和食、和菓子、洋菓子(ケーキ)を例にして、料理の撮り方を紹介します。写真は、平面の画像に過ぎませんから、当然のことながら味も匂いも写りません。しかし、美味しそうに感じる写真とそうでない写真があることも確かです。これらの違いの原因を考えれば、美味しそうに撮るための秘訣がわかるはずです。答えは意外なところにありました。料理撮影のテクニックをご紹介しましょう。

2.和食を撮る

似顔絵

 料理は、いくら高価でも美味でも、食べてしまえばなくなります。だからでしょうか、「写真として残したい」「ブログなどで人に伝えたい」といった欲求がつのります。かといって料理写真のプロのような手間はなかなか掛けられません。例えば天ぷらをサクサクっと美味しそうに撮るための方法とはどんなものでしょう。実をいうとその秘訣は、写真のテクニックというより、盛りつけのテクニックに近いのです。

ありがちな失敗の原因を考えましょう。

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<01>
カメラオートで撮影。カメラ内蔵スピードライトが発光しています。

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<02>
構図を工夫し、ストロボも使わずに撮影。

<01>と<02>を比較した時、大きな違いは画面内の配置と光の加減です。<02>は料理を密集させ、かなりアップで撮影しています。画面からはみ出ていてもお構いなし!だからこそ、ボリュームを感じるのですね。もちろん、食べることを考えるなら、整然と並んでいる<01>が良いかもしれません。つまり、写真で美味しそうに見せるためだけの並べ方があるのです。まずは、ファインダーを覗きながら、料理を並べ変え、できるだけアップで撮影してみましょう。

料理を並べ替えてみます。

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<03>
ファインダーを覗きながら、全ての料理を密集させます。メインの天ぷらを一番手前に。

 実際に料理を食べる場合は、箸を持つ手や食べる順番などから、それぞれの配置が決まります。しかし、写真に写った料理は、決して食べられません。ですから四角い画面の中で、メインの料理を一番大きく、その他は、画面の隙間を埋めるように配置するのが基本です。この場合は、天ぷらがメインですから、天つゆやご飯、味噌汁、漬け物は、画面の端にちょっと写っているだけで良いのです。これだけでも、日本人なら、それとわかってしまうでしょう。もちろんこの料理を知らない人に対しても、メインは何かがはっきりわかるよう画面の中に大きく写すのが、基本なのです。

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<04>
ズームアップして撮影。料理のボリューム感がアップします。(天井の蛍光灯だけで撮影)

05

<05>
さらにズームアップ。画面からはみ出ていても、想像力をかき立てられるのです。

逆光で撮ってみましょう。

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<06>
<05>の撮影状況と同じまま、奥の窓から光が当たるような状況にしました。

 お店で撮影したり、自宅の食卓で実践するには、ちょっと大変かもしれませんが、光に注目することです。料理の向こう(奥)から光が入ってくるような状況で撮影すればさらに美味しそうに撮影することができます。対象の向こう側に光源がある状態を、逆光といいますが、まさにこの逆光で撮れば良いのです。
 ここではまず、もっとも簡単な方法として窓際で撮影した場合の違いについて紹介します。卓上ランプで実践する方法は、4. 洋菓子を撮る、で紹介しますが、いずれも考え方は同じです。

07

<07>
光の当たり方によっては、全体的に暗い印象の仕上がりになります。この場合には、露出補正を+(プラス)方向に調整します。

08

<08>
露出補正を行い明るくなりました。

<08>は、<05>と比較すると、陰影の出方がきれいで、立体感(天ぷらのサクサク感や、ご飯の一粒一粒)が際立っています。

ブレ対策を考えましょう。

09

<09>
カメラブレが大きいとボケたような写真になります。ピンボケではありません。

 料理を撮影するのは多くの場合、室内ですから、光の強さは十分ではありません。このためカメラオートで撮影した場合には、カメラ内蔵スピードライトが発光し、光が正面から直接料理に当たるため、あまり美味しそうには写りません。
 だからといって、カメラ内蔵スピードライトをOFF(発光禁止)にすると、カメラブレが生じやすくなります。このような場合には、カメラのISO感度設定を高感度にしたり、三脚などを使ってカメラを固定する工夫をしてください。そうすることで相当暗い場所でも、美味しそうな料理写真を撮影できます。

10

<10>
ISO感度設定を800など、高感度に設定するだけで、カメラブレは軽減します。

11

<11>
カメラを固定することでも、カメラブレが軽減します。三脚を使えばもっとも確実です。

3.和菓子を撮る

似顔絵

 透明パックに入った和菓子を撮ってみます。透明パックは、予期し得ない光を反射し、撮影するのが難しいものです。失敗なく確実に撮影するには、透明パックを外して撮影することですが、ちょっとした工夫で、反射を無くすことができます。
 お料理作りに似て、ちょっとしたひと手間でプロの写真のようなイメージにする秘訣は、ここにあるのです。

ありがちな失敗の原因を考えましょう。

12

<12>
透明パック入りを、そのままカメラオートで撮影。

13

<13>
天井の蛍光灯だけで撮影しました。

 なにげなく撮影すると、<12>のような撮り方になりがちです。問題は、画面中央下の影。これは、レンズ本体の影です。カメラ内蔵スピードライトは、カメラの近くに発光部がありますから、レンズ自体の影がでることがあるのです。画面周辺が暗くなっているのも、スピードライトの光が十分に届いていないことが考えられます。いずれも、ズームを広角側にしていることが原因ですので、望遠にして、少し離れた位置から撮影するだけで解決します。<13>は天井の蛍光灯だけで撮影していますが、ずいぶんと印象が良くなっているとは思いませんか。このように写すにはいったいどんなテクニックが必要なのでしょう。

透明パックの反射を無くすには ?

14

<14>
透明パックの表面が真っ白に。天井の蛍光灯を反射しているのです。

 食品に限らず、中身の見える透明パックが使われているものは少なくありません。ところが、これらの表面には光沢があり、光を反射します。この反射が、写真では真っ白に写ることがあり、中身を見えなくさせてしまうのです。
 しかしこれは、天井などの光源の光を反射したものにすぎません。つまり、被写体の置き方や角度、カメラ位置、あるいは天井の光源の位置を変えれば、反射は写らなくなるのです。ただし、全ての反射を消してしまうと、逆に透明パックらしさが失われてしまいます。ちょっとした一手間ですから、ぜひ試してください。

15

<15>
和菓子の置き方を変え、消しゴムを使って少し斜めにしました。

16

<16>
角度を付けたことによってほとんどの反射が消えました。

下地(背景)で変わる和菓子のニュアンス。

17

<17>
ピンクの紙。優しそうな、春っぽい雰囲気になりました。

 料理写真だけでなく、小物の撮影には、その背景となる下地の選び方がたいへん重要になります。というのも、下地の色や雰囲気により、被写体そのもののニュアンスが大きく左右されるからです。
 なんとなく締まらない感じだなとか、もうちょっとなんとかしたいといった場合には、まず撮りたい被写体をより引き立てるような下地に変えてみましょう。

18

<18>
模様のある和紙。高級和菓子の印象です。

19

<19>
濃い色の和紙。形がくっきり見えます。

食べるシーンを想像してみましょう。

20

<20>
お茶を組み合わせて撮影。これだとどっちがメインだかわかりません。

 和菓子を食べる時、多くの人はお茶を連想するはずです。つまり、画面の中にお茶が写っていることで、写真を見る人は、和菓子を食べるシーンをより直接的に連想するのです。イメージによる味覚は、単品をきれいに写すよりも、他の食べ物との組み合わせによってこそ、強く印象づけられるのです。
 料理や食品の広告写真を見る時、メインの食材の背景に写っている食材に注目してみると、面白い発見がありますよ。

21

<21>
エリアの大半をメインの被写体に構成。

22

<22>
背景を工夫。花や緑をあしらうことで、新鮮さや季節感を強く連想します。

4.洋菓子を撮る

似顔絵

 和食の撮り方で画面の中の配置を、和菓子の撮り方で背景による演出を学んできました。最後にショートケーキを例に、光の当て方について紹介します。ショートケーキなど、あまり大きくない食べ物であれば、卓上ランプなどを用いるだけでかなり高度な撮影が可能です。
 これらは、それぞれの食材に特有な撮影方法というのではなく、全ての料理撮影の基本といっていいものですから、それぞれの食材に応じて応用していただきたいと思います。

ありがちな失敗の原因を考えましょう。

23

<23>
卓上ランプ(白熱電球)を使って、カメラオートで撮影。

24

<24>
ホワイトバランス機能を使用して撮影。

 <23>と<24>では、ショートケーキの置き方や背景も同じです。撮影環境は同じなのに、なぜこんなに見違えたのでしょう。目につく違いは、色と濃さですね。その場の光源や明るさを変えるのではなく、デジタルカメラで撮影する時の写真の色はホワイトバランス機能で、写真の濃さは露出補正機能で、かなり自在に調整できます。
 また、<24>の方が、質感が美しく再現できています。これは光の位置によって、影の出方が変わったためです。

ホワイトバランスと露出補正を調整しましょう。

25

<25>
ホワイトバランスを「電球」に設定すると、色の偏りはなくなりましたが、暗い感じのままです。

 デジタルカメラでは、撮影した写真の色が違うとか、見た目よりも暗いといった場合に、すぐに撮り直すことができます。色が違う場合にはホワイトバランス機能を、明るさが違う場合には露出補正機能を使います。
 この場合では、卓上ランプが白熱電球タイプでしたのでホワイトバランスを「電球」に、また見た目よりも暗い写りでしたので露出補正を「+1.3」に設定しました。

26

<26>
露出補正を「+1.3」に設定すると、色の偏りはありますが、画面が明るくなりました。

27

<27>
ホワイトバランスと露出補正の両方共調整すると、色も濃さも見た目に近い感じになりました。

光の当て方を変えてみましょう。

 卓上ランプを用いた撮影などでは、光源の位置をある程度自在に調整できます。光の当て方を変えながら撮影してみると、写真の印象ががらりと変わることに、きっと驚かれるはずです。
 料理をおいしそうに写すには、逆光気味に光を当てるのが基本です。つまり、料理などの被写体の向こう側に光源を位置させるわけです。

28

<28>
カメラ側から光が当たる状態を、「順光」といいます。

29

<29>
カメラ内蔵スピードライトで撮影したのと、あまり変わらない印象です。

30

<30>
料理などの真上から照明を当ててみます。

31

<31>
真上から光を当てると、わりあい見た目に近い自然な写りになります。

32

<32>
被写体の向こう側から光が当たる状態を、「逆光」といいます。

33

<33>
手前に影が落ちて、苺やクリーム、ケーキの立体感が際立ち、ドラマチックな印象です。

白紙などで影を明るくします。

 料理撮影を行うプロフェッショナルが使う道具に、レフ板(レフばん)という道具があります。レフは、反射を意味するレフレックスの略ですから、単純に光の反射板と考えて良いでしょう。反射というと、鏡のような素材を思い浮かべますが、多くの場合の写真撮影では白紙などで自作した板が使われます。料理を撮るなら、A4コピー用紙やノートでも十分用が足ります。
 たとえば、<33>で気になる手前の影を、小さなレフ板を使って明るくしてみましょう。たったこれだけで、料理のパンフレットになりそうな写真のできあがりです。

34

<34>
白紙で作ったレフ板を使って、光源の光を反射し、被写体の影の部分を明るくします。

35

<35>
<33>と比べると、全体的な雰囲気はそのまま、手前の影が明るくなっています。とてもおいしそうな写真になりました。

最後に

似顔絵

 料理を美味しそうに撮るための方法をお伝えしてきましたが、撮影技術もさることながら料理を美味しそうする演出も大変重要なポイントです。盛りつけ方、背景、器、他の食材との組み合わせ、そして配置。その上で、カメラの設定や光の当て方を調整してみましょう。まるで料理本のような写真が、わりあい簡単に撮影できますよ。

4.夏を撮る

目的別撮影テクニック集

4.夏を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

 夏といえば、夏休み。日本の子供のたちにとって夏休みといえば、昆虫採集に花火、そしてオバケ(?)・・・といったわけで今回は、この夏私が撮影した昆虫、花火、トリック写真の撮り方ご紹介します。

2.昆虫を撮る

似顔絵

 クワガタ虫を、屋内で撮影するための方法を紹介します。うっそうとした森の中など、光の条件がよくない場所での撮影にもそのまま応用できるはずです。
 このように昆虫などを撮影する場合には、まず昆虫の性質や特徴をしっかり調べておきましょう。

ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。

01

<01>
ありがちな失敗写真です。何が悪かったのでしょう。

02

<02>
図鑑にでも載っていそうな写真になりました。何を変えたのでしょうか。

 <01>が失敗に見える原因は、ピントが合っていないことです。また、クワガタ虫がなんとなく弱々しくに見えるのは、いわゆる構図の悪さが原因のようです。<02>のように斜め方向から撮影するだけで、なんとなく格好よく見えるのですね。それからもう一つ、スピードライトによる影がくっきりしているのも、気になります。こうした問題を一つずつ解決していきましょう。

ピントを合わせよう!

 昆虫は小さいですから、あるていど大きく撮影しようとすると、カメラを昆虫に近づける(接写といいます)必要があります。この時、レンズによって、ある程度より近づくとピントが合わなくなる限界(最短撮影距離といいます)があり、このためピンボケになったり、シャッターが切れなくなったりします。
 小さい被写体を大きく撮影するには、クローズアップレンズを装着する、ズームレンズのマクロ機能を使う、マクロ専用レンズを使う、接写リングなどを使うなど、さまざまな方法があります。
 接写については、「フィルム一眼レフ入門 4回ピントって何だろう?」の接写についての項を参照してください。

03

<03>
レンズの前にクローズアップレンズを装着するだけで、小さな被写体にピントが合うようになります。手軽には、虫眼鏡をレンズの前にかざしながら撮影してみるとよいでしょう。

04

<04>
室内や森の中など、明るくない場所で撮影するには、カメラ内蔵スピードライトを使うのがおすすめです。一瞬の光ですから、動きの速い昆虫でもブレのない写真が撮影できます。

05

<05>
絞り値(F値)をある程度大きく設定すれば、昆虫の前から後ろまで、ピントを合わせることができます。

構図の工夫と露出補正

 <01>の失敗写真の撮り方で、クローズアップレンズを使ってピントを合わせたものです。ピントは合いましたが、なんとなく愚直な印象がします。昆虫の全体像が、画面に対して斜めに収まるように撮影すると、それだけで印象がよくなります。また、真上からではなく、横斜め方向から撮影すると、立体感が際立ちます。
 このクワガタ虫はかなり濃い色をしていますので、通常ならマイナス側の露出補正でよいはずですが、表面の光沢がスピードライトを反射しているため、プラス側の露出補正で調度よい濃さになりました。昆虫の色や濃さが正しく写るように調整しましょう。

06

<06>
撮影結果をモニタで確認しながら、見た目どおりの色や濃さが再現されるよう露出補正を行ないます。

07

<07>
どことなく弱々しい感じがするのは、昆虫の向きが真正面すぎるためです。

08

<08>
斜めに撮影するだけで、いい感じになりました。露出補正は、+1に設定しました。

影と質感をきれいに写す。

 カメラ内蔵スピードライトは、とても手軽に使える光です。しかし、発光部が小さいために、影がきつく出たり、光沢のある部分が真っ白になってしまう傾向があります。簡単な手作り道具で、影や質感をきれいに写す方法を紹介します。昆虫だけでなく、小さな物を撮影するのに、いろいろ使えそうです。

09

<09>
針金(針金ハンガー)を丸くしたものに、レジ袋(乳白のビニールやトレーシングペーパー)を、セロハンテープで貼っただけです。

10

<10>
カメラ内蔵スピードライトの光を、乳白のビニールに当てるように使います。オートのまま撮影できますが、露出補正は必ず行ないます。

11

<11>
強い影がなくなり、光沢部分の光の反射もソフトになりました。簡単な撮影方法ですから、屋外でも応用できます。

3.花火を撮る。

似顔絵

 手元で楽しむ花火を撮影する方法です。花火の撮影が難しいのは、花火自体が光る、長くても十数秒しか光らない、暗い場所で撮影しなければならないという条件のためですね。デジタルカメラでは、撮影後にすぐ結果を確認できますから、いくつかのポイントを押さえ、何度かやり直せば、きっと良いイメージの写真を撮影できます。

なんとなく花火っぽくない原因は?

12

<12>
浴衣の色もきれいに写っているのですが、なんとなく花火らしくありません。

13

<13>
スピードライトを発光させずに、花火の光だけで撮影しています。

 花火はもともと、暗い場所で、花火の光だけを楽しむものです。ところが、カメラをオートモードで撮影すると、カメラ内蔵スピードライトが自動的に発光してしまいます。花火の光以外に、スピードライトの光が加わるわけですから、思い通りに写らないわけです。
 スピードライトを発光させないようにして撮影するだけで、花火らしい雰囲気のイメージになります。

撮影の前に確認しておきましょう。

 暗い場所で撮影しますので、カメラの操作は困難です。撮影現場で戸惑わないよう、明るい場所で各部の設定を確認しておきましょう。

14

<14>
「内蔵AF補助光」を「ON」に。暗い場所でピントを合わせるために、カメラからピント合わせのための光(AF補助光)を発光させる機能です。遠方の打ち上げ花火を撮影する場合には「OFF」にし、マニュアルフォーカスで無限遠に合わせておきます。

15

<15>
「ノイズ除去」を「する」に。ノイズとは、デジタルカメラ特有の現象で、長秒時撮影時に画質がざらついたような感じになるものです。このノイズを電子的に除去する機能です。撮影後、しばらくシャッターが切れなくなりますので注意しておきましょう。

16

<16>
「露出モード」を、P(プログラム)などに設定し、スピードライトを発光させないようにします。

ブレを少なくする。

 花火の光は、写真を撮るのに十分なほど明るくはありません。このため、シャッタースピードはある程度遅くなってしまいます。シャッタースピードが遅いと、カメラブレだけでなく被写体ブレも大きくなります。カメラを三脚などに固定すればカメラブレはなくなりますが、被写体ブレは抑えられません。被写体が人物の場合、できるだけ動かないように注意してもらいます。あまり明るくない花火の場合には、ISO感度設定を高感度にするとよいでしょう。

17

<17>
ISO感度を800や1600など、高感度にしてみましょう。

18

<18>
カメラを三脚に固定しても、被写体が動けば、被写体ブレになります。シャッタースピードが1秒を超すこともあります。

19

<19>
シャッタースピードが速くなりブレが抑えられました。

色と明るさをきれいに写す。

 カメラの測光モードが「マルチパターン測光(初期設定)」の場合、画面の中に明るい花火があっても、カメラは花火の明るさを無視して露出値を調整します。しかし露出補正をプラス方向に調整すれば、画面全体をさらに明るくすることができます。
 また花火には、さまざまな色の光を発するものがありますが、基調となるのはオレンジ色です。このため、ホワイトバランスを電球モードに設定して撮影すると、オレンジ色の偏りが少なくなり、少し自然な印象になります。

20

<20>
露出補正をプラス側に、ホワイトバランスを電球モードに設定すると。

21

<21>
カメラまかせの撮影でも、明るい色調で写すことができます。

22

<22>
露出補正をすると、明るくなり、ホワイトバランスで自然な色調になりました。

4.トリック写真を撮る

似顔絵

 夏といえば怪談。身も凍るような恐ろしい話で、暑さを忘れようというわけです。そして怪談といれば、心霊写真。信じる人もそうでない人も、遊び心でトリック写真を撮ってみませんか?

長秒時露出で、いろんなトリックが楽しめます。

 作例写真をとくとご覧ください。透明人間と火の玉です。トリック写真の撮影方法を知っていても、ちょっと怖いイメージです。さて、どういう技を使えば、こんな写真が撮れるのでしょうね。

23

<23>
透明人間。階段やドアが透き通って見えます。


24

<24>
火の玉。ちょっとアーティスティックですね。

準備しましょう。

 ここで行なうトリック写真のポイントは、長秒時露出。つまり、数秒以上の間、シャッターを開けっ放しにしておくことです。目安として、シャッタースピードが8秒くらいから始めてみましょう。
 シャッタースピードを遅くするには、薄暗い場所で撮影します。明るい場所では、長秒時撮影はできません。室内照明を暗くするだけでもOKです。露出モードはS(シャッタースピード優先モード)がオススメです。

25

<25>
露出モードはS(シャッタースピード優先モード)がオススメです。

26

<26>
シャッタースピードを8秒くらいに設定します。

27

<27>
カメラは三脚などにしっかり固定。セルフタイマーを使うと便利です。

透明人間を撮る

 シャッタースピードが8秒の場合、シャッターは8秒間ずっと開いており、その間ずっと写真を撮影しています。この時、最初の4秒だけ人物はじっとしておき、残り4秒は画面から外れるようにすると、人物が半分だけの濃さで写ることになります。
 時間の配分を変えることで、濃さを変えることができます。背景の色や濃さ、人物の服の色や濃さによって、効果が変わりますので、いろいろ試してみましょう。

28

<28>
シャッターボタンを押してから4秒間はじっとしています。

29

<29>
4秒が過ぎた時点で、人物は画面から外にでてもらいます。

30

<30>
人物が半分だけの濃さで写り、半透明に写りました。

火の玉を撮る

 長秒時撮影の場合、動いている被写体はブレて写ります。大きく動いた被写体は大きくブレ、さらに大きく動くと、ほとんど見えなくなってしまいます。
 火の玉は懐中電灯の光の軌跡なのですが、それを動かしている人物は、動き回っているために姿が写らないのがミソです。懐中電灯が明るすぎる場合には、紙でくるむなどして調整しましょう。

31

<31>
懐中電灯の発光部に紙を貼り付け、明るさを調整しています。色セロファンなどを使っても面白いでしょう。

32

<32>
懐中電灯をカメラに向け、動かします。じっとしている人物ははっきり写りますが、動き回っている人の姿は写りません。

33

<33>
懐中電灯の光の軌跡が写り、火の玉のように見えます。

最後に

似顔絵

 夏といえば、海や山など太陽の光が降りそそぐ場所での撮影も多いでしょうが、これらはカメラのオートモードで十分撮影できるはずです。そんなわけで、室内や夜の撮影など、ちょっと難しいテーマを選んでみました。トリック撮影の技術はここで応用したような心霊写真だけでなく、アーティスティックなイメージも作り出せるでしょう。ぜひお楽しみください。

5.小さな物を撮る

目的別撮影テクニック集

5.小さな物を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

小さな物を画面一杯に撮影する事を、接写とかマクロ撮影といいます。通常の撮影に比べると、ピントが合いにくく、ブレ易く、形や質感がきれいに写らないなど、意外に難しいのが特徴です。だからこそ、ちゃんと写せるようになるだけで、写真の面白さがグンと広がります。今回は、小さな物をきれいに撮影するための基本を一通り紹介します。

2.ピントを合わせる。

似顔絵

小さな物に近づいて写真を撮影しようとすると、ピントが合わないことをよく経験します。コンパクトデジカメであれば「花のアイコン」で表示されているマクロ撮影モードに切り換えるだけで、さらに近づいてピントを合わせることができますが、それでも限界があります。一眼レフカメラでも、使用しているレンズによって、ピントを合わせられる距離の限界が決まります。

ありがちな失敗の原因を考えましょう。

01

<01>
ピントが合っていません。

02

<02>
ピントが合っています。

どのようなカメラ(レンズ)にも、ある程度以上近づくとピントが合わない限界があります。これを「最短撮影距離」といいます。つまり、最短撮影距離よりも近づいて撮影した場合、決してピントは合いません。オートフォーカスの場合には、シャッターボタンを押しても写真は撮れません。
さらに近づいてもピントを合わせるための方法を次に紹介します。目的や予算に合わせて、試してください。

クローズアップレンズを使う。

通常のレンズの先端にねじ込むだけで、さらに近づいてピントを合わせられるアクセサリーをクローズアップレンズといいます。
これは単純な凸レンズで、要は、カメラにつける老眼鏡のような物です。つまり、近くにピントの合わない老眼(カメラ)を矯正するために、凸レンズでできた老眼鏡(クローズアップレンズ)をかけるのです。
老眼鏡と同様、度数の異なるタイプが各種市販されています。老眼と同様、一時的に使いたい場合には、虫眼鏡でも代用できます。

03

<03>
レンズ先端にクローズアップレンズをねじ込むだけです。

04

<04>
さらに近づいてもピントが合うようになります。

05

<05>
ピントが合いました。

マクロレンズを使う。

小さな物を撮影するために設計されたレンズを、マクロレンズとか、接写専用レンズなどといいます。ニコンの場合には、マイクロニッコールと名付けられています。 専用の設計なので、画質や使用感などの性能も抜群です。通常のレンズと同様に、焦点距離の異なるタイプがあります。焦点距離で何が変わるかは、「3.形をきれいに写す」で紹介します。

06

<06>
マクロレンズは、同じ焦点距離のレンズより長くなります。

07

<07>
<04>に比べるとかなり離れているのですが。

08

<08>
さらに大きくピントばっちりで写せます。

接写リングを使う。

マクロレンズを使っても、近づける限界があります。もっと近づいて、小さな部分を大きく写すには、接写リング(中間リング)と呼ばれるアクセサリーを使います。
接写リングとは、カメラとレンズの間に挿入する中空の筒です。この筒によって、レンズをさらに前に繰り出すことで、小さな物にピントを合わせられるのです。
機種によっても異なりますが、オートフォーカス(AF)や自動露出(AE)などが使えなくなりますので、マニュアル操作で撮影します。でも、デジタルカメラなら撮影結果がすぐにわかりますので、設定を調整しながら試行錯誤するだけです。

09

<09>
ボディとレンズの間に接写リングを入れます。

10

<10>
さらに近づいて撮影できます。

11

<11>
接写というより拡大撮影の楽しさを味わえます。

3.形をきれいに写す。

似顔絵

小さな物に近づいて撮影すると、なんとなく形がゆがんだように写ることがあります。実は、望遠レンズを使って遠くから小さな物を大きく写せば、形がきれいに写るのです。
マクロ撮影=近づけばよい、というのではないのです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが大切なことですので、しっかり理解してください。

違いをしっかり見比べてください。

12

<12>
形が少し歪んで、ちょっと大きな感じに見えます。

13

<13>
平行線がほぼ平行に写って、形がきれいに見えます。

同じ物を、画面の中に同じくらいの大きさで写した2枚の写真です。何が違うか、間違い探しのように見比べてください。
まずビンの形が違います。そして背景のバラの写り方も違います。形はどちらがきれいですか? どちらの方が大きなビンに見えますか?

広角レンズで近づいて写す。

コンパクトデジタルカメラや、マクロ機能付きのズームレンズでは、被写体にかなり近づくことで、マクロ撮影ができるようになります。この時、レンズの焦点距離は割合に短く広角レンズになっていることが多いのです。
被写体に近づいて撮影するため、遠近感が強調され、形が歪んだように写ります。結果として、ボリューム感のある印象になります。

14

<14>
広角レンズで近づいて写しています。(35ミリ)

15

<15>
形が歪んだようになり、背景に広い範囲が写ります。

望遠レンズで遠くから写す。

焦点距離の長い望遠レンズを使えば、被写体から離れていても、小さな部分を大きく写せます。また、遠くから写すため、遠近感が抑えられ、形がきれいに写ります。
マクロ撮影=近づいて写す、といったイメージがありますが、実は、望遠レンズで遠くから小さな物を写した方が、印象のよい写真になりやすいのです。
焦点距離」と「最短撮影距離」は、まったく別モノですので注意してください。

16

<16>
望遠レンズで遠くから写しています。(105ミリ)

17

<17>
形がきれいで、背景のバラも大きく写っています。

望遠レンズを使う時はブレに注意しましょう。

マクロ撮影は、被写体の小さな部分を大きく写していますから、カメラの少しの動きが大きなブレになって写ります。このため、マクロ撮影では、ISO感度を高くしたり、カメラを三脚などにしっかり固定したりなど、ブレを防止するための工夫が必要です。
カメラの動きに合わせてレンズを微動させ、ブレを軽減するVR(バイブレーション リダクション)機能付きのレンズを用いれば、手持ち撮影可能な範囲が広がります。
ピンボケ?と思う写真の多くが、こうしたブレですから、注意しましょう。

18

<18>
ピンボケではありません。カメラブレです。

19

<19>
VR105ミリ マイクロニッコールレンズ。

4.質感を表現する。

20

<20>
ゴールドらしくない写りです。

21

<21>
表面のなめらかな光沢がきれいです。

光沢がある被写体は特に、その質感をきれいに写すことが難しいものです。
質感を見た目の感じで写すには、光の当て方を工夫します。光の当て方などというと、専用の機材が必要な気がするかもしれませんが、光の種類は何でもよいのです。
要は、発光面の大きさです。ここでは、レジ袋で作成したディフューザーを使うことで、光沢感がどのように変わるかをお見せしましょう。ちょっとしたことで、質感の描写が驚くほど変わります。

カメラ内蔵ストロボで撮影する。

カメラ内蔵ストロボは、一瞬の強い光を発しますので、カメラブレのない撮影が簡単にできます。ただ、発光部が小さいために、被写体の光沢面に小さく強い反射ができたり、背景に強い影が落ちます。このため、質感をきれいに写すことが難しいのです。
でも、ディフューザーで発光面を大きくするだけで、目を見張るほどきれいな写りになります。

22

<22>
カメラ内蔵ストロボで撮影しました。

23

<23>
表面にストロボ光の反射ができ、背景に強い影が落ちています。

24

<24>
ストロボの光をディフューザーで拡散し、大きな面光源のようにします。

25

<25>
表面の光沢がなめらかに写り、背景の影もなくなりました。

室内蛍光灯で撮影する。

室内蛍光灯の光は、写真撮影に適した明るさではありません。しかし、カメラを三脚などにしっかり固定しさえすれば、見た目に近い自然な写りで撮影できるのです。
暗い=きれいに写らない、という考え方は間違っています。ブレにさえ注意すれば、十分きれいな写真が撮れるのです。

26

<26>
室内蛍光灯の光だけで撮影。

27

<27>
十分きれいですが、蛍光灯の光の反射がうるさい感じがします。

28

<28>
ディフューザーで覆うだけで。

29

<29>
表面の光沢がなめらかになり、形も見やすくなりました。

卓上ランプで撮影する。

自由に動かせる卓上ランプを使えば、光の当て方をさらに自由に調整できます。電球や蛍光灯など、使用している光源に合わせてホワイトバランスを設定しましょう。それだけで被写体の色調も正しく写すことができます。

30

<30>
卓上ランプで撮影します。室内照明は消しておきましょう。

31

<31>
卓上ランプの位置を変えることで、反射の位置を変えることができます。

32

<32>
ディフューザーを使うと。

33

<33>
表面の光沢が非常にきれいになり、立体感も強く感じられます。

最後に

似顔絵

小さな物を大きく写すマクロ撮影は、それだけで非日常的な写真の楽しさを味わえるジャンルです。ただ写ればよいというのではなく、できるだけきれいに写るよう、いろいろな工夫をしてみましょう。そのための基本が、ここに紹介したピント、形、質感なのです。

6.ポートレートを撮る

目的別撮影テクニック集

6.ポートレートを撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

家族や友人などの身近な人を、雑誌や広告などに見るポートレートのようなイメージで撮影するためのコツを紹介しましょう。撮影時にほんのちょっとしたことを意識するだけで、ずいぶん印象のよいポートレートが撮影できます。ぜひ、恥ずかしがらずに、モデルやカメラマンを演じてみてください。

2.背景を選ぶ

似顔絵

 人物を撮影する時、どこで撮影するか? は大切なことです。都会のど真ん中で撮るのと、緑豊かな公園で撮影するのとでは、気分が違うという以上に、背景に写るものによって、人物の印象ががらりと変わるのです。背景に何が写っているかということをしっかり見ながら撮影するのが第一のコツです。

ありがちな失敗の原因を考えましょう。


01

<01>
ありがちな人物写真。なぜ、きれいに見えないのでしょう。

02

<02>
いわゆるポートレートっぽい仕上がりになりました。

 <01>がなんとなく普通の写真に見えてしまう原因は、人物が画面に小さく、しかも顔が画面中央に写っているせいです。写したい顔を画面中央部に位置させるのが写真撮影の基本ですが、カメラを横位置で構えていることもあって、人物以外の要素の方が大きな面積を占めてしまいました。このため、なんとなく下手な印象に見えるわけです。
 人物は縦長ですから、カメラを縦位置にし、人物を大きく写してみましょう。それだけで、背景もすっきりして印象のよいポートレートになります。

とにかく人物を大きく写します。

 写真は、実際に見える風景の一部を切り取るようにして、四角い画面に写します。当たり前の話ですが、四角い画面からはみ出てている部分は写りません。ここが写真の善し悪しを決める境目です。
 つまり、画面の中に、必要な要素だけが写るように撮影することを心がけましょう。ポートレートでは、人物がきれいに見えることが大切ですから、人物以外の要素はできるだけ写さないようにするのがコツです。

03

<03>
古めかしい日本家屋の前ですが、このように撮影すると、人物主体ではなく家屋主体の写真になります。

04

<04>
人物を大きく写すようにすると、人物が引き立ちました。

05

<05>
さらに大きく写すと、人物がさらに引き立ちます。背景に壁が写っているだけで日本家屋であることも想像でき、イメージが膨らみます。

背景だけで、人となりが変わって見えます。

 人物の立ち位置やカメラ位置を変えるだけでも、写真に写る背景が変わります。時間に余裕があったら、背景を変えて撮影してみましょう。
 背景に写る要素によって、写っている人物の人となりさえ変わって見える写真になることに、きっと驚かれるはずです。
 カメラのさまざまなテクニックもさることながら、その人らしく見える背景で撮影することも大切なのです。

06

<06>
緑を背景にすると、さわやかな春〜夏の印象に。(撮影したのは冬ですが)

07

<07>
公園にある木製遊具です。スポーツの秋といった、健康的な印象がします。

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<08>
近代的な建築物。都会的な印象に。

3.ズームと絞りを調整する。

似顔絵

 露出補正で明るさを調整し、ホワイトバランスで色を補正するといったことは、すべての撮影に共通した基本操作ですが、これら以外に、ポートレートではズームと絞りの調整がポイントになります。
 ズームをうまく使うことで、プロポーションをきれいに写せます。
 さらに、絞りを開放ぎみに調整することで、背景を大きくボカすことができます。
 それぞれの操作と効果をしっかり理解しておきましょう。

ズームの一般的な使い方。

 ズームレンズのズーム操作を行うと、画面に写る範囲が変わります。ズームを広角(ワイド/W)側にすると広い範囲が写り、望遠(テレ/T)側にすると狭い範囲が写ります。言い方を変えると、被写体の大きさは、広角にすると小さく、望遠にすると大きく写ります。カメラ位置が同じなら、ズームを望遠にするということは、画面の一部をトリミングしているのとほぼ同じ効果になることを確認しておきましょう。

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同じ場所で撮影すると、

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<10>
広角では広い範囲が写りますので、被写体が小さく写ります。

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<11>
望遠では狭い範囲だけが写りますので、被写体が大きく写ります。<10>の中央部分をトリミングしたのと似たような写りです。

望遠で遠くから写すのがポートレートの基本!

 ごく普通の感覚で、友人や家族を撮影すると、被写体とカメラの間隔はだいたい1〜2メール程度になるように思います。普通に会話を交わせる距離感ということです。しかし、この距離で人物を撮影すると、頭でっかちに写ってしまうことをご存知ですか。一度試しに、ズームを望遠にして、被写体からずっと離れた位置から撮影してみてください。たったこれだけでプロポーションのいい写真になることに驚かれるはずです。

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<12>
被写体に近寄って、広角側で撮影します。

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遠くから、ズームを望遠にして撮影します。

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被写体に近寄って、広角側で撮影すると、意外なほど頭でっかちに写ります。背景に広い範囲が写っているので、ちょっとうるさい感じがするのもデメリットです。

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<15>
遠くから、ズームを望遠にして撮影すると、これだけで本格的なポートレートになりました。背景がすっきりしているのも特徴です。

絞りを開けると、背景が大きくボケます。

 露出モードダイヤルをA(絞り優先)モードに設定し、F値を小さい数字に設定すると、背景が大きくボケます。背景がボケることで、人物がさらに引き立って見えるため、ポートレート撮影では、よく使われる設定です。イメージプログラムモードの「ポートレート」は、こうした設定をカメラが自動的に行うものです。P(プログラム)モードで、プログラムシフトを使うことでも同様の設定が可能になります。さらに背景を大きくボカすには、被写体と背景の距離差を大きくし、望遠側で撮影することが大切です。

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<16>
AモードにしてF値を小さい値に設定します。

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<17>
AUTOモードでは、背景にもピントが合っているように写る場合でも、

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<18>
F値を小さい値に設定するだけで、背景が大きくボケて写ります。

4.カメラアングルの考え方。

似顔絵

 ポートレート撮影では、カメラを縦位置にして、人物の顔だけでなく、身体も写すようにするのが基本です。
 この基本をマスターしたら、次に、カメラの位置や構図のとり方をいろいろ工夫してみましょう。ここでは、カメラアングルとトリミングのコツを簡単に紹介します。

全身を撮る時のカメラアングル

 人物を写す時、普通に立ったまま撮影することが多いですね。しかし、このように撮影した場合、カメラ位置が高いため、かなり頭でっかちに写ります。特に、被写体に近づいて撮影した時はそうです。全身写真で、プロポーションを良く写すには、胸からおへそくらいの高さにカメラを構えるのが基本です。逆に、低い位置から撮影すると、頭が小さく、足が長く写ります。

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少し高めから撮影しました。頭でっかちで短足に写ります。

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胸からおへそくらいの高さで写しました。

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<21>
低い位置から撮影。頭が小さく、足が長く写っています。

顔を写す時のカメラアングル

 顔や表情を写す場合には、見下ろすか、見上げるか? といった位置関係だけで、写真のイメージから受ける印象が変わります。
 高い位置から撮影すると、被写体がカメラを見上げるような視線になります。このため、被写体が「かわいい」とか「弱々しい」といったニュアンスを強く受け易くなります。逆に、低い位置から撮影すると、被写体はカメラを見下げるような視線になります。このため、写真を見る人は、被写体から見下げられる印象を受けるわけです。単純には、カメラの高さだけの違いなのですが、これによって写真のニュアンスが大きく変わることを覚えておきましょう。

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<22>
高い位置から撮影。かわいい印象が強くなります。

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口元くらいの高さで撮影。フレンドリーな関係をイメージしやすくなります。

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<24>
低い位置から撮影。力強い印象になります。

画面からはみ出るように撮影するとイメージが膨らむ。

 人物を撮影する時、頭や身体が全部、画面の中に入るように写すのが基本です。しかしこの基本から外れて、頭が画面から切れたり、身体が画面からはみ出たりするように撮影すると、なんとなく雑誌や広告などで見るような写真になります。
 全部見えてしまうよりは、どのように被写体を切り取るかという撮影する側の個性も際立つことになります。

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全身をしっかり画面に写したもの。面白みに欠けます。

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画面からはみ出るように写すだけで、力強いポートレートになりました。

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顔を画面の端に大きく写しました。さらに迫力を感じます。

最後に

似顔絵

 人物を撮影しようとするとそれだけで緊張してしまうものですが、ここで紹介したコツを一つずつ実行するだけで、こうした緊張も少しずつほぐれてくるはずです。また、撮影したイメージを液晶モニタで被写体に見てもらって、次はどうしてみよう、といったアイデアをお互いに出し合うようにすると、撮影がさらに楽しくなりますよ。

7.冬を撮る

目的別撮影テクニック集

7.冬を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

カメラや電池、メモリカードなどの電子機器は寒さに対してデリケートです。
特に気温が零下になるような場合には十分な寒さ対策が必要となります。今回は冬の撮影術についてご紹介しましょう。そして、初春の日本の行事といえば成人式ということで、振り袖の撮り方のポイントも紹介します。

2.撮影の準備をする

似顔絵

 カメラやメモリカードなどの使用説明書の仕様欄には、その機器の「使用温度」や「動作温度」が記されています。ニコンDシリーズのデジタル一眼レフは、0〜40℃となっています。つまり、0℃以下の状況での保証はできません、ということです。
 これは私見ですが、0℃以下では使えないということではなく、零下でもたいてい使えることが多いです。ちなみにニコンD50の仕様では、使用温度0〜+40℃となっています。

寒さ対策

 デジタルカメラは冷えることによって、その機械部分よりも、電子部品の作動にトラブルが起こることが多いようです。そしてもちろんカメラだけでなく、私たちの身体の寒さ対策も考えておきましょう。カメラ用品やアウトドア用品を探せば、機能的な便利グッズが数々見つかります。

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<01>
手袋をしたまま、ある程度の操作ができるタイプが便利。

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<02>
持ち運ぶ時は、カメラケースやバッグに入れて保温。

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三脚につけたカメラの保温(防水)には、保冷バッグが便利。

メモリカードと電池

 一般的なメモリカードの多くは、0℃以下では動作保証されていません。しかし、−25℃や−40℃などの寒さや静電気、衝撃に強いメモリカードも市販されていますので、私は寒い場所での撮影にはこうしたタイプを選ぶようにしています。
 また、電池は低温になると十分な電力供給ができなくなります。このため予備の電池を必ず準備しておきましょう。温度が上がればそのまま使えるようになることもありますので、ポケットの中で携帯用カイロなどを使って温めるもの作戦です。

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<04>
寒い場所での撮影には、予備の電池は必需品。

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<05>
電池を携帯用カイロで温めると、再び使えるようになることも。

結露と静電気対策

 カメラやメモリカードは繊細な電子機器です。このため、注意したいのが「結露」と「静電気」です。
 結露とは、冷えたカメラを暖かい室内に急に持ち込んだ場合などに発生します。冬の屋外から室内に入った時に、眼鏡が曇るのと同じ現象です。電子機器に水分がつくわけですから、回路にトラブルが発生することがあります。メモリカードの場合には、データがなくなることもあるようです。
 冷えたカメラなどの機材は、ゆっくり室温になじませてから取り出しましょう。私の場合、運悪く結露した場合はスイッチをOFFにしたまま十分乾燥させ、その後にスイッチをONにします。
 乾燥した場所では「静電気」にも注意。メモリカードなどを触る前に、身体にたまった静電気をドアノブなどの金属部分で逃がしておけば安心です。静電気除去グッズを使えば、放電による衝撃を防げます。

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<06>
冷えたカメラを急に暖かい部屋に出すのは禁物。

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<07>
防水のケースやパッケージに入れておくと安心。

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<08>
身体の静電気を逃がしてから、操作を行います。

3.雪を撮る

似顔絵

 雪は白い。これが常識ですが、白い雪をカメラ任せで撮影すると、なんとなくどんよりした薄暗さで写ることが少なくありません。さらに、白い雪を真っ白に撮ったとしてもなんとなく冬景色らしくないように感じたりします。寒さを表現するには、どうしたらよいのでしょうか。(写真協力・森山 淳)

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<09>
カメラ任せ(オート)で撮影したもの。

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<10>
少し青白い雪景色ですが、寒さがよりよく伝わりませんか?

雪の白さを白く撮影するには?

 画面の大部分が雪の白さに覆われた風景を撮影すると、見た目よりもずいぶん暗い印象の写真に仕上がります。
 こうした場合には、カメラの露出補正機能を使って、+1〜+2くらいに補正して撮影するだけで、雪の白さを白く表現することができます。作例の場合には、写真04(+1補正)と写真05(+2補正)の中間が最適のようです。

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カメラ任せで撮影したものです。とても暗い感じ。

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露出補正を+1に設定したもの。かなり明い。

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露出補正を+2にしたもの。これでは明るすぎ?

冬の寒さを表現するには?

 寒色とか暖色といった言葉を聞いたことがあるはずです。寒色とは青みがかった色、暖色は橙色(赤み)がかった色調を指します。これらの色は、体感的に寒さや暖かさを感じさせるのです。
 写真のイメージでもこれは同じで、青みがかったイメージには寒さを感じます。
 デジタルカメラでこうした色調を得るには、ホワイトバランス機能を使います。とりあえず難しく考えずに、設定を変えてみて、「これが気分だな」と感じる色調で撮影してみましょう。

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電球モードにすると、青みが強く氷点下のイメージ。

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蛍光灯モードでは赤紫っぽい色調。

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晴天モードはほのかな青みで、わりあい自然。

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<17>
晴天日陰モードにすると、少し暖色に偏り夕暮れ時の感じ。

露出補正とホワイトバランスで雪の寒さを表現する

 さて、露出補正で雪の白さを表現し、ホワイトバランスの色によって寒さを表現できることがわかりました。つまり、これら二つの機能を併用することで、白さと寒さを両立したイメージにできます。
 ちなみに、ホワイトバランスのプリセット機能を使い、「雪」そのもので白基準を取った写真も撮影してみました。雪は正しい白に写っているのですが、寒さが伝わりにくいイメージになりました。寒さは、青さによってこそよりよく伝わるようです。

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<18>
カメラ任せで撮影したもの。やや暗い感じの写りです。

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<19>
露出補正は+1、ホワイトバランスを晴天にすると、白さと寒さをよりよく表現できました。

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<20>
露出補正は+1、雪の白でホワイトバランスを取りました。雪が白に写っていますが、寒い感じが表現できません。

4.振り袖を撮る

似顔絵

 日本の冬の風物詩、成人式といえば振り袖です。振り袖は、めったに着ない晴れ着ですから、それだけで特別な印象があるかもしれません。もちろん着付けに関してはさまざまな約束事がありますが、写真を撮る上での約束事となるときれいに写すことだけです。
 いわゆるポートレートの撮り方と大きな違いはありません。難しく考えずに、着物の雑誌などを参考にしてポーズなどを研究しながら気軽に撮影していただきたいと思います。(写真協力・日本カメラ)

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自宅の前で撮るとこんな感じになりがちです。

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<22>
スタジオで撮るポーズなどを積極的に真似てみましょう。

背景を選ぶ。

 ポートレートは背景に何が写っているかで、その人の印象が大きく変わります。もちろん、自宅前で撮るのがいけないのではありません。背景によって、人となりが違って見えることに注意すれば、それぞれの目的に合ったポートレートを撮れるようになる、ということです。
 振り袖の撮影でも、ズームや露出補正の使い方などはポートレート撮影の基本はそのまま当てはまります。

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着物姿が映える神社などでの撮影。

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<24>
白背景でスタジオ撮影のように。

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振り袖を意識せず自然に。

手と足に注意!

 洋服と着物の違いというと、とにかく動きづらいということです。裾は長く何重にも重なっており、帯で腹部を固めています。慣れない振り袖があるので洋服のようには自由なポーズはとりにくいのです。
 そこで着物姿の撮影では、特に手や足のポーズに注意します。こうしなければいけないというルールはありませんが、気をつけておくと良いでしょう。

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<26>
前で結んだ手は少し起こします。垂らしたままだと、だらしなく見えます。

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<27>
下ろした手も少し起こし、小指から順番に折ります。

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<28>
足は内股が基本です。両足を揃えずに、少しずらします。

いろいろなポーズで撮りましょう。

 振り袖を着る機会は、多くありません。せっかくですから、前や横、後ろなどさまざまな向きから撮影しておきましょう。袖の表裏に模様のある着物では、それらもちゃんと撮影しておきます。記録というだけでも撮っておいたほうがよいです。
 着物のカタログや雑誌などでモデルのポーズを参考に撮影すると、結構愉しいものです。

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横を向いて撮影。バッグを持つ手にも気をつけて。

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袖の模様も。ポーズもいろいろ研究します。

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忘れがちな帯結びも。振り返るようなポーズで。

最後に

似顔絵

 冬の寒空の下にカメラを持ち出すのは、ちょっと億劫かもしれません。でも、クリスマスに始まって、お正月、成人式などなど、イベントは目白押し。雪が積もったら、それだけで銀世界です。いつもとは違う景色をきれいに写真に納めておきましょう。もちろん、風邪をひかないよう寒さ対策は十分にして、お出かけてください。

8.夜を撮る

目的別撮影テクニック集

8.夜を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

夜の撮影は暗いので難しいと考えられがちです。事実、きらびやかな夜景を撮影したのに、なぜか真っ暗な写真になることも少なくありません。原因は何でしょうか? きれいな夜景を撮るコツはどんなものでしょうか?

2.夜景を明るく撮る。

似顔絵

 きらびやかな夜景が暗く写ってしまう原因は、夜景が暗いせいではありません。きらびやかな光が明るいために、カメラはそこに強い光が当たっていると認識するため、写真の明るさを抑えて暗くしてしまうのです。フラッシュを光らせても、夜景は非常に遠いので、全く効果はありません。
 夜景を明るく写すには、露出補正機能を使います。この機能を使うためには、カメラの露出(撮影)モードを、AUTOやイメージプログラムではなく、Pモードに設定しておきます。

露出補正を+に設定するだけです。

 写真の明るさを調整する機能を「露出補正」といいます。写真を明るくしたい場合には、+(プラス)側に設定するだけです。+1、+2、+3など、大幅に調整すればするだけ明るい夜景にすることができます。

この回では露出補正について説明しています。

01

<01>
夜景撮影は露出補正が基本です。操作をマスターしましょう。

02

<02>
AUTOで撮影しました。フラッシュも光りましたが効果はありません。

03

<03>
露出補正を+2にしました。明るくなりました。フラッシュは使っていません。

04

<04>
露出補正を+3にすると、見た目よりもはるかに明るく写りました。

 

ブレ対策を考えましょう。

 露出補正をすれば明るい写真が撮れますが、シャッタースピードがかなり遅くなります。このためカメラブレも大きくなります。カメラブレを防ぐもっとも確実な方法は、三脚などにカメラを固定することです。三脚がなければ、何かの台の上にカメラを置いたり、身体を電柱などに押しつけるようにするだけでも相応のブレ防止効果があります。また、ブレ補正機能のついたレンズやカメラを用いたり、ISO感度を高く設定するのも有効です。
 三脚などに固定したカメラの微細な揺れが気になる場合は、ケーブルレリーズを用いたり、セルフタイマーを短い時間に設定して使うとよいです。

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<05>
カメラが動くことで画像がにじむ現象をカメラブレといいます。

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<06>
三脚などにカメラを固定すると確実にカメラブレを抑えられます。

07

<07>
セルフタイマーを使えば、手の動きによるブレも抑えられます。

夜景の色を演出しよう!

 カメラのホワイトバランスの設定を変えれば、夜景の色を変えることができます。
 曇天や日陰モードに設定すると橙色に偏りますので、暖かい感じの色調になります。逆に電球モードに設定すると青色に偏るために、なんとなく涼しげな印象になります。とりあえず堅苦しく考えずに、その時々の気分が現れている色で写してみましょう。

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<08>
ホワイトバランスの設定を変えるだけで色が変わります。

08

<09>
日陰モードに設定すると橙色が強くなります。

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<10>
電球モードに設定すると青みが強くなります。

3.夜に人物を撮る

似顔絵

 夜に人物を撮影する場合にフラッシュを使うと、人物が動いていてもブレ(被写体ブレ)のない写真が撮れます。しかし通常のAUTOモードでは、背景が見た目よりもはるかに暗く写ってしまいます。カメラが自動的にシャッタースピードを速く設定してしまうからです。

シャッタースピードに秘密があります。

 フラッシュは、カメラの位置でほんの一瞬だけとても強く光ります。しかし、カメラから遠ざかれば、その影響はほとんどなくなります。
 これに比べると、夜景の光はとても弱いですが、遠くでずっと光り続けています。
 こうした光の性質の違いを活かすことで、人物と夜景を共に明るく写すことができます。つまり、人物はフラッシュで明るくし、シャッタースピードを遅くすることで夜景を明るくできるのです。
 こうした設定を自動的に行ってくれるのが「夜景ポートレート」モードやフラッシュの「SLOW」モードなのです。

11

<11>
露出モードを「夜景」や「夜景ポートレート」モードに設定するか、

12

<12>
または、フラッシュを「SLOW」モードに設定します。

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<13>
AUTOモードで撮影すると、背景が見た目よりも暗く写ります。

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<14>
露出モードを「夜景」や「夜景ポートレート」モードに設定するか、フラッシュを「SLOW」モードに設定すると、背景も明るく写ります。

背景の明るさを自由に変えるには?

 フラッシュ撮影時に、露出モードをM(マニュアル)に設定すると、シャッタースピードを自由に変更でき、背景の明るさを調整することができます。少し難易度の高い撮影ですので、時間に余裕のある時にお試しください。

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<15>
露出モードをMに設定します。

16

<16>
シャッタースピードを速く(1/125秒)設定します。

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<17>
シャッタースピードを遅く(1/8秒)設定します。

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<18>
シャッタースピードを速く(1/125秒)設定すると、背景が暗く写りました。

19

<19>
シャッタースピードを遅く(1/8秒)設定すると、背景が見た目のように明るく写りました。

フラッシュの明るさを調整することもできます。

 フラッシュの明るさは、レンズの絞り値(F値)に合わせて自動的に調整されています。このため、基本的にはフラッシュの明るさを気にする必要はありません。
 しかし、人物の明るさが足りない場合や、明るく写りすぎるには、フラッシュの明るさだけを調整することもできます。これを調光補正といいます。
 ニコンDシリーズの多くでは、フラッシュボタン と露出補正 の両方を押しながらコマンドダイヤルを回転して設定します。

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<20>
調光補正を+1にします。

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<21>
調光補正を−2にします。

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<22>
調光補正を+1にすると、通常よりも人物が明るくなりました。背景は変わりません。

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<23>
調光補正を−2にすると、背景は同じまま、人物だけがかなり暗くなりました。

4.ノイズの知識。

似顔絵

 夜景の撮影などで画像が荒く感じられたりする原因を、ノイズといいます。ノイズとは騒音や雑音といった意味の英語で、音響機器で発生する余分な電気信号を指すこともあります。デジタルカメラでも同じように、画質を悪化させる余分な電気信号を指したり、これらによって悪化した画像を指します。
 フィルムカメラにはなかったものですので、少し詳しく説明しておきます。

長秒時露光によるノイズ

 昼の光と比べるなら、夜の光は相当弱いです。このためカメラは、シャッタースピードを遅く(長く)することで、弱い光を多く受け入れて、写真写りを明るくします。
 光そのものが弱いですから、撮像素子が発生する電気信号も弱くなります。このため、もともと電気機器から発生する微細なノイズの影響が無視できなくなるのです。
 これが長秒時ノイズの原因です。
 デジタルカメラの多くにはノイズの影響を電子的に取り除く「長秒時ノイズ除去機能」が搭載されており、これをONにするだけでノイズの影響を除去できます。シャッターが閉じた後に、ノイズを除去するための時間が少し必要です。

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<24>
長秒時ノイズ除去機能の設定。

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<25>
<27>の部分拡大。ざらざらした点々が長秒時ノイズです。(画像加工で目立たせています。)

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<26>
<28>の部分拡大。長秒時ノイズ除去をONにして再撮影したもの(2秒+除去時間約2秒)。

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<27>
シャッタースピードは2秒です。

28

<28>
長秒時ノイズ除去をONにして再撮影(2秒+除去時間約2秒)したもの。ノイズはほとんど全て除去されています。

高感度ノイズ

 暗い場所で撮影する時、ISO感度を高く設定すると、速いシャッタースピードで撮影できるようになりブレが少なくなります。
 しかし、ISO感度を高くすることはすなわち、少ない光で画像を作ることを意味しています。このためどうしても画質がざらついたような印象になり、色彩も鮮やかさがなくります。このような現象を高感度ノイズといいます。
 私見ですが、デジタル一眼レフではISO感度800までならこの影響はほとんど感じませんが、ISO1600よりも高く設定した場合には目立つようになります。コンパクトデジタルカメラでは、ISO400以上でこのノイズが気になり始めます。
 ただ、高感度フィルムに比較すると、デジタルカメラの高感度撮影はとても手軽ですし画質も十分よいと思います。画質が悪いというのではなく、色調やざらつきをも表現効果として上手に使いこなしてください。(作例は、画面のざらつきを分かりやすくするため一部をトリミングしたものです。)

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<29>
ISO200では、自然で鮮やかな画質です。(D100、以下全て)

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<30>
ISO1600では、少しざらついた感じがします。

31

<31>
ISO1600+2段増感にすると、鮮やかさがなく、かなりざらついた印象になりました。

 

最後に

似顔絵

 夜景の撮影は、カメラをしっかり固定して、+側の露出補正をするだけ。夜の人物撮影はフラッシュを使い、シャッタースピードを遅くするのがポイント。各種機能や設定をうまく使い分けてください。それからISO感度を高く設定するだけで、手持ちでもブレの少ない撮影ができます。ぜひ使いこなしていただきたいと思います。

9.秋を撮る

目的別撮影テクニック集

9.秋を撮る

1. ごあいさつ

ごあいさつ

紅葉は、多くの日本人が写真に撮りたいと思う代表的な風景です。風光明媚な秋の観光地に行けば、カメラを持った人々でごったがいしています。秋の風物というと、決して紅葉だけではないのですが、少しでも思い通りの紅葉を撮影していただくためのアイデアを紹介しましょう。(作例撮影・村田哲也)

2.レンズを変えて紅葉を撮る。

似顔絵

「あ、この景色いいな!」と思ったら、とりあえずその場所に立ち止まり、しっかりカメラを構えて撮影しましょう。これだけで、ブレのないシャープな写真が撮影できます。ゆっくり立ち止まれるなら、フレーミングを変えたり、レンズのズーム機能や交換レンズを使ってみます。このちょっとした手間をかけるだけで、一味違った写真が撮影できるようになります。


01

<01>
標準レンズでは、見た目に近い遠近感で撮れます。35mmで撮影(35ミリ換算で約50mm)。

02

<02>
画面に写る前後の要素を見極めましょう。35mmで撮影(35ミリ換算で約50mm)。

広角レンズを使う

 有名な観光地になればなるほど、観光客が多くなります。広角レンズ(ズームの広角側)は、その名の通り広い範囲を写しますので、他の観光客の姿が画面の端に写りやすくなります。このため、人の多い場所では、キレイな風景写真を撮影するのは大変難しいです。人の少ない時間帯や季節などを狙いましょう。

03

<03>
画面にさまざまな要素が写りますので、大きなプリントにすると見応えがあります。18mmで撮影(35ミリ換算で約28mm)。

04

<04>
広角レンズは奥行き感を写すのに適しています。18mmで撮影(35ミリ換算で約28mm)。

望遠レンズを使う

 望遠レンズを使うと、写したい被写体から遠く離れて写すことができます。画面に写る範囲も狭いですから、他の観光客など余分な要素を写さないですみます。また、前景や背景を大きくボカした撮影ができる特長もあります。ただし、カメラブレが目立ちやすいですから、三脚や一脚を使うなど、カメラをしっかり固定する工夫を行います。

05

<05>
風景の一部を切り取るように写せます。130mmで撮影(35mm換算で約195mm)。


06

<06>
前景や背景を大きくボカして写すことができます。165mmで撮影(35mm換算で約240mm)。

マクロレンズを使う

 接写用のマクロレンズを使うと、小さな被写体を大きく写すことができます。風景の全体を見るのに疲れたら、マクロレンズを装着して、身の回りの小さな部分を観察してみましょう。意外な「秋」を発見できるはずです。例えば、楓の葉だけをに写すだけでも、風景の全体像を想像させるイメージになるのです。

07

<07>
接写をすると、背景が大きくボケます。105mmマクロレンズで撮影。

08

<08>
逆光で撮影すると、色彩が際立って写ります。105mmマクロレンズで撮影。

3.紅葉を自在に表現する

似顔絵

 紅葉と一口に言っても、さまざまな表情を見せます。カメラまかせで撮るのではなく、カメラのさまざまな設定を変えることで、こうした表情をもっと活き活きと表現できるようになります。どの設定が正しい、ということはありません。写真の表現を遊ぶつもりで、さまざまな設定を試してみましょう。

09

<09>
カメラの設定による写りの違いを知るには、カメラをしっかり固定することが大切です。できる限り三脚を使ってください。

露出補正で変わる彩りの明るさ

 光の当たり方によって、紅葉の色彩の感じは大きく変化します。これだけでなく写真では、「露出補正」によっても彩りの明るさが大きく変わります。液晶モニタを見て、見た目通りの彩りで写っていない、と思ったら、まず「露出補正」の値を変えてみましょう。かなり暗い場所でも、明るい写真が撮れるのです。

10

<10>
露出補正を「−1」に設定すると濃い色で写ります。

11

<11>
露出補正を「0(カメラ任せ)」で撮影した写り。

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<12>
露出補正を「+1」に設定すると明るい色に写ります。

背景をボカすと主題がはっきりします

 撮影モードを「A(絞り優先)」に設定して、絞り値(F値)を変えることで、前景や背景のボケ方を変えることができます。絞り値を大きな値にすると、前景や背景もシャープに写ります。逆に、絞り値を小さな値にすると、前景や背景が大きくボケ、ピントが合っている被写体だけに目が向くようになります。

13

<13>
Aモードにすると、ボケの大きさを変えることができます。

14

<14>
絞り値を大きくすると、手前から奥までピントが合っているように写ります。(F29、56mm)

15

<15>
絞り値を小さくすると、ピントが合っているものだけが強調されて見えます。(F4.5、56mm)

大きなブレで動きを強調できます

 撮影モードを「S(シャッタースピード優先)」に設定して、シャッタースピードを変えることで、動いている物のブレが変わります。シャッタースピードを速くすると、一瞬が止まったようなイメージになります。逆に、シャッタースピードを遅くすると、動いている物が大きくブレて、動きをキレイに表現できます。

16

<16>
Sモードにすると、ブレの大きさを変えられます。

17

<17>
速いシャッタースピードでは、動きが止まって写ります。(1/200秒)

18

<18>
遅いシャッタースピードでは、動いているものが流れているように写ります。(1.6秒)

POINT

※ここがポイント!
 直射日光下や明るい場所で撮影する時、Sモードでシャッタースピードを遅くすると、ISO感度を最も低感度に設定しても、露出オーバーになります。絞り値での対応範囲を超えたためです。こうした場所で、1秒より長いシャッターを使うには、ND(ニュートラルデンシティ)フィルターを使います。このフィルターは、色を変えずに光量を減らすもので、「8×」タイプでシャッタースピードが8倍(1/8秒が1秒)にできます。

19

<19>
NDフィルターを使えば、通常よりも遅いシャッタースピードで撮影できます。

4.色を鮮やかに写す

似顔絵

 ポスターやカレンダーなどで見る紅葉は、大変鮮やかに写っています。あのような鮮やかさで写す秘訣の一部を紹介しましょう。とはいえ基本は、デジタルカメラに備わっている機能を正しく使うだけです。信じられない人は、それぞれの設定を変えて撮影し、そのプリントを自分の目で確かめてください。きっと自分なりの秘訣を見いだすことができるはずです。

色を写す基本は「ホワイトバランス」

 屋外の太陽の下で撮影すると、だいたい見た目通りの色で写るように、デジカメは作られています。ところが、天気の違い、光の当たり方の違いによって、写真写りの色は微妙に変わっているのです。
 色を見た目通りに写す基本は、「ホワイトバランス」を自分で適切に設定することです。詳しくは、下記を参照してください。

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ホワイトバランスを「曇天」モードに設定します。

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「曇天」モード未設定。ぱっと見た目には悪くない色ですが。

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「曇天」モード設定後。とりわけ赤〜黄色が鮮やかに写りました。

「仕上がり設定」で最適な再現に

「仕上がり設定」機能は、画像の彩度(鮮やかさ)、階調(めりはり)、輪郭(シャープさ)などを、撮影目的に合った最適なタイプに設定する機能です。紅葉などの風景撮影では、「風景きれい」に設定します。カスタム設定では、彩度と輪郭を「強」に設定すると、鮮やかでめりはりのあるイメージになります。カラーモードは、鮮やかさを優先した「sRGBIII」を選択します。
詳しくは、下記を参照してください。

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仕上がり設定で「風景きれい」を選択します。

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「人物きれい」モードで撮影したものです。

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「風景きれい」を選択すると、やや鮮やかに写りました。拡大プリントでは、シャープさの違いもはっきりわかります。

※違いを分かりやすく伝えるために、少しだけ加工しています。

被写体そのものの鮮やかさを写すには?

 偏光(PL)フィルターと呼ばれるフィルターを使えば、葉の表面の光の反射だけをカットして写すことができます。光の反射が写りませんので、素材そのものの鮮やかさを強調して写すことができます。
 このフィルターは、回転角度によって効果が変わりますので、ファインダーを覗きながら、適切な角度に調整してから撮影します。

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偏光フィルターは、回転角を調整しながら撮影します。

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白っぽく写ってしまうのは、光の反射のせいです。

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偏光フィルターの回転角を調整すると、反射が取り除かれ、実物の鮮やかさが強調されて写ります。

最後に

似顔絵

 「秋を撮る」と題して、「紅葉」の撮り方を紹介しました。紅葉は、被写体として大変人気があることを改めて知ったからです。ただ、紅葉だけでなく、一般的な自然風景の撮影にも活かせるテクニックですので、ぜひ応用してみてください。