
4.夏を撮る
1. ごあいさつ
夏といえば、夏休み。日本の子供のたちにとって夏休みといえば、昆虫採集に花火、そしてオバケ(?)・・・といったわけで今回は、この夏私が撮影した昆虫、花火、トリック写真の撮り方ご紹介します。
2.昆虫を撮る
クワガタ虫を、屋内で撮影するための方法を紹介します。うっそうとした森の中など、光の条件がよくない場所での撮影にもそのまま応用できるはずです。
このように昆虫などを撮影する場合には、まず昆虫の性質や特徴をしっかり調べておきましょう。
ありがちな失敗写真の原因を考えましょう。
<01>
ありがちな失敗写真です。何が悪かったのでしょう。
<02>
図鑑にでも載っていそうな写真になりました。何を変えたのでしょうか。
<01>が失敗に見える原因は、ピントが合っていないことです。また、クワガタ虫がなんとなく弱々しくに見えるのは、いわゆる構図の悪さが原因のようです。<02>のように斜め方向から撮影するだけで、なんとなく格好よく見えるのですね。それからもう一つ、スピードライトによる影がくっきりしているのも、気になります。こうした問題を一つずつ解決していきましょう。
ピントを合わせよう!
昆虫は小さいですから、あるていど大きく撮影しようとすると、カメラを昆虫に近づける(接写といいます)必要があります。この時、レンズによって、ある程度より近づくとピントが合わなくなる限界(最短撮影距離といいます)があり、このためピンボケになったり、シャッターが切れなくなったりします。
小さい被写体を大きく撮影するには、クローズアップレンズを装着する、ズームレンズのマクロ機能を使う、マクロ専用レンズを使う、接写リングなどを使うなど、さまざまな方法があります。
接写については、「フィルム一眼レフ入門 4回ピントって何だろう?」の接写についての項を参照してください。
<03>
レンズの前にクローズアップレンズを装着するだけで、小さな被写体にピントが合うようになります。手軽には、虫眼鏡をレンズの前にかざしながら撮影してみるとよいでしょう。
<04>
室内や森の中など、明るくない場所で撮影するには、カメラ内蔵スピードライトを使うのがおすすめです。一瞬の光ですから、動きの速い昆虫でもブレのない写真が撮影できます。
<05>
絞り値(F値)をある程度大きく設定すれば、昆虫の前から後ろまで、ピントを合わせることができます。
構図の工夫と露出補正
<01>の失敗写真の撮り方で、クローズアップレンズを使ってピントを合わせたものです。ピントは合いましたが、なんとなく愚直な印象がします。昆虫の全体像が、画面に対して斜めに収まるように撮影すると、それだけで印象がよくなります。また、真上からではなく、横斜め方向から撮影すると、立体感が際立ちます。
このクワガタ虫はかなり濃い色をしていますので、通常ならマイナス側の露出補正でよいはずですが、表面の光沢がスピードライトを反射しているため、プラス側の露出補正で調度よい濃さになりました。昆虫の色や濃さが正しく写るように調整しましょう。
<06>
撮影結果をモニタで確認しながら、見た目どおりの色や濃さが再現されるよう露出補正を行ないます。
<07>
どことなく弱々しい感じがするのは、昆虫の向きが真正面すぎるためです。
<08>
斜めに撮影するだけで、いい感じになりました。露出補正は、+1に設定しました。
影と質感をきれいに写す。
カメラ内蔵スピードライトは、とても手軽に使える光です。しかし、発光部が小さいために、影がきつく出たり、光沢のある部分が真っ白になってしまう傾向があります。簡単な手作り道具で、影や質感をきれいに写す方法を紹介します。昆虫だけでなく、小さな物を撮影するのに、いろいろ使えそうです。
<09>
針金(針金ハンガー)を丸くしたものに、レジ袋(乳白のビニールやトレーシングペーパー)を、セロハンテープで貼っただけです。
<10>
カメラ内蔵スピードライトの光を、乳白のビニールに当てるように使います。オートのまま撮影できますが、露出補正は必ず行ないます。
<11>
強い影がなくなり、光沢部分の光の反射もソフトになりました。簡単な撮影方法ですから、屋外でも応用できます。
3.花火を撮る。
手元で楽しむ花火を撮影する方法です。花火の撮影が難しいのは、花火自体が光る、長くても十数秒しか光らない、暗い場所で撮影しなければならないという条件のためですね。デジタルカメラでは、撮影後にすぐ結果を確認できますから、いくつかのポイントを押さえ、何度かやり直せば、きっと良いイメージの写真を撮影できます。
なんとなく花火っぽくない原因は?
<12>
浴衣の色もきれいに写っているのですが、なんとなく花火らしくありません。
<13>
スピードライトを発光させずに、花火の光だけで撮影しています。
花火はもともと、暗い場所で、花火の光だけを楽しむものです。ところが、カメラをオートモードで撮影すると、カメラ内蔵スピードライトが自動的に発光してしまいます。花火の光以外に、スピードライトの光が加わるわけですから、思い通りに写らないわけです。
スピードライトを発光させないようにして撮影するだけで、花火らしい雰囲気のイメージになります。
撮影の前に確認しておきましょう。
暗い場所で撮影しますので、カメラの操作は困難です。撮影現場で戸惑わないよう、明るい場所で各部の設定を確認しておきましょう。
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「内蔵AF補助光」を「ON」に。暗い場所でピントを合わせるために、カメラからピント合わせのための光(AF補助光)を発光させる機能です。遠方の打ち上げ花火を撮影する場合には「OFF」にし、マニュアルフォーカスで無限遠に合わせておきます。
<15>
「ノイズ除去」を「する」に。ノイズとは、デジタルカメラ特有の現象で、長秒時撮影時に画質がざらついたような感じになるものです。このノイズを電子的に除去する機能です。撮影後、しばらくシャッターが切れなくなりますので注意しておきましょう。
<16>
「露出モード」を、P(プログラム)などに設定し、スピードライトを発光させないようにします。
ブレを少なくする。
花火の光は、写真を撮るのに十分なほど明るくはありません。このため、シャッタースピードはある程度遅くなってしまいます。シャッタースピードが遅いと、カメラブレだけでなく被写体ブレも大きくなります。カメラを三脚などに固定すればカメラブレはなくなりますが、被写体ブレは抑えられません。被写体が人物の場合、できるだけ動かないように注意してもらいます。あまり明るくない花火の場合には、ISO感度設定を高感度にするとよいでしょう。
<17>
ISO感度を800や1600など、高感度にしてみましょう。
<18>
カメラを三脚に固定しても、被写体が動けば、被写体ブレになります。シャッタースピードが1秒を超すこともあります。
<19>
シャッタースピードが速くなりブレが抑えられました。
色と明るさをきれいに写す。
カメラの測光モードが「マルチパターン測光(初期設定)」の場合、画面の中に明るい花火があっても、カメラは花火の明るさを無視して露出値を調整します。しかし露出補正をプラス方向に調整すれば、画面全体をさらに明るくすることができます。
また花火には、さまざまな色の光を発するものがありますが、基調となるのはオレンジ色です。このため、ホワイトバランスを電球モードに設定して撮影すると、オレンジ色の偏りが少なくなり、少し自然な印象になります。
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露出補正をプラス側に、ホワイトバランスを電球モードに設定すると。
<21>
カメラまかせの撮影でも、明るい色調で写すことができます。
<22>
露出補正をすると、明るくなり、ホワイトバランスで自然な色調になりました。
4.トリック写真を撮る
夏といえば怪談。身も凍るような恐ろしい話で、暑さを忘れようというわけです。そして怪談といれば、心霊写真。信じる人もそうでない人も、遊び心でトリック写真を撮ってみませんか?
長秒時露出で、いろんなトリックが楽しめます。
作例写真をとくとご覧ください。透明人間と火の玉です。トリック写真の撮影方法を知っていても、ちょっと怖いイメージです。さて、どういう技を使えば、こんな写真が撮れるのでしょうね。
<23>
透明人間。階段やドアが透き通って見えます。
<24>
火の玉。ちょっとアーティスティックですね。
準備しましょう。
ここで行なうトリック写真のポイントは、長秒時露出。つまり、数秒以上の間、シャッターを開けっ放しにしておくことです。目安として、シャッタースピードが8秒くらいから始めてみましょう。
シャッタースピードを遅くするには、薄暗い場所で撮影します。明るい場所では、長秒時撮影はできません。室内照明を暗くするだけでもOKです。露出モードはS(シャッタースピード優先モード)がオススメです。
<25>
露出モードはS(シャッタースピード優先モード)がオススメです。
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シャッタースピードを8秒くらいに設定します。
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カメラは三脚などにしっかり固定。セルフタイマーを使うと便利です。
透明人間を撮る
シャッタースピードが8秒の場合、シャッターは8秒間ずっと開いており、その間ずっと写真を撮影しています。この時、最初の4秒だけ人物はじっとしておき、残り4秒は画面から外れるようにすると、人物が半分だけの濃さで写ることになります。
時間の配分を変えることで、濃さを変えることができます。背景の色や濃さ、人物の服の色や濃さによって、効果が変わりますので、いろいろ試してみましょう。
<28>
シャッターボタンを押してから4秒間はじっとしています。
<29>
4秒が過ぎた時点で、人物は画面から外にでてもらいます。
<30>
人物が半分だけの濃さで写り、半透明に写りました。
火の玉を撮る
長秒時撮影の場合、動いている被写体はブレて写ります。大きく動いた被写体は大きくブレ、さらに大きく動くと、ほとんど見えなくなってしまいます。
火の玉は懐中電灯の光の軌跡なのですが、それを動かしている人物は、動き回っているために姿が写らないのがミソです。懐中電灯が明るすぎる場合には、紙でくるむなどして調整しましょう。
<31>
懐中電灯の発光部に紙を貼り付け、明るさを調整しています。色セロファンなどを使っても面白いでしょう。
<32>
懐中電灯をカメラに向け、動かします。じっとしている人物ははっきり写りますが、動き回っている人の姿は写りません。
<33>
懐中電灯の光の軌跡が写り、火の玉のように見えます。
最後に
夏といえば、海や山など太陽の光が降りそそぐ場所での撮影も多いでしょうが、これらはカメラのオートモードで十分撮影できるはずです。そんなわけで、室内や夜の撮影など、ちょっと難しいテーマを選んでみました。トリック撮影の技術はここで応用したような心霊写真だけでなく、アーティスティックなイメージも作り出せるでしょう。ぜひお楽しみください。


