デジタル一眼レフ入門

5.写真の明るさを変えてみよう!

1. ごあいさつ

ごあいさつ

白い被写体を撮影したのに、なんとなく薄暗い感じに写ってしまったことはありませんか? 多くの人はこの原因を、撮影した場所が薄暗かったためだと思い込みがちです。しかし本当の原因は、被写体が白いせいなのです。写真の明るさは、撮影場所の明るさとは関係なく、カメラの露出補正という機能を使うことで自由自在に調整できます。一度操作してみれば、驚くほど簡単なことがわかるでしょう。ぜひ、最後までお目通しください。

2.露出補正って何?

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 ほとんど全てのデジタルカメラに「露出補正」という機能が搭載されています。しかし、これを操作したことのあるユーザーは決して多くありません。難しいから、ではなくて、知らないから、が大きな原因のようです。
 ですからまずは、ご自身のカメラで操作してみましょう。露出補正以外に、「EVシフト」「EV補正」「明るさ」などと表示されている機種もありますが、仕組みは全て共通しています。アイコンは、露出アイコンです。

プラスマイナスの数字を変えるだけです。

 露出補正という言葉は、それだけで専門用語的なニュアンスが強く、特に初心者を悩ませるはずです。単純には、写真写りの明るさを補正(調整)する機能と考えます。具体的な操作はカメラの機種によって異なりますので、使用説明書で確認してください。ただ、プラスマイナスの数字の設定を変えることは、全てのカメラで共通しています。

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露出モードダイヤルを「P」や「A」、「S」モードに設定します。AUTOモードやイメージプログラムモードでは、露出補正機能が働かない機種が多いです。「M」モードも、露出補正機能は使えません。

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露出補正機能機能を呼び出し、数字を確認します。ニコンDシリーズの場合は、シャッターボタン手前にある露出アイコンボタンを押します。露出をカメラ任せのオートで調整している場合は、「露出アイコン 0」と表示されています。

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手元にある被写体(なんでもかまいません)をテスト撮影してみます。普通に撮影できることを確認しましょう。

数字をプラス側に調整すると、写真が明るくなります。

 露出補正機能を呼び出せたら、コマンドダイヤルなどを操作して数字を変え、同じ被写体をできるだけ同じ構図で撮影しなおしてみましょう。
 数字を変えると写真の写り方はどうなるでしょう? カメラのモニタやパソコンのモニタに画像を写し出し、比較してみましょう。

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露出アイコン +1.0に設定して撮影すると、

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写真が明るくなりました。

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露出アイコン +2.0に設定すると、

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さらに明るくなりました。

 露出補正の数字をプラス側に大きくすればするほど、写真は明るくなります。まるで光がたくさん当たっている明るい場所で撮影したかのような印象ですね。
 これが、露出補正の魔法です。

数字をマイナス側に調整すると、写真が暗くなります。

 多くのカメラでは、露出補正の数字は、0.3ステップや0.5ステップで設定できます。調整幅は機種によって異なりますが、狭いものでも±2。機種によっては、±5まで調整できます。それぞれ、限界まで調整して画像がどのようになるか確認してみましょう。さて、今度は逆に、露出補正の数字をマイナス側に調整してみましょう。

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露出アイコン −1.0に設定して撮影すると、

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写真が暗くなりました。

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露出アイコン −2.0に設定すると、

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かなり暗い印象になりました。

 いかがですか? 同じ明るさの被写体が、露出補正の数字を変えるだけで、明るくも暗くもなることがわかりました。

3.こんな具合に使います。

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 写真の明るさは、撮影場所の明るさとは関係なく、露出補正の数字を調整するだけで自在に調整できることがわかりました。
 しかし一体、この機能をどのように使えばよいのでしょう?
 また、カメラの優れたオート機能に任せたままでは、なぜ思い通りの明るさにならないのでしょう?

白い被写体を撮影する時は、プラス側に調整します。

 白い被写体を撮影した時に、なんとなく薄暗く写ってしまうといった失敗は、よく経験するものです。日本人女性の場合は特に、美白の肌が、実物以上に濃く写ってしまう、なんて思われているかもしれません。これらいずれの原因も実は、被写体が白いために、濃く(薄暗く)写ってしまうのです。
 つまり、白い被写体を、白く再現するには、露出補正の数字をプラス側に調整すればよいのです。

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露出補正を露出アイコン +2など、プラス方向に調整すれば、

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白い背景に白い花を撮影すると、思った以上に暗く写ります。

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見た目以上に明るく写すことができます。

黒い被写体を撮影する時は、マイナス側に調整します。

 白い被写体とは逆で、黒い被写体を撮影した場合、見た目よりも明るく(グレーっぽく)写ってしまいます。ただ、真っ黒よりも多少明るい方が印象が良く、失敗と感じられることは少ないようです。
 しかしそれでも、黒い物を黒く再現したい場合には、露出補正の数字をマイナス側に調整します。たったこれだけで、高級感や重厚感あふれるイメージになります。

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露出補正を露出アイコン −2など、マイナス方向に調整すると、

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黒い背景に黒いカメラを撮影すると、思った以上に明るく写ります。

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見た目よりも締まった黒になり、重厚感あふれるイメージになりました。

カメラ任せでは、なぜちゃんとした明るさにならないの?

 カメラが写真の明るさを自動調整する機能を「自動露出(AE)」といいます。新しいカメラには、最新の自動露出機能が搭載されており、多くのシーンで見た目に近い明るさで写るように設計されています。
 しかし、カメラは画面に写る被写体の明るさだけを参照して、写真の明るさを調整するしかありません。つまり、撮影場所が明るいのか? それとも被写体が白いのか? の判断は、カメラにはできないのです。
 このため、白い被写体を撮影する場合には、撮影場所が明るいものと勘違いし、写真の明るさを抑えるように自動調整します。このため、写真が薄暗い感じに仕上がるのです。
 逆に、黒い被写体を撮影する場合には、撮影場所が暗いものと勘違いし、写真の明るさを上げるように自動調整します。このため、見た目よりも明るいイメージに仕上がります。

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白い被写体は、光を多く反射します。このためカメラは、撮影場所が明るいものと判断し、写真の明るさを抑えるように自動調整します。結果として、薄暗い印象の写真になります。

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黒い被写体は、光を少ししか反射しません。このためカメラは、撮影場所が暗いものと判断し、写真を明るさを上げようと自動調整します。結果として、見た目よりも明るい印象の写真になります。

 もしかすると、露出補正なんて面倒と感じたかもしれません。
 でも考えてみてください。もともと、カメラの自動露出機能は非常に優秀なのです。ですから多くのシーンでは、露出補正の必要はありません。ただ、なんとなく写真が暗いな、とか明るすぎるな、と思った時だけ、露出補正の数字を調整すればよいだけです。
 大切なのは、写真写りの明るさは、撮影現場の明るさで決まっているのではなく、カメラの露出補正の数字を変えるだけで自在に調整できることです。
 逆に考えると、露出補正を行うだけで、人とは違った写真表現が可能になります。写真が上手な人は必ず、この露出補正機能を上手く使っているといって過言ではありません。ぜひ、使い慣れてください。

4.便利な機能も使いましょう。

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 デジタルカメラにあるいくつものボタンを押すと、さまざまなメニューが表示され、いったい全体何を意味しているかさえわからないコマンドが数多く現れます。そこそこ使い慣れている人でも、実際にいつも使うコマンドは数種類。たまに設定を見直すのが1/3くらい。他のほとんどは一生触らないかもしれないコマンドだったりしますので、全てを理解する必要などまったくありません。
 写真の明るさを調整するために便利なコマンドを以下に紹介します。これらも必ず使わなければならないものではありません。こんな機能もある程度に覚えておいてください。

ヒストグラムの意味を知りましょう。

 ヒストグラムという言葉は、もともと統計学などでいう分布図といった意味のようです。デジタルカメラでは、画面の中の明るさの分布を示したグラフを意味しています。
 ニコンDシリーズでは、画像再生モードにしている状態で、マルチセレクターボタンを押すと表示されます。
 画面の明るさを客観的に示しますので、露出を客観的に判断するのに便利です。ただ、学術用途の写真でない場合には、写真の明るさの善し悪しは、写真の見る人の主観で決まります。客観的なデータばかりを参照することは、慎んだ方がよいかもしれません。

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再生モードでマルチセレクターボタンを押すと、ヒストグラム表示になります。明るい写真の場合には、グラフの右側の山が高くなります。

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画面が白くも黒くもない被写体を写している場合には、グラフの中央部の山が高くなります。

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黒い被写体を黒く撮影した写真では、グラフの左側の山が高くなります。

ハイライト表示の意味も覚えましょう。

 ヒストグラム表示と連続して表示されるのが、ハイライト表示と呼ばれるものです。画面の中の真っ白の部分が、真っ黒に点滅して表示されます。
 露出補正を極端にプラスに設定して撮影した場合や、画面の中に太陽や照明器具などまぶしい被写体が写っている場合に、点滅する部分が多くなります。
 この点滅表示をハイライト表示といい、この部分は、画像データが真っ白、つまりデータがない状態になっていることを意味しています。ですから、後で画像加工ソフトなどを使って補正する場合でも、ハイライト表示された部分は救いようがありません。
 ですから、ハイライト表示される部分ができるだけ少なくなるように露出補正を行うのが基本となります。ただ、この部分を少なくするだけのために、画面全体の印象が暗くなりすぎるのは考えものです。

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ハイライト表示にしたもの。画面中央部だけが黒く表示されています。

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露出補正をさらにプラスに調整した画像では、ハイライト表示される部分が多くなります。

他にも便利な機能はたくさんあります。

 露出補正を行うために便利な機能をいくつか紹介します。ここで学んだ露出補正の仕組みがわかっていれば、さらに上手く使いこなすことができるでしょう。機種によって操作が若干異なりますので、詳しくは使用説明書で確認してください。

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メニューボタンの中のコマンドを一つ一つ呼び出して設定します。

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オートブラケット
 露出補正を段階的に変えた写真を連続的に自動撮影できる機能です。たとえば、+1を基準に、±1段の露出補正を加味した3枚の写真(+1、0、+2)を連続撮影できます。機種によって設定できる内容が異なります。

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測光モード
 画面のどの部分の明るさを基準にして、写真の明るさを決定するか? を決めるものです。マルチパターンは、画面をいくつかに分割しそれぞれの明るさを元に明るさを計算するもので、カメラ任せで撮影するのに便利なモードです。中央部重点測光は、画面中央部を重点的にしながら、全体の明るさを平均的に参照するものです。直感的な露出補正がやりやすいモードてす。スポット測光は、画面の中央部だけの明るさを参照しますので、厳密な測定が可能です。

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露出値ステップ幅
 露出補正の調整幅を、0.3ステップか、0.5ステップに切り換えることができます。初心者の場合には、0.5ステップの方が簡単かと思います。

最後に

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 さて、同じ場所で同じ被写体を撮影する場合でも、露出補正を変えるだけで、写真の明るさが変えられるようになりましたね。写真の明るさを、見た目以上に明るく写したり、暗く写すこともできます。露出補正は、写真表現の魔法といっていいものです。慣れるまでは、とにかく極端に調整してください。それだけで、新しい発見に数多く出会えるはずです。