デジタル一眼レフ入門

2.画素数と画質の知識

1. ごあいさつ

ごあいさつ

 画素数、記録サイズ、画質モード・・・JPEG、RAW・・・輪郭、階調、彩度・・・デジタルカメラを使おうとすると、今まで聞いたことのない言葉がたくさんでてきます。こうした言葉の意味をしっかり理解しておきましょう。そうすることで、デジタルカメラを使う時の不安の多くが解消され、合理的な選択ができるようになります。

2.そもそも画素って何?

似顔絵 デジタルカメラを購入する時、何となく画素数の大きなカメラを選びませんか? また、お手持ちのカメラを使う時も、最大の画素数の設定にしていたりしませんか? 画素数は、大きければ大きいほど、きれいな写真が撮れる! と誰もが心の奥底で信じています。でも、本当はどうなのでしょう? ここでは、画素を見ることからスタートし、画素数の意味を正しく理解します。

画素を見てみよう!

 パソコンで写真を見るソフトウェア、例えばニコン・ピクチャープロジェクトやニコン・ビューなどを使って、自分が撮影した画像を開いてみましょう。そしてその画像をどんどん拡大表示してみます。最大倍率(800%くらい)まで拡大し、さらに画面の一部をよく観察すると、単一の色と濃さを持つ格子が見えてきます。  この四角い升の一つが、1画素=1ピクセルです。

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ニコンビュー(ニコンブラウザ)を使って写真を開いたところです。ウインドーに合わせて表示にすると、写真画面の全体を表示できます。

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800%表示でここまで部分拡大ができました。この画面の一部を観察してみます。

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部分を見ると、画像が単一の色と濃さをもつ格子でできていることが分かります。この四角い升の一つが1画素です。

 画素とは、デジタル画像を構成するための、単一の色と濃さをもつ四角い升であることが分かりました。ここで、画素数とは何か考えてみましょう。
 デジタルカメラの撮影メニューには「記録サイズ」という項目があります。ニコンD50では、L(3008×2000)、M(2256×1496)、S(1504×1000)の3種類を選べます。

 例えば、Lサイズですと、画像の長辺の画素の数が3008個、短辺の画素の数が2000個、という意味です。つまり、長辺3008個×短辺2000個≒全部で6000000個=600万画素=6Mピクセル(このMはメガと読み、10の6乗を意味しています)という計算になります。MサイズとSサイズについても計算してみてください。

 何百万画素とか何メガとか言われると、それだけでスゴイ感じがするものですが、実は画面の中にある四角い升の数を数え上げただけの数字なのです。

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ニコンD50の「記録サイズ」はLMSの3種から選択できます。それぞれの画素数は、ほぼ600万、300万、150万です。

 ちょっとここで、画素数を「記録サイズ」と読んでいることに注目しておきましょう。1画素の四角い升の大きさが同じだとすると、画素数が大きいほど、大きな画面になります。だから「記録サイズ」と読んでいるのです。
 画素数が大きいと画質がいい、と良く言われますが、これは、同じ画面サイズにするなら画素数が大きいほど1画素の四角い升が小さくなるために、きめ細かな再現ができる、という意味です。

画素数とプリントの画質

 ニコンD50の使用説明書には、『Lで約38×25センチ、Mで約29×19センチ、Sで約19センチ×13センチのプリントが作成できます。この時の画像解像度は200dpiです』と表組みで記されています。

 画像解像度が、きめ細かさを現す数値です。単位のdpiは「ドット・パー・インチ」と読み、1インチ(約2.5センチ)あたりの画素数を意味しています。
 つまり、600万画素のLサイズでは、画素数が3008×2000ですので、これらを画像解像度の200で割ると、約15×10インチ≒約38×25センチという具合に計算できます。

 画像解像度の200dpiは、写真画質として十分な数値で、一般的なプリンタの性能ともバランスがとれています。しかし、実用を考えるならこれよりも低い値にしても十分です。逆に、さらなる高画質を望むなら高い数値をとる必要があります。

 ここでちょっと考えていただきたいのは、実際にプリントを作る大きさです。家族や旅行の記念写真の多くは、せいぜいA5サイズが上限で、たいていはL版(A6)ではないでしょうか。そうすると、B4サイズまでプリントできる600万画素など、過剰すぎる画素数といえるのです。

 記録サイズの設定は必要に応じて小さくしておきましょう。こうすることで、撮影がスピーディになったり、撮影カット数を増やせたり、データ処理の時間短縮を図れたり、パソコンの画像保存を快適にするなどのメリットがあるからです。

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<05>写真を遠目に見るなら、記録サイズが何であろうと違いは分かりません。部分を拡大して初めて、きめ細かさの違いが分かります。
<06>A4プリントの場合、Sサイズ(150万)画素でも十分な画質があるように感じることもあります。
<07>75万画素以下の画像データからA4プリントを作成すると、さすがに画素の格子が見えてきます。

画素数とモニタ表示

 デジカルカメラで撮影した画像データは、パソコンで見たり、ホームページやブログに掲載して使うだけ。といったユーザーも少なくないでしょう。このような用途の場合に必要な画素数はどのくらいなのでしょうか。
 ここでまず、モニタそのものの画素数を考えておきます。お手許にルーペがありましたら、パソコンモニタの表面を拡大して観察してみましょう。摩訶不思議なことに、そこには赤・緑・青の光のツブツブだけが並んでいるだけです。たった3つの色の明るさだけで、いろんな色が再現されているのですね。この赤・緑・青の光の1セットが、モニタの1画素に相当します。

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パソコンモニタを拡大すると、赤・緑・青のツブツブが見えます。これらの1セットが1画素に相当します。

 さて、モニタ全体の画素数とはいくらくらいあるのでしょうか。実は、パソコンモニタなどには画素数の異なるいくつかの規格があり、代表的なものを下に整理しました。ちょっと注意しておいて欲しいのは、この画素数はパソコンモニタのフル画面の画素数だということです。

 SXGA(高精細なパソコンモニタ)1280×1024≒約130 万画素
 XGA(最も一般的なパソコンモニタ)1024×768 ≒約78万画素
 VGA(一般的なテレビモニタ)640 ×480 ≒約30万画素

 最も一般的なパソコンモニタでは、画面全体で78万画素しかありません。つまり、600万画素の画像データの1画素を、モニタの1画素に正しく割り当てる(100%、1:1、ピクセル等倍表示)と、画像の一部分(約1割)しか表示されません。

 単純に考えて、パソコンモニタの半分の面積で写真を表示するのでも、78万÷2=39万画素で済むことになります。つまり、パソコンで写真を見たり、ホームページやブログに掲載するためだけなら、数十万画素もあれば十分なのです。

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600万画素の画像データを100%(1:1、ピクセル等倍)表示にすると、画面の一部分しか表示されません。

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一般的なXGA規格のモニタはフル画面で約78万画素しかありません。ウィンドウ枠などを除けばさらに少なくなります。このため約30万画素の写真でも画面の半分くらいの面積を占めます。

3.画質モードを選択する。

似顔絵 撮影メニューの中で「記録サイズ」とならんで分かりにくいのが「画質モード」です。記録サイズは画素数を設定するものでしたが、画質モードとは何なのでしょう。
 単純にいえば、画像データの「形式」と「圧縮率」を設定するものですが、まずはどんな選択肢があるのか見てみましょう。

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ニコンD50の選択肢があります。機種によっては異なるモードもありますが、基本は同じです。

 画質モードの選択肢について簡単に整理しておきましょう。

●RAW(ロー)・・撮像素子から取り出された電気信号をデジタル化しただけのデータです。RAWとは「生の」という意味の英語ですから、生データと呼ぶこともあります。詳細は、RAWデータを使う。で説明します。

●FINE/NOMAL/BASIC・・いずれもJPEG(ジェーペグ)圧縮を施した画像データです。圧縮率は、前者より1/4、1/8、1/16となり、圧縮率の高いBASICの方がファイルサイズが小さくなります。詳細は、JPEGを使い分ける。で説明します。

●RAW+BASIC・・同時に二つの形式で記録するモードです。

●これら以外に、TIFF(ティフ)と呼ばれる形式を使っている機種もあります。これは、JPEG圧縮をしないで画像データを保存したものです。

JPEGを使い分ける。

 写真などの画像データは、文字や数字のデータとは異なり、ファイルサイズが著しく大きくなる傾向があります。このため、データ圧縮という技術を用いることで、ファイルサイズを小さくして扱いやすくする必要があります。

 データ圧縮にはさまざまな方式がありますが、写真の場合には、写真らしい画質を失わずに、ファイルサイズを小さくする必要があります。このために開発されたのが、JPEG(ジェーペグ)圧縮です。

 JPEGとは、Joint Photographic Experts Groupの略で、静止画のデータの圧縮方式を考案したグループの名前です。これがデータ形式を現す名前として定着しました。

  JPEG圧縮の大きな長所は、写真らしさを失わずにファイルサイズをかなり小さくできること以外に、圧縮率を変えてファイサイズを調整できることがあります。

 逆に短所は、人の目には意識されにくい画像データの成分を少し破棄してしまうことです。圧縮率が高ければ高いほど、破棄するデータの量が増します。このため、圧縮率を高くすればするほど、画質が悪くなってしまうのです。

 このため、FINE/NOMAL/BASICの中で、圧縮率の低いFINEは高画質になり、圧縮率の高いBASICは低画質になります。

 一般的かつ実用的には、中間のNOMALが推奨されています。画像加工を行なうなど高画質なデータが必要な時はFINE。画像を通信で送るなどファイルサイズを小さくしたい場合にはBASICと使い分けましょう。

 では、これらの画質にどのくらいの違いがあるかといいますと、そのまま表示したりプリントするだけでは、ほとんどわからないくらいといっていいと思います。写真の目的や、目の善し悪しもあるでしょうから、できれば一度、ご自身で比較されてはいかがでしょうか。

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FINE/NOMAL/BASICで撮影し、自分で比較してみましょう。

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<13>FINE/NOMAL/BASICでは、モニタ表示やプリントを比較しても違いはほとんどわかりません。

<14>色や濃さの階調が失われたために、背景のグラデーションに年輪のような波模様ができています。

<15>目を皿にして見比べても、よくわかりません。微細な違いも気分のせいかと思える程度です。

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コラム・極端に圧縮するとどうなる?

 画像加工ソフトを使って、1/64まで極端に圧縮してみました。BASICをさらに1/4にしたのと同等です。ここまで圧縮すると、画質の低下は著しく、実用にも耐えないものになりますが、JPEG圧縮による画質低下とはどのようなものか、はっきり分かります。

<16>輪郭もギザギザになり、画面全体にモザイク状のノイズが現れています。

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RAWを使う。

 RAW(ロー)データは、撮像素子から取り出された電気信号をデジタル化しただけの生データです。ニコンでは、NEF(Nikon Electricimage Fomat)形式といい、他のメーカーの形式との互換性はありません。また、圧縮もしていませんから、データサイズがとても大きくなります。ニコンD50の場合、1カットあたり約4MB以上あり、記録サイズも選択できません。

 「生」という言葉から連想できるよう、RAWデータを「処理」することで初めて画像データが形成されます。

 つまり、RAWデータは画像データを作るための原材料というべきものです。原材料ですから、処理の仕方によって、さまざまな画像データを作り出せます。この処理をするのが、ニコンキャプチャーと呼ばれるソフトウェアです。

 つまり、通常はカメラの中で行なわれる処理を、自分で行なうわけですから、とても手間がかかります。しかし、色や階調などの画質を自在にコントロールできたり、上手く処理をすることでより高画質なデータを得ることも可能です。

 RAWデータは、趣味や仕事を目的とし、最高の画質を得るためのものと考えたほうがよいでしょう。

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ニコンキャプチャーでRAWデータを開いている様子です。

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露出や色、階調再現など、ありとあらゆる画質調整が可能です。

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作成した画像データは、目的にあった形式で保存します。

4.画質を決める要素。

似顔絵 フィルム撮影で、色や階調再現など、いわゆる画質を決定するのはフィルムです。ですから、フィルムの銘柄を変えることで、さまざまな画質を楽しむことができました。

 デジタルカメラでは、カメラの各種の設定を変えることで、さまざまな画質を楽しめます。もちろん、RAWデータを自分で処理することでも調整が可能です。

 こうした設定の中で基本となる、輪郭強調、階調補正、彩度設定について簡単に紹介しておきます。基本的にはオートなどの初期設定のままで結構ですが、撮影目的によって自分自身の好みで設定すれば、オリジナルの画質を楽しめます。

 ニコンD50やD70では、こうした画質調整を目的別に選択できよう「仕上がり設定」と呼ばれるコマンドがあります。こうしたコマンドも実は、輪郭強調、階調補正、彩度設定をそれぞれ目的別に最適化し登録したものです。

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ニコンD50の「仕上がり設定」。目的別に画質を設定できます。この中の「カスタマイズ」を使えば、それぞれの設定を単独に調整することも可能です。

輪郭強調を使う。

 輪郭強調とは、読んで字の如くで、輪郭をはっきりするかどうかを設定するもので、シャープネスということもあります。
 建築や風景写真などをシャープに、つまり輪郭をはっきりさせて写す場合は、強く。
 ポートレートなどで輪郭をソフトにしたい場合は、弱くします。

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輪郭強調は、標準を中心に、−2、−1、0、+1、+2の5段階で設定可能です。初期設定は、A(オート)です。

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<22>輪郭協調を−2(弱め)に設定したもの。ソフトな印象です。

<23>輪郭強調を+2(強め)に設定したもの。輪郭がシャープになりました。

階調補正を使う。

 階調とは、陰影や色の変化のことです。階調が豊富と言えば、なめらかな変化があり、コントラストが弱いことを指します。逆に、階調が少ないと言えば、白黒や色がはっきりして、コントラストが強いことを指します。
 例えば曇った日は、コントラストが弱いですから、階調補正を強めに設定することで、メリハリのある画面になります。逆に、直射日光が当たっている場合は、陰影がはっきりしておりコントラストが強いですから、階調補正を弱めにすることで、ハイライトの白トビやシャドーのツブレを抑えることができます。

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階調補正も、標準を中心に、−2、−1、0、+1、+2の5段階で設定可能です。初期設定は、A(オート)です。

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<25>コントラストを弱めに設定すると、真っ白や真っ黒の階調もゆるやかに再現されます。

<26>コントラストを強めに設定すると、メリハリのある画質になります。

彩度設定を使う。

 彩度とは、色の鮮やかさの度合いといった意味です。彩度が弱いとは、鮮やかさが抑えられ落ち着いた地味な色調を指します。逆に、彩度が強いとは、鮮やかさが強調された派手な色調であることを指します。

 彩度設定は、こうした鮮やかさを微妙に調整できます。

 中間色の印象を強くするには、彩度を弱くします。逆に、原色を鮮やかに見せたい場合には、彩度を強くします。

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彩度設定は、標準と弱い(−)、強い(+)の3種から選択できます。

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<28>彩度を弱くに設定すると、ほんの少しモノトーンな印象になります。

<29>彩度を強くに設定すると、鮮やかさが少し増します。

最後に

似顔絵 画素数から始まり、画質モードや、さまざまな画質設定を学んできました。オールマイティな設定ということで言えば、カメラの初期設定のままでokです。しかし、撮影目的や写真の使用目的に合わせて設定すると、普通では撮れないイメージにすることができます。少しずつ、使い慣れていきましょう。