2008年9月アーカイブ

第 1 回目・初歩の初歩 (1) 「買って来て、箱から出して、撮って、見る」

似顔絵 これからデジタルカメラを購入しようとしている方、あなたは運がいい。
 この回の記事を一通り読めば、デジタルカメラの使い方の基本がわかります。つまり、機種選択の基本がわかりますから、購入してから後悔することはなくなるでしょう。

 そして、ニコン製、他社製に係わらず、既にデジタルカメラをお持ちの方。
 1.3 「ツボを押さえよう !」だけは、目を通してください。目からウロコ。ここに紹介した機能を上手く使うだけで、あっと驚くほどきれいな写真が撮れるようになります。

「ほんまかいな ?」と思われた疑り深い方も、そうでない素直な方も、とにかく読んでみなければわかりません。まずは、ご一読を。

1.1. デジタルカメラを買おう !

 カメラ店やパソコン屋さんに行くと、非常に多品種のデジタルカメラが所狭しと並んでいます。安価なものなら数千円、高価な機種になると数十万円と、とんでもない価格差にも驚きます。
 当たり前の話ですが、高価な機種の方が高性能です。
 しかし、こんな当たり前のことを書いてもしょうがありませんね。
 ですから、ここでは私見を露骨に出しながら、デジタルカメラ選びのポイントを簡単に整理しましょう。それから、デジタルカメラを買ってきたらいろいろやらなければならないことがあって、これがまた面倒なんですけれども、苦労するのは最初の一日だけです。頑張りましょう。

1.1.1. ここがポイント !

COOLPIX 880

Nikon COOLPIX 880の有効画素数は、約 320 万画素

▼ 画素数って何 ?

 ニコン クールピクス 880 の有効画素数は約 320 万画素。そして、実際にデータとして記録される記録画素数は最大(画像サイズを FULL モードにした場合)で約 315 万画素(=2,048×1,536ピクセル)だそうです。
 「画素数」とひとくちにいっても、実はいろいろあって少し頭が痛くなりますが、このカメラの性能を簡単にいうなら、「A4判(だいたい六つ切)のプリントを家庭用プリンタで、ほぼ銀塩写真のような画質で作成できる性能がある」と考えていいように思います。つまり、記録画素数がこの半分になると(XGA モードに設定したり、あるいは記録画素数が半分のカメラの場合)、A4判の半分であるA5判のプリントができるといった具合です。
 高性能・高画質を追求しだすとキリがありませんが、一般的な撮影には、十分過ぎるほどの性能があるということですね。

 ただし、例えば、ホームページ上に写真を掲載したり、電子メールで写真を送ったりするだけなら、これほどの高画質は全く必要ありません。それどころか、そのまま送信しようものなら情報量が多すぎて、相手に迷惑をかけてしまいます。
 このため、新しい「クールピクスシリーズ」(2000、4300、5700など)には、撮影時に高画質で記録しておき、ホームページやE-メールに使用する画像については、ワンタッチで縦横サイズと容量を小さい画像も生成して別に記録できる「スモールピクチャー機能(縮小記録機能)」が搭載されています。必要に応じて使ってみましょう。

 また、画質は、この記録画素数だけでなく、レンズの性能や信号処理のやり方など他の要素によっても大きく変わります。
 つまり、ひとくちに画素数といってもいろいろあること、そしてこの数値だけが画質を決定する要因ではないことを覚えておいてください。「数値が大きければ大きいほどよい」わけでは決してありません。

- ここで一言 -
 2003年初頭、コンパクトデジタルカメラの有効画素数は、およそ400万画素クラスになりました。これだけの画素数があれば、A4サイズの写真画質プリントもかなり高画質なものが得られます。もちろん、それなりの性能のプリンタと専用ペーパーが必要ですが。
 ただ実際には、A4サイズのプリントを作成することは、かなり珍しいことではないでしょうか。大きくするにしても、せいぜいA5(キャビネ)サイズでは ? だとすれば、これらの高画質デジタルカメラは、一般的な使用形態に対しては、既にオーバースペックになっているとしても過言ではないのです。
 有効画素数だけに注目せずに、使い勝手や総合画質性能、デザインの良さで選ぶ時代に入ったということかもしれませんね。

▼ ズームって何 ?

 ズームというのは、遠くの被写体を大きく(狭い範囲だけを)写したり、逆に広い範囲を(遠くの被写体は小さく)写したりできる機能で、これがついている機種の方が便利です。

 クールピクス 880 のカタログには「2.5倍 ズームニッコールレンズ」と記載されています。これは、"被写体の写る大きさを1〜2.5倍まで任意に変えて写すことができる"、といった意味です。レンズによって焦点距離を連続的に変えますから 光学ズーム といいます。

 そしてもう一つ。クールピクス880 には、4 倍までの 電子ズーム(デジタルズーム)が搭載されています。これは、画面の中央部分の画像を、電子的に拡大して記録する機能です。
 光学ズームとは異なり、画質が粗くなります。例えば、最大の4 倍電子ズームを行うと、単純に全画像の1/16(面積比です)の情報しか使わないわけですから、かなり粗い画質になります。
 しかし、光学ズームと電子ズームをフルに使えば、2.5× 4 = 10 倍ズームになり、写真写りの大幅な変化を楽しめます。写真写りの違いは、1.3.(ツボを押さえよう !)に詳述します。

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<写真 1.b.>
仕様欄のここをチェック !

▼ 仕様欄のここに注目 !

 あなたがもし、写真の色や濃さの再現を大事に考えていたり、あるいはネット販売用の商品写真を撮ることを考えている場合には、カタログの一番最後のページあたりに記載されている仕様欄の次の項目に注目してください。

  1. 露出制御
     露出補正 という項目がある機種を選びます。この機能を使うことで、写真写りの明るさ / 暗さを調整することができます。1.3.3.(明るさを変えてみよう !)に詳述します。
  2. ホワイトバランス
     オートホワイトバランスの他に、マニュアル設定 機能のある機種を選びます。
     できれば、白紙を使って任意設定できる プリセット が可能な機種がベストです。
     次回に詳述します。

 クールピクス 880 には、これら二つとも搭載されています。

▼ カメラ以外に必要なもの、あったほうがいいもの

 デジタルカメラを買ってきて、それだけで撮影ができるかというと、決してそういうわけではなかったりします。
 銀塩カメラでもフィルムが必要ですね。デジタルカメラの場合には、記録メディアがフィルムに相当します。フィルムと違って、データを消去すれば何度でも使えますが、やはり予備は欲しいです。
 他にも、いろいろ必要なもの、あったらいいものを整理します。ここには記載しませんが、三脚(「デジタルカメラなんてこわくない」短期連載 3 回目-3.3.1.参照)もぜひ購入してください。

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<写真 1.c.>
コンパクトフラッシュ(CF)カード
(記録メディアはカメラメーカーや機種によって異なります。)

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<写真 1.d.>
パソコン接続キット

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<写真 1.e.>
ACアダプター / バッテリーチャージャー、充電池

<写真 1.c.>: デジタルカメラのフィルムに相当するものです。カメラに付属している場合もありますが、容量の大きな(64〜128 MB 程度)タイプを別途購入したほうがいいでしょう。クールピクス 880 には付属していません。
 このままパソコンやプリンタに接続したり、あるいは現像所に出してプリントを作成することもできますから、予備を含めて何枚(個)でも欲しいところです。

<写真 1.d.>: カメラとパソコンをケーブルで接続して、画像データを転送するものです。
 画像を整理したり、加工したりできるソフトウェアが同梱されていて、それぞれ単体で購入するよりも安価ですからオススメです。
 これを使わなくても、後述する PCカードリーダー や CFカードリーダー などで、画像データをパソコンに取り込むことができます。

<写真 1.e.>: 液晶モニタのついたデジタルカメラは、写真写りや撮影結果をリアルタイムで確認できるため非常に便利ですが、驚くほど電池の消耗が早いです。室内で撮影する場合には、ACアダプタの使用をおすすめします。
 また、充電式のバッテリは高価なきらいがありますが、割合すぐにコスト セーブ( セーブ マネー)および省資源になるでしょう。予備を含めて 3 個あれば、便利です。

1.1.2. 一番最初にやること

 さて、そんなこんなで、貴方は早速、クールピクス 880 を買ってきました。
 「ほんまかいな ?」と再三思われた貴方、とりあえずそういうことにさせてください。
 ともあれ、新品のカメラの箱を開ける時って、やはりウキウキしますね。
 ただ、デジタルカメラは、箱を開けてからやらなければならないことがいろいろあります。手順を簡単に写真で紹介しておきます。
 難しい手続きはありませんが、ゆっくり落ち着いて使用説明書と格闘しましょう。それからここには記載しませんが、撮影した画像データを 消去(削除)する方法もマスターしておいてください。
 当たり前のことですが、保証書はちゃんと保存し、使用説明書は携帯するようにしましょうね。

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<写真 2.a.>
ウキウキしながら、箱を開けます


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<写真 2.b.>
電池を入れます


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<写真 2.c.>
記録メディア(ここではコンパクトフラッシュカード)を入れます。
それから、電源スイッチを入れます

★ 記録メディアの抜き差しは、電源スイッチを切った状態でおこないます

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<写真 2.d.>
モードダイヤルを [ SETUP ] にします

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<写真 2.e.>
コンパクトフラッシュカードのフォーマットをおこないます

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<写真 2.f.>
日付と時刻を設定します

 一応、これで撮影できる条件は整います。
 次に以下の 3 項目をチェックしておきましょう。画質モードと画像サイズの設定によって、画像ファイルの大きさが変わります。このため撮影可能枚数もおおきく変わります。目的に合った設定にすると合理的です。

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<写真 2.g.>
1.)画質モードを設定します。通常撮影なら [ NORMAL ]、電子メールで送付するなど、パソコンモニタで画像を見るだけなら [ BASIC ]、大きめのプリントを作成するなら [ FINE ]、最高画質を得たい場合には [ HI ] に設定します

★ フォトレタッチソフトで画像を加工する技術と時間があれば、より高い画質モードで記録しておくとよいでしょう

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<写真 2.h.>
2.)画像サイズを設定します。A4判のプリントを作成するなら [ FULL ]、ハガキサイズ以下のプリントでよいなら [ XGA ]、モニタで画像を見るだけなら [ VGA ] に設定します

★ フォトレタッチソフトで画像を加工する技術と時間があれば、より大きな画像サイズで記録しておくとよいでしょう

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<写真 2.i.>
3.)連番モードを [ ON ] に設定します。画像ファイルの名前に通し番号を付けるものです。複数の記憶媒体を使ったり、パソコンの同一フォルダに多くの画像ファイルを格納する際に、名前の重複によるトラブルを避けられます

1.1.3. パソコンにつなぐ

 デジタルカメラで撮影した写真は、デジタルカメラの液晶モニタで見ることができます。しかし、やはりパソコンに取り込んで大きくしたり、プリントしたり、加工したり、電送したりししないと、面白みがありません。
 パソコンへの接続方法には、いろいろあります。代表的なものを紹介します。

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<写真 3.a.>
パソコン接続キットを使う。カメラとパソコンを直接ケーブルで接続して、画像データを転送します

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<写真 3.b.>
PCカードアダプタを使う。ノートパソコンではもっともよく使われている方法です。デスクトップパソコンでは、PCカードリーダーが必要な場合があります

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<写真 3.c.>
CFカードリーダーを使う。コンパクトフラッシュカードを差し込むだけなので便利です(写真は、LEXAR メディアの ジャンプショットケーブル です)

1.2. とにかく撮ってみよう !

 撮影準備が整ったら、モードダイヤルを [ AUTO ] (フル)オートモードに設定して撮影してみましょう。本当に簡単に撮れてしまうことに驚いてしまうはずです。
 うまく撮れない場合には、一つずつ原因を追求していきましょう。

1.2.1. [ AUTO ] (フル)オートモードって何 ?

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<写真 1.>
モードダイヤルの [ AUTO ] (フル)オートモード

 [ AUTO ] (フル)オートモードというのは、カメラのさまざまな機能を、一般的な撮影に最適な状態に自動設定するものです。ですから、むずかしく考えなくても、このモードを選ぶだけで、たいていの撮影が可能になります。

 ただ、カメラが自動設定するため「思い通りのイメージにならない」なんてことも少なからずあります。この点には、少し留意しておいてください。


1.2.2. カメラを構える

 コンパクトタイプのデジタルカメラは、小型軽量です。これはこれでいいことなのですが、かえって手ブレが生じ易いことを気に留めておいてください。
 どのような構え方で写真撮影を行っても自由ですが、手ブレを抑えたり、失敗をより少なくするには、ちゃんとした構え方も知っておくべきでしょう。

 照明が暗い室内での撮影や夜景の撮影、あるいは接写をおこなう場合などは、三脚の使用をおすすめします。

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<写真 2.a.>
横位置で構える。
脇を締めると安定します

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<写真 2.b.>
縦位置で構える。
構図にバリエーションが加わります

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<写真 2.c.>
縦位置で構える、もう一つの方法。
レンズとスピードライトの位置を考えた時、スピードライト撮影時には<写真 2.b.>の方が自然な影をつくるので良いですね

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<写真 2.d.>
液晶モニタを見ながら撮影する。
ブレやすいので注意します

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<写真 2.e.>
ローポジションで撮る。
身体を動かしてカメラアングルを変えてみましょう

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<写真 2.f.>
クールピクス 4500 / 3500 / 2500 / 995 / 990 / 950 / 910 / 900シリーズは、レンズ部分が回転するスイバル機能付きなので、ハイポジションや超ローポジション撮影も楽ちんです。

1.2.3. フォーカスモードとセルフタイマー

 「フルオートモードで、たいていの撮影ができる」と書きましたが、そのままでは小さな対象を撮影することができません。フォーカスモードを マクロモード にしなければ、近い対象(クールピクス 880 ではレンズ前端から40センチより近くから 4 センチまで)にはピントが合わないのです。
 フォーカスモード切り換えボタンの操作とそれぞれの機能を覚えましょう。

▼ マクロモード

 このモードに設定すると、なんとレンズ前端からたったの 4 センチから遠い対象にピントを合わせられるようになります。遠景の撮影もできますが、ピント合わせに余分な時間がかかることがあります。
 カメラを三脚などに固定し、マクロモードでセルフタイマーを働かせるマクロセルフモードに設定すれば手ブレを防げます。

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<写真 3.a.>
マクロモードの設定。「花」のマークがでます

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<写真 3.b.>
マクロ撮影が、デジタルカメラではとても簡単

▼ 遠景モード

 遠景を撮影するピント位置にレンズが固定され、スピードライトが発光禁止になります。スピーディな風景撮影が可能になります。

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<写真 3.c.>
遠景モード。「山々」のマークがでます

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<写真 3.d.>
ピント合わせの時間が必要ないので、よりスピーディに撮影できます

▼ セルフタイマーモード

 いわずと知れた自分撮影モードですね。三脚があれば、自由な位置でカメラを固定できます。
 クールピクス 880 では、 セルフタイマー モードで、シャッターボタンを一度押したら10秒、二度連続して押すと 3 秒のタイマーになります。


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<写真 3.e.>
セルフタイマーモード。「時計」マークがでます

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<写真 3.f.>
「いい写真ですねぇ」と自画自賛。後方が私です。笑ってください

1.3. ツボを押さえよう !

 [ AUTO ](フル)オートモードで満足できる写真を撮影するためのツボを紹介します。
 一つはズームの使い方。ズームって、被写体の写る大きさを変えるだけのものではないのです。
 そしてもう一つは、露出補正。これを覚えれば、ポートレート撮影なら、こんがり日焼け肌から美白まで、さまざまな写りを楽しめます。

1.3.1. ズームの基礎

 ほとんど全てのズームレンズつきデジタルカメラでは、ズームボタンは [ W ](ワイド / 広角)と [ T ](テレ / 望遠)の二つがあります。W 側にすると広い範囲を写すことができ、逆に [ T ] 側にすると遠くの被写体を大きく写せます。
 ズームの状態および写り方は、液晶モニター上で確認することができます。
 クールピクス 880 では、[ T ] ボタンをさらに押し続ける(2 秒以上)と、電子ズームが働きます。これは、液晶モニタ上に数字で倍率が表示されます。

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<写真 1.a.>
ズームボタン

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<写真 1.b.>
ズームの表示。W から T に伸びたバー(横棒)が光学ズーム、数字(×4.0)は電子ズームです。

 ともあれ、一度、ワイド端〜テレ端、テレ端×電子ズーム最大倍率までを操作して撮影して比べてみてください。
 特に電子ズームを使用した際の画質の低下を、パソコンのモニタ上でしっかり確認しておくと今後の参考になります。

 下の写真(画像)3 点は、全て同じ位置から撮影したものですが、被写体の写る大きさがぜんぜん違うことに驚きますね。
 しかし、よくよく見ると、<写真 1.e.>は、T 側の画面<写真 1.d.>のごく一部分だけを切り取って部分的に拡大した(=引き伸ばした)のと同じような写りであることが、背景のボケ方などからも分かります。

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<写真 1.c.>
W 側の端で撮影したもの(このカメラでは、35mm判換算で 38mm 相当)

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<写真 1.d.>
T 側の端(光学ズームの最大倍率)で撮影(このカメラでは、同 95mm 相当)

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<写真 1.e.>
T 側の端から電子ズームの最大倍率(×4.0)を掛けて撮影(このカメラでは、同 380mm 相当)

1.3.2. ズームのツボ

 さて、もう一度ズームですが、今度は足(フットワーク)も使います。
 「なんや、それ ?」と思われた貴方。まずは、下の写真を見比べてください。

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<写真 2.a.>
W 側の端で撮影したもの

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<写真 2.b.>
T 端の端(光学ズームの最大倍率)で撮影

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<写真 2.c.>
電子ズームの最大倍率(×4.0)で撮影

 ズーム操作は、<写真 1.c.>〜<1.e.> と同じですが、人物の写る大きさがだいたい同じくらいになる位置で撮影しています。W 側では 3 メートルくらい、T 側では 7 メートルくらい、電子ズーム最大倍率では20メートル以上も離れています。

 写りの印象がぜんぜん違うでしょ。W 側では少し頭でっかちに写っています。T 側では「普通の町娘 ?」。でもって、電子ズーム最大倍率になると、まるで粋な「料亭の女将 ! ?」
 それだけでなく、背景の写り方が <写真 2.a.> と <2.b.> で全然違うことにも注目してください。
 手元のズーム操作だけでなく、足も使って撮影することで、このように印象の違う写真にすることができるのです。ちょっとした労力ですが、大切なツボです。

 それからもう一つ。下の 2 枚を見比べてください。W 側で撮影した <写真 2.d.> は、看板の四隅が膨らんでいるように写ってますね。これが T 側で撮影した<写真 2.e.>では、直線で写っています。
 このように W 側で撮影すると、画面周辺部に行くほど変形して写ります。被写体の形をより正確に写したい場合には、できるだけ T 側で写すのが基本です。

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<写真 2.d.>
W 側で撮影したもの

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<写真 2.e.>
T 側で撮影。看板の四角は四角く写っています


1.3.3. 明るさを変えてみよう !

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<写真 3.a.>
露出補正ボタンとマルチセレクターで露出補正を設定する。液晶モニタの下部に + / - と数字の表示がでます

 カメラの選び方で、「露出補正 機能があるものを選びましょう」と冒頭に書きました。この機能、そうとう使いでがあります。
 「写真がうまくとれていない」と思われる多くは、この機能を使うことで、ほぼ満足できる結果になります。
 機種によっては、[ AUTO ] (フル)オートモードでは操作できないタイプもあります。

 操作の基本は簡単です。
 一度試しに撮影してみて、写真を明るく(白く)したい場合には+(プラス)側に、逆に暗く(黒く)したい場合には−(マイナス)側に調整します。
 クールピクス 880 では +/- 2 EV まで、1 / 3EV ステップで調整できます。
 はじめのうちは、できるだけ大幅に露出を変えて、違いをしっかり理解してください。


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<写真 3.b.>
+1EVに設定した画像

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<写真 3.c.>
露出補正を行わなかった画像

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<写真 3.d.>
-1 EVに設定した画像

 「どうですか ?」これだけできるようになっただけで、写真のプロになったような気分になったはずです。

 さて、今回はここまで。次回は「マニュアルモードに挑戦 !」します。

第 2 回目・初歩の初歩 (2) 「マニュアル操作に挑戦 !」

似顔絵 デジタルカメラには、大変多くの機能が搭載されています。この機能の豊富さは、通常の銀塩カメラをはるかに凌(しの)ぎます。例えば、銀塩カメラでいうフィルムやフィルターの選択すら、デジタルカメラではボタンやダイヤルの操作で設定できるのですから。

 こうした機能はとても便利な反面、写真技術の知識の少ない方にとっては恐ろしく煩雑な仕組みにしか思えないはずです。ですから結果的に、[AUTO] (フル)オートモードしか使わない(使えない)という方が少なくありません。
 今回は、「代表的な機能が、なぜ搭載されているのか ?」そして、「どんな特徴があって、どのように使えばよいのか ?」を簡単に紹介します。

 デジタルカメラでは、もし失敗しても、設定を変えてすぐにやり直せます。まずは、[AUTO] モード以外に設定することからスタートです(各種機能は、他の設定条件によっては作動しないことがあります。詳細は使用説明書で確認してください)。

2.1. ピントを合わせる

 「デジタルカメラの液晶モニタで見た時には、ピントが合っているように見えたのに、パソコンのモニタで大きくしてみるとピンボケだった......」なんてことを、よく経験します。
 逆に、ポートレート撮影で「背景を大きくボカして撮影したいのに、デジタルカメラではなかなか上手くいかない......」なんてこともあります。
 ピントとはいったい何なのでしょう ? そして、ピントばっちりで写したり、背景を大きくボカして写すにはどうすればいいのでしょう(マクロや風景などのフォーカスモードについては、第一回目の 1.2.3. を参照してください)。

2.1.1. ピントって何なの ?

 「ピント」を日本語では「焦点」、英語では「フォーカス」と呼ぶことをご存じのはずです。では、「"ピント" って何語 ?」と聞かれると、「あれれっ」て思いますね。この語源はオランダ語です。ちょっとした教養の一つにしてください(詳しくは、一眼レフ入門「一眼レフなんてこわくない」4回目「ピント」ってなんだろう ? を参照してください)。

 さて、"ピントが合った写真" とは、主要な被写体がシャープに写ったものを指します。逆に、"ピントが合っていない写真" とは、主要な被写体がボケて写ったものです。
 ただ、「主要な被写体とは何か ?」という問題になると、少し話がややこしくなります。なぜなら、最終的にこれは、写す人がそれぞれ決めなければならない問題だからです。
 しかし、難しく考える必要はありません。単純に、「自分は画面の中のどの対象を見たい(他者に見せたい)のか ?」と考えてください。

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イラスト 1.

 ここで、カメラの世界でいう「ピント」の技術的な意味を確認しておきましょう。イラスト1.を見てください。
 デジタルカメラのファインダーの中や、液晶モニタの中央部分に、[ ] マークが表示されています(クールピクス 880 の液晶モニタには、通常では表示されません。画面中央部と考えてください)。これを、"AFエリア(AFフレーム)" と呼びます。
 これは何か ? というと、「カメラのAF(オートフォーカス)機能は、この部分にある被写体にピントを合わせますよ」ということを示したマークです。つまり、写したい被写体をこの部分に位置させて撮影することが、基本中の基本となるわけです。
 ただし、イラスト 1. を少し注意して見ていただきたいのですが、カメラのピントは、カメラから一定の距離にある平面(ピント面あるいは焦点面といいます)全てに合います。つまり、イラストの猫や千鳥にもピントが合います。そして、この平面から離れれば離れるほど被写体は大きくボケて写ります。
 カメラの AF 機能は、このピント面を AF エリアにある被写体の位置に自動的に調整するものです。

注):デジタルカメラの液晶モニタはあまり大きくありません(=撮像素子よりも画素数が足りません)。ですから、撮影直後にこの画面で確認しただけでは、微妙なピントの合否を確認することは困難です。
 液晶モニタの画面の中でピントが合った部分の輪郭だけを強調する「ピーキング機能」を活用したり、再生モードでズームボタン( [T] )を押して「拡大表示」にして確認してください。
 拡大画面の位置は、マルチセレクターボタンで調整できます。

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写真 1 a.
[T] ボタンを押せば「拡大表示」できます

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写真 1 b.
4 倍まで拡大できます

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写真 1 c.
マルチセレクターボタンで拡大位置を変えて確認します

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写真 1 d.
「ピーキング」を ON にすれば、ピントが合った部分の輪郭が強調されます

(以上に述べた機能の有無、操作方法などは、メーカーや機種によって異なります)

2.1.2. フォーカスロック機能を使う

 多くのデジタルカメラでは、AFエリアは、画面の中央部にひとつあります。ですからこのままでは、少し離れた二人の記念写真を撮影したり、被写体を画面の端に写す構図にすることができません。
 そこでまず覚えて欲しい操作は、シャッター(レリーズ)ボタンの「半押し」操作です。
 半押しとは、シャッターボタンを軽く押し込んだ状態で保持することをいいます。カメラはシャッターボタンを半押しにした時点のAFエリアにピントを合わせ、ピント位置を固定(フォーカスロック)します。つまり、半押しにしたまま構図を変えても、ピント位置は変わりませんから、構図に変化をもたせることができるわけです。
 デジタルカメラに限らず、通常のAFコンパクトカメラでも、この「半押し」で同様の機能が働きますので、ぜひマスターしてください。

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写真 3.a.
画面中央部でピントを合わせて......

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写真 3.b.
シャッターボタンを半押しにしながら、構図を変えて......

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写真 3.c.
シャッターボタンを全押しにすると、画面の端の被写体にピントを合わせることができます

注) :シャッターボタンを半押しにすると、ピントだけでなく露出も固定される機種もあります。適切な露出モードの選択については、使用説明書で確認してください。
 なお、前回(第一回)の 1.3.3. に紹介したよう、画面の明るさ / 暗さについては、"露出補正機能" を使っても補正できます。

 また、厳密に考えるなら、半押ししたままで構図を変えた場合、被写体はピント面からズレます。しかし、デジタルカメラの場合、レンズの焦点距離が短いものが多く、被写界深度が割合深いため、このズレが問題になることはほとんどありません。

2.1.3. AFエリアを選択する

 先に触れたように クールピクス 880 では、画面中央部の AF エリアは通常では、液晶モニタには表示されません。透視ファインダーには、この AF エリアが表示されています。
 しかし、次のように設定した場合には、画面中央部を含め天地左右の 5 点のAFエリアを使うことができるようになります。

  1. シーンモードの「ポートレート」および「マクロ」に設定した場合。
    (この場合の、AF エリア選択は「MANUAL」になります。)
  2. 露出モードを、[P]、[A]、[M]、[CSM] に設定した場合。
    (AF エリア選択は、「AUTO」、「MANUAL」、「OFF」を選択できます。)
 AF エリア選択について説明しておきましょう。
  • 「AUTO」:5 点の AF エリアにある被写体のなかから、最も近い被写体にピントを自動で合わせます。
  • 「MANUAL」:5 点の内、ピントを合わせる AF エリアを、マルチセレクターで自由に選択できます。
  • 「OFF」:画面中央部のAFエリアだけを使います。

 このように、5 点のAFエリアを使うことで、ピント合わせはよりスピーディになり、構図の変化をより自由に楽しむことができます。

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写真 4.a.
AFエリア選択の切り換え

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写真 4.b.
5 点のAFエリアの表示(ここでは中央のエリアを選択しています)

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写真 4.c.
画面右側の AF エリアを選択すると、右側の人物にピントが合います

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写真 4.d.
画面左側の AF エリアを選択すると、左側の背景にピントが合います

注) :この他、シャッターボタンを半押しにしなくても連続的(コンテティニュアス)にピントを合わせ続けるAFモード(「C-AF」:動く被写体を撮影するのに便利)、そして、被写体までの距離で調整するマニュアルフォーカス(MF)モードなども、クールピクス 880 には搭載されています。必要に応じて使いこなせるようになってください。

2.2. 露出モードで、絵づくりを楽しむ

 露出は、写真の明るさ暗さ(白さ〜黒さ)を変える重要な要素です。そして、写真の明るさ暗さは、露出補正によって自由に調整できることを第一回目の 1.3.3. に紹介しました。

 ところが、明るさ暗さ(白さ〜黒さ)だけではなく、露出によって、被写体の動きや、背景のボケ方をも変えることができます。
 まずは、「絞りとシャッタースピードとは何か ?」そしてそれらによって、「何がどう変わるのか ?」をしっかり理解しましょう。

2.2.1. 絞りとシャッタースピード

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イラスト 2.
絞りとシャッタースピードと光量の関係

 一般的なAE(自動露出)カメラでは、撮像素子やフィルムに当てる光の量の多寡によって、仕上がる写真の明るさ暗さが変わります。単純にいえば、光が多く当たれば仕上がりは明るくなり、光が少なければ暗くなります。

 この光の量を調整するのが、カメラの「絞り」と「シャッタースピード」です。

 絞りは、眼の瞳孔のようなもので、レンズの内部にあります。直感的にわかるよう、絞り(孔)の大きさが大きければ大きいほど、多くの光が撮像素子に当たります。ただ、ちょっと注意が必要なのは、絞りの数値(F 値)が小さいほど、孔が大きくなる(明るくなる)ということです。勘違いしないよう覚えてください。

 シャッタースピードは、撮像素子やフィルムに光を当てる時間の長さのことです。これまた直感的に判るよう、シャッタースピードが長ければ長いほど、多くの光が当たることになります。

 このあたりの事情をイラストに示しました。
 絞りの大小による変化は、円柱の円の面積(円柱の断面積)の違いに相当します。
 シャッタースピードによる露光時間の変化は、円柱の長さの違いに相当します。
 二つの円柱の体積が、撮像素子やフィルムに当たる光の量というわけです。

 上下二本の円柱を見比べていただければ判るように、絞りの大〜小とシャッタースピードの速い〜遅いを巧い具合に調整すれば、光量(露光量)を同じに揃えることができます。要するに、同じ明るさの写真を仕上げることができるわけです。

 さて、上の二つの場合では、光の量(露光量)は同じままです。ですから、同じ明るさの写真に仕上がります。ところが、写真のイメージががらりと変わることがあります。

● 絞りによる違い。


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写真 5.a.
絞りを絞った場合(孔が小さくなっています)

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写真 5.b.
絞りを絞って撮影した例(背景のボケが小さいです)


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写真 5.c.
絞りを開けた場合(写真 5.a. よりも孔が大きいです)

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写真 5.d.
絞りを開けて撮影した例(写真 5.b. よりも背景のボケがやや大きくなりました)

 絞りを絞る(孔を小さくする)ほどと、背景や前景のボケが小さくなります。このため、手前も奥もピントが合っているように見倣(みな)せる写真になります。これを「被写界深度が深い」写真といいます。
 逆に、絞りを開ける(孔を大きくする)と、背景や前景のボケが大きくなります。このため手前や奥が大きくボケて写るようになります。これを「被写界深度が浅い」写真といいます。
 被写界深度とは、ピントが合っているように見倣せる(主要被写体の前後の)範囲のことです。
 ただ、コンパクトタイプのデジタルカメラの場合には、通常の35ミリ判やAPS判のフィルムよりも撮像素子が小さいため、たとえ画角は同じようでも焦点距離の短いレンズが使用されていますので、通常の35ミリ判やAPS判のフィルムカメラのようには背景を大きくボカした写真は、なかなか撮影できないことを覚えておいてください。
 そのかわりといっては何ですが、35ミリ判やAPS判のフィルムカメラでは難しいマクロ撮影が、被写界深度の深さを活かしてより簡単にできるのです。

● シャッタースピードによる違い。

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写真 6.a.
遅いシャッタースピードで撮影した例(背景を大きくブラしました)

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写真 6.b.
速いシャッタースピードで撮影した例(背景はあまりブレていません)

 室内や夜間でスピードライトを使わない撮影を行った時、被写体が動くと被写体がブレて写り、またカメラを持つ手が動くと画面全体がブレて写ることをよく経験します。
 これは、シャッタースピードが長いために生じるものです。
 ブレというのは、一般的には写真の失敗の代表格といっていいものですが、逆に考えると、被写体の動きを表現するのになくてはならない要素でも(写真 6.a.)あります。
 逆に、シャッタースピードをとても速くすれば、動いている被写体の一瞬をまるで静止画のように撮影することも可能(写真 6.b.)です。

2.2.2. シーンモードと[P]、[A]、[S]、[CSM] モード ????

 クールピクス 880 には、ほとんど全ての機能が自動調整される [AUTO] モードの他に、11種類のシーンモード(ニコンの一眼レフカメラの「イメージプログラムのようなもの)と、[P] (プログラム)モード、[A](絞り優先)モード、CSM(カスタム設定)モードが搭載されています。
 クールピクス 995 などでは、シーンモードはなく、[S](シャッタースピード優先)モードがあり、さらに [CSM](カスタム設定)を 3 種類使い分けることができます。


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写真 7.a.
シーン [SCENE] モードを選択

▼ステップ 1. シーン [SCENE] モードを使い分ける。

 [AUTO] モードの次のステップは、"シーンモード" の使い分けです。

 シーンモードには、「ポートレート」、「パーティ」、「夜景」、「風景」、「打ち上げ花火」、「クローズアップ」、「逆光」......といった具合に、撮影シーンを選択するだけで、より理想的な写りになるよう、カメラがさまざまな機能の設定をおこなうものです。


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写真 7.b.
メニューでそれぞれのシーンを選択

 もちろんですが、撮影条件によっては必ずしも上手くいくとは限りません。ただ、カメラは最善の努力を行っていますから、理想的な写りになる可能性が [AUTO] よりも格段に高いと考えていいです。

 ここにはその一部しか紹介しませんので、カタログに掲載された写真のイメージと注意事項を参考にしてください。特に、暗い場所での撮影では、できるだけ(打ち上げ花火では必ず)三脚を使用してカメラを固定してください。


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写真 8.
プログラム [P] モードを選択

▼ステップ 2. プログラム [P] モードを使いこなす。

 ある程度慣れてきたら [P] モードにして、AFモードや後述のホワイトバランスを自分で設定してみましょう。

 このモードは、撮影時の露出の失敗(主にブレやピンボケ)を最小限に抑えるよう設計されたものです。

 これまた当然のことですが、失敗がなくなるわけではありません。


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写真 9.
絞り優先 [A] モードを選択

▼ステップ 3. 絞り優先 [A] ないしシャッタースピード優先 [S] モードに挑戦

 さらに、絞りやシャッタースピードによる違いを試してみたい時には、[A] ないし [S]モードを使ってみます。

 [A] ないし [S]モードのいずれかがないカメラでも、前述したように、絞りとシャッタースピードは相関していますから、[A] モードをあたかも [S] モードのように使うことができます。


 例えば、シャッタースピードを速くしたい場合には、[A] モードで絞りを開けるよう( F 値を小さく)設定すればよいのです。

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写真 9.
絞り優先 [A] モードを選択


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写真 10.
カスタム[CSM] モード。

▼カスタム[CSM] モードでお好みのカメラ設定に

 [CSM] モードは、各種の設定を記憶しておける機能です。

 撮影条件がほぼ同じだったり、毎回同じような設定にする場合に活用すると、再設定の手間が省けます。


2.2.3. 内蔵スピードライトを使う

 デジタルカメラに内蔵されているスピードライトは、暗い場所での撮影にとても重宝します。非常にコンパクトながら、そこそこの光量を発しますし、一瞬の閃光ですから手ブレや被写体ブレのない写真を撮影できます。
 ただ、内蔵スピードライトの光量(ガイドナンバー)は、決して大きくはないことを覚えておいてください。クールピクス 880 の場合ですと、感度をISO100 相当に設定している場合、望遠側では 2.5 メートル、広角側では 3.7 メートルあたりまでしか適当な明るさを得られません。これらより遠い被写体を撮影した場合、被写体が予想以上に暗く写ります。特に夜間の屋外での撮影には注意が必要です。内蔵スピードライトの光量が足りないことを確認した場合には、感度設定を高くしてみるのもよいでしょう。

 さて、スピードライトモードには 5 種類あり、それぞれかなり写り方が異なります。それぞれのモードについて説明します。

▼「AUTO(自動発光)」モード

 「被写体が暗い」とカメラが判断した場合にのみ、自動的に発光します。
 スピードライトの使用、不使用を意識しないで済みます。

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写真 11.a.
「AUTO(自動発光)」モード(液晶モニタには表示されません。機種とメーカーによって異なります)

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写真 11.b.
「AUTO(自動発光)」モードでの撮影例

▼「発光禁止」モード

 被写体が暗くても、発光しないようにするモードです。
 遠い夜景や打ち上げ花火の撮影時など、主要被写体が非常に遠く、十分な光が届かないときには、この設定を使います。
 夜景や室内撮影では、露出オーバー(+ 側)に補正すれば、見た目以上に明るく写すこともできます。
 ただいずれの場合も、シャッタースピードがかなり長くなりますから、手ブレ対策が必要です。できるだけ三脚を使用してください。

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写真 12.a.
「発光禁止」モード

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写真 12.b.
「発光禁止」モードでの撮影例(写真 11.b. と人物と背景をそれぞれ見比べてみてください)

▼「[SLOW] スローシンクロ」モード

 とりわけ夜景を背景にした人物撮影に威力を発揮するモードです。人物はスピードライトによって確実に照明し、スピードライトの届かない背景をスローシャッター(シャッタースピードを長く/遅くする)で明るく撮影します。
 このモードでも、できるだけ三脚などでしっかりカメラを固定するのがコツです。

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写真 13.a.
「[SLOW] スローシンクロ」モード。

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写真 13.b.
「[SLOW] スローシンクロ」モードでの撮影例(写真 11.b. と 12.b. と、人物と背景をそれぞれ見比べてみてください)

▼「強制発光」モード

 撮影している場所が明るくても、必ず発光する(発光させる)モードです。
 逆光撮影で、陰になった部分を明るく撮影する際などに使います。

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写真 14.a.
「強制発光」モード

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写真 14.b.
「[AUTO] オート」モードでの撮影例

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写真 14.c.
「強制発光」モードでの撮影例

▼「赤目軽減」モード

 コンパクトなデジタルカメラでは内蔵スピードライトは、撮影レンズに極めて近い位置にありがちです。このため、スピードライトの光が眼の網膜上に結像し、この部分の光が強く反射することで、眼の瞳孔部分が赤く写る現象を「赤目」といいます。
 この「赤目軽減」モードでは、撮影のための本発光の直前に、被写体が眩しいと感じる程度の予備的なプリ発光(予備発光、先行発光)をおこないます。プリ発光の眩しさで瞳孔が収縮した直後に、本発光で撮影するため、赤目現象をかなり軽減できます。
 犬や猫を撮影した際に、瞳孔が 緑色 や 青色 に写るのも同じ現象ですから、このモードが使えます。ただし、犬や猫がプリ発光直後に眼を背(そむ)けてしまうかもしれませんが......。もちろん人物撮影でも、プリ発光があることを予め知らせておいたほうがいいでしょう。

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写真 15.a.
「赤目軽減」モードを選択

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写真 15.b.
「[AUTO] オート」モードでの撮影例:赤目現象

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写真 15.c.
「赤目軽減」モードでの撮影例

2.3. ホワイトバランス機能で色を遊ぶ

 デジタルカメラでは、どのような光源下で撮影しても、たいていの場合、ほぼ見た目どおりで雰囲気のある色調の写真が撮影できます(銀塩フィルムカメラでは、フィルムやフィルターの適切な選択が必要ですが......)。
 「なぜ、そんなことができるのか ?」というと、デジタル画像は電子的な情報ですから、元の (オリジナルの) 色調がどのようなものであれ、それを記録する際に適切な補正を行うことができるのです。このような色調補正を担う(になう)のが、オートホワイトバランス(AWB)機能です。
 しかし、もちろん、これは完璧なものではありません。必要に応じて、ホワイトバランスをマニュアルで設定したり、ホワイトバランスのプリセット機能を使ってみましょう。

2.3.1. ホワイトバランス機能って何だろう ?

 「光に色がある」と聞くと一瞬戸惑う方も少なくないはずです。しかし、色は光でできているわけですから、光に色があるといっても大きな間違いではないように思います。厳密にいうなら、人の眼と脳による認識の問題ですが......。
 ともあれ、日昼の太陽光は白色であって、デジタル・銀塩を問わず、写真や映像の基準となる光です。そして、特に銀塩フィルムで撮影した写真では、白熱電球下で撮影すると橙色が強くなり、また、一般的な蛍光灯下で撮影すると緑色が濃い写真になることは、よく知られています。
 人の眼は、よほど特殊な光源下でない限り、自らの記憶を頼りに「白い物は白」、「肌色は肌色」、「青い物は青」として認識します。これを「順応」といいますが、銀塩フィルムにはこれがありません。ですから、見た目とは異なる色調の写真に仕上がることがあるわけです(詳しくは、一眼レフ入門「一眼レフなんてこわくない!」11回目を参照してください)。

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写真 16.a.
太陽光のもとでホワイトバランスを「太陽光」にマニュアル設定して撮影

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写真 16.b.
白熱電球のもとでホワイトバランスを「太陽光」にマニュアル設定して撮影

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写真 16.c.
蛍光灯(昼光色)のもとでホワイトバランスを「太陽光」にマニュアル設定して撮影

 上の写真 16.a.〜16.c. は、クールピクス 880 のホワイトバランス機能をマニュアルで「太陽光」に設定して(デーライトタイプのカラーフィルムを使った場合にほぼ相当します)、左から太陽光、白熱電球、蛍光灯(昼光色)のもとで撮影したものです。それぞれの光源のもとでの被写体の色の違いを比べてください。

 さて、冒頭に述べたように、デジタル画像は電子的な情報です。ですから、光源の光そのものに色がついていた場合でも、人の眼で見て記憶に残っている色調に自動的に補正することが割合簡単にできます。
 こうした色(一眼レフ入門「一眼レフなんてこわくない!」11回目の1.3) の補正を受け持つのが、オートホワイトバランス(AWB)機能です。

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写真 17.a.
太陽光のもとでオートホワイトバランスで撮影

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写真 17.b.
白熱電球のもとでオートホワイトバランスで撮影

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写真 17.c.
蛍光灯(昼光色)のもとでオートホワイトバランスで撮影

 上の写真は、クールピクス 880 のオートホワイトバランス機能で、太陽光、白熱電球、蛍光灯(昼白色)のもとで撮影したものです。
 太陽光のもとではもちろん、意外なことに蛍光灯のもとでも、ほぼ正しい色調が再現されています。
 ちょっと気になるのは白熱電球で、少しだけ橙色が残っています。ただ、白熱電球の橙色は、家庭内などでの実際の照明でもわかるよう、温かみのある色調で、割合好ましく見えます。ですからこれは、わざと橙色を少し残すような設計にしているのだろうと思います。

2.3.2. 設定を変えて比較してみよう

 オートホワイトバランス機能は、かなり優れたものですが、それでも被写体の色が正しく再現されないことも少なくありません。こうした場合には迷わず、ホワイトバランス機能をマニュアル設定してみましょう。
 操作は一度やるだけで覚えられます。まずメニューボタンを押して、ホワイトバランスの項目を選択し、使用している光源の種類を選ぶだけです。
 クールピクス 880 のメニュー項目とそれぞれの補正の効果は下記の通りです。

  • 太陽光:写真や映像の基準となる昼光の色にホワイトバランスを固定します。
    銀塩フィルムでいうデーライトタイプのリバーサルフィルムを使った場合とほとんど同じ色調再現になります。
    以下の説明は、この「太陽光」モードを基準としたものです。
  • 電球:青いフィルターをかけたような効果になります。
  • 蛍光灯:明るい赤紫(マゼンタ)のフィルターをかけたような効果があります。
  • 曇天:淡い青のフィルターをかけたような効果があります。
  • スピードライト:淡い青のフィルターをかけたような効果があります。
    (この項の詳細は、一眼レフ入門11回目の1章及び2章をご参照ください)
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写真 18.
ホワイトバランスのマニュアル設定。

 クールピクス 880 には、それぞれの項目ごとに少しだけ青味を強くしたり赤味を強くできる微調整機能も備わっていますので、照明器具の特性に合わせることもできます(クールピクス 880 では、ホワイトバランスのブラケティング撮影機能が搭載されました)。
 また、蛍光灯の種類も、白色・昼白色・昼光色を選択できます。
 ここで大切なのは、色調を正しく再現したい場合には、原則として光源は一種類に統一することです。例えば、白熱電球と蛍光灯など、異なる種類の光源を用いる(ミックスする)と、なかなか上手くいきません。

 このホワイトバランスのマニュアル設定で、わざと間違った光源を選択すると、さまざまな色調の変化を楽しむこともできます。


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写真 19.a.
太陽光に設定(光源は外部スピードライト)

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写真 19.b.
スピードライトに設定(光源は外部スピードライト)

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写真 19.c.
白熱電球に設定(光源は外部スピードライト)

 上の写真(写真 19.a.〜19.c.)は、太陽光と同じ白色光の外部スピードライトを使用し、ホワイトバランス機能をマニュアルでそれぞれ設定したものです。色が変な写真も、それなりの味わいがあったりします。
 とりあえずは、お手許のカメラでマニュアル設定の変更を試して、その違いを確認してください。

2.3.3. "伝家の宝刀"、プリセット機能

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写真 20.a.
ホワイトバランスのプリセットを選択...。

 ホワイトバランスのマニュアル設定を使っても色の再現がうまくいかない場合や、室内照明などでどうしても光源を一つに統一できない場合には、ホワイトバランスのプリセット機能を使うとよいでしょう。
 これは、白紙など(純白のものが望ましいです)を試しに撮影し、その色(つまり光源の色)を白の基準に強制的に設定する機能です。この試し撮りの結果は記録メディアには記録されません。
 この機能を使えば、よほど特殊な光源下でない限り、まず問題なく正しい色調再現が可能になります。ただし、デジタルカメラやモニタの特性の限界があって、特に渋い色(赤・緑・青といった原色の中間の色)は正しく再現するのが難しいようです。

 さて、さまざまな機能を一気に紹介しました。ちょっと頭がパニックになっている方も少なくないかもしれませんね。あせらずに、ひとつずつ理解し、ひとつずつ操作を覚え、使いこなせるようになってください。

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写真 20.b.
プリセットは白紙などをその光源のもとでテスト撮影するだけです

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写真 20.c.
プリセットの表示

 次回は、「パソコンで画像をいじる」です。お楽しみに。

第 3 回目・初歩の初歩 (3) 「パソコンで画像をいじる」

似顔絵 デジタルカメラで撮影した画像は、カメラの液晶モニタで見るだけでもずいぶん楽しいものです。なんと言っても、撮ってすぐに見られますし、気に入らなければすぐに消去することもできるのですから。
 でも、それ以上に楽しいのは、電子メールで送ったり、プリンタで印刷したり、あるいは加工(編集)したりなど、さまざまなことがパソコンを使って自分でできることでしょう。銀塩写真のように、現像処理や引き伸ばしのために暗室に入る必要もありません。

 今回は、このようにパソコンで画像を加工する際に、もっとも基本となる事項を簡単に紹介します。この記事を一通りお読みになれば、お手持ちのデジタルカメラやパソコン、そしてソフトウェアの仕組みが、少し深く理解できるはずです。
 とりあえず、画像を加工してみたい方は、3.2. からお読みください。

 なお、ここではクールピクス(COOLPIX 995 / 880 など)のパソコン接続キット(別売)に同梱されている Adobe Photoshop 5.0 LE 版(以下、Adobe Photoshop に略。5.0 LE は、画像レタッチソフトウェア(グラフィックソフトウェア)Adobe Photoshop 5.0 の諸機能から、よく使われている機能を選り抜いて価格を下げたバージョン(LE = リミテッドエディション)で、その後継・最新版は Adobe Photoshop Elements です)を使います。

 ウィンドウやキーボードは、Windows の操作で示しています。Mac OS での操作は( )内を参照してください。

3.1. デジタル画像の基礎知識

 デジタルデータは、例えば、"10111000110......."といった具合に 2 進数で表示されますね。この "1" は、電源スイッチを "ON(IN)" にした状態に、"0" は スイッチを "OFF(OUT)" にした状態にたとえられます。しかしなぜ、こんなもので、目に見える画像が記録できるのか、不思議でしょうがないのですが、ここではあまり深く追求しないことにします。
 ただ、「デジタル写真の画像は情報(データ)であり、数字の羅列で表示することもできる」とだけ覚えておきましょう。数字というのは、機械的な計算の格好の対象です。つまり、複雑な計算を繰り返すことで、画像そのものを調整したり組み合わせたりすることが、機械的に可能になります。これこそが、デジタル画像の最大の特徴といっていいでしょう。

 ここではまず、被写体の像が、どのようにして数字の羅列に変換されるのか? を紹介します。そして、この数字の羅列の仕方には、いろいろな方式があり、目的によって使い分ける必要があることまでを簡単に説明します。

3.1.1. 画像が電気信号になる ?

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図 1. 画像が電気信号(RAWデータ)になるまで。実際には、電気信号をデジタルカメラ内部でA/D(アナログ/デジタル)変換してRAWデータをつくる

 最初に、銀塩カメラやデジタルカメラ、あるいはビデオカメラなど、ほとんど全てのカメラは、光学レンズを使って、被写体の光の像を平面に映し、それを記録する(写す)装置だということを確認しておきます(詳しくは、「一眼レフ入門 一眼レフなんてこわくない」第 1 回目を参照)。

 デジタルカメラでは、投影された光の像を、撮像素子(CCD など)によって、電気の信号に置き換えます。ただ、銀塩写真のように、一枚の写真をフィルム上にそのまま記録するのではありませんで、画面を細かく細かく縦・横に切り刻んで、その部分部分に当たる光の量の多寡(強弱)を電気の信号に置き換えています。
 この切り刻んだ一つ一つの部分が、いわゆる画素(ピクセル)です。つまり、画素数が多いということは、画面をより細かく切り刻んで記録し、後で再現できるわけですから、単純に言えば、きめ細かな画質を得られやすいというわけですね。
 ただし、最終的に記録する画素数(ピクセル数)は、カメラの記録サイズの設定で変えることができます。
 ニコン クールピクス 880 の場合、記録画素数は、次のようになっています。

フルサイズ(SUXGA) 2,048×1,536=約310万画素(ピクセル)
XGA サイズ 1,024×768=約78万画素(ピクセル)
VGA サイズ 640×480=約30万画素(ピクセル)
3:2 サイズ 2,048×1,360=約280万画素(ピクセル)

 つまり、記録サイズの設定によって、同じ画質で出力できるイメージの大きさが変わるというわけです。記録サイズを少し無理して例えるなら、銀塩フィルムのフォーマットのサイズと考えることもできます。

- ここで一言 -
 [FULL] フルサイズモードは、カメラの撮像素子や画像処理の方法による記録画素数が上限の最高画質といえます。
 これに対し、XGAサイズモードあるいは、[1024]モードは、一般的なパソコンモニタの表示画素数(1,024×768ピクセル)に等しいものです。つまり、このサイズで記録した画像は、パソコンモニタのフル画面表示でちょうど納まる大きさというわけです。ですから、パソコンモニタで写真を見るだけなら、このサイズで記録するのが合理的です。
 VGAサイズモードあるいは、[640] モードは、テレビ(ビデオ)モニタの画素数(640×480ピクセル)に等しいものです。小さなノートパソコン(サブノートパソコンではお馴染みですね。
 さらに、QVGAサイズ<<モードあるいは、[320] モード)は、VGAの1/4サイズで、ポケットサイズのパソコンや PDA などでお馴染みですね。

 ここで、お手持ちのテレビモニタやパソコンのモニタ、あるいはデジタルカメラの液晶モニタをルーペで拡大して見てください。不思議なことに、写真や映像のイメージは、赤(R)・緑(G)・青(B)の、たった 3 色(加色法の3原色)の粒々だけで構成されていることがわかります。
 詳しくは3.3.1.に触れますが、人の眼に見える像は、これら赤・緑・青の 3 つの明るさの組み合わせの羅列として表現できるのです(詳しくは、「一眼レフ入門 一眼レフなんてこわくない」第 11 回を参照)。
 このため、撮像素子には、それぞれの色の光の量の情報を得るために、これらの 3 原色のフィルタ(原色系フィルタ)あるいは、補色系フィルタである黄(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)の 3 色(減色法の 3 原色)を採用しているものがあります。

3.1.2. 電気信号が画像データになるまで

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図 2. 電気信号が画像データ(TIFFデータ)になるまで

 撮像素子から取り出された電気信号は、それぞれの画素に当たっている光の量の情報だけが記録されたものです。この信号を、RAW(ロー)データと呼びます。ちなみに、raw は、"料理していない"とか、"加工していない"、"生の"、といった意味の形容詞です。
 RAW データを少し無理を承知で例えるなら、撮影直後のフィルムに写っている目に見えない潜像のようなものだと考えることができます。つまり、このままでは画像として見ることができません。
 ですから RAW データは、目に見える画像データに変換する必要があります。このために必要なのが、1 回目および 2 回目に紹介したようなデジタルカメラのさまざまな設定の情報です。デジタルカメラの内部にある演算装置(フィルム現像機に譬え(たとえ)られます)では、RAW データを各種設定情報と照らし合わせながら、画像データに変換します。カメラの露出補正やホワイトバランスなどを正しく設定しておかないと、思い通りの濃さや色調の写真にならない理由はここにあります。
 たとえば、デジタル一眼レフカメラ Nikon D1 シリーズでは、この RAW データでも撮影・記録することができますが、コントロールソフトウェア ニコン キャプチャー 2 などの専用ソフトウェアを使って、自分でパソコン上で画像データに変換(フィルムの現像処理に譬えられます)しなければなりません。

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図 3. 画像データを圧縮してJPEGデータになる

 さて、こうして画像として目に見えるように変換された電気信号の代表的な記録方式が、TIFF(ティフ)データと呼ばれるものです。ニコン クールピクス 880 などで、画質モードを [HI] (非圧縮)モードにした時に記録されるデータです。ただ、この TIFF データは非常に情報量が多い(ファイルサイズが大きい)のが欠点でして、撮影枚数が限られたり、記録に要する時間が多くかかるといった難点があります。

 多くのデジタルカメラでは、画像データをより実用的にするために、TIFF データを圧縮して、情報量(ファイルサイズ)を減らします。クールピクス 880 など、多くのデジタルカメラで採用されている圧縮の方式は、JPEG(ジェーペグ)方式(形式)と呼ばれるもので、できるだけ画質の低下がわからないように、情報量を減らすことができる特徴があります。
 この圧縮の比率を変えるのが、画質モードの設定です。クールピクス 880 の場合は、次のような比率になっています。圧縮率に "約" とあるのは、被写体の細かさや色調などによって、圧縮率が若干変わるためです。


FINE 約 1/4
NORMAL 約 1/8
BASIC 約 1/16


 注意しておきたいのは、JPEG 方式では、圧縮率を高くすればするほど、画像データの細部が失われることです。また、一度圧縮して保存したデータから、元の全てのデータに復元することはできません。つまり、保存を繰り返すたびに、少しずつ画質が低下することを忘れないでください。
 こうした元に戻らない圧縮を「非可逆圧縮」と呼びます。圧縮の方式には、これ以外にもさまざまな種類がありますが、写真・画像に関しては JPEG 方式がもっとも一般的かつ合理的なようです。

 さてさて、少し頭がクラクラしてきた読者も多いはずですが、ここまで来てやっと、私たちが普通に使っている画像(JPEG)データにまでたどり着きました。

3.1.3. 解像度を調整する

 カメラの記録サイズ、および画質モードの設定によって、写真の大きさや画質が変わることが、なんとなく理解できたでしょうか ?
 もし、実用性を考慮しないならば、できるだけ大きな記録サイズで、圧縮率の低い画質モードで撮影するのが一番です。良い画質で撮影した画像データなら、サイズを小さくしたり、画質を低下させたりすることは、いくらでもできますが、この逆はかなり困難ですからね。
 ただ、実用的に考えるなら、クールピクス 995 / 880 の場合であれば、記録サイズは フル(SUXGA) サイズ、画質モードは [FINE] が上限でしょう。私自身は、画質モードを [HI] にした場合、撮影枚数や記録時間などに不都合を感じます。
 もし、プリンタで印刷することはなく、Web 用(電子メールやホームページ上に掲載する)に使用するだけなら、記録サイズは XGA(1,024×768 ピクセル)サイズ、クールピクス 995 / 880 の場合であれば、画質モードは [NORMAL] にしておけば、撮影後の画像加工による劣化を考えても十分なはずです。

 さて、ここで、Web 用に使用するために、十分な画質を確保しながら、ファイルサイズを小さくするの方法を紹介します(ダウンサンプルといいます)。ファイルサイズを小さくすることで、通信に必要な時間を大幅に短縮できます。
 まずは、Adobe Photoshop を起動し、画像を開いてください。

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ダウンサンプルのための「画像解像度コマンド」の使い方

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ダウンサンプルのための「JPEGオプション」の使い方

【操作】

  1. ステータスバーで表示倍率を「100%」にするか、ツールボックスの「ズームツール」アイコン ズーム をダブルクリックします。こうすることで、画面上で表示される実際の大きさになります。
  2. 「イメージ」→「画像解像度...」を選択します。
  3. 画像解像度コマンドで、「縦横比を固定」と「画像の再サンプル」にチェックが入っていること、「解像度」がモニタで見る時に適した解像度である 72 dpi(ドット・パー・インチ=1 インチ(約 25.4 mm)あたりのドット数)になっていることを確認します。
  4. ピクセル寸法の「幅」ないし「高さ」を入力しなおして、「OK」をクリックし、適当な大きさになるよう調整します。
    Web で使用するなら、最大でも VGA サイズ(640×480ピクセル)を上限としたほうがいいでしょう。そうしないと、画面をスクロールしないと全体が見えないことがあります。
  5. 「ファイル」→「別名で保存」をクリックすると、「JPEG オプションコマンド」が表示されます。
  6. 「画質」を、「標準」or「低画質(高圧縮率)」に設定して保存します。ファイルの大きさと画質の兼ね合いを考えて調整します。

 次に、写真を家庭用プリンタを使って印刷する際に必要な解像度の調整を説明しましょう。
 Web での使用とは異なり、ファイルサイズは気にせず、画質を優先します。

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印刷のための「画像解像度コマンド」の使い方

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印刷のための「JPEG オプション」の使い方

【操作】

  1. 「画像の再サンプル」のチェックを外します。こうすると、「プリントサイズ」の「幅」、「高さ」、「解像度」の 3 つがチェーンで結ばれます
  2. 「解像度」の数値に、200〜360 dpi を入力します。「プリントサイズ」が変化しますが、とりあえず無視します。
    「解像度」の数値は大きいほど高精細なプリントになりますが、プリントサイズが小さくなります。また、プリンタ自体の性能よりも高い数値にすることは合理的ではありません
  3. 次に、必要なプリントサイズにします。
    まず、「画像の再サンプル」をチェックし、「プリントサイズ」の数値を入力します。大きなプリントにする場合には、画素と画素の隙間をソフトウェアが計算し、適当な濃さや色の画素を補間します(再サンプルアップといいます。写真のディテールを追加するものではありません)
  4. 「ファイル」→「別名で保存」をクリックし、「JPEG オプション」で、「最高画質」を選択して保存します

3.2. 画像を調整する

 ここでは、グラフィックソフトウェア Adobe Photoshop を使った、デジタル写真の基礎的な修正(レタッチ)の方法を紹介します。
 画像加工ソフトウェアを使うとなると、どうしても合成とか、特殊効果の技を使ってみたくなるのが人情ですが、ここで紹介する修正の作業をまず、マスターしていただきたいと思います。結構地道な技術ですが、これらを応用するだけで、一枚一枚のデジタル写真のイメージがずいぶん良くなることを実感できるはずです。

3.2.1. 画像を切り抜く

 写真は、画面に入っている全ての被写体を、光学的に記録します。このため、撮影時には全く気づいていない対象が画面内のあちこちに散見し、一枚の写真(絵)として見た時に、何が写っているのか ? あるいは、何を写したかったのか ? がさっぱりわからないことが往々にしてあります。
 画面の中にあまり多くの要素を入れないことが、見やすい写真を撮影するためのコツです。古くより「写真は引き算だ」と言われることがあるのは、こうした意味です。
 しかし、本当にこれが難しいですね。特に、写真撮影に慣れないうちは、何を撮影したいのかさえわからないのが実態ではないでしょうか。
 そこで、Adobe Photoshop を使って、画面を切り抜く(写真ではトリミングといいますね)方法を試してみましょう。
 画面を切り抜く目的は、画面周辺に写っている余分な対象をカットし、主要な被写体だけがよりよく見える画面にすることです。おそらく、多くの方は、「あれもこれも画面の中に入れておきたい」と思われることでしょう。でも、パソコン内では何度でもやりなおすことができますから、思い切って、バッサリと切り抜いてみます。
 上手く切り抜くだけで、一枚の写真の中で、主要な被写体だけがよりよく見えるようになるはずです。そして、この操作に慣れるほどに、実際の撮影の際のフレーミングも格段と上達しているに違いありません。

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「切り抜きツール」(左上)とオプションパレット(右上)の位置

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「切り抜きツール」を使って、画面左側の不必要な(?)人をトリミング

【操作】

  1. 切り抜きツール 切り抜き を選択します。ツールボックス内の矩形選択ツール 矩形 の右下の小さな三角形をプレスする(マウスボタンを押し続ける)と、隠れた関連ツールが表示されます。その中から、切り抜きツールを選択します(マウスボタンを離します)。
  2. 画像のサイズ(縦横の比率)を同じまま切り抜きたい場合には、オプションパレットの中の「固定画像サイズ」にチェックを入れ、「前景」をクリックします。
  3. 次に、画像の切り抜きたい部分をドラッグして指定すると、境界線でその範囲が囲まれます。
  4. 切り抜きたい領域の位置を変更するには、境界線の内部をクリック&ドラッグします。
  5. 切り抜きたい領域のサイズを変更するには、境界線のコーナー□(コントロールハンドル)をドラッグします。
  6. 領域を回転するには、境界線線の外側にポインタを合わせ、ポインタがカーブした矢印(○)に変わったことを確認してからドラッグします。
  7. 境界線が希望どおりに指定できたら、「enter」(Mac OS 機では、「return」)キーを押せば、切り抜きが実行されます。切り抜きを中止したい場合は、「Esc」(Mac OS では「esc」)キーを押します。

3.2.2. スタンプツールで修正する

 銀塩写真でよく使われる「修正」という言葉の意味を、そのままデジタル写真に置き換えたような効果があるのが、スタンプツールです。
 このツールは、画面の一部分をサンプリングし、他の場所にコピー(移植)します。このため、例えば、肌のニキビやシミなどを消したり、商品のキズを消したりなどが、いとも簡単にできます。
 ただ、修正したことがわからないようにするには、各種のオプション機能を使ったり、ある程度熟練することも必要でしょう。

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「スタンプツール」(左やや上)と、オプションパレット(右上)、ブラシパレット(右やや上)の位置

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「スタンプツール」を使って、修正を施したもの

【操作】

  1. 細かな修正を施したい場合には、修正したい部分を拡大して表示しておきます
  2. スタンプツール スタンプ を選択します
  3. ブラシパレットで、エッジの柔らかい(周辺がボケた)ブラシを選択します
  4. 「Alt」(「option」)キーを押しながら、コピー元を指定します
    この時、スタンプツールのアイコンの黒い三角(▼)が白く(▽)なることを確認してください。
    なお、コピー元は修正したい部分に近い場所で指定する方がよいでしょう
  5. カーソルを修正したい部分に合わせ、マウスボタンを押します。サンプリング位置が十字で示されていることを確認してください
  6. そのままドラッグすると、連続した修正ができます。シングルクリックをすれば、一カ所だけが修正されます
  7. サンプリング位置を変えて、修正のあとがわからなくなるように繰り返します

3.2.3. 部分的に調整するための各種ツール

 Adobe Photoshop には、さまざまなツールが準備されていますが、その中から銀塩写真での修正作業に近いいくつかを簡単に紹介しておきます。それぞれ、ツールを選択し、オプションパレットやブラシパレットで度合いや範囲の大きさを指定して、修正部分をクリック&ドラッグするだけです。
 操作自体は簡単ですが、より効果的に使用するには、ある程度の経験が必要でしょう。

▼ 3 つのフォーカスツール

 ツールボックスの初期状態では「ぼかしツール」になっている箇所をプレスすると他に「シャープツール」と「指先ツール」を選択できます。それぞれの効果は次のようなものです。

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「ぼかしツール」の位置とその効果。背景のジーンズをボカしています

  1. ぼかしツール ぼかし
     画像の中の鮮明すぎる部分や、コントラストが高すぎる部分を微妙に修正し、ぼかします。クリックを繰り返すことで、修正の度合いがある程度強くなります。
     ブラシパレットの選択によって修正する範囲を、またオプションパレットの「強さ」の数字によって、その補正の度合いを変えることができます。
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「シャープツール」の位置とその効果。時計の文字盤をシャープにしました

  1. シャープツール シャープ
     ぼかしツールと逆の効果があります。画像のぼけた部分を、ある程度シャープに見せることができます
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「指先ツール」の位置とその効果。
ジーンズをグニグニと延ばしてみました

  1. 指先ツール 指先
     修正したい部分をクリック&ドラッグすれば、その部分の色彩を指先で延ばすような効果を得られます。オプションパレットの「フィンガーペイント」にチェックを入れると、他の色を使うこともできます。

▼ 3 つの暗室ツール

 初期状態では、「覆い焼きツール」になっている箇所をプレスすると、「焼き込みツール」と「スポンジツール」を選択できます。
 銀塩写真で暗室作業をおこなった経験のある人には、非常になじみ深い効果を得ることができます。これらも、オプションパレットとブラシパレットを併用して、効果的に使用してください。

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「覆い焼きツール」の位置とその効果。画面上部を少し明るくしています

  1. 覆い焼きツール 覆い焼き
     画像の一部分を明るくします。画面の中で影になっている部分のディテールを補いたい場合や、白い被写体をより白くすることができます。
     オプションパレットの「露光量」で度合いを調整し、ブラシパレットで修正範囲の大きさを設定することができます。
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「焼き込みツール」の位置とその効果。画面上部を少し暗くしました

  1. 焼き込みツール 焼き込み
     画像の一部分を暗くします。画面のハイライト部分のディテールを見やすくしたり、シャドー部をより深い黒にしたりできます。
     オプションパレットおよびブラシパレットの使い方は、覆い焼きツールと同様です。
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「スポンジツール」の位置とその効果。饅頭の焦げ目の彩度を少し上げました

  1. スポンジツール スポンジ
     画像の一部分の彩度を変化し、色味を目立たせなくしたり、逆に鮮やかにできます。
     オプションパレットで、「彩度を上げる」または「彩度を下げる」を選択し、その「強さ」を指定して使います。

3.3. 階調や色調を調整する

 例えば、銀塩写真のリバーサル(スライド、ポジ)フィルムでは、一旦仕上がった写真の濃さ(白さ黒さ)や色調を変えることはできません。カラーネガフィルムでも、仕上がったプリントの濃さや色調を、自らの意思で調整しなおすことはまれでしょう。なぜなら、とても手間がかかるからです。
 しかしながら、写真の濃さや色調を上手く調整するだけで、ほとんどの写真は「美しい」とか「いい感じね」といった印象のイメージになることは事実です。

 デジタル写真では、こうした調整を、パソコン上で簡単にできます。ただし、念をいれておきますが、「撮影はいい加減にでもおこなって、後でパソコンで調整しよう」と考えることは、間違っています。そのために必要な時間と手間を考えると、最初からカメラの設定(特に、露出補正とホワイトバランス)を正しくおこなっておく(第一回参照)方が、はるかに合理的です。

 パソコンによる階調や色調の後調整は、一つに非常手段であり、二つ目に特殊な効果を得るためであり、三つ目には撮影のシミュレーションのため、と割り切っていただきたいと思います。

3.3.1. 色の仕組み

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図4. 簡略化した人の目のつくり。1. 角膜、2. 水晶体、3. ガラス体、4. 網膜、5. 錐体、6. 幹体。

 さて、ここまでデジタル画像についての説明ばかりでしたので、少し肩の荷を下ろすつもりで、人の眼の話をしておきましょう。
 冒頭に、デジタル画像は 3 原色でできているといった話をしました。デジタル画像だけでなく、銀塩写真や印刷を含むアナログ画像でも、基本的には 3 原色でできています。
 それはなぜでしょう?
 単刀直入に述べるなら、「人の眼が 3 原色の光をそれぞれ感じて、さまざまな色調を脳の中に描くようにできているから」です。
 図4.は、おそらく多くの読者がお馴染みの、目の断面図です。角膜と水晶体がカメラでいうレンズの役割を果たし、網膜が撮像素子(あるいはフィルム)の役割をしていることは、ご承知のことと思います。
 この網膜には、光を感じる視細胞があります。そして、視細胞には、大きく二つの種類があります。
 
 一つは、かなり暗い(弱い)光に感じる幹体(かんたい)細胞です。これは、暗闇のような環境で機能するもので、"色" を感じません。いわゆる "夜目" に色がないのはこのためです。

 そしてもう一つ。通常の視覚で機能している錐体(すいたい)細胞があります。ある程度の明るさ(強さ)のある光でしか機能しませんが、"色" を感じることができます。そして、まことに興味深いことに、人間の眼のこの錐体には、赤(R)、緑(G)、青(B)の 3 原色を、それぞれ感じる 3 種類があります。つまり、3 種類の錐体細胞が、それぞれどの程度の光を感じているか? によって、われわれはさまざまな色彩を脳の中に描いているのです。
 つまり、赤(R)、緑(G)、青(B)の 3 原色を使えば、人が認識するほとんど全ての色彩を再現できることになります。これが、パソコンのモニタやデジタルカメラ、あるいは銀塩写真の原理です。それぞれの色光を加えることで、さまざまな色が作り出せるため、「加色法の 3 原色」と呼びます。

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図 5. 三原色のリング(カラーホイール)。それぞれの色の配置を覚えると、色の仕組みが理解しやすいです

 そしてもう一つ、白色の光から、「加色光の 3 原色」の色を差し引いた "色" を想定することができます(考え方を変えれば、「加色法の 3 原色」を打ち消す効果のある "色" とも言えます)。白色の光から赤(R)を差し引くとシアン(C)になります。緑(G)を差し引くとマゼンタ(M)に、青(B)を差し引くと黄(Y)になります。
 これら、黄(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)は、「減色法の 3 原色」と呼ばれます。インクや絵の具など、白色光から特定の色光の成分を吸収してさまざまな色を再現する、印刷や絵画などでよく使われています。
 なんだか、言葉で説明するとややこしくなりますが、図 5. にあるようなリング(カラーホイール)に譬えると、非常にわかりやすく覚えやすいものになります。

 ( 3 原色の詳細については、「一眼レフ入門 一眼レフなんてこわくない」第 11 回を参照してください。)

▼蛇足

 補色の関係を数式で示すなら、次のようになります。

 R(赤)=−C(シアン)、G(緑)=−M(マゼンタ)、B(青)=−Y(黄)

 ここで、白色など色がない状態を "0" と表記し、これまでの話を総合するなら、次のようになります。

 R+C=0、G+M=0、B+Y=0、R+G+B=0

 こうして、"色" すらも、機械的に計算可能な対象となるのです。

3.3.2. バリエーションコマンドを使う

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「バリエーションコマンド」。それぞれの数字は、操作の手順に対応しています

 先に、「加色法の 3 原色(R,G,B)」、あるいは「減色法の 3 原色(Y,M,C)」で、さまざまな色を再現できることを説明しました。ただし厳密には、写真やモニタや印刷で再現できる範囲よりは、人の眼で見ることのできる色の範囲の方がかなり広いです。
 しかし、少なくとも、写真やモニターや印刷上で再現できる色の範囲は、これらの 3 原色で規定されます。つまり、これらの 3 原色を使うことで、写真の全体的な色調は自由に調整できるのです。

 Adobe Photoshop の「バリエーションコマンド」を使えば、初心者でも、3 原色を使った色調調整が、視覚的にわかりやすくおこなうことができます。さらに、イメージの明るさ/暗さ、そして彩度(鮮やかさ)も、このコマンドで調整できます。
 
「イメージ」→「色調補正」→「バリエーション」で、このコマンドを呼び出すことができます。

【操作】

  1. 左上に並んでいる写真の左側が「原画」、その右側が補正過程の「現在」の状態です。
    途中で何をやっているのかわからなくなったら「原画」の写真をクリックすれば、元に戻ります。

  2. 「シャドー」「中間調」「ハイライト」を選択して、カラーバランスを調整する階調を決めます。
    始めに「中間調」を選択し、後から「シャドー」ないし「ハイライト」を選択するのがいいかと思います。
  3. 「小←→大」のスライダにより、バリエーションの調整幅を変えることができます。
     1ステップで、2倍(1/2倍)の変化量になります。慣れないうちは調整幅を大きくしたほうが分かりやすいはずです。
  4. 左下に並んでいるのが、カラーバランスのバリエーションで、加色法と減色法の3 原色のリング(カラーホイール)状に整列しています。希望する色調に近い写真をクリックすれば、それがリング中央の「現在」に配置され、新しいバリエーションで整列しなおします。

  5. 右側の縦に 3 枚並んでいる写真は、明るさ/暗さのバリエーションです。希望する濃さに近い写真をクリックすれば、それが「現在」になります。
  6. 「彩度」を選択すると、カラーバランスのバリエーションが消え、彩度の異なる3枚の写真が並びます。
    希望に近い写真をクリックします。
  7. 「現在」の写真が希望どおりの色調になったら、「OK」をクリックします。

 画面にあるいくつもの写真を見ながら、色調や明るさ/暗さ、あるいは彩度を調整していると、何がなんだかわからなくなることもあるでしょう。常に"「原画」や身の回りにある実物と比較してみること"、を心がけてください。

 それから、はじめのうちは、"とにかく大幅に変えてみる" ことをおすすめします。一度、やりすぎまで調整してから、希望する状態に少しだけ戻すといった手続きは、よい結果に至るための早道となるでしょう。

3.3.3. 階調と色調の調整コマンド

 「バリエーションコマンド」では、非常に分かりやすい視覚的操作で、カラーバランスや明るさ/暗さ、そして彩度を調整できます。
 でも、これで満足できないケースも少なからずあるはずです。こうした際には、もっと微妙なコントロールができるさまざまなコマンドを使ってみてください。デジタル画像に関する正しい知識を身につけた後で、これらのコマンドを使えば、大変合理的に希望どおりの結果を得ることができます。しかし、なんとなく使ってみながら、経験的にそれぞれの使い方を熟知していくのも、作戦の一つでもあります。
 「結果よければ全てよし」は、私の信念でもあります。ま、気負わずに、気楽にいろいろ試してみることをおすすめします。 

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「レベル補正コマンド」。山のようなグラフが、ヒストグラムです

  1. 「レベル補正コマンド」と「自動レベル補正コマンド」
    「イメージ」→「色調補正」→「レベル補正」あるいは「自動レベル補正」で呼び出します。
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「自動レベル補正コマンド」。このメニューを選択・クリックするだけで、写真の濃さや色調などが自動的に補正されます

 「自動レベル補正コマンド」は、レベル補正を Adobe Photoshop が自動でおこなうもので、カメラでいうオート(露出およびホワイトバランス)のようなものです。かなり優秀ですから、まずは一度試してみてください。それで満足できなければ、手動で「レベル補正コマンド」を操作すればいいのです。

 「レベル補正コマンド」では、画像の濃さとコントラスト(明暗差)などを調整できます。
 波うつようなグラフを「ヒストグラム」といい、画面の中の画素(ピクセル)の数を、その濃さの順に並べたものです。
 山が左側にあれば、全体的に黒い画素(ピクセル)が多い画面であることを示します。
 逆に、山が右側にあれば、全体的に白い画素(ピクセル)が多い画面だという意味です。
 ヒストグラムの見方がわかれば、画像の濃さやコントラストを調整する際の目安として、非常に有効です。

 画像の濃さやコントラストの調整は、「スポイトツール」スポイト および「スライダ」でおこないます。
 また、「チャンネル」を切り換えることで、3 原色それぞれの色を単独で調整することもできます。

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「トーンカーブコマンド」。トーンカーブの意味を理解しましょう

  1. 「トーンカーブコマンド」
     「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」で呼び出します。
     トーンカーブとは何か? をここで説明する余裕がないので恐縮ですが、例えば、銀塩写真でいうフィルムの特性を自由に設定できる機能と考えていいでしょう。
  1. 「カラーバランスコマンド」、「明るさ・コントラストコマンド」、「色相・彩度コマンド」
     それぞれ「イメージ」→「色調補正」から呼び出せます。
     「バリエーションコマンド」では段階的にしかできなかった調整を、連続的に素早くおこなえます。
     「バリエーションコマンド」に慣れてから使うことをおすすめします。

     ちなみに、Adobe Photoshop 5.0 LE の後継・最新版である Adobe Photoshop Elements には「トーンカーブ」コマンドはありません。かわりに「ハイライトを暗く」(ハイライト部の "白飛び" を抑制)とか「シャドウを明るく」(シャドウ部の "黒つぶれ" を救済)といったコマンドを新たに設けています
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「カラーバランスコマンド」。色調を連続的かつ素早く調整できます

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「明るさ・コントラストコマンド」。写真の濃さやコントラストを手早く調整できます

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「色相・彩度コマンド」。マンセル色票系に慣れている方は、「カラーバランス」よりもこの方が使いやすいかもしれません

 さてと、今回も長々と説明してきましたが、前回同様、頭の中がこんがらがっていませんか ? 私自身もまだまだ勉強中でして、「画像調整に王道はない」ことは確かな事実のようです。
 とにかくは、慣れること。時間をかけてじっくりいろいろ試してください。

 一番大切なのは、調整した画像データの保存に注意することです。極力「上書き保存」は避け、「別名で保存」し、オリジナルの画像は残しておきましょう。

「Adobe Photoshop」は、Adobe Systems Inc.(アドビシステムズ社)の商標です。
「Windows」は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。
「Mac OS」は、米国およびその他の国で登録された米国アップルコンピュータ社の商標です。
文中の会社名、商品名は、各社の登録商標または商標です。

4. ステップアップ (1) 「人物を撮る」

第 4 回目・ステップアップ (1) 「人物を撮る」

似顔絵 写真を撮ったり撮られたりする時、特に理由もないのに緊張してしまって散々な結果になったりしませんか ? 普段どおりの気楽さで撮れたらいいのですが、これが本当に難しいですね。

 一つは、カメラの使い方がわからないことからくる、写真写りに対する不安があるでしょう。そしてもう一つは、写真がずっと残ることからくる不安もあるはずです。将来、どこの誰に見られるかもしれませんものね。

 今回は、そんな不安をなくすための初歩的ステップです。肩の力を抜いて、読み進んでみてください。信じる者は救われる、かもしれません。

4.1. とりあえず始めてみよう

 日本では古来より、「隣の芝生は青い」とか、「隣の花は赤い」とか、ちょっとしつこいですが「隣の飯はうまい」などといって、何でも他人の物はよく見え、うらやましく思うことを、わざわざことわざにまでして珍重しています(?)。
 すばらしき日本人の感性......しかし反面、「隣の白飯より内の粟(あわ)飯」とか、「人の物より自分の物」、挙げ句は「他人の飯には骨がある」などといって、何でも自分の物が一番と思う「手前味噌」的なことわざも多くあります。
 いや、日本語講座ではありませんで、今回は、自分自身が写っている写真について考えることからスタートです。ただし、私自身の写真はあまり掲載しませんので、悪しからず......。

4.1.1. お気に入りの証明写真を撮る !

 パスポート、運転免許証、履歴書などなど、証明写真が必要になった時にあわてて準備して、「えー、こんなの違う〜」と思いつつも、「ま、時間もないし、しょうがないか」で諦めていませんか ?
 デジタルカメラがあって、家庭用プリンタがあるなら、証明写真のひとつやふたつどころではなくて、さまざまな目的別の写真を、本当に手軽に撮影・プリントすることができます(プリント作成時の解像度や大きさの調整については、3.1.3.参照)。
 実際に証明写真として使わなくても、「どんな風に撮られれば、どんなイメージになるか ?」を実体験できます。
 三脚を使えば、セルフタイマーモード(1.2.3.参照)に設定して、一人で撮影することもできます。

 ぜひ、一度チャレンジしてください。(私の運転免許証用の写真をご覧になりたい方は、短期講座の1 回目の「コラム」を参照)。

▼ステップ 1. 背景だけを準備して始めます。


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写真 1.A.
撮影のようす。照明は室内蛍光灯のみ、カメラの設定は全てオート [AUTO] です

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写真 1.B.
その結果

 まずは、背景となる白ないし無地の背景だけを準備します。白い壁などがあれば、そのままOK。照明は、室内の蛍光灯だけでも十分です。窓際なら、屋外からの光を使ってもいいでしょう。
 もし、色の再現がきれいでないなら、デジタルカメラのホワイトバランスの設定を見直しましょう(2.3.参照)。また、顔が暗くなるようなら、露出補正(1.3.3.参照)をおこないます。
 室内照明では光量が十分でないため、手ブレや被写体ブレが生じやすいものです。気になる場合には、次のような対策をとってください。

  1. デジタルカメラの感度を高め(ISO400相当など)に設定すると、シャッタースピードが速くなるため、ブレが軽減できます。
  2. できれば、三脚を使用します。
  3. 撮影する瞬間は、動かないようにします。
  4. 何度も撮影しなおし、ブレが気にならないカットを選択します。
     ニコンのデジタルカメラで「ベストショットセレクタ(BSS)」機能がついている機種であれば、この機能を試してみてもよいでしょう。この機能は、最大10枚の写真を撮影し、もっともシャープとみなせるカットだけを自動的に記録するものです。

▼ステップ 2. 白紙などで光を反射する。


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写真 2.A.
手に持った白紙で光を反射します

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写真 2.B.
その結果

 新聞紙大の白い紙(ないし白い布など)を準備し、写真 2.A. のように手に持ちます。写真用語で「レフ板」(反射板の意)などといいますが、白ならなんでも構いません。
 室内の蛍光灯照明の場合、光は天井から来ていますから、顔の下方にセットします。
 窓際の場合には、左右いずれかの方向から光が入ってきますから、その反対側にセットします。
 写真 1.B. と 2.B. を見比べて頂ければ、たったこれだけで、見栄えが変わることがご理解できるはずです。
 
▼ステップ 3. 身体や顔の向き、そして表情。

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写真 3.A.
身体を少し斜めにしています。ちょっと笑顔

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写真 3.B.
視線はカメラ向きのまま、顔はほんの少し横向きです

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写真 3.C.
笑いました

 証明写真といえば、「顔も身体も正面向きで真面目顔」といった先入観があるはずです。しかし、少しくらい横向きでも笑顔でも、たいていはそれで通ります。不安な場合は、何種類か用意しておけばよいでしょう。
 まずは、身体を少し斜めにしてみましょう。これだけで、普通の証明写真の印象ではなくなります。少しやせて見えたりもします(写真 3.A.)。
 次に、顔の向きも少し変えてみましょう。耳は片方しか見えなくなりますが、極端に横向きでなければ、使えるはずです(写真 3.B.)。
 ここまで撮影できたら、笑顔の写真も欲しいところですね。友達同士で撮影するなら、なんだかんだと笑わして撮影してみましょう。これなら、証明写真というより、プロフィール用の写真として使えますね(写真 3.C.)。

 大切な心得はひとつ。証明写真やプロフィール写真は、当人を知らない人が見るものだという事実を忘れないことです。少々、嘘が入っていても全然大丈夫。うまくいけば、すばらしい写真のイメージで、当人そのものを見てもらえるようにすらなります。

4.1.2. 「振り」をして遊ぶ

 日本語で、写真と書くと「真を写す」となるのですが、英語のフォトグラフィを含め、写真を意味する多くの単語の語源は「光の画」といった意味ですね。
 「真を写す」などというから、肩が凝るのです。ここは一発、「光の画」を「光が勝手に描いた空想画」といった理解の仕方をしてみましょう。すなわち、以下に掲載する写真は、被写体の「真実」では決してありません(少なくとも、その言い訳として......)。

▼「顔出し看板」で遊ぶ。

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写真 4.A.
「顔出し看板」です

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写真 4.B.
顔が大きいです

 日本の観光地によくある「顔出し看板」。一説によると、1893年にアメリカのシカゴで開催された万国博覧会ではじめてお目見えしたものとか。
 「馬鹿みたい」といえばそれまで。しかし、例えば写真撮影時のライティング、衣装、化粧、ヘアメイク、あるいはポーズなどは、被写体の人格(本質)に直接的には関わらない表層でしかありません。この「顔出し看板」もそうです。
 牽強付会(けんきょうふかい)とはいえ、共通していますね。

▼真似をして遊ぶ。

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写真 5.A.
市川団十郎の真似 ?

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写真 5.B.
バスガイドの振り ?

 ここでは、多くを語る必要はありますまい。ただの「顔出し看板」よりは、少し高級 ? な遊びです。どこが高級かといいますと、身体全体を使って表現しなければならないこと、がです。

▼"自分ではない自分" になって遊ぶ。

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写真 6.A.
偽の演歌歌手

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写真 6.B.
偽のウェイトレス

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写真 6.C.
偽の高校生

 ここでも、あまり多くを語る必要はないでしょう。単純にいえば、普通は着ない服装になってみただけ。そして、その気分を味わってみただけ......。ただ、こうして演じることで、自分の別の魅力を発見できることも多々あります。

4.1.3. プロの写真に学ぶ

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写真 7.A.
撮影専用の照明器具を使って撮影しました。蛍光灯照明の写真3.A.〜C.と比べてください


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写真 7.B.
眼に着目すると、照明(ライティング)の仕方がよく分かります

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写真 7.C.
撮影位置から見たところです

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写真 7.D.
被写体の背後から見たところです

 撮影時の衣装やポーズは、写真を見ただけで一目瞭然です。でも、多くの読者には、「ライティングはどのようにしているか ?」はなかなか分からないはずです。
 でも、写真をじっくり観察すれば、ライティングの仕方もおおよそ見当がつきます。特に、光が当たって反射しているテカリの部分や、影の出方に注目すれば、同じようなライティングを施すことができます。
 人物撮影の場合には、被写体の眼に注目してみましょう。眼は、表面が非常になめらかな球体ですから、照明機材のほとんどをそのまま写し込んでいます。
 おそらく皆さんには、プロフェッショナルと同じような照明機材を使うことはできないでしょうが、雑誌や広告などの写真を見る時、こうした点にも注目してみるのも楽しいものです。

4.2. よくある傾向と対策

 さて、肩の力が抜けるというよりも、脳味噌が溶けてきたような読者もいらっしゃるでしょうかね。
 ちょっと気を取り直して、ごくごく普通に写真を撮影する際の注意点を簡単に整理します。普通に撮影する時、多くの人は、普通に立った位置でカメラを構え、オートで撮影しますね。
 デジタルカメラでは、この時、液晶モニタで結果を直ぐに確認できます。
 ここでもし「なんとなく気分じゃないな」と思えたら、とりあえず次の 3 項目を思い出して撮影しなおしてください。

4.2.1. カメラの向きと位置を変えてみよう

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写真 8.A.
立った状態でカメラを構えて撮影

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写真 8.B.
被写体の全身が入るようにカメラを下向きにして撮影

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写真 8.C.
少し腰を落として撮影

 多くのデジタルカメラでは、画面の中央部にフォーカスエリア(フォーカスフレーム)のマークがあり、この部分にある被写体にピントが合います。また、人物を撮影する場合にもっとも注目する部分は、被写体の顔のはずです。
 このため、人物の顔が画面中央部に配置され、足もとが切れて写るケースが少なくありません。顔だけでなく、全身が入るように撮影してみましょう。単純に、カメラを下向きにするだけです。
 カメラを下向きにすると、画面内に全身が収まりますが、少し頭でっかちに写ります。これが気になる場合には、少し腰を落としてカメラ位置(ポジション)を少し下げてみましょう。
 ここまで撮れるようになると、もっと別の位置から撮影できる余裕も出てくるはずです。

4.2.2. 背景や服の濃さで「明るさ」が変わる

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写真 9.A.
白い服で撮影

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写真 9.B.
黒い服で撮影

 写真の知識の少ない方々の常識的判断なら、「人物を撮影する時、被写体が着ている服が白であろうが、黒であろうが、人物(顔)は同じ濃さで仕上がるはず」です。
 しかし実際には、白い服を着ている場合には、全体的に暗い(黒い)写真になります。つまり顔も黒くなってしまいます。
 逆に、黒い服を着ている場合には、全体的に明るい(白い)写真になり、結果として顔も白くなります。
 これは、カメラが、被写体の明るさに関わらず、画面全体の濃さを適度にするよう調整しているためです。
 少し専門的な話になりますが、測光方式の設定や被写体の状態によっては、正しい濃さで再現されることもありますが、基本的には、画面の中に白い部分が多い被写体を撮影すると全体的に暗く(黒く)なり、逆に画面の中に黒い部分が多い被写体を撮影すると、全体的に明るく(白く)なる傾向があることを覚えておいてください。

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写真10.A.
明るい背景の前で撮影

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写真10.B.
+1EV の露出補正をして撮影

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写真11.A.
黒い背景の前で撮影

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写真11.B.
-1EV の露出補正をして撮影

 白さ・黒さの問題は、服だけでなく、背景の白さ・黒さでもいえることです。
 ニコン クールピクス 995 / 885 / 880 などの機種に搭載されているマルチパターン測光などの機能では、こうした傾向はかなり改善されています。
 とはいえ、写真の仕上がりの濃さ(人物撮影なら特に、顔の白さ・黒さ)には、少し注意を払っていただきたいと思います。
 思い通りの濃さにならなかった場合には、露出補正機能(1.3.3.参照)を使ってください。ごく単純に、+ の数字を大きく設定すれば画面全体(特に顔)が白く(明るく)なります。逆に - の数字を大きくすれば画面全体(特に顔)が黒く(暗く)なります。
 写真に写る濃さは、かならずしも実物の濃さそのものではないのです。もっと自由に露出補正機能を使って頂きたいと思います。

4.2.3. スピードライトの使い方に注意

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写真12.A.
スピードライトの発光なし(発光禁止モード)で撮影

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写真12.B.
スピードライトの発光あり(オート / 逆光モード / 強制発光モード)で撮影

 ニコン クールピクス シリーズなど、スピードライトが高機能化しているカメラでは、カメラが必要と判断した場合に、自動的にスピードライトが発光してくれます。
 上の写真はその良い例で、それなりの明るさのある状態にもかかわらず、自動的にスピードライトが発光してくれました。
 結果も、スピードライトが発光しない写真12.A. よりも、発光している12.B. のほうが好ましく見えるはずです。
 ただし、実際のさまざまな撮影では一長一短があり、必ずしもよい結果に結びつかないこともあります。とりわけ、ピンボケやブレがあっても、その場の雰囲気を写したい場合には、スピードライトを発光しないほうが好ましいと思える結果になることも、意外に多いものです。

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写真13.A.
スピードライトの発光あり(オート / 強制発光)で撮影

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写真13.B.
スピードライトの発光あり(スローシンクロモード / パーティモード)で撮影

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写真13.C.
スピードライトの発光なし(発光禁止モード)で撮影

 これらの写真を見た時、とりわけ "撮影された本人が喜ぶであろう写真" を選ぶとするなら、13.B. か13.C. ですよね。しかし、いずれもカメラブレがあります。しかし、気分的にはやはり13.B. か 13.C. ではないでしょうか?
 多くのカメラは、ピンボケやブレを最小限に抑えて、失敗を少なくするように発達してきました。しかし、撮影時の雰囲気や気分を大切にするようには、まだなっていません。
 ですので、スピードライトの使い方には特に注意し、少なくとも、発光禁止 / 強制発光 / スローシンクロの 3 種類をうまく選択できるようになって欲しいです。

加えるなら、赤目軽減機能についても理解を深めてください(2.2.3.参照)。

4.3. バリエーションを楽しむ

 「上手な写真、見栄えのある写真、いい表情の写真を撮りたい」と、誰もが思っているはずです。でも、それがなかなかできない原因の一つが、冒頭で述べたよう「撮影を楽しめるかどうかに掛かっている」と私は考えます。
 どういうことか、一つ具体的にいうなら、例えば、写真を楽しめるならば、同じようなポーズで繰り返して撮影しなおしたり、さまざまな表情で写ったりすることができます。数多くの写真を撮影できますから、それらのなかから一番目的にかなったカットだけを選択する自由度も広いわけです。
逆に、撮影を楽しめない場合。「なんとなく恥ずかしい」とか、「一発で決めなければならない」といった気分があると、なかなかうまくいきません。うまくいかないだけでなく、ここでは選択肢が一つしかありませんから、もし失敗していたとしても、それで満足するしかないのです。

 「とりあえず、いろいろ条件を変えて数多く撮影し、ベストのカットだけを残す」。これは写真上手への王道であると共に、プロフェッショナルのフォトグラファーが必ずやっていることでもあります。プロでさえ数多く撮るのですから、シロートの皆さんはそれ以上に数を撮影するのが、筋であり道理といえるでしょう。
 デジタルカメラなら、ほとんど金銭的コストはかかりません。さあさ、皆さん、撮りまくりましょう。

4.3.1. 「カメラポジション」と「ズーム」

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写真14.A.
立った状態(高いポジション)から見おろすように撮影

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写真14.B.
しゃがんだ状態(低いポジション)から撮影

 カメラ位置(ポジション)の高さ・低さを変えるだけで、特に背景の写り方が変わります。また、4.2.2.で紹介したように、被写体のプロポーション(形)の印象も変わります。
 記念撮影にしろ、モデル撮影にしろ、子供の撮影にしろ、あるいは証明写真にしろ、とりあえずカメラ位置(ポジション)の高さ・低さを変えた数枚を撮影して比べてください。これだけで、あっと驚く発見があるはずです。

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写真15.A.
ズームレンズを [W](広角)側にして、被写体に近づいて撮影

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写真15.B.
ズームレンズを [T](望遠)側にして、被写体から離れて撮影

 上の 2 枚の写真では、背景であるビッグサイトの建物の大きさの印象が全く違いますね。船上での撮影ですが、ほぼ同じ場所で写しました(面白いことに、実は右の 15.B.のほうが、ビッグサイトの建物から遠ざかったところで撮っています)。
 カメラのズームレンズの操作に加えて、被写体との距離を変えるだけで、これだけの違いになります(1.3.参照)。

 こうした違いをより楽しむには、撮影を始める前に、あらかじめズームレンズを [W] 端ないし [T] 端の両端に設定しておき、後は足(フットワーク)を使って被写体との距離を変えて、画面に写る被写体の大きさを調整する......、といった手順をおすすめします。

4.3.2. 「構図」のバリエーション

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写真16.A.

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写真16.B.

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写真16.C.
ほぼ同じカメラ位置で、画面内における人物の位置を変えて撮影したもの

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写真16.D.

 「構図のいい写真、悪い写真」、という言葉を良く耳にします。でも、私見としていうなら、目的にあった構図があるだけで、アプリオリ(先験的)に「いい構図」や「悪い構図」などというものはないように思います。

 例えば、「上の写真16.A.〜E. のどの構図が最良ですか ?」と聞かれると、ちょっと判断がつきかねます。それぞれにそれぞれのよさがあって、それぞれに見える背景や前景も異なります。
 一枚の写真として飾るなら、人物が真ん中の写真16.A.。
 外の景色がよく見えて広がりを感じるといえば、16.B.。
 16.C.は、ちょっと窮屈な印象を受けますが、他の写真との組み合わせでは使えるかもしれません。
 16.D.は、ちょっと変わった感じで面白い......。といった具合です。
 ただ、私が普通に一枚だけ撮れば、多分16.A.だけになってしまうでしょう。この場合、例えば16.D.の面白さは見失うことにもなるのです。
 時間の許す限り、無駄を覚悟で、いろいろ撮っておきたいものです。

4.3.3. 「光と影」のバリエーション

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写真17.A.
カメラの後方に太陽がある状態(順光)で撮影

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写真17.B.
画面右手に太陽がある状態で撮影

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写真17.C.
被写体の向こう側に太陽がある状態(逆光)で撮影

 「写真は光を写すものだ」という事実は、もはや常識といっていいものです。
 しかし、普通に写真を撮影していると、どうしても被写体という対象そのものを見てしまって、光と影などには全く目が向きません。
 しかし、デジタルカメラの液晶モニタは、画面を対象化して見ることがたやすい便利なツールです。ですから、液晶モニタに映し出されたイメージを見る時に、光と影にも注目してください。そして、変なところにテカリがあったり、影が落ちていたりした場合には、それらが写らないような向きやカメラ位置で撮影しなおしてください。
 光と影に注意を払うだけで、後になってから気づく失敗は、かなりなくなるはずです。
 
 ちなみに、写真17.A.〜C. は、ニコン クールピクスのオート [AUTO] モードで、露出補正なしで撮影したものです。オート [AUTO] モードでこれだけ写れば十分ですね。
 逆光の写真17.C. で、手前にレフ板をセットして、人物を明るくすれば、雑誌のグラビアページや衣装のカタログ写真などでよく見るイメージに近いものになります。

 
 今回はここまでです。撮影した後で、その写真を「失敗作」と見るか、あるいは「面白い」と見るか ? の分かれ目はかなり微妙です。
 「どうせなら、なんでも面白がるほうが、精神衛生には極めてよろしい」そう思うのは私だけではないはずです。
 少しは肩の荷がおりましたか ? 次回は、ステップアップ(2)「物を撮る」です。
お楽しみに。

5. ステップアップ (2) 「物を撮る」

第 5 回目・ステップアップ (2) 「物を撮る」

似顔絵 今回は、小物の撮影術を紹介します。例えば、ネットオークションの品物を撮影したり、趣味の作品の記録をしたりする際に、より美しい写真を撮るための技術です。

 意外かもしれませんが、デジタルカメラを使えば、通常の室内や事務所内の照明で撮影するだけで、十分きれいな小物撮影が可能です。結果をモニタで確認しながら撮影できることも、デジタルカメラならではの有利さです。難しく考えずに、気楽に始めてみましょう。大切なのは、カメラの操作よりも、背景や小物の置き方、そして光の当て方です。

 なお、「デジタルカメラ入門 デジタルカメラなんてこわくない」2 回目「しっかり見て撮ろう!」も参照してください。

5.1. 小物撮影の流れ

 小物撮影に関する知識がないままに自己流で始めたとき、「なんとなくきれいじゃないけれど、その原因がどこにあるのかわからない」といった難問に突き当たるはずです。
 撮影に対する情熱と時間的余裕があれば、こうした難問は、いずれ解決できるはずですが、多くの人にこれらがあるとは限りません。
 ここでは、まず撮影の全体的な流れを紹介します。小物を撮影するとはいえ、細部にこだわることなく、大まかな感じをつかんで頂きたいと思います。

5.1.1. カメラの機能のおさらい

 室内照明で小物を撮影する際に必要な、カメラの各種機能を今一度確認しておきましょう。詳しくは、それぞれのリンク先を参照してください。

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写真 1.A.
[P] モードに設定します

▼露出モードの設定。

 もっとも簡単かつ確実な露出モードは、[P] モードです。このモードに設定するだけで、まず問題なく撮影できます。
 もし、背景のボケ方を調整したい場合には、[A]モードにして絞り値を自分で設定(詳しくは、「2.2.1. 絞りとシャッタースピード」、および 「2.2.2. シーンモードと[P]、[A]、[S]、[CSM](カスタム)」を参照)します。

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写真1.B.
マクロ撮影モードと内蔵スピードライトの発光禁止

▼ フォーカスモードと内蔵スピードライトの設定

 小さな対象を撮影する場合は、ある程度以上、被写体に近づかなければなりませんから、マクロ撮影モード(花のマーク)に設定(詳しくは、1.2.3. フォーカスモードとセルフタイマーを参照)します。
 また、三脚を使用すれば、あまり明るくない室内照明でも十分撮影できます。室内照明の美しさで撮影するためにも、内蔵スピードライトを発光禁止に設定(詳しくは、「2.2.3. 内蔵スピードライトを使いこなす」を参照)します。

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写真1.C.
露出補正値は、液晶モニターなどに表示されます

▼ 露出補正機能を使う

 照明の明るさに関わらず、写真の仕上がりの明るさ / 暗さは自在に調整できます。多くの初心者が誤解しているのですが、「暗い場所では暗い写真になる」ということはありません。露出補正機能を使えば、かなりの範囲で仕上がりの明るさ / 暗さを調整できます。この機能の使い方はぜひマスターして(詳しくは、「1.3.3. 明るさを変えてみよう ! 」を参照)ください。

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写真1.D.
ホワイトバランス機能を使えば、色再現の不具合を解決できます

▼ ホワイトバランス機能を使う。

 ご自宅の室内照明には、蛍光灯や電球の他に、屋外からの光が入り込む場合もあるでしょう。もっとも望ましいのは、これらの光源の種類をどれか一つにすることです。蛍光灯なら蛍光灯のみ、電球なら電球のみとします。その上で、ホワイトバランス機能を使えば、色再現の問題は、まず解決できます。

 もし、光源の種類を制限できない場合や、微細な再現が気になる場合には、ニコン「COOLPIX(クールピクス)」シリーズならプリセット機能を使ってみて(詳細は、「2.3. ホワイトバランス機能で色を遊ぶ」を参照)ください。

- ここで一言 -
 ホワイトバランス機能を使えば、色再現に関する多くの問題を解決できます。しかし、例えば、ジーンズのインディゴ、バラの真紅、特種な染料を用いた素材などでは、見た目の色調をそのままパソコンのモニタやプリント上に再現するのは、困難を極めます。一つの色だけでなく、画面内に写っている全ての被写体の色を正しくすることとなると、ほとんど不可能です。色の再現に関しては、適当なところで妥協することも大切でしょう。

5.1.2. カメラと背景のセッティング

 さて、いよいよ撮影準備です。ここで必要なのは、

  1. 三脚、
  2. 撮影台になる机、
  3. 背景となる紙や布、
  4. 背景を支える壁、です。

 三脚以外は、家庭内にあるもので代用できます。手持ちの物で、始めましょう。

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写真2.A.
カメラを三脚に固定します

▼ カメラを三脚に固定します

 冒頭でも述べた通り、カメラは必ず三脚に固定して撮影します。室内照明はあまり明るくありませんから、手持ち撮影ではブレてしまいます。これを防ぐのが、三脚を使用する一番の目的です。
 また、三脚を使用することで、同じフレーミングのまま、露出補正機能やホワイトバランス機能や、後述するレフ板やディフューザーの効果の違いを、より正確に確認できるはずです。


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写真2.B.
背景の紙や布は、壁から垂らすようにセットします

▼ 撮影台と背景をセットします

 撮影台は、食卓、こたつ、勉強机や事務机などを使います。
 背景は、撮影したい物によって、色や模様の合うものを選んでください。ある程度の面積がある紙や布など、何でも使うことができます。

 また、撮影台を壁などにつけ、背景の紙や布を壁から垂らすようにセットします。理由は後述します。
 なお、几帳面(きちょうめん)な方は、壁と机が接したところで折り目をつけてしまいたくなるでしょうが、折り目は必要ありません。

▼ 撮影したい物を置いて撮影します


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写真 2.C.
カメラに近い位置に置き、

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写真 2.D.
三脚を使ってカメラ位置を調整します

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写真2.E.
仕上がり。露出補正機能とホワイトバランス機能で濃さと色を調整します

 準備はこれで完了です。室内の照明だけで撮影してみてください。ここで掲載したデジタルカメラで撮影した写真は、天井の蛍光灯による照明を使っています。

 撮影した結果で注目するのは、

  1. 背景となる紙や布が画面の端の部分で切れていないか ?
  2. 濃さや色は正しく再現されているか ? です。

1. は、背景の大きさや対象の置き場所を変えることで解決します。
2. は、露出補正機能とホワイトバランス機能を使えば解決します。

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写真 2.F.
着物と帯のコーディネートにも便利

▼ 写真を活用する

 撮影した写真は、そのままでもパソコン上で管理できますが、プリントを作成し、その裏に各種の情報を書き込むなどすれば、さまざまな活用が考えられます。
 この場合は、"着物と帯のコーディネートに、とっても便利"、といった展開なのですが、例えば料理の写真であれば裏面にレシピを書き込めば、とても有効に使えるでしょう。
 なおかつ、こうしてしっかり撮影したものであれば、他の人に見せるのにも好適です。いろいろ撮影して、自慢しましょう。

5.1.3. イメージカットを撮影してみる


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写真 3.A.
いくつもの物を並べて撮影します

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写真 3.B.
隠れる部分に細工をして、置き方を工夫します

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写真 3.C.
仕上がりです。本物の広告写真(?)のようですね

 単品の撮影ができるようになったら、画面の中にいくつもの物を配置して撮影してみましょう。並べ方や置き方に工夫するだけで、いかにも広告写真らしいイメージの写真を撮影することもできます。
 正直いいますと、これは写真の技術というよりも、撮影対象を選択し配置する技術といっていいでしょう。技術というよりも、センスといったほうがいいでしょうか ?
 カメラの位置から見えない(=写らない)部分に工夫を凝らせば、物の置き方を自由に変えることができます。

▼ 背景を壁に垂らした理由について

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写真 3.D.
背景を壁に垂らさずにセットすると......

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写真 3.E.
背景の奥行きが足らないために、舞台裏(?)が見えてしまいます

 先に、背景は壁に垂らすようにセットすることを述べました。この写真を見れば、理由は一目瞭然のはずです。背景を壁に垂らすことで、画面の上部までをも均一な背景で写せるのです。
 背景のセットによって、見せたくない舞台裏を隠すことができます。"へんなオヤジ(といっても私ですが......)が鼻をほじっている" はやりすぎですが。

5.2. レフ板を使う

 デジタルカメラで室内で撮影する場合、蛍光灯照明、とりわけ天井の各所に数多くの蛍光灯が取り付けられているような事務所などでは、それだけで非常に美しい照明になります。
 しかし、一般家庭では、部屋の中央部に一カ所だけ蛍光灯や電球が取り付けられているような環境も多いはずです。こうした場合でも、特に問題なく撮影できるはずですが、もし、強い影が気になるとすれば、レフ板を使ってみることをおすすめします。

5.2.1. レフ板を作る

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写真 4.A.
スチレンボード、カッターナイフ、テープなどを準備します

 小物撮影のためには、せいぜいA4判サイズ程度のレフ板があれば十分です。時間のある時に、大きさの異なるいくつかのレフ板を作っておきましょう。
 表面が白いものなら何でも使えますが、大型文具店などで入手できるスチレンボードを使えば、簡単に、しかも使い勝手のよいものを作成できます。
 二つにカットし折れるように作ることで、自立させることができます。ちょっとした工夫ですが、一人で撮影するのに非常に便利です。

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写真 4.B.
スチレンボードをカットします

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写真 4.C.
テープで貼り付けます(わかりやすいよう黒テープにしています)

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写真 4.D.
二つ折りできるように作ります

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写真 4.E.
折れ目を使って自立させることができます

5.2.2. 影の明るさを変える


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写真 5.A.
レフ板なしで撮影すると......

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写真 5.B.
このように強い影がでる場合が......。


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写真 5.C.
レフ板を使うことで......

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写真 5.D.
影を明るく(弱く)することができます。

 写真は、動かないイメージ(静止画)です。このため、画面の中に写っている「影」がとても気になる場合が少なくありません。ビデオのように動くイメージ(動画)であれば気にならない「影」でも、写真ではとても気になります。
 「写真は "光と影の芸術"」といわれる所以(ゆえん)のひとつはここにあります。
 通常、私たちは写真に写っている「対象」を見てしまいますが、「影」に注目してみることで、ワンランク上のイメージにすることができます。

 レフ板を使って、光源の光をちょうど鏡のように反射し、「影」の部分を明るくしてみましょう。角度や向きを調整すれば、「影」の明るさをある程度自由に変えることができるはずです。

5.2.3. いくつものレフ板を使う

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写真 6.A.
レフ板なしで撮影

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写真 6.B.
その結果。お菓子の手前に弱い影が出ています

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写真 6.C.
左右にレフ板をセットすると......

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写真 6.D.
影がかなり明るくなりました

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写真 6.E.
黒紙などを使って、背景(お菓子の後方)に影を作ると......

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写真 6.F.
画面上部が少し暗くなりました

 レフ板をいくつか作っておけば、さまざまな応用が可能になります。
また、黒いレフ板(?)を使えば、影をより黒くすることもできます。
 要するに、レフ板を使えば、被写体や背景に当たる光と影を、自由に調整できるということですね。
 考えてみれば、単純極まりないことなのですが、こうした積み重ねによって、写真の善し悪しの印象がとても大きく変わります。いろいろ試してくださることを期待します。
 なお、小さなものの撮影で知ることのできたレフ板の効果は、人物撮影などでもまったく同じです。違いは、それぞれの大きさだけです。

5.3. ディフューザーを使う

 レフ板は、光を「反射」するものでしたが、ディフューザーは、光を「拡散」するための道具です。
 日昼の自然光でいえば、雲の役目を果たします。しかしまさか、小物撮影用に雲をもってくるわけにもいきませんから、手頃なものを作成しておきましょう。アクセサリーや宝石や時計など、とりわけ光沢のある物を撮影する時に、威力を発揮します。

5.3.1. ディフューザーを作る

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写真 7.A.
乳白で半透明の素材、枠、テープ、はさみなどを準備します


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写真 7.B.
枠にあわせて素材をカットします


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写真 7.C.
枠に張り付けるだけ

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写真 7.D.
完成。なんと簡単なことでしょう

 ディフューザーの素材になるのは、乳白の半透明のものならたいていのものが使えます。ここでは、乳白のゴミ袋を使いました。お買い物で使われる乳白のポリエチレン(?)袋、炭酸カルシウム袋や、半透明のトレーシングペーパー、薄手の布地などでも構いません。
 ただし、透明度の高いものは、ディフューザーとしての効果に欠けます。また、厚手のものでは透過する光の量が少なくなるために撮影が少し困難になります。

5.3.2. 写り込みを変える


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写真 8.A.
蛍光灯照明で撮影すると......

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写真 8.B.
結構いい感じです


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写真 8.C.
蛍光灯の照明をディフューザーで拡散して撮影すると......

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写真 8.D.
特にスプーンが美しく写りました

 レフ板は主に「影」の明るさを変えるために使いますが、ディフューザーは主に「光(テカリ)」の描写を変えるために使います。
 "論より証拠" で、写真 8.B.と8.D. を比較して見れば、これが良く分かるはずです。
 テカリとは、要するに光源がそのまま反射した部分です。室内照明では、蛍光灯や電球などの光源の光が、被写体の光沢のある部分で反射し、細かなテカリになります。
ディフューザーは光源の光を拡散します。このため、被写体の近くにセットすることで、まるで大きな光源を使っているかのような写りになるわけです。
 この作例では、特にスプーンの写りが決定的に異なることが分かるでしょう。ディフューザーを使った方が、明らかに高級な感じがするはずです。
 しかし、ゼリーのプルプルッとした感じは、もしかするとディフューザーを使っていないほうがよいような気もしますね。難しいところです......。

5.3.3. 素材感を演出する

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写真 9.A.
デジタルカメラにて室内の蛍光灯照明だけで撮影すると......

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写真 9.B.
金や銀の表面が、あらゆる物を写してしまいます

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写真 9.C.
ディフューザーを使うと......

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写真 9.D.
光沢の感じがきれいになりました

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写真9.E.
ディフューザーの位置を少しズラして撮影すると......

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写真9.F.
光沢の中にも黒い線ができ、なんとなく締まった感じに見えます

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写真9.G.
カメラや自分が写り込んでしまう場合には、こんな道具を使ってみよう

 模様のあるガラスの上に、原価数百円のアクセサリーを置いて撮影したものです。
 自画自賛の誹り(そしり)は免れませんが、ディフューザーを使うことで、なんとなく高価なブランド品のような感じになりますね。
 金や銀、それも光沢のある素材を写すのは、非常に難しいものです。なぜなら、それは鏡のような表面ですから、ありとあらゆる周りの状況を写してしまう(周りの状況が写り込んでしまう)のです。ディフューザーは、こうした写り込みを変えることができる便利な道具です。ぜひ、お試しあれ。

 金や銀でできたアクセサリーや宝石や時計などを撮影していると、場合によっては、カメラ自体や自分自身が写り込んでしまうことがあります。こうした場合には、真ん中をレンズの大きさに合わせて切り抜いた黒紙(グレーや白でもO.K.)を、レンズ部に取り付けて撮影してみましょう。
 ただし、カメラの電源を OFF にした時にレンズがボディに収納されてしまうタイプのカメラでは、取り付けに十分注意してください。カメラの故障の原因になることがあります。ニコン「クールピクス885」や「880」、「775」などでは、アダプターリングを使えば非常に安心です。

 さて、いかがでしたか ? 少しは自分で撮れそうな気分になって頂けたでしょうか?
 小物の撮影は、難しく考えれば、いくらでも難しくなりますが、簡単に考えれば、いたって簡単なものです。ぜひぜひ、ご自身のカメラで、お気に入りの小物を写真に撮ってみてください。
 次回は、「"名作" 撮影のための、写真の見方」です。何がでてきますかな ? お楽しみに。

第 6 回目・ステップアップ (3) 「"名作(!?)" 撮影のための、写真の見方」

似顔絵 いい写真とそうでない写真の違い、とは何でしょう ? あるいは、感動できる写真とそうでない写真には、どんな差があるでしょう ? 美しいと思える写真とそうでない写真を隔てているのは、いったい何なのでしょう ?

 このように考えながら、写真を見なおしてみると、そこには別の意味や価値が浮かび上がってきます。単純にいえば、写真は見方によって良くもなれば悪くもなるのです。だとするなら、自分たちが撮影した写真に良さだけを見るようにすれば、こんなに幸福なことはありません。

 今回は、そんな写真の見方のコペルニクス的転回(!?)を図ります。ま、馬鹿なことやってるなーと笑い飛ばして頂ければ幸いです。

6.1. 過ぎたるは、傑作の如し

 カメラもデジタルカメラも、ブレやピンボケ、露出などの失敗をできるだけ少なくするように発達してきました。この方向性は、未来永劫、変わることがないはずです。だって、失敗写真なんて、誰も撮りたくありませんものね。
 しかしながら、摩訶不思議としかいいようがないのですけれども、多くの人が失敗写真に感動したり、興味をそそられたりします。とりわけ、度の過ぎた失敗写真はそうです。その理由の一つは、現在のカメラ技術をもってすれば、なかなか度の過ぎた失敗写真など撮れないからでしょう。皮肉といえば皮肉ですね。
 ここに紹介する作例は、いわゆる失敗を、度の過ぎた失敗にすることで、別の意味を持たせようと試みたものです。技術的には、そこそこ面倒だったりしますが、皆さんもご自分の手とカメラで試みてください。


6.1.1. ひどいピンボケと大きなブレ

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写真 1.1.A.
両方にピントを合わせるのはコンパクトタイプのデジタルカメラでも不可能です

▼ 技術案内

 このような写真を撮る時は、フォーカスロック機能(2.1.2. 参照)を使うか、AFエリアのマニュアル設定(デジタルカメラによって、ない機種があります:2.1.3. 参照)を使います。ピントをマニュアルフォーカスで設定できる機能があれば、より簡単にピンボケの写真を撮影できます。


▼ 鑑賞のポイント

 コンパクトタイプのデジタルカメラは、撮像素子がとても小さいために、銀塩フィルムのカメラと比べると焦点距離の短いレンズが採用されています。このため、一般的な撮影では、大きなピンボケで写ることは滅多にありません。
 デジタルカメラの液晶モニタでイメージを確認するだけでは、ピンボケはほとんど分からなかったりします。
 パソコンのモニタ上やプリントした写真でイメージを大きく拡大した時にはじめてピンボケと分かって愕然とした経験は、多くの読者が体験していることでしょう。

 ここで、ちょっと発想を転換して、大きなピンボケで撮影することにチャレンジしてみませんか? 技術的な難しさと同時に、意外なイメージを楽しめることは請け合いです。


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写真 1.1.B.
写っているのは「心霊」ではなくて、ブレです

▼ 技術案内

 このような写真は、カメラを三脚にセットし、薄暗い場所で撮影すれば、簡単に撮影できます。
 できれば、感度を低めに設定し、[S] モード(シャッタースピード優先モード)を選択してシャッタースピードを遅く設定するか、[A] モード(絞り優先モード)を選択して絞りを絞り込むように(F値、絞り値を大きく)設定します(2.2.2. 参照)。
 この写真のシャッタースピードは 1/4 秒です。


▼ 鑑賞のポイント

 こうした写真に、「心霊」を感じてしまうのは、私だけではないはずです。しかし、写っているのは、和服の女性が後方の岩から軽く飛び下りた瞬間のブレた映像です。
 どうやら、私たちの意識は、こうしたブレを「心霊」だと思いたがる性質があるようです。頭の上の部分の竹がロープのようにも見えて、なんとなく首を吊っているかのようにも見えたりします。繰り返しますが、ここに写っているのは、"和服の女性が後方の岩から軽く飛び下りた瞬間のブレた映像"、でしかありません。
 不気味といえば、確かに不気味でして、あまりこういう写り方を好む方は少ないでしょう。しかし、面白いといえば、面白いイメージです。思いがけずこうした写真が撮れてしまった時には、あまり神経質にならずに、笑い飛ばしましょう。


6.1.2. 妙な構図

 一般的に写真は、四角く囲まれたイメージです。"四角の中に、さまざまな対象をどのように写すか"、が写真の構図の問題であり、そのために多くの人は、四苦八苦しながらよいカメラポジションやカメラアングルを探し求めるのです。
しかし、何の気なしにうっかりシャッターボタンを押してしまって写った写真に、不思議な魅力を感じることは少なくありません。深く考えすぎないで、さまざまなカメラポジションやカメラアングルで撮ってみることが肝要といえましょう。

 写真は撮影してみるまで、"どのように見えるのか" が分からないものです。デジタルカメラの液晶モニタは、撮影結果をほぼリアルタイムで見ることができますが、撮影現場を離れて、自宅のパソコンのモニタで見るだけでも、既に印象は変わります。とにかくは撮った者勝ち。デジタルカメラでは、電気代ないし電池代だけで済みます。既成のイメージにとらわれないカメラポジションやカメラアングルを探してみましょう。

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写真 1.2.A.
画面の端に写したい対象を位置させる

▼ 技術案内

 写真 1.1.A. と同様、フォーカスロック機能(2.1.2. 参照)やAFエリア選択機能(デジタルカメラによってない機種があります:2.1.3. 参照)を活用します。この場合は、フォーカスロック機能を使っています。

▼ 鑑賞のポイント

 デジタルコンパクトカメラのAFエリアは、一般的に画面中央部にあります。このため、写したい対象を画面中央部に配置して撮影するのが、正しい撮影の基本です。
 しかし、写したい対象を画面の端に位置させてみるだけで、なんとはなしに普通の写真ではない印象になります。カメラを斜めにして撮影するのも楽しいでしょう。

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写真 1.2.B.
何がどう写っているのか、一瞬分からない

▼ 技術案内

 彼女が自分の足元を撮影したものです。AFエリアを画面の上部に設定し、足袋(たび)にピントを合わせています。

▼ 鑑賞のポイント

 写真を撮影する時、多くの人は、何がどのように写っているのかを分かりやすく説明しようとしがちです。
 これはこれで大切なことなのですが、時にはいっそのこと、何がどのように写っているのか分からない写真を目指してみましょう。
 何がどのように写っているのか分からない写真を撮影するのは、意外に難しいものです。と同時に、被写体の意外な見え方を発見できる、とても楽しい体験になります。

6.1.3. 現実離れした色や濃さ

 デジタルカメラを使う時、各種の設定をオートで済ましてしまう読者は圧倒的多数に及ぶはずです。  現実問題として、デジタルカメラのオート機能は、ほとんど芸術の域に達しているとさえ思えるほど、優秀です。下手にマニュアル設定しようものなら、必ずといっていいほど失敗してしまいます。
 ですから、失敗を楽しむつもりでマニュアル設定を試みてみるのが、デジタルカメラを使いこなすための早道かもしれません。こうした意味でも、ホワイトバランス(2.3. 参照)と露出補正機能(1.3.3. 参照)は、とても使いでのある機能です。ぜひ、お試しあれ。

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写真 1.3.A.
憂鬱な「青」

▼ 技術案内

 ホワイトバランスをマニュアルで「電球」に設定し、屋外の太陽光下や日陰で撮影すると、画面全体が青くなります。

▼ 鑑賞のポイント

 青は、寒色であり、寒々しさを感じさせる要素の一つです。また、朝っぽさを演出するために使われたりもします。
 さらに言えば、"ブルーな気持ち" という言い方から連想できるよう、憂鬱な色でもあります。
 被写体の正しい色を写真上に再現するのは、写真撮影の基本ですが、このような色のニュアンスを楽しむつもりになれば、変な色で写った写真にもさまざまな味わいを感じることができるようになります。ホワイトバランス機能の詳細については、「2.3. ホワイトバランスで色を遊ぶ」を熟読してください。

 また、画像加工ソフトなどを使って色調を変えれば、簡単に色のニュアンスを楽しめます(3.3.3. 参照)。

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写真 1.3.B.
露出オーバーで真っ白だけど、いい感じ

▼ 技術案内

 露出補正機能(1.3.3. 参照)を使えば、写真の全体的な白さ・黒さをかなり自由に調整できます。この写真 1.3.B. の場合には、「クールピクス 880」(「クールピクス 885」でも同様)のマニュアルモードで、+3EV 以上の補正をおこないました。
 マニュアルモードについては、次回に紹介します。

▼ 鑑賞のポイント

 多くの方が誤解しているのですが、写真の白さ・黒さ(明るさ・暗さ)と、被写体を照明する光の明るさとはあまり関係がありません。カメラのAE機能は、写真の仕上がりを白でもない黒でもない、これらの中間のグレーの濃さにするよう自動的に調整します。
 画面全体が白い(明るい)写真にしたいなら+(プラス)側に補正して、画面全体を黒く(暗い)写真にしたいなら−(マイナス)側に補正して撮影します。露出補正機能(1.3.3. 参照)は、ぜひマスターして頂きたい撮影技術の代表です。

 ただ、「クールピクス 880」(「 885」でも同様)の露出補正機能は、プラスマイナス 2EV までですので、この作例のように大幅(+3EV 以上)に補正するには露出(シャッタースピードと絞り値の組み合わせ)をマニュアルで設定しなければなりません。
 真っ白や真っ黒の写真を撮影するのは、簡単そうでいて、意外に難しかったりします。

6.2. 「見る」ことは、「盗む」こと

 写真集や雑誌や広告などで、私たちは毎日多くの写真を見ています。それらの多くはプロフェッショナルが撮影した写真で、とてもきれいだったり、時に感動したりします。
 「わぁ、きれい」、「おっ、すげ〜」と思ったら、その写真を分析的に見てみましょう。(ズーム)レンズの焦点距離はどのくらい ? シャッタースピードや絞り値は ? どんな光を使って撮影しているの ?
 写真をこのような目で「見る」ことで、さまざまな撮影技術を「盗む」ことができます。こうして盗んだ技術を、ご自身の手で実践してみれば、いつのまにか貴方の撮影技術はプロ並みになっていくはずです。

6.2.1. レンズの焦点距離と被写体までの距離を分析する

▼ 鑑賞のポイント

 ポーズは、オチャラケです。念のため。
 写真を見る時、被写体の実物を想像し、その遠近感や立体感の描写を観察すると、使用した(ズーム)レンズの焦点距離がどのくらいなのかを想定することができます。
 遠近感や立体感が強調されている場合は、焦点距離が短い [W] (ワイド)側。
 遠近感や立体感が少ない場合は、焦点距離が長い [T] (テレ)側。

 さらに、被写体の大きさを想像することで、被写体とカメラ位置との距離(撮影距離)も、おおむね想定できます。

 一般に多くの人々は、ズームレンズのズーム操作(レンズの焦点距離の操作)によって、写真写りの大きさだけを変えます。
 しかし、写真写りの大きさは、被写体との距離(撮影距離)によっても変わることも意識しながら、ズーム操作をおこなうようにしてみましょう(1.3.2. および 1.3.3. 参照)。
 これだけでも、プロのような写真にかなり近づけるはずです。

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写真 2.1.A.
ズームレンズを [T](望遠)側にして、被写体から離れてから撮影

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写真 2.1.B.
ズームレンズを [W](広角)側にして、被写体に近づいて撮影

6.2.2. シャッタースピードと絞りを分析する

▼ 鑑賞のポイント

 写真の仕上がりの白さ・黒さ(露出)を調整するのが、シャッタースピードと絞りの役目の一つです。  しかし、これらには、写真表現にとって別の効果もあります。すなわち、シャッタースピードはブレの大きさを、絞りはボケの大きさを変えます(2.2.1. 参照)。
 つまり、ブレの大きさを見ることでシャッタースピードがわかり、ボケの大きさを見ることで絞り値がわかる......、といった具合です。被写体の動きの速さや、被写体と背景の距離の違いなども想像しながら、考えを巡らせてみてください。

 これらの作例は、「クールピクス 990」(「クールピクス 995」でも同様です)を使って、シャッタースピードと絞りをそれぞれ約 4 段分変えたものです。今回の記事の冒頭でも述べた理由により、コンパクトタイプのデジタルカメラでは、背景のボケは銀塩フィルムのカメラで撮った写真と比べるとそれほど大きくはありません。
 なお、扇子は、動いたり止まったりを繰り返すものですので、シャッタースピードを正確に反映しているわけではありません。"なんとなくのイメージ" とご理解ください。

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写真 2.2.A.
速いシャッタースピードで、絞りを開いて(小さな絞り値で)撮影

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写真 2.2.B.
遅いシャッタースピードで、絞りを絞って(大きな絞り値で)撮影

6.2.3. 光の具合を分析する

▼ 鑑賞のポイント

 まず、作例を撮影した時に、太陽がどの方向にあったを想像してみてください。
 これは、写真 2.3.A. を見るとよく分かります。髪の毛の上部、肩の部分に白いテカリがあり、顔が影になっていますから、被写体の後方に太陽があることが分かります。詳しくは、4.3.3.「「光と影」のバリエーション」を参照してください。

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写真 2.3.A.
自然光のみで撮影


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写真 2.3.B.
眼に映り込みはありません

 また、写真 2.3.D. や 写真 2.3.F. のように、眼の部分に注目すると、被写体の前方にどのような光源やレフ板があるかもよく分かります。詳しくは、4.1.3.「プロの写真に学ぶ」を参照してください。

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写真 2.3.C.
内蔵スピードライトを発光させて撮影


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写真 2.3.D.
瞳にスピードライトの光が写っています。「瞳にキャッチライトが入っている」といわれる状態ですね

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写真2.3.E.
レフ板を使って撮影


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写真2.3.F.
瞳に楕円形のレフ板が映り込んでいます

 人物写真だけでなく、風景や小物の写真でも、どのような光で撮影しているかを分析し、それを真似てみれば、さらにプロのような写真を撮影できるようになります。

6.3. 写真は「偽」を作る装置である

 正直申しまして、以下に掲載する 3 点の写真は、真面目にご覧にならないで頂くようお願いします。なんつったって、冗談も冗談、思いっきりウケを狙って撮影したものなのですから。ただし、よくできた写真だとは思っています。
 日本語の写真とは、読んで字の如くであって「真を写す」なのですが、実際には「レンズを使ってできた光の像を記録したもの」でしかありません。そこに写っているのか真実なのか否かは、そのイメージだけで判断できるものではありません。そして、写真のプロフェッショナルの仕事を端的にいうなら、「写真のイメージをさも真実であるかのように見せかけること」といっていいでしょう。ちょっと言い過ぎかしらん ?
 しかし「もしそうだとするなら」と私は考えるのです。「写真に写る「嘘」を、私たちはもっと楽しんでよいのではないか」と。

6.3.1. 「借景」を楽しむ

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写真3.1.
我が家とマイカーです......。というのは、嘘です

▼ 鑑賞のポイント

 日本には「借景」という、すばらしい文化があります。
 借景とは「広辞苑」によりますと、「庭園外の遠山や樹木をその庭のものであるかのように利用してあること。また、そのような造園法。」だそうです。
 ま、私などは、「他人のものをさも自分のものであるかのように写真に撮って楽しむ技術」といった具合に理解していますが、これは正しい理解ではありません。念のため。
 ともあれ、他人のご自宅と自動車の前で記念写真。これを借景といわずしてなんという ? その答えは、失敬。なんつって。

6.3.2. 「関係」を演じる

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写真 3.2.
ウールの着物で秋を演出 ???

▼鑑賞のポイント

 そもそもを言えば、本連載には、なぜか和服の女性ないし私がよく登場します。
 なぜ和服なの ? それは、この連載が英語版もあって国際的なものですから.......。とかいうと、なにやら真実っぽく聞こえるかもしれません。
 なぜ和服なの ? という問いかけには、答えらしい答えはありません。ただ、和服なのです。別にいいではありませんか。和服が好きなだけで。
 しかし、いい感じのカップルですね。自分でいうのも何ですが。でも、本当はモデルをお願いしているだけの関係です。念のため。
 「もしかすると」と思います。「本当のカップルなら、これほどハマった写真にはならないんではないか」と。なぜかというと、本当のカップルなら、照れがあったり、他に引きずってしまう現実がありすぎて、こういう具合には撮られないものですからね。
 こうした意味では、写真の中では偽物の方が本物らしいのです。

6.3.3. 「虚構」を遊ぶ

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写真 3.3.
文豪とその女房 ???

▼ 鑑賞のポイント

 よさげな夫婦ですね......。って、だから嘘ですってば。
 ま、私の本業の一つは営業写真館でして、だからこういう遊びも時々......。
 しかし、背景は別にして、この写真を撮影した照明は、天井に配置された蛍光灯のみ、と言えば、やはり皆さん、驚くのでは?
 この画像は、階調メニューのモノクロモードで撮影していますからモノクロ画像ですが、通常の美しいカラーでだって撮影できます。いやはや、デジタルカメラって凄い!

 ともあれ、人物撮影の最大のポイントは、写真に写る嘘を楽しむことです。真面目になればなるだけ、撮影は堅苦しいものになります。嘘を楽しむつもりになれば、どんな写りの写真になったとしても、楽しいのです。もちろん、風景だって、小物だって、嘘を楽しむ気になれば、こまごましたコーディネートやライティングだって、楽しい作業になると、私は思うわけなのです。
 蛇足ながら、"写真は「偽」を作る装置である" とは、"写真のイメージそのものは全て「被写体そのもの=本物」ではない" という含意もあります。

 さてはて、ちょっと頭がクラクラしてきた読者は少なくないかもしれませんね。でも、今回の記事をここまでお読みになれば、写真を何倍も楽しめる気分になれたのではないかと思いますが、如何でしたか ?
 次回は、「カメラの機能を使い倒す」です。本来の技術的な話題に戻ります。

第 7 回目・デジタルカメラを使いこなす (1) 「カメラの機能を使い倒す」

似顔絵 デジタルカメラにさまざまな機能が搭載されていることは知っていても、「実際に使ったことがない」とか、「どんな時に使えばよいのか分からない」といった印象を持っているユーザーはかなり多いはずです。

 なぜなら、たいていの被写体は、オート機能任せで十分きれいに写せるのです。細かな設定を変えることで、思っているのとは違った効果になってしまうリスクを考えると、なかなか手が出ないのも人情でしょう。

 でも、さまざまな機能を必要に応じて使えば、撮影の効率や画質がさらに良くなったり、今までにない愉しさを味わえます。時間のあるときに一つずつ試してみましょう。

7.1. 撮影を快適にする機能

 まずは「ピント」、次に「露出」、そしてカメラの「操作」そのものを快適にするための機能を紹介します。
 使用説明書を読めばわかることではありますが、やはりあの分厚い書物を読みこなすのは大変な作業です。とりあえずは、「こんなこともできるんだ」ということだけを覚えてください。そして、必要な時にはぜひ、何度でも使用説明書を再読なさることを期待します。

7.1.1. ピント合わせを快適にする機能

 「クールピクス」シリーズのいくつかには、より確実なピント合わせを快適にするための機能として、「ピーキング」と「マニュアルフォーカス」と呼ばれる機能などが搭載されています(機種によって異なります。たとえば、「クールピクス 775」には両機能とも搭載されていません)。

▼ピーキング

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写真 1.1.A.
「メニュー」→「focus」→「ピーキング」で設定します。

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写真 1.1.B.
ピーキング「OFF」のとき、液晶モニタではこのように視えます。

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写真 1.1.C.
ピーキング「ON」のとき、液晶モニタではこのように視えます。このように視え方が変わるので、どこにピントが合っているか ? よりわかりやすくなります(実際の撮影結果は、ピーキング「ON」/「OFF」で変わりません)。

 「ピーキング」とは、カメラの液晶モニタ上で、ピントの合っている部分の輪郭(エッジ)を強調して表示する機能です。この表示は実際の写りとは異なり、被写体のピントの合った細部が非常に強調されて見えます。
 液晶モニタでのピント確認に不安を感じる場合などに使うといいでしょう。

 カメラの液晶モニタの「ピーキング」表示と撮影結果は違うことを覚えておいてください。とりわけ、人物の撮影では肌の肌理(きめ)や吹き出物などが目立って見えるために、ちょっと嫌な感じがするかもしれません。しかし、パソコンのモニタに表示したりプリントアウトした撮影結果は実物どおりの美しさになるものです。

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写真 1.2.
マニュアルフォーカスでピントを合わせるには、被写体までの距離を数値で設定します

▼ マニュアルフォーカス

 フォーカスロック機能(2.1.2. 参照)やオートフォーカス(AF)エリア選択機能(2.1.3. 参照)を使っても、ピントを合わせることができない被写体の場合や、ピント位置を固定して撮影したい場合には、自分でレンズ前端から被写体までの距離、あるいはピントを固定したい位置までの距離を設定できる「マニュアルフォーカス」機能を使うと便利です。
 また、事前にピントを固定しておくことで、シャッターボタンをいきなり押してから実際に撮影できるまでの時間差(タイムラグ)を、いくぶんかは短くできることもあります。

7.1.2. 露出合わせを快適にする機能

 「クールピクス」シリーズのカメラのいくつかには、露出合わせを快適にするための機能として、「ブラケティング」と「マニュアル露出 [m]」と呼ばれる機能などが搭載されています(機種によって異なります。たとえば、「クールピクス775」には両機能とも搭載されていません)。

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写真 1.3.
「メニュー」→「EXP.」→「ブラケティング」で設定します。

▼ ブラケティング

 「ブラケティング」機能とは、「やや明るめ」、「普通」、「やや暗め」、といった露出違いの数カットの写真を、自動的に連続撮影する機能です。
 より確実な露出をものにするために、「露出値をバラして、数撃ちゃ当たる」で段階露出撮影をおこなうときには、面倒な露出補正操作(3.1.3. 参照)を自動でおこなえるために、スピーディになります。
 ただ、撮影枚数が数倍になりますから、記録メディアの容量や画像サイズなどを考慮した上で使ってください。

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写真 1.4.
「シャッタースピード」や「絞り」の組み合わせを撮影者が手動(マニュアル)で設定できます。

▼ マニュアル露出 [M]

 ニコン「クールピクス」シリーズの露出補正は、+/- 2 EV(段)の範囲で設定できますから、通常の撮影ではまず問題なく調整できます。
 しかし、この範囲を超えて露出を調整したい場合などには、「シャッタースピード」や「絞り」(2.2.1. 参照)の組み合わせを手動で設定することも可能です(撮影例については、6.1.3. の写真1.3.B. を参照)。

 シャッタースピードや絞りについて、そして両者の関係について、より詳しく知りたい方は、「一眼レフ入門 5 回目 時間を制御する「シャッター」」および「一眼レフ入門 6 回目 ボケが変わる「絞り」」をご参照ください。

7.1.3. 操作を快適にする機能

 デジタルカメラの操作の際の電子音が気になったり、液晶モニタ表示などが突然消えて困る.......、などといった問題を抱えている方は、決して少なくはないでしょう。
 このような操作上の問題は、カメラの設定を正しくおこなえば、その多くが解決します。ニコン「クールピクス」シリーズでは「SET UPメニュー」の中で各種の設定をおこなうことができます。

▼「操作音」と「パワーオフ設定」

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写真 1.5.A.
「SET UPメニュー」→「操作音」で「ON」/「OFF」を設定します。

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写真 1.5.B.
「SET UPメニュー」→「パワーオフ設定」で何分後に消灯するかを設定します。

 操作の際の電子音が気になる場合は、「操作音」を「OFF」に設定します。
 撮影スタンバイ中に、液晶モニタ表示などが突然消えると困る場合には、「オートパワーオフ機能」の設定時間を長くします。
 ただし、液晶モニタを長い時間表示させて使う場合は、電池の消耗が激しくなることに注意してください。

▼「画面の明るさ」と「画面の色合い」

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写真 1.6.A.
「SET UP項目」→
「モニタ設定」→
「画面の明るさ/色合い」で設定します

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写真 1.6.B.
「画面の明るさ」の設定
(「クールピクス 880」の例)

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写真 1.6.C.
「画面の色合い」の設定
(「クールピクス 880」の例)

 カメラの液晶モニタ、パソコンの画面、さらにプリンタを使って印刷した時の写真の色調が、どれも一緒ではないと思われる方はかなり多いはずです。こうした印象の違いを正すためには、カメラとパソコンそれぞれのモニタ、さらにプリンタの色調全てを正しく調整しなければなりません。
 この調整を「カラーマッチング」というのですが、よほど知識があり、根気と時間と、場合によってはお金をも兼ね備えていないと、まず無理と諦めたほうがいいかもしれません。
 しかし、それでも気になる場合には、カメラの液晶モニタの「画面の明るさ」や「画面の色合い」は、ある程度調整できます。実物やパソコンモニタや印刷と比較しながら、調整してみてください(「クールピクス 775」の場合は、「画面の明るさ」のみ調整できます)。

7.2. 画質を変える機能

 ここでは、撮影結果の画質に影響を与える機能を紹介します。目的に合った高品位の画像データを得るために活用してください。

7.2.1. 「階調補正」って何なの ?

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写真2.2.
「撮影メニュー」→
「階調補正」から設定します

 「階調補正」とは、モニタやプリンタなどを使って写真を表示したり印刷した時に、よりよい結果を得るために、画面のメリハリや滑らかさ、明るさや暗さを調整するものです。
 注意深く画面を観察しないと、なかなかわかりづらい程度の違いしかありませんが、画面を拡大したり、印刷した時によい結果を得るには、必要な機能です。

▼「コントラスト強」と「コントラスト弱」

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写真 2.3.A.
「階調補正」で「コントラスト強」
を選択して撮影

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写真 2.3.B.
「階調補正」は「標準」のまま撮影

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写真 2.3.C.
「階調補正」で「コントラスト弱」
を選択して撮影

 「コントラスト」とは、"明暗の差" といった意味で、画面の中の明るい部分と暗い部分の「差」の大きさのことです。
 コントラストを変えることで、結果的に画面の明るさや暗さが変わることがありますが、あくまで明るい部分と暗い部分の「差」の大きさを変えていることに注意してください。

▼ 階調補正の「明るめ」と「暗め」

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写真 2.3.C.
「階調補正」で「明るめ」を選択して撮影

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写真 2.3.B.
「階調補正」は「標準」のまま撮影

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写真 2.3.E.
「階調補正」で「暗め」を選択して撮影

 「階調補正」は、一見、「露出補正」に似た機能ですが、この機能では画面の中の白い部分や黒い部分の情報量を減らさないのが特徴です。
 画像加工を行ったり、印刷したりする際に、よりよい結果を得るために使います。
 一般的には、「露出補正」機能を使ったほうが簡便です。

▼モノクロ

 これは、見た目ではっきり違いますね。モノクロの画像を撮影できます。色の情報を白〜黒の濃淡でのみ記録します。

 もちろんですが、モノクロで記録した画像データからは、天然色の写真をよみがえらせることはできません。

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写真 2.3.B.
「標準」のまま撮影

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写真 2.3.F.
 「モノクロ」を選択して撮影
(「モノクロ」を「彩度調整」のメニューに分類するデジタルカメラもあります)


7.2.2. 「輪郭強調」とは何なの ?

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写真 2.4.
「撮影メニュー」→
「輪郭強調」で選択します。

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写真 2.5.A.
「輪郭強調」を「強」にした
画像の部分拡大。
新聞紙の文字はシャープになって読みやすいのですが、花の輪郭(エッジ)は強調されすぎると不自然です。

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写真 2.5.B.
「輪郭強調」を「OFF」にした
画像の部分拡大

 デジタル写真は、電気的な信号ですから、被写体の輪郭部分だけを強調したり弱めたりすることが、割合簡単にできます。
 輪郭を強調したメリハリのある写真にしたい時は「強」に、ソフトな描写にしたい時は「OFF」にします。輪郭強調の度合いは、「強」>「標準」>「弱」>「OFF」の順で小さくなります。
 パッと見た目に大きな違いはありませんが、パソコンのモニタで拡大してみると、違いがよくわかります。
 輪郭は強調しすぎると、不自然な画像になりますから注意してください。

 なお、この設定による描写の違いは、カメラの液晶モニタ上には反映されませんから、撮影結果をパソコンのモニタで表示させて確認してください。

7.2.3. 「感度」って何なの ?


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写真 2.6.
「撮影メニュー」→
「感度設定」で選択します

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写真 2.7.A.
感度設定を「ISO 100 相当」
にして撮影した画像の部分拡大

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写真 2.7.B.
感度設定を「ISO 400 相当」
にして撮影した画像の部分拡大

 デジタルカメラの撮像素子そのものには、銀塩フィルムのような固有の「感度」はありません。
 しかし、シャッタースピードや絞り値を求める際に、銀塩フィルムとの関連で直感的に分かりやすくするために、デジタルカメラにも銀塩フィルムの感度に対応するような「感度」を設定できる機能が付加されています。
 感度設定値を高く(= ISO 換算の数字を大きく)すると、速いシャッタースピードを使えたり、絞りを絞って撮影できます。このため、ブレを抑えたり、被写界深度が深くなります。ただし、感度設定値を高くすればするほど、ほんの少し、ボケたような、ザラついたような写りになります。

 さて、「フィルムカメラでは装填するフィルムの感度を、デジタルカメラでは感度設定の値を高くすると、暗い場所でも、明るい写真が撮影できる」という言い方がなされることがありますが、これは正確ではありません。
 「暗い場所でも、ブレやピンボケの少ない写真が撮れる」ということです。 写真の仕上がりの明るさや暗さは、「露出補正」によって大きく変わります。ちなみに、写真2.7.A.(ISO 換算 100相当の感度設定で撮影)と、写真2.7.B(ISO 換算400 相当の感度設定で撮影)を比べてみると、どういう加減か後者の方が若干暗く見えます。
 銀塩フィルムの感度については、「一眼レフ入門 3 回目 「フィルム」は光の記録装置」の「2.3. ISO感度って何 ?」を参照してください。

7.3. 知ると得した気分になる機能

 「私自身の使用範囲では」という前置きつきですが、「こんな機能もあるんだけど、いつ、どこで、だれが使うんだろう ?」といった印象もある機能を紹介します。
 いや、実際に使ってみると、なかなか面白い機能なんですね、これが。
 必要に応じて、使いこなしてください。

7.3.1. 「測光方式」って何なの ?

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写真 3.1.
「撮影メニュー」→
「測光方式」で「スポット」
を選択します

 液晶モニタつきのデジタルカメラでは、撮影後、ほぼリアルタイムで写真の仕上がりを確認できます。このため、露出値の違いによる写真の濃さ・薄さの問題は、「露出補正機能」を使って再度撮影しなおせばすむことです。
 このため、「「測光方式」を細かく選択するよりも、「露出補正機能」を使いこなす方が、よい結果を得るための早道だ」と私は考えます。前述した「ブラケティング」機能はこの点で便利です。
 ただし、最初の一発で、できるだけ望みどおりの濃さの画像データを求めたい場合には、測光方式についても理解を深めておくといいでしょう。

 しかし、これらを理解して使いこなすには、露出についての深い理解が不可欠です。詳しくは、「一眼レフ入門 8 回目 「露出」の基礎知識」を参照してください。

 それぞれの設定の使いわけは次のとおりです。

image マルチパターン測光
 カメラ任せで、かなり広範囲によい結果を得られます。
 この測光モードの呼び名は、メーカーによってかなり異なります。

image スポット測光
 画面のごく一部分だけの明るさを測定し、露出値を自動調整します。

image 中央部重点測光
 画面全体の明るさを、とりわけ画面の中央部を重点的に測定し、露出値を自動調整します。

image afスポット測光
 選択したafエリアの周りだけの明るさを測定し、露出値を自動調整します。

 スポット測光では、画面中央部の四角く囲まれた範囲の明るさを測定し、露出値を計算します。このため、この狭い部分の明るさ・暗さ(濃さ・薄さ)によって、撮影結果の明るさ・暗さ(濃さ・薄さ)が変わります。


スポット測光の使い方の例

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写真 3.2.A.
スポット測光した範囲が
白っぽい(明るい)と......

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写真 3.2.B.
暗い(濃い)写真になります

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写真 3.2.C.
スポット測光した範囲が
黒っぽい(暗い)と......

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写真 3.2.D.
明るい(淡い)写真になります

7.3.2. 「BSS(ベストショットセレクタ)」って何なの ?

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写真 3.3.
「撮影メニュー」→
「BSS」で設定します

 「BSS」とは、「ベストショットセレクタ」の略で、シャッターボタンを押している間、連続して最大10枚の写真を撮影し、その中から細部が最も精細に写っている(と見倣せると、「クールピクス」が判断した)画像を 1 枚だけ選んで記録する機能です。
 カメラブレのより少ない写真を撮影するのには大変有効です。以下の条件で、三脚や一脚を使わずに手持ち撮影をおこなう場合などには活用してください。

  1.  ズームを [T](テレ)側にして撮影したり、テレコンバータを使用する場合、
  2.  マクロ撮影(近接撮影)をおこなう場合、
  3.  暗い場所で、スピードライトを使用せずに撮影する場合

 このユニークな機能「ベストショットセレクタ」に似た呼び名を、全く別の機能(一般にいう、シーン別のプログラム設定)に付しているメーカーがあります。

7.3.3. 「連写」や「動画」の機能


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写真 3.4.
「撮影メニュー」→
「連写」で選択します

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写真 3.5.
「マルチ連写」で撮影した例。
16枚の連続カットが 1 枚に収まります。

quicktime movie

写真 3.6.
「動画」で撮影した画像を、パソコン上で再生しているイメージ(静止画です。動きません)。
 動画の撮影中でも、オートフォーカス(AF)と自動露出(AE)が作動するデジタルカメラを選ぶと便利です。

 機種によって異なりますが、シャッターチャンスを逃がさないための連続撮影(「連写」、「高速連写」)ができたり、十数秒から数十秒の動画を撮影できる機能もあります。
 それぞれ、撮影できる画質モードや画像サイズなどに制限があったり、記録されるフォルダやファイルが通常の画像データとは異なることがありますので、詳細は、使用説明書で確認してください。

 今回は、ちょっと駆け足で、また、機種によってあったりなかったりする機能を紹介しましたので、やや消化不良といった感じがするかもしれませんね。
 それでも、細かな説明をしだすとキリがありません。詳しくは使用説明書で確認していただくことにしました。必要に応じて、それぞれの機能を使ってみてください。撮影目的にあった選択をおこなえば、よりスムーズにより高品位の画像を撮影できるようになるはずです。

 次回は、アクセサリです。これまたいろいろあるんですよね〜。

第 8 回目・デジタルカメラを使いこなす (2) 「アクセサリーを使い倒す」

似顔絵 今回は、「ニコン クールピクス」シリーズの各種専用アクセサリーについて紹介します。とりわけ、コンバータ(コンバージョン)レンズを使うと、通常のカメラでは撮影できないイメージを撮影できるようになり、表現の幅がぐんと広がります。また、TVに接続するビデオケーブルや離れて操作できるリモートコード(電磁式のリモートレリーズ)なども、用途によってはたいへん重宝します。

 ただし、カメラの機種によっては、使用できるアクセサリーに制限があったり、使い方が異なったりします。カタログや使用説明書などで十分確認し、必要に応じてカメラ&アクセサリーをお求めください。

 「クールピクス」以外のカメラを使っている方も、今回の記事を参考にして、お手持ちのカメラに使えるアクセサリーを使ってみてください。

8.1. もっと広角、もっと望遠で写せる、コンバージョンレンズ

 コンバージョンレンズ (コンバータレンズ) とは、『写真レンズの前面または後面に取り付けて、レンズ全体の焦点距離を変えるための補助レンズ』という意味です。メーカーによってラインナップはかなり異なりますが、「ニコン クールピクス」シリーズには、次のコンバータレンズが準備されています。
 それぞれ、カメラ本体のズーム機能を併用して撮影することも可能だったりします。

★「ワイドコンバータ WC-E63」
 焦点距離を 0.63 倍にしますので、さらにワイドに撮影ができるようになります。<例えば、デジタルカメラ本体のズームレンズのワイド端が35ミリ(135)判換算で 38mm 相当であれば、0.63 倍の 24mm 相当になります。>

★「ワイドコンバータ WC-E68」
 焦点距離を 0.68 倍にしますので、ワイドに撮影ができるようになります。
 <例えば、本体のズームレンズのワイド端が35ミリ(135)判換算で 28mm 相当であれば、0.68 倍の 19mm 相当になります。>

★「テレコンバータ TC-E2」
 焦点距離を約 2 倍にしますので、さらに望遠の撮影ができるようになります。

★「テレコンバータ TC-E3ED」
 焦点距離を約 3 倍にします。なお、約3×のテレコンバータをラインナップしているメーカーはニコン以外には殆どありません(小型・軽量の「クールピクス775」では装着できません)。

★「フィッシュアイコンバータ FC-E8」
画角183度、いわゆる円周(円型)魚眼レンズの撮影が可能になります。
なお、フィッシュアイコンバータをラインナップしているメーカーはニコン以外には殆どありません(小型・軽量の「クールピクス 775」では装着できません)。

8.1.1. 使い方の基本

 まず、お手持ちのデジタルカメラで使えるかどうか ? を必ず確認してから購入してください。
 「COOLPIX 4500/995/990/950/910/900」などでは、殆どのコンバータレンズをそのまま装着できますが、「COOLPIX 5700/5000/885/880/775」などでは、別売のコンバータアダプタが必要ですので、これも機種にあったタイプを入手しなければなりません。それぞれ、「使用説明書」に従って(電源は必ず「OFF」にしてから)正しく装着してください。


image image image image image image

フィッシュアイ
コンバータ
FC-E8
ワイド
コンバータ
WC-E68
ワイド
コンバータ
WC-E63
テレ
コンバータ
TC-E2 (2倍)
テレ
コンバータ
TC-E3ED (3倍)
スライド
コピーアダプタ
ES-E28
COOLPIX 775 - -
UR-E3 併用

UR-E3 併用
- -
COOLPIX 885
UR-E4 併用
-
UR-E4 併用

UR-E4 併用

UR-E4 併用

UR-E4 併用
COOLPIX
4500/995/990/
950/910/900

UR-E7 併用
COOLPIX 5000
UR-E6 併用

UR-E5 併用
-
UR-E6 併用

UR-E6 併用

UR-E6 併用
COOLPIX 2500/2000 - - - - - -

 なお余談ですが、
「クールピクス 880」には「コンバータアダプタ UR-E2」を、
「775」には「UR-E3」を、
「885」には「UR-E4」を、
「5000」には「UR-E6」などを、
ふだんから装着しておくと、沈胴式ズームレンズを物理的な衝撃からは守ることができます。
かなりかさばりますし、広角 (W) 側で画像の一部がケラれるかもしれません.....。

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写真 1.1.
「COOLPIX 880」に
「コンバータアダプタ UR-E2」を
装着したところ

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写真 1.2.
「COOLPIX 775」に
「コンバータアダプタ UR-E3」を
装着したところ

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写真 1.3.
「テレコンバータ TC-E2 」を
装着したところ
(「COOLPIX 775」+「UR-E3」)

 また、コンバータレンズを装着した場合は、カメラの設定を変更しないと、ピントが合わなかったり、適切な合成焦点距離が得られません。設定は、機種によって異なることがありますので、十分注意してください。
 もちろんのことですが、コンバータレンズを外した後は、元の設定に戻すこともお忘れなく。

- ここで一言 -
 「ニコン クールピクス」シリーズは、特にマクロ撮影に強い設計になっています。このため、たいていの場合、マクロモード(1.2.3.マクロモード参照)に設定するだけで、十分満足できる接写ができるでしょう。
 もし、「クールピクス」以外のカメラを使っている場合などで、さらに接写したい場合には、虫眼鏡を使ってみることをおすすめします。必ずうまく撮影できるわけではありませんが、運がよければ驚くほどの接写が可能になります。虫眼鏡は安物で十分ですが、カメラのレンズを傷つけないよう注意して使ってください。
 ここでは、もともとレンズ前 4cm まで寄れる「クールピクス 880」のマクロ機能をわざと使用しない状態にして、虫眼鏡の効果をお見せします。この機種では無駄骨のような撮影方法ですが、「虫眼鏡で接写できる」ということだけでも頭の隅に覚えてください。
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写真a.
「クールピクス 880」のレンズ前 4cm まで寄れるマクロ機能をわざと使わない場合には、これが撮影できる限界です。

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写真b.
虫眼鏡をレンズ前枠に軽く押さえつけて撮影すると......。

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写真c.
マクロ機能を使わない状態で、ここまで近寄ってもピントが合いました。

- ここで一言 -
 クールピクス用のコンバージョンレンズとしては、栃木ニコンから市販されているテレスコマイクロ6*18D も、人気商品の一つとなっています。クールピクス(5000、4500、4300、995 、990 、8850、880 など) に装着することで、超望遠レンズとして使用したり、さらにクローズアップレンズを使用すれば約1 〜2 ミリの幅を画面一杯に拡大撮影したりできます。
 単体で使用すれば6 倍の望遠鏡として、またクローズアップレンズを使うことで45倍の拡大顕微鏡となり、バードウォッチングなどアウトドアでも役立ちます。

8.1.2. ワイドコンバータとテレコンバータを使う

 「ニコン クールピクス」シリーズの殆どは、一般的な撮影には十分と思えるズームレンズがついています。しかし、「もう少し広角([W] 側)で撮影したい」とか、「電子ズームもいいけれど、もっと望遠([T] 側)で撮影したい」といったシーンも意外に多いものです。こうした場合に、ワイドコンバータやテレコンバータがあると、とても便利です。

▼さらにワイドに撮影できる、ワイドコンバータ。

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写真 1.4.
「ワイドコンバータ WC-E63」を
「UR-E3」を介して装着した
「COOLPIX 775」

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写真 1.5.
「COOLPIX 995」や「885」では
「撮影メニュー」→「コンバータ」で、
「ワイドコンバータ」を選択します
(「COOLPIX 775」の場合、
スピードライトを発光禁止に、
ズームをもっとも広角([W])側に
設定します。)

 前述したように、ワイドコンバータを使うと、合成焦点距離が約 0.6 倍になり、よりワイドな撮影が可能になります。「クールピクス 775/885/995」などの場合、35ミリ(135)判カメラでいうならば、焦点距離 38 mm 相当だったものが、約24 mm 相当での撮影ができるようになります。

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写真 1.6.
ワイドコンバータなしで撮影
(「COOLPIX 995」でもっとも [W] 側に設定)

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写真 1.7.
ワイドコンバータを装着して撮影
(「COOLPIX 995」でもっとも [W] 側に設定)

▼さらに望遠で撮影できる、テレコンバータ。

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写真 1.8.
「テレコンバータ TC-E2」と
レンズフードを装着したところ
(「クールピクス 775」)

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写真 1.9.
「COOLPIX 995」や「885」では
「 撮影メニュー」→「コンバータ」で、
「テレコンバータ 1」を選択します
(「COOLPIX 775」では、
スピードライトを発光禁止に、
ズームをもっとも望遠 [T] 側に設定します)

※「テレコンバータ TC-E3ED」を使用する場合は「テレコンバータ 2」を選択します(「TC-E3ED」は「COOLPIX 775」には装着できません)。

 「遠くの被写体をもっと大きく、良い画質で撮影したい」場合には、テレコンバータを使うのがいいでしょう。「クールピクス」の現行機種には、電子ズーム機能も搭載されていますが、これは画面の一部分だけを記録する機能ですから、画質がかなり低下してしまいます。
 テレコンバータを使用すれば、こうしたデジタルズームによる画質の低下を伴うことなく、超望遠レンズの撮影を手軽に楽しむことができるようになります。
 ただし、テレコンバータを使うと、手ブレを起こし易くなりますから、極力(というか必ず)三脚などを使用してください。また、逆光撮影時のフレアなどを防止するためにも、レンズフードの併用をおすすめします。

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写真 1.10.
テレコンバータなしで撮影
(「COOLPIX 990」でもっとも [T] 側に設定)

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写真 1.11.
「テレコンバータ TC-E2」を装着して撮影
(「COOLPIX 990」でもっとも [T] 側に設定)

8.1.3. フィッシュアイコンバータを使う

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写真 1.12.
「フィッシュアイコンバータ FC-E8」を「UR-E2」を介して装着した「COOLPIX 880」

 「画角183度」ということは、「両眼でなんとか見ることのできるほぼ全ての映像を、一枚の画像に撮影することができる」ということです。もちろんですが、足元や三脚など、およそ画面に入りそうもない対象まで撮影してしまいます。
 「撮影メニュー」→「コンバータ」には、「フィッシュアイ1」と「フィッシュアイ 2」の設定項目があり、次のような違いがあります。

▼「フィッシュアイ 1」に設定すると ?

 円形の画面になります。この円形の中に画角183度が写り込むわけです。こうした写りを「円周(円型)魚眼」と呼びます。

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写真 1.13.
「フィッシュアイ1」に設定すると......

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写真 1.14.
まるい画面になります

 なお、このモードで撮影した映像は、「フィッシュアイコンバータ FC-E8」に日本では同梱されているソフトウェア「iPIX」を使うことで、360度×360度の完全パノラマ映像として楽しむことができます。
 ジェットコースターに乗ったかのような、気持ち悪いくらい愉快な映像です。ぜひ、お楽しみください。

▼「フィッシュアイ 2」に設定すると ?

 このモードでは、画面の対角線上の画角が最大で183度になります。これを「対角線魚眼」といいます。
 超広角レンズの画像と比べるとディストーション(歪曲収差)が強調されて独特の画になります。


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写真 1.15.
「フィッシュアイ 2」に設定すると......

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写真 1.16.
画面は四角いままですが、
対角線に最大で画角183度が写ります

 カメラ本体のズーム機能を併用すれば、ワイドコンバータよりもさらに広角 [W] 側で、ズームしながら撮影することができます。35ミリ(135)判カメラでいうなら、焦点距離24ミリ以下での撮影が可能になるわけです。

8.2. デジタルカメラがフィルムスキャナになる、スライドコピーアダプタ

 「ニコン クールピクス」シリーズは、接写機能が非常に充実しているデジタルカメラとしても、知られています(なにしろ、クローズアップレンズをラインナップに加えていないくらいですから)。
 このため、35ミリ(135)判スライドをそのまま複写(コピー)できたりもします。
 専用アクセサリーの、「スライドコピーアダプタ ES-E28」を使えば、35ミリ(135)判スライドの複写が簡単にできます。
 ここでは、ちょっとイレギュラーですが、ネガフィルムを複写しポジ画像を得る方法と、中判、大判フィルムを複写する方法も合わせて紹介しましょう。余分な手間は必要ですし、画質も最良というわけにはいきませんが、簡易フィルムスキャナ代わりに使えます。
 なお、「スライドコピーアダプタ」は、小型・軽量の「クールピクス 775」には使用できません。

- ここで一言 -
 デジタルカメラをフラットベッド<スキャナ>代わりにして、書類などのコピーを撮影したい場合には、「デジタルカメラ入門 I・2.1.1. 複写の基本」を参照してください。
 また、「シーンモード」に「モノクロコピーモード」がある機種ではこのモードを選ぶと、白い紙に黒い文字をきれいに撮影できます。

8.2.1. 基本的な使い方

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写真 2.1.
「スライドコピーアダプタ」を
「UR-E2」を介して装着した
「COOLPIX 880」

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写真 2.2.
「撮影メニュー」→「コンバータ」で、
「スライドアダプタ」を選択します
(「COOLPIX 880」では、
各種の設定を手動で行います。)

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写真 2.3.
スライドマウントをホルダーに挿入します

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写真 2.4.
必要に応じて、フィルムの位置や角度を調整します

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写真 2.5.
スリーブ状の(ストリップ=連続した)フィルムの
複写に使うホルダーも付属しています

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写真 2.6.
「COOLPIX 5700/5000/4500/995/990」などの場合には、
「記録サイズ」を「3:2」に設定すれば、
35ミリ(135)判フィルムの 36×24mm の縦・横の比率を
正しく無駄なく複写できます

 「スライドコピーアダプタ」の使い方は、基本的にコンバータレンズと同様です。
ただ、スライドを複写する場合、

  1. コントラストが高くなりがち、
  2. 露出アンダーになりがち、といった傾向があります。

 「コンバータ」のメニューに、「スライドアダプタ」がある機種では、こうした傾向を自動的に補正する設定(コントラスト弱、露出補正+0.7EV)にしてくれますが、よい結果を得られない場合には、次の項目を確認し、手動で設定してみることをおすすめします。
 なお、色調がきれいにでない場合には、スライドを挿入しない状態で、「ホワイトバランス機能」を「プリセット」にして設定します(詳しくは、「2.3.3. "伝家の宝刀"、プリセット機能」を参照してください)。

  1. コントラスト(画面のメリハリ)の調整
     「撮影メニュー」→「階調補正」で、「コントラスト弱」「標準」「コントラスト強」で撮影し、よい結果のものを選びます。
     詳しくは、「7.2.1.「階調補正」って何なの ? 」を参照してください。
  2. 画面の明るさ、暗さの調整
     「露出補正機能」で調整します。詳しくは、「1.3.3. 明るさを変えてみよう!」を参照してください。
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写真 2.7.
[W] 側で撮影したもの
(スライドアダプタモード)

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写真 2.8.
[T] 側で撮影したもの
(スライドアダプタモード)

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写真 2.9.
コントラストを「標準」に設定したもの
(やや硬調な仕上がりになっています)

8.2.2. カラーネガフィルムを撮影する

 「スライドの複写ができるなら、カラーネガフィルムを複写して、でもって「Adobe Photoshop」のような画像加工ソフトで「反転」すれば、ポジ画像が得られる......」と、多くの読者が想像するはずです。
 しかし、これがなかなかうまくいきません。
 決して最良の結果を得られるというわけではありませんが、注意すべき項目と解決方法を簡単に紹介します。

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写真 2.10.
カラーネガフィルムの "素抜け" 部分を使って、
ホワイトバランスを設定します

▼ホワイトバランスのとり方

 カラーネガフィルムは、フィルムベースが透明ではなく橙色をしています。このため、この橙色を勘案・加味してホワイトバランスを設定しておくと、後の処理が割合簡単になります。
 これには、ネガの最初か終わりにある、何も写っていない "素抜け" の部分を使います。これをフィルムホルダーに挿入し、「ホワイトバランス」を「プリセット」で設定します。

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写真 2.11.
カラーネガフィルムを複写する際は
「コントラスト強」を選択します

▼カメラの「階調補正」の設定。

 カラーネガフィルムは、かなり軟調に写る性質をもっています。このため、複写する際に「階調補正」を「コントラスト強」にしておくと、よい結果が得られ易いです。
詳しくは、「7.2.1.「階調補正」って何なの ?」 を参照してください。

▼画像加工のポイント。

 これには、さまざまな方法があろうかと思います。画面の中に、白い部分や黒い部分があるなら、「レベル補正」の「スポイトツール」を使ってみます。
 「コントラスト」や「色調」を細かに調整するのも作戦のひとつでしょう。ま、これは各自の工夫におまかせします。

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写真 2.12.
ネガフィルムの"素抜け" 部分を使って
ホワイトバランスをとり、
複写したもの

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写真 2.13.
「Adobe Photoshop 5.0LE」で
「階調の反転」と
「レベル補正(スポイトツール)」で、
画像を調整したもの

8.2.3. 中判・大判フィルムを撮影するには ?

 さて、「35ミリ(135)サイズのフィルムを複写できるならば、これより大きな中判や大判フィルムの複写もできるのではないか ?」と、これまた多くの読者が想像するはずです。
 前述したように、「クールピクス」シリーズの接写機能は非常に優秀ですから、割合と簡単にこれは可能です。
 スライドを観察する時に使うフォトビュア (ライトボックス)と三脚を準備して、挑戦してみてください。室内の照明はできるだけ暗くし、カメラのズームはできるだけ望遠 [T] 側に設定した方がよい結果を得られます。

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写真 2.14.
中判・大判フィルムを
複写するセッティング。
カメラと複写するフィルムの平行を
正しく出すのが最大のポイントです。
また、黒紙などで、
余分な光をカットすれば、
よりよい画質での複写が可能になります

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写真 2.15.
カメラのズームを
望遠 [T] 側にして複写したもの

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写真 2.16.
カメラのズームを
広角 [W] 側にして複写したもの。
大判フィルムの周辺が
曲がって写っていることに
注目してください

8.3. 便利なアクセサリー

 最後に、クールピクスには標準添付されている「ビデオコード」、そして別売の「リモートコード(「COOLPIX 775」用はありません)」と「増灯コード(使用できるのは、「COOLPIX 4500/995/990/950/910」などです)」について、簡単に紹介します。

8.3.1. ビデオケーブルで何ができる ?

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写真 3.1.
「ビデオケーブル」を用いると、
液晶モニタ表示をテレビモニタに
映すことができます

 ビデオケーブルは、デジタルカメラの液晶モニタに写る画像を、そのままテレビモニタに映し出すことができるケーブルです。
 大きなモニタを使えば、ピントの確認などが容易になります。あるいは、撮影講習会などでは非常に便利なツールとなることでしょう。また、パソコンがない場合でも、カメラから直接、画像をテレビモニタに再生して楽しむことも可能です。

 使い方は、いたって簡単。カメラとテレビモニタを接続するだけ。「クールピクス」では、カメラの液晶モニタとテレビモニタの両方共が映る状態になりますので、非常に便利です。
 他社製品には、液晶モニタ表示が消える機種もあります。
 テレビモニタの画像モードや色調を正しく設定すれば、よりよい画質で画像をモニタできます。

8.3.2. リモートコードで何ができる ?

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写真 3.2.
「COOLPIX 5700/5000/4500/
995/990/885/880」
などで使える
「リモートコードMC-EU1」

 リモートコードは、銀塩カメラでいう「ケーブルレリーズ」のようなものです。基本的には、カメラブレを最小限に抑えたり、離れた位置でシャッター操作をおこないたい場合に使います。コードの長さは、約80センチです。
 また、次のような機能も付加されていますので、必要に応じて使ってください。

▼付加機能 1. レンズのズーム操作ができます。
▼付加機能 2. 再生モードでは、画像の送り戻しができます。
▼付加機能 3. 設定した時間間隔で自動的に撮影する「インターバル撮影」ができます。

8.3.3. 増灯アダプタで何ができる ?

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写真 3.3.
写真3.6. 増灯アダプタを使うと、
外部ストロボ(R)に接続できます

 「クールピクス 4500/995/990/950/910」には、内蔵スピードライト以外のスピードライトを接続できます。このために使うのが増灯アダプタです。
 いわゆる外部(外付け)スピードライトを使うことができるわけですが、正直いいますと、巧く使いこなすには、スピードライトの特徴を正しく理解しておく必要があります。詳しくは、「一眼レフ入門 10回目「スピードライト撮影」は難しい ? 」を参照してください。
 なお、「クールピクス」は、全てのシャッタースピードでスピードライトを使用することができます。また、撮影結果をすぐに液晶モニタで確認できますので、仮に、シャッタースピードや絞り値をマニュアルで設定〜撮影するにしても、銀塩フィルムカメラでの外部スピードライト撮影よりは、よりよい結果を早く得ることができるでしょう。
 考え方を変えれば、"銀塩フィルムカメラの外部スピードライト撮影の練習用" としても、非常に便利です。

▼外部スピードライトを使って「バウンス」撮影を行った例。
 バウンス撮影とは、スピードライトの光を一旦、白壁などに反射してから被写体に当てるものです。詳しくは、「一眼レフ入門 10.3.1. バウンス撮影」を参照してください。

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写真 3.4.
内蔵スピードライトのみで撮影。
ごくごく普通の写真写りはこんな感じでしょう

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写真 3.5.
外部スピードライトを使って、
バウンス撮影。
まるでプロフェッショナル(?)な写りですね


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イラスト1
バウンス撮影の仕組み
1. 「クールピクス 4500/995/990」
2. 増灯アダプタ
3. 外部スピードライト(「SB-25」を使いました)
4. 白壁や白い板など。

 外部スピードライトの光を、一旦、白壁などに反射してから被写体に当てます。このため、非常に柔らかい感じのする光になります。

 「クールピクス 5700/5000」では、ホットシューがボディ上面についています。ニコンのスピードライトのほとんどを直接装着して、より高度なスピードライト撮影がより気軽にできるようになりました。

 各種のアクセサリーを使えば、普通では撮影できないような写真まで、簡単に撮影できることがご理解いただけたでしょうか ? 繰り返しになりますが、手持ちのデジタルカメラで使えるかどうか、そしてその使い方をしっかり確認して、それぞれのアクセサリーを "使い倒して" ください。
 「COOLPIX」以外のデジタルカメラを使用している方も、今回の記事を参考にしながら、お手持ちのカメラに使えるアクセサリーを捜して使ってみてください。


 次回は、いよいよ最終回。銀塩カメラとデジタルカメラの関わりについて考えたいと思います。おたのしみに。

第 9 回目・デジタルカメラを使いこなす (3) 「銀塩カメラへのステップとして」

似顔絵 既にご承知のとおり、デジタルカメラに対して、フィルムを使うカメラを銀塩(フィルム)カメラとかケミカルカメラといいます。これは、フィルムに塗布されている感光物質(乳剤)に、銀の化合物が使われていて、化学的に像を記録しているためです。
 一般ユーザーからプロフェッショナルの現場まで、ますますデジタルカメラが主流になりつつある現在ですが、銀塩カメラや銀塩写真もまだまだ健在です。「デジタル写真が主流だからこそ、銀塩写真に魅力を感じてしまう」人だってすくなくないでしょう。
 最終回である今回は、デジタルカメラと銀塩カメラの共通点や違いを整理しながら、銀塩カメラ(とりわけ35ミリ判一眼レフ)入門までを大まかに案内します。もし、一眼レフカメラを始めてみたいと思われた方は、ぜひ「一眼レフ入門 一眼レフカメラなんてこわくない !」にもアクセスしてみてくださいね。

9.1. デジタルカメラの、ここが偉い !

 皆さんご承知の通り、デジタル技術は日進月歩でして、今日(2002年1月末日に書いています)の最先端技術は明日には既に古くなるほどです......とは、少し極端ないい方かもしれませんが、少なくとも一年前と現在の技術的格差は、驚くものがあります。
 つまりおそらく、これから先の一年後には、もっと高性能で使い勝手がよく、しかも安価なデジタルカメラが登場していることでしょう。もちろん、パソコンを含め、各種の周辺機器もさらなる発展を期待できます。
 しかし悲しいことに、このような技術的発展は、現在の銀塩カメラには期待できそうもありません。

 デジタルカメラの偉さ、あるいは凄さとは、現在の多くの人々の期待と夢が集中している事実にこそあるかもしれません。

9.1.1. ホワイトバランス機能でフィルターいらず

 銀塩カメラにはない、デジタルカメラの機能の一つが、ホワイトバランス機能です。(詳細は、2.3.「ホワイトバランス機能で色を遊ぶ」を参照)
 とりわけ、デジタルカメラのオートホワイトバランス(AWB)機能は、非常に優秀でして、特に何も操作しなくても、大抵の被写体の色を、ほぼ見た目どおりの印象で撮影することができます。さらに、マニュアル操作でこの機能を使えば、いくつかのボタンやダイヤルを操作するだけで、写真/画像の色をかなり自由に補正することができます。

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写真 1.1.a.
デジタルカメラのホワイトバランス機能。
かんたんで使いでのある機能です

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写真 1.1.d.
銀塩カメラで色補正を正しくおこなうためには、
膨大な知識と共に、数多くのフィルターなどの機材と、
多くの労力を必要とします

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写真 1.1.b.
オートホワイトバランス機能により、日陰などのフィルムでは正しい色再現にならない状況でも、
デジタルカメラでは美しい色を再現できたりします

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写真 1.1.c.
フィルムで撮影した写真。
日陰の光は色温度が高いために、やや青みがかって写る傾向があります。
(フィルムでの色再現については、「一眼レフ入門」11回目
「写真の色を楽しもう!」を参照)

 これと同じ色の補正を、銀塩カメラでおこなおうとすれば、フィルムの特性と光源の特徴を正しく理解し、数多くの色補正用フィルターを揃え、必要に応じて使い分ける必要があるのです。知識と機材を要する、大変な技術が必要なわけですね。

- ここで一言 -
「クールピクス 5700 / 5000 /4500 /4300 / 885」などでは、通常のホワイトバランス設定の他に、「ホワイトバランスブラケティング」と呼ばれる機能が搭載されています。
これは、1回撮影する度に、設定されたホワイトバランスを基準にして、やや赤寄り、ノーマル、青寄りの 3 つの画像を記録する機能です。つまり、全く同じシーンでホワイトバランスを微調整した3枚の写真を一度に撮影できます。照明などにより液晶モニタ上での色調の確認が難しい場合や、微妙な白色再現を好みで選択したい場合にたいへん重宝します。

9.1.2. 接写が楽々

 理由を正確に説明しだすと、とてもややこしくなるのですが、単純に言って、コンパクトタイプのデジタルカメラで、小さな物を大きく写す「接写(クローズ・アップ撮影)」をおこなうのは、意外なほど簡単です。特に、ニコン クールピクス シリーズは、この接写機能がとても優秀です。

 クローズアップ(接写)撮影時に注意すべき点は、次の二つでしたね。

  • フォーカスモードを「クローズアップ(接写)」モードに設定(花のアイコンマークを選択)します。
  • できるだけ、三脚を使用し、ブレを防ぎます。
さらに、
  • スピードライトを「発光禁止」に設定すれば、より自然な感じに写ります。
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写真1.2.a.
コンパクトタイプのデジタルカメラのレンズ
(クールピクス 775)の例。
銀塩カメラに比べると、焦点距離が短いために、接写性能を優秀に設計しやすいのです

 さて、コンパクトタイプのデジタルカメラでは簡単にできる接写ですが、コンパクトタイプ(透視ファインダータイプ)の銀塩カメラでは、思ったような接写ができる機種はかなり限られます。

 一眼レフカメラを使っても、別のアクセサリー(クローズアップレンズとか、接写リングとか)を必要としたりします。なぜでしょう ?

 その理由は、コンパクトタイプのデジタルカメラのカメラの撮像素子のサイズが、銀塩カメラのフィルムサイズに比べてかなり小さいことにあります。そのため、画角がだいたい同じであっても、レンズの焦点距離は短い、すなわち被写界深度が深いので至近距離の被写体にピントをあわせやすく、また、レンズの接写性能も優秀にできやすいのです。
 つまり、撮像素子が銀塩フィルムなみに大きい一眼レフタイプのデジタルカメラでは、接写も銀塩フィルムなみにそれなりに難しくなります。「接写が得意である」というのは、デジタルカメラ特有の性質というわけではないことに注意しておいてください。

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写真1.2.b.
フォーカスモードをマクロ(接写)モードに設定するだけで、ここまで近寄って撮影できます

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写真1.2.c.
その結果。
銀塩カメラでこれだけの接写をおこなうのは、かなり困難です


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写真1.2.d.
標準ズームレンズ付きの一眼レフ
(Nikon U)で接写しているところ

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写真1.2.e.
基本セットでは、このていどが限界です


9.1.3. 液晶モニタで即確認

 一眼レフカメラと言えば、プロフェッショナル用カメラの代名詞としても知られていますね。
 そうなった理由の一つが、ファインダー像により、写真に写る範囲や写り方を正確に観察できることでした。一般的なユーザーにはあまり意識されることが少ないかもしれませんが、「何がどのように写るか」をかなり正しく見ることができるからこそ、プロの要求に応えることができたのです。
 しかし、現在、コンパクトタイプのデジタルカメラでさえ、一眼レフのファインダー像を超えているといっていいのです。なぜか ?
 デジタルカメラの液晶モニタでは、写真写りをほぼ正しく観察できると共に、実際に写った結果を即座に確認できます。これは、銀塩カメラがいくらあがいても達成不能な機能といっていいでしょう。なぜなら、銀塩カメラでは、たとえインスタント写真であってもフィルムを現像してみるまで、何がどう写っているかを確認する術(すべ)がないのですから。
 「撮影結果をすぐに確認できる」ということは、「撮影におけるほとんど全ての失敗をなくすことができる」、ということですね。もちろん、決定的なシャッターチャンスを逃がすという失敗は防げませんし、"ついうっかりミス"もなくなりはしませんが......。

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写真1.3.a.
透視ファインダーで観察しているようす。
撮影レンズと異なる位置から観察するために、ズレ(視差(パララックス))が生じ、写り方を正確に知ることはできません。

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写真1.3.b.
透視ファインダーの見え方。
右下に囲まれている範囲は、近接撮影時に写る範囲の目安です

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写真1.3.c.
液晶モニタで観察しているようす。
写真の写り方をほぼ正しく観察できると同時に、撮影結果を即座に確認できます。
でも、手ブレにはご注意 !

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写真1.3.d.
液晶モニタの見え方。
一眼レフカメラのファインダー像と同じで、撮影レンズを通してできた像を観察できます

9.2. 銀塩カメラ(とりわけ一眼レフ)の、ここが偉い !

 現時点において、デジタルカメラよりも銀塩カメラが優位と思える項目を探すのは、少し虚しい(むなしい)ことかもしれません。
 なぜなら、これらは全て、いずれデジタルカメラが優位に立つ項目となりえるだろうからです。
 実際、一眼レフタイプのデジタルカメラを使うことを想定するなら、銀塩カメラが優位に立てるのは、かなり特殊な領域でしかないように思いますが、いかがでしょう ?
 しかし、そうは言っても、確かに、"銀塩カメラを使った方が撮影しやすいだろう写真のイメージ" というものもあります。
 デジタルカメラと銀塩カメラのそれぞれの使い心地といった、撮る人の気持ちの問題も決して小さくはないはずです。

9.2.1. シャッターチャンスに強い

 コンパクトタイプのデジタルカメラを使って撮影する時、シャッターボタンを押してから、実際にシャッター音が聞こえ(聞こえない機種もあります)、そして液晶モニタに撮影結果が映し出されるまでの時間のズレ、遅れ(=タイムラグといいます)に苛立たない人は、まずいないはずです。撮影の遅れは数分の一秒、表示までの時間は 1 秒あるかないかといったていどですが......。
 しかし、とりわけ、子供のいい表情を撮影したい時など、シャッターチャンスを逃したくない時に、この時間遅れは苛立たしいことこの上ありません。
 つまり、シャッターチャンスを優先したい撮影の場合には、銀塩カメラの方が快適に撮影できやすいということができるでしょう。もっとも、銀塩カメラでもオートフォーカスの作動などでイライラすることも少なくありません。また、いずれのカメラにせよ、結局は操作に慣れ、早め早めにシャッターを押すしか方法はないのですが......。
 現時点(2002年1月)において、コンパクトタイプのデジタルカメラで、この時間遅れを気にしないで済むような機種はありません。ただし、一眼レフタイプのデジタルカメラでは、銀塩カメラと同等の感覚で撮影できます。つまり、何年後かには、この時間遅れを気にせずに済み、しかも安価な機種が登場することになるのでしょうね。

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写真 2.1.a.
銀塩カメラの方がシャッターチャンスを逃がさずに撮影しやすい実例。
10カット撮影したところ、8 カットは飛んでいる瞬間を撮影できていました

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写真 2.1.b.
コンパクトタイプのデジタルカメラでは、
こうした失敗が多くなりがちです。
シャッターチャンスを確実に撮るのは難しく、
ジャンプの瞬間を撮影できたのは10カット中
2 カットでした

9.2.2. 背景が大きくボケる

 先に、「コンパクトタイプのデジタルカメラは接写が得意」と書きました。
 これはつまり、コンパクトタイプのデジタルカメラに使われているレンズの焦点距離が短めで、手前から奥までピントが合いやすい性質を持っている(=被写界深度が深い)からです。
 これを逆にデメリットとして理解するなら、背景を大きくボカしたような(=被写界深度が浅い)イメージの撮影は難しいということになります。いわゆる「ポートレート」モードの撮影をコンパクトタイプのデジタルカメラでおこなっても、思ったような効果が得られないことは、もしかすると多くのユーザーが感じているかもしれません。
 これは、レンズの性質(焦点距離の長さ/短さ)の問題でして、背景を大きくボカして撮影したい場合には、レンズの焦点距離が長めの銀塩カメラの方が簡単、ということは覚えておいてもいいでしょう。もちろんですが、レンズ交換可能な一眼レフタイプのデジタルカメラでは、問題は全くありません。

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写真 2.2.a.
クールピクス 775 で撮影した写真 1.1.b の部分拡大です。
画面左の背景部のボケ方を、写真 2.2.b. と比べてください

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写真 2.2.b.
Nikon U で撮影した写真 1.1.c の部分拡大です。
標準ズームレンズの開放 F 値で撮影しています。
開放 F 値がさらに小さくて明るい大口径レンズを使えば、さらに大きなボケを得られます

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写真 2.2.c.
Nikon U とよくセットで売られている標準ズームレンズ。
焦点距離が「28〜80mm」と書いてありますね。
コンパクトタイプのデジタルカメラのレンズと比べると、数倍の長さの焦点距離のレンズですね

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写真 2.2.d.
Nikon U のファインダー像。
きめを感じないくらいのきめ細かさであり、細部を詳しく観察することができます

9.2.3. 各部操作の手触り感

 "銀塩カメラ" と一口に言っても、最近では、各部にデジタル技術が採用され、"操作はボタン、表示も液晶にデジタルで" といった機種が多くなりました。
 こうした意味で最近の機種に限っていえば、デジタルカメラも銀塩カメラも、撮影時の操作自体に大きな違いはなくなりつつあります。
 しかし、マニュアルタイプの銀塩カメラを操作する時に感じる、"マニュアル操作の手触り感" といったものは、おそらく今後のデジタルカメラに再現されることはないように思われます。
 フィルムを巻き上げる、ピントリングを回転してピントを合わせ、シャッタースピードや絞り値をダイヤルで設定する......、といった写真撮影の基本的操作は、マニュアルタイプの銀塩カメラでこそ深く味わうことができるものでしょう。
 加えるならば、デジタル写真に比べ銀塩写真は、"現像するまで結果がわからない一発勝負" 的なニュアンスが大きいものです。かなりオーバーな表現かもしれませんが、なんとなくこれは、やり直しがきかない人生に似ているのかもしれません。
 自動化、簡略化、簡易化の流れの中で、自分の手でいちいち操作するマニュアルタイプの銀塩カメラは、今後、とても贅沢(ぜいたく)な存在になっていくかもしれませんね。

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写真 2.3.a.
フィルム巻き上げレバー。
これがない銀塩カメラも多くなりました......

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写真 2.3.b.
レンズの "絞りリング" を回して、絞り値(f 値)を設定しています
(最近の多くの機種は、液晶表示を見ながらボタンやダイヤルを操作して設定します)。

その先のリングがピント合わせ用の "距離リング" です。

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写真 2.3.c.
シャッタースピードを設定しています
(最近の多くの機種は、液晶表示を見ながらボタンやダイヤルを操作して設定します)

9.3. 銀塩カメラ(とりわけ一眼レフ)にチャレンジしたい人のために

 冒頭に、「デジタルカメラも銀塩カメラも、レンズを通してできた像を写す機械という意味では同じだ」と書きました。
 そして、実際に写真を撮影する操作などでは、あまり大きな違いはないことも、紹介してきました。
 つまり、デジタル写真も銀塩写真も、カメラ自体に大きな違いはないのです。違いがあるのは、デジタル写真は電気信号にするところを、銀塩写真はフィルムによって化学的に画像を記録しているということです。つまり、銀塩カメラや銀塩写真を撮影するためには、何よりも先に、フィルム(感光材料)を理解すればよいのです。
 とはいっても、これがまた奥深く難しいことが山盛りでして、まあ、本当に楽しいことこのうえありません。
 銀塩写真の技術は、デジタル写真の源流に相当します。銀塩写真を楽しむことは、すなわち写真の歴史をひもとくことでもあるのです。デジタル写真に退屈した時にでも、ぜひ銀塩写真にチャレンジしてみてください。

9.3.1. フィルムの基礎知識

 もっとも一般的に使われているフィルムは、35ミリフィルム(135判フィルム)と呼ばれるものです。
 35ミリフィルムを使うカメラを、「35ミリカメラ」と言います。つまり、35ミリ一眼レフというのは、35ミリフィルムを使う一眼レフカメラという意味です。
 では、「35ミリフィルムとは何か ?」というと、フィルムの幅が35ミリあるフィルムです。35ミリフィルムの両端には、フィルム送りのための孔(パーフォレーションといいます)が並んでいますが、これらを含めた幅が35ミリです。ちなみに、その内側の一般的な画面サイズは24×36ミリです。
 このフィルムは、光が入らない金属製の筒(パトローネとかマガジンとかカートリッジともいいます)の中に、くるくる巻きになって収められています。購入して来た時には、フィルムの先(リーダー部といいます)だけが出ている状態になっています。

 フィルムには、これ以外にも、さまざまな大きさ、形状をしたものがありますが、入門用としては35ミリフィルムが最もおすすめです。世界中どこでも入手しやすいですし、さまざまなメーカーや銘柄を使い分けることもできます。

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写真 3.1.a.
35ミリフィルムの中身。
紙製のパッケージ(左上)の中に、軟質プラスチックケース(右上)があり、
パトローネ(右手で持っている金属製の筒)の中にくるくる巻きになったフィルムが収められています

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写真 3.1.b.
35ミリフィルムは、フィルムの幅が35ミリです。
画面サイズの標準は、24×36ミリ。
36枚撮りのフィルムで、だいたい170センチ程度の長さがあります

9.3.2. フィルムの選び方

 35ミリフィルムを大きく分けると、次の 3 種類になります。
 それぞれの種類に、メーカーや感度の異なるさまざまが数多く市販されています。お望みの種類の中で、感度表示が400(ISO400)のものからスタートすればいいでしょう。
 詳しくは、一眼レフ入門 3 回目「フィルムは光の記録装置」も参考にしてください。

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写真 3.2.a.

  1. カラーネガフィルム
     カラープリントを作成するためのフィルムで、最も数多く使われています。橙色をしたフィルム上に色は補色、濃淡は反対(ネガティブ)に写ります。
     これを印画紙にプリントすることで、はじめて見た目どおりの色、濃淡の写真ができる仕組みです。
     プリントを作成する際に、色や濃淡をかなり自由に調整できます。
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写真 3.2.b.

  1. カラーリバーサルフィルム
     スライド上映にも使われるため「スライドフィルム」といったり、色や濃淡がフィルム上に正しく(ポジティブ)に写るため「ポジフィルム」ということもあります。
     撮影時のフィルター補正や露出調整を正しく反映した写りになり、発色も美しいため、印刷などの原稿として用いたり、趣味で撮影を楽しむ人々に多く使われています。
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写真 3.2.c.

  1. モノクロフィルム
     白黒プリントを作成するためのネガフィルムで、さまざまな色も濃淡でのみ記録します。
     最近ではあまり使われなくなったせいもあり、プリント料金はカラー写真よりも高く、納期も余分に必要だったりします。
     自分でフィルム現像やプリントをおこなったりする根強いファンが多いのも特徴です。

9.3.3. 一眼レフの使い方の基本

 コンパクトタイプのデジタルカメラと全く異なるのは、フィルムを装填(そうてん)すること、そしてレンズが交換できることくらいでしょうか。
 いずれも、はじめは少し戸惑うかもしれませんが、デジタルカメラを操作できる人なら誰にでもできることです。使用説明書を片手に、何度かやってみるだけで大丈夫。
 各部の操作も、ボタンがダイヤルやリングになっている程度の違いです。難しく考えないで、デジタルカメラとの対応を考えれば、理解は早いはずです。
 ここでは、「Nikon U(ユー)」を題材にして、操作の一部を紹介するにとどめます。

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写真3.3.a.
この種の一眼レフカメラでは、レンズを交換できるメリットもあります。
レンズを交換するだけで、さまざまな写りを楽しめます。

コンパクトタイプのデジタルカメラでいえば、コンバータレンズを取り付けて使う感覚に近いでしょう


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写真 3.3.b.
フィルムの装填は、明るい場所でできます。
フルオート機では、パトローネをカメラに入れ、フィルムのリーダー部を引き出して、先端をマークに揃えて裏蓋を閉じるだけです。
マニュアル機ではもう少しやっかいですが、意外と難しいものではありません


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写真 3.3.c.
露出モードの考え方は、デジタルカメラと基本的に同じです。
とりあえず [AUTO] モードでスタートし、イメージプログラムモードや、[P](プログラムオート)、[S](シャッタースピード優先オート)、[A](絞り優先オート)、[M](マニュアル)にも挑戦してください


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写真3.3.d.
ズーム操作。
多くのデジタルカメラでは、ボタンやダイヤル操作ですが、
一眼レフカメラでは、レンズのズームリングを左手で動かすのが一般的です。
一度操作すれば、すぐに慣れます


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写真 3.3.e.
露出補正操作。
デジタルカメラの露出補正と同じです。
撮影結果をすぐに見られない銀塩写真の場合、大幅に変化した何枚かを予備的に撮影しておくのが、撮影上達への早道になります

似顔絵
最終回の終わりです。
 この連載を最初に書き終えたのは、2002年の始めです。今回、内容の一部をアップデートするために若干の訂正を行いました(2003年4月に完了)。
 振り返ってみると、「これがたった一年の出来事か !?」と思えるくらい、デジタルカメラの機種は目まぐるしく変化し、機能・性能も格段に向上しました。しかし、記事の多くは、写真撮影に関する基本的で普遍的な内容を書くようにと心がけていたせいか、大幅な書き換えを要するものではありませんでした。このため、掲載している機種も、今では少し古いタイプに属しますが、あえて最新機種にさしかえずにそのままにしてあります。
 デジタル化の流れは、「写真という言葉」や「写真に写る画像」の意味内容をますます変化させていくでしょう。善くも悪くも、それは確かです。できるなら、こうした変化を私たち自身の平和と幸福のために役立てたいものです。

 また、どこかでお会いしましょう。