2008年9月アーカイブ

1. 「撮影を遊ぼう !」

第 1 回目「撮影を遊ぼう !」

似顔絵 デジタルカメラのほとんどの機種は、割合簡単な操作で十分な画質が得られるよう設計されています。
 しかし「なぜか上手く撮れない」、「いつもヘンな顔で写る」などとお思いになられている方は少なくないはずです。
 多くの方々はこれらの原因を、撮影技術やデジタル技術に求めるはずです。もちろん、技術的な問題を解決することによって、満足のいく結果を得られることが多いのは確かです。
 しかし、決してそれだけではありませんね。例えば、撮影技術やデジタル技術と、いい笑顔やいい表情で撮影できるかどうかは、全く異なる問題です。

 連載の初回である今回は、技術的な内容は最小限に抑え、「いかに撮影を楽しむか」についてのいくつかの提案をおこないます。
 一通りお読みになって作例をご覧になったら、それだけで肩の力がずいぶん抜け、もっと撮影を楽しめるようになっているでしょう(たぶん)。

1.1. 基本はこれ

 デジタルカメラでは、多くの場合、カメラ任せのオート機能で撮影すれば、そこそこきれいな写真を写すことができます。
 でも、何かヘン......、見たままの色や濃さで写らない......といったことが、少なからずあります。

  1. 「露出補正」、
  2. 「ホワイトバランス」

の二つの設定を手動(マニュアル)で変更するだけで、ほとんどの問題が解決します。つまり、これら二つの設定変更の仕方を理解しておくことは、とても大切です。
 もちろん、これらを操作する以前に、自分の眼で、実物の被写体の見え方と液晶モニタ上に映るイメージとの違いをしっかり観察することが肝要です。デジタルカメラでは、仕上がりを液晶モニタですぐに確認できますから、少し面倒でも、満足できる結果を得られるまで、何度も設定を変更して撮影しなおすといいでしょう。少し慣れた頃には、写真の腕も数段上達していること請け合いです。

1.1.1. 明るさ・暗さは自由自在

 「夜間や暗い室内で撮影した場合、写真の仕上がりは黒っぽくなる(暗くなる)のが当然だ」と思い込んでいる人は意外に多いものです。もちろん、銀塩カメラでもデジタルカメラでもそうなるしかない機種もありますが、露出補正機能のあるカメラでは、仕上がりの白さ(明るさ) / 黒さ(暗さ)をある程度の範囲で調整できます。
 マニュアル設定のできるカメラであれば、調整範囲はさらに広がります。

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露出補正の操作の実例(「COOLPIX 990」)

 まずは露出補正機能を使って、同じ被写体を白っぽくしたり、黒っぽくしたりして、印象の違いを比べてみてください。
 露出補正ボタン(やダイヤル)を操作して、仕上がりを白っぽくしたい場合には +(プラス)側(+ 2 EV で画面全体がほぼ真っ白になります)に、露出オーバーめに調整(補正)します。
 逆に黒っぽくしたい場合には -(マイナス)側(- 2 EV で画面全体がほぼ真っ黒になります)に、露出アンダーめに調整(補正)します。

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同じ被写体を露出補正を行って撮影した例

 + 2 EV〜 - 2 EV の補正で、ほぼ "真っ白" からほぼ "まっ黒" まで自由に調整できます。
 5 枚をこうして見比べると、"画面全体の濃さがただ変わっているだけ" のようにも思えますが、この中からどれか一枚だけを提示された時に受ける印象を想像してみてください。

 つまり、明るい被写体を黒っぽく写したり、逆に暗い被写体を白っぽく写すこともできるのです。もちろん、画面全体の濃さが変わるだけですが、意外にも画面全体の濃さを調整するだけで、写真の見栄えはずいぶん変わるものです。
 どうですか ? これができるようになっただけで、ちょっとだけプロフェッショナルになったような感じがしませんか ?

 ちなみに、フィルムを使った銀塩カメラの場合、撮影したフィルムは現像を終えるまで結果を確認できません。ですから、この「露出補正」こそが難しい技術の一つとされていました。でも、デジタルカメラでは結果をすぐに液晶モニタで確認できますから、ちっとも難しくありませんね。
 大事なことはただ一つ。どの程度の濃さにするのがいいかを、自分の眼で見て確認することだけです。

 なお、操作方法や調整(補正)できる範囲は、デジタルカメラの機種やメーカーによってかなり異なります。
★この項の詳細は、「一眼レフ入門 一眼レフなんかこわくない !」の
8 回目「「露出」の基礎知識」
を参照してください。

1.1.2. 色も自由自在

 フィルムを使った銀塩カメラでは、光源の色(色温度)や撮影目的などによって、フィルムのタイプ(デーライトタイプあるいはタングステンタイプ)を選んだり、あるいは色温度を変換するためのフィルターをレンズの前にセットするなどして、仕上がりの写真の色調を調整する必要があります。
 ところが、デジタルカメラでは、こうした面倒は一切ありません。
 「オートホワイトバランス(AWB)」機能が働いて、"白い被写体を正しい白で再現するように" と画面全体の色調を自動的に調整しています。これはビデオカメラと同じ仕組みであり、デジタルカメラの大きな特徴であり特長といえます。

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<写真>「COOLPIX 990」のホワイトバランスの設定メニュー。

 オート(AWB)の他に、「太陽光」、「曇天」、「電球」、「蛍光灯」、「スピードライト」などのマニュアル設定モードがあり、光源の種類を指定するだけです。
 「プリセット」を使うと、かなり正確なホワイトバランスが得られます。
 機種やメーカーによってメニューも機能も大きく異なりますが、これらを操作すれば、写真の色調をより正確にしたり、逆に変化のある色調を楽しめます。

 しかし、この機能は完璧ではありませんので、「色調がヘンだ」と思った場合には、手動(マニュアル)でホワイトバランスを設定するといいでしょう。
 これまたデジタルカメラの機種によってかなり異なりますが、光源の種類を選択するだけです。
 いくつかの光源がミックスされている場合には、かえって「オートホワイトバランス (AWB)」まかせの方がいい結果になることだってあります。

 また、わざと光源の種類とは異なるホワイトバランスのマニュアル設定を選べば、まるで銀塩カメラのレンズに色温度の変換フィルターをセットしたかのような色調の画像を得ることもできます。
 正しい色を再現するだけでなく、ちょっと変わった色調の写真も積極的に楽しんでいただきたいと思います。


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「オート」ホワイトバランスで、蛍光灯照明下で撮影した例(スピードライトは「OFF」(発光禁止)にしています)。

 デジタルカメラで撮った室内の蛍光灯照明は、非常に柔らかい美しい照明です。
 カメラブレや被写体ブレに注意すれば、見たままに近いイメージで撮影できます。

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ホワイトバランスは「太陽光」にセットし、電球による照明の下で撮影した例。

 通常のフィルム(デーライトタイプのフィルム)で撮影したのと同じように、橙色が濃くなり、暖かいイメージになります。

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ホワイトバランスは「電球」にセットし、太陽光の下で撮影した例。

 タングステンタイプのフィルムで撮影したのと同じように、青みが強くなります。
 寒々しさを感じませんか ?

★この項の詳細は、「一眼レフ入門 一眼レフなんかこわくない !」の
11回目「写真の「色」を楽しもう」
を参照してください。

1.1.3. 光と影を見つめよう

 多くの場合、私たちは「被写体がそのまま写真に写る」と思いこんでいます。ですから、"被写体のどこに光が当たって、どこに影が落ちているか" といったことを、普通は意識しません。
 ところが実際には、フィルムを使った写真も、デジタル写真も、"被写体が反射した光" を写しているのです。写真は、"被写体のどこに光が当たって、どこに影が落ちているか" を正確に記録します。
 しかも、実物を見ている時とは異なり、写真は全く静止したイメージですから、意外にも光の当たり方や影の落ち方が、良くも悪くも非常にはっきり見えるものなのです。影の落ち方で表情がヘンに見えたり、撮影時には見えなかったスピードライトの反射が写真では気になったりした経験は、誰にでもあると思います。
 ただ、私たちは特殊な場合を除いて、光そのものを見ることはできません。光によって被写体がそこに見える事実から、光の存在を知ることができるにすぎないのです。だからこそ難しいのですが、撮影時には心をちょっと落ち着けて、「被写体のどこに光が当たって、どこに影が落ちているのか ?」を観察してみてください。たったそれだけで、一味違った写真を撮れるようになることを請け合います。

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<写真 7.>
 被写体の左斜め上方に光源があります。
 被写体の右側(画面左側)に影が落ちています。
 当たり前といえば当たり前ですが、<写真 8.>、<写真 9.>と見比べてください。

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<写真 8.>
 被写体の左真横の上方に光源があります。
 <写真 7.>に比べると、影の範囲が広く、ちょっと印象深い(陰翳のある女性 !?)感じを受けるはずです。

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<写真 9.>
<写真 7.>と同じ条件ですが、被写体の右側(=画面左側)に白い紙をおいて光を反射し、影を明るくしたものです。
 <写真 7.>、<写真 8.>に比べると、明るい印象を受けませんか ?

★この項目の詳細は、「一眼レフ入門 一眼レフなんかこわくない !」の
12回目「摩訶(まか)不思議な写真の世界」の「3.2. 光を操る」
を参照してください。

1.2. 友達と遊ぶ

 "友達同士で写真を撮る" というと、現代の日本人の多くは、ついうっかりピースサイン("V" サイン by ウィストン・チャーチル英首相)を出してしまうかもしれませんね。もちろん、ピースサインはいけないというつもりはありませんが、もうちょっと芸のあるポーズも楽しみたいものです。
 あまたあるファッション雑誌などの中で、モデルたちがどのようなポーズをしているか ? を少し研究してみましょう。そして、友達同士で冗談を演じるつもりで、いろんなポーズで写真を撮りあいっこしてみましょう。意外なことに、自分自身の新しい魅力を発見できたりするはずです。嫌なイメージに撮れたら、データを消去・抹消するだけでいいのですから、デジタルカメラは本当にお気軽です。
 もし、興が乗ってきたなら、いつもより濃い化粧をしてみたり、カツラをつけたり、普通は着ない衣装を身につけたり、誰かの物真似をやったりしてみましょう。これまた、一度ハマってしまえば、もう楽しいことこの上ありません。ぜひ、お楽しみあれ。

1.2.1. ポーズとカメラ位置の基本

 "痩せて写りたい" というのは、多くの女性の密かな願いですね。男性なら、"威風堂々と写りたい" といったところが理想のイメージでしょうか ?
 これらをお手軽に達成するためのちょっとしたコツを考えてみましょう。もちろんですが、人の体型は人それぞれですので、必ずこれで上手くいくというのではありませんが、まあ、基本的なポーズとカメラ位置として覚えておいて損はありません。後は、これらをどのようにアレンジするかだけです。
 他人を撮るだけでなく、自分自身も写ってみて、お互いに比べてみると、面白い発見があるはずです。心構えは一つだけ。「あんまり真面目にならない」こと。では、肩の力を抜いて、さっそく始めてみましょう......。

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<A.>「ポーズ」の研究

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<B.>

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<C.>

 普通に「写真を撮る」というと、どうしても<A.>のようにカメラに正対して真正面を向いてしまう(向けてしまう)ものですが......、

 <B.>のように、身体を斜め45度くらい斜めに構えるだけで、ずいぶん細く写ります。
 撮影する瞬間にお腹をグッとへこませるのも作戦の一つ。
 また、手の位置もいろいろ変えてみましょう。

 さらに、前に出た脚を、カメラの方向に向けて少し出すと、脚の甲の分だけ脚が長く写ります(<C.>)。これがミソです。

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<A.>「カメラ位置(アングル/ポジション)」の研究

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<B.>

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<C.>

 たいていの場合、人は立った眼の位置でカメラを構えます。ズームを望遠側にした場合にはあまり気になりませんが、広角側にすればするほど<A.>のように意外に頭デッカチに写ります。

 カメラ位置を下げて、被写体の腰くらいの位置から撮影すると、<B.>のように身体のプロポーションが、ほぼ見た目どおりに写ります。

 もっとカメラを下げてローアングル(ローポジション)で撮影すると、<C.>のように "威風堂々" になります。

 デジタルカメラには、レンズ部を液晶モニタつきボディに対して回転できる(スイバルできる)(ニコンでは、「COOLPIX 3500」「COOLPIX 2500」、「COOLPIX 995」、「COOLPIX 990」、「COOLPIX 950」など)機種や、液晶モニタの角度を変化できる(ニコンでは「COOLPIX 5700」、「COOLPIX 5000」など)機種があり、これだと、ローアングル(ローポジション)撮影も(その反対も)簡単ですね。また、こういった機構は、銀塩カメラではなかなか真似できないことです。

 屋外で撮影する場合には、カメラ位置(アングル/ポジション)の高〜低(ハイ〜ロー)で、背景の写り方もずいぶん変わっていくことに驚くはずです。

1.2.2. 動きながら撮ってみよう

 被写体のひとはいろいろなポーズをしてみる。また写真を撮る側でも、カメラ位置をいろいろ変えてみる......。そうして動きながら撮影すると、新しいアイデアがいろいろ湧いてくるはずです。

 「露出ばらし(=段階露出(ブラケッティング))のカットを押さえておく以外には、必ずポーズやカメラ位置を変えること」といったルールにして撮影をすると、アイデアもさらに膨らむはずです。というか、アイデアを出さないと次のカットが撮影できないこのルールは、結構疲れます。と同時に、かなり遊べます。
 室内で撮影するならば机や椅子やベッドなど、屋外で撮影するなら建物や階段や樹木などを使ってみると、さまざまなバリエーションを楽しめます。

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腰掛けてみる
 椅子という小道具一つで、さまざまなバリエーションが考えられます。
 自宅にある家財道具で工夫してみましょう。

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座ってみる
 床への座り方もいろいろですね。
 女性らしいとされる座り方、胡座(あぐら)をかけば男らしいとされる座り方などなど。

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寝そべってみる
 無地の背景ですが、意味深に見えたりしますね。

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 セルフタイマーなどを使用した記念写真などでも、ただ普通に立って写るだけでは味気ありませんね。皆、違うポーズにしてみるとか、逆に揃えてみるとかするだけでも撮影は楽しくなります。

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三人で撮る記念写真

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 面白いことに、人はジャンプなど、ちょっと激しい運動をすると無意識の表情が出たりするものです。
 まあ、深く考えずにどんどん身体を動かしてみましょう。

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ジャンプしてみる

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 デジタルカメラはシャッターボタンを押してから、実際に写るまでのタイムラグがありますから、タイミングをつかむのが結構難しいものです。でも、「それまた楽し」と考えます。

●ここがポイント!
 シャッターレリーズボタンの「半押し」を使うことで、シャッターチャンスをより正確に捉えることができるようになります。
 動く被写体にカメラを向け、シャッターボタンを「半押し」にしてチャンスを待ち、「いざこの瞬間 ! 」と思った時にシャッターボタンを「全押し」にして撮影します。
 これは「フォーカスロック」機能を使った撮影と同じですが、オートフォーカスの動作に必要な時間を省略できるため、タイムラグをほとんど感じない撮影が可能になるわけです。
 カメラに対して前後に動く被写体では、ピンボケになりますが、上下や左右に動く被写体ならば、ピントばっちりで撮影できます。お試しください。

 ここでの心構えは、イメージの「意味」を深く考えないことです。普通は決してしない格好をして撮影していても、それだけを一枚の写真としてみれば、意外な見え方がするものです。
 「写った写真のイメージと現実そのものとは、ほとんど直接的関係がないもの」と割り切って、撮影を続けてみましょう。

1.2.3. 冗談を楽しもう

 さて、ここまで来たら、もっとあれやこれやいろいろ試してみたくなったはずです(多分)。まあ、こういったわけですから、ここから先は冗談。本気にとらないでくださいね。
 とはいえ、カツラをかぶるだけでも、あるいはいつもと違う衣装を着るだけでも、気分はがらりと変わりますよね。今まで知らなかった自分に出会えるような感じです。
 多くの人は、自分自身のイメージを、知らず知らずの内に、一つに決めてかかっています。でも、自分の見え方(見られ方)は決して一つではないのが普通なのです。
 あんな格好やこんな格好、やってはいけないと思い込んでしまっていることにチャレンジしてみませんか ? 楽しいですよ〜。

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 先に登場した三人の女性です。で、誰が誰か判りますか ?「えっ、この人がこの人 ?」ってな驚きを感じてくだされば、それでいいのです。"写真なんて、冗談の一つ" だと思って遊んでしまいましょう。

1.3. 家族で遊ぶ

 "家族" といってもさまざまですが、"父親らしい父親"、"母親らしい母親"、"子供らしい子供" っていうのだけじゃあ、ちょっと窮屈ですよね。基本的には、皆、一人一人の個人です。仕事や家事をしている時、友人たちと遊んでいる時、趣味に興じている時......それぞれにそれぞれ別の顔があるのが普通です。
 ならば、家族の中で、いつもではない別の役割を演じてみませんか ? 「いつものアナタじゃないじゃない !」とか、「いつものオマエじゃないぞ〜 !」とか、「誰 ? この子供 ?」とかいう具合の否定的見解は避け、「あ、こんないいトコあるんだ !」とか、「お、意外にきれいじゃん !」とか、「え、こんなにカワイかったのか !」といった具合に、何でも肯定的に捉えるのがコツ ? ですね。たったそれだけで、家族円満間違いなしです。ハイ。

1.3.1. 数撮って当てよう !

 先にも少し触れましたが、デジタルカメラは、シャッターボタンを押してから、ほんの一瞬かかってやっと写真が撮れます。ゼロコンマ何秒あるかないかといったタイムラグですが、これが結構曲者(くせもの)です。例えば、小さな子供などの笑顔を撮影するのは、とても難しいものです。
 でも、現状としては、このタイムラグは避けがたいものですので、シャッターチャンスを予想して、早め早めにシャッターを切るようにしましょう。1.2.2.の「ここがポイント」で紹介した、シャッターボタンの「半押し」 を活用すると、シャッタータイムラグをあまり感じずに撮影できます。
「数打ちゃ当たる」。これは写真の本質の一つでもあります。しかもデジタルカメラでは、フィルム代はかかりません。

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 デジタルカメラには、30コマ / 秒のスピード(! !)で連続70コマ(! !)撮れる「ウルトラハイスピード(UH)連写」機能なんてのを搭載したモデルもあります(機種によって異なります。連続40コマ撮れるモデルも)。
 この機能を使いこなせば、小さな子供などの一瞬の表情の変化も逃しませんね。

 とにかく撮って撮って撮りまくる。数多くのカットから、良いものだけを後でセレクトするのが、写真上手への早道です。プロの基本も、ここにこそあるのです。技術的に未開発の初心者はプロよりも数多く撮ってしかるべきなのです。

1.3.2. 役割を分担してみよう

 さて、「写真は一人で撮れるもの(撮るもの)」という固定観念を、意外に多くの方が抱いていますが、実際のプロの撮影現場は、たくさんのひとびとの共同作業によってなされています。
 誌面などの全体像をイメージするディレクター、衣装や背景を考えるスタイリスト、髪の毛や化粧を作るメイクアップアーティスト、それから照明などを調整するカメラアシスタント.......などなどといった具合。これだけ多くの人が、いい写真を撮るために一丸となっているから、本当にいい写真が撮れるのです。

 ですから、ひとりだけで、カメラを持って、子供をあやしながら、しかもレフ板や照明機材を使いこなすなんてことは無理です。私にだって、できっこありません。
 そこで、例えば、"お父さんはカメラ係"、"お母さんがレフ板持ちと子供あやし担当" などといった具合に役割分担を決めて撮影してみましょう。ただし、お互いにうるさいことをいうのはナシですよ。共同作業をやっている者同士が喧嘩してては始まりません。自分自身の役割に徹して、なかよく事を運びましょう。「仲良き事は美しき哉(かな)」です。

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 お父さんがカメラを担当、お母さんがレフ板を持ってアシスタント役をしています。

 屋外(それも道路 !)に毛足の長い敷物を広げての撮影ですが、まさかこれでこのような写真(<右>)が撮れるとは......、信じきれないかもしれませんが、本当の事です。

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今度は、お母さんがカメラ担当、お父さんは "照明さん" ですね。

 300ワット程度の電球でも使い方次第(照明機材などについては、第三回目に詳しく紹介します)。とりあえず家庭内にある明るい電球などを使ってチャレンジしてください。
 デジタルカメラの感度は高めに設定して、ブレも楽しむくらいのつもりで。

1.3.3. 気楽に行こう !

たいていの人は「写真に写る(写される)」というだけで緊張してしまいます。なぜでしょう ?
 その原因の一つは、「写真はどこの誰に見られるか判らない」ものだからです。
 そしてもう一つは、「写真は真実を写している(写してしまう)」と心のどこかで信じているからではないでしょうか ?

 でも、ここまでお読みになった方は、もうお分かりですよね。写真に写るのは、光学的なイメージだけです。それが真実である場合もありましょうが、必ず真実であるとは限りません。とりわけ、デジタル写真は、撮影した後での画像加工も割合容易ですから、ありえないイメージだっていくらでも作成できるのです。
 だとすれば、「いい写真を苦労して撮る」だけではなく、「写真を撮って・撮られることをいかに楽しむか ?」に重点を置いた方が賢明かと私は考えます。堅苦しく考えずに、気楽に撮って気楽に撮られましょう。

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<A.>

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<B.>

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<C.>

 <A.>は、子供をでんぐり返ししているところ。
 こういうことをすると、たいていの子供はとても喜びますね。
 リモートコードやセルフタイマーを上手く使ってください。

 <B.>は、まあ、一見普通といってもいい家族写真ですが、お父さんとお母さんが少し離れてそれぞれがポーズを決めているのが、かっこいいですね。

 <C.>は海釣りの好きなお父さんの趣味を活かした(!?)イメージ......。
 ......あまり深くは考えないで楽しみたいものです。

 

コラム「自分自身を撮る」

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 "自分で撮りたいと思う自分自身の写真" といえば、すぐ思いあたるのが、パスポートや免許証、社員証などの証明写真です。
 「こんなのは、ほんとうの私じゃない !」と証明写真の写りに納得できなくて、次の更新のときまで "本当の自分捜し" をしている方も少なくありません。

 この写真は私の最近の自慢。運転免許証の写真ですが、和服を着てます。身体も少し横を向けて気取ってます。
 「えっ ? 免許センターに和服着て行ったの ?」とよく聞かれますが、実はこれは自分で撮影した写真。
 私の住む神奈川県では、無事故・無違反のドライバーが免許更新を近くの警察署に行って手続きするときには、本人が持参した写真が新しい免許証にも使われることになるのです(全国どこでもそうなのかは不明ですが......)。

 というわけで、証明写真に不満を抱いている方は、写真館で撮って貰ってもいいし、下手なプロに頼むくらいなら自分で撮っても、友人や家族に撮ってもらってもいいのです。
 そのかわり、各々の証明写真としての要件を満たすための約束事はちゃんと守ってくださいね。悪ふざけはもちろんいけませんが、証明写真だって楽しんでしまいたいものです。

 それから、証明写真の撮り方の流儀は、国によっても結構違うようです。興味のある方は調べてみては如何でしょう。

2. 「しっかり見て撮ろう !」

第 2 回目「しっかり見て撮ろう !」

似顔絵 今回は、身の回りのさまざまな物を、ちゃんと写すために必要な技術をご案内します。
 デジタルカメラで撮影するときの "色" については「ホワイトバランス」機能を、写真一般の "濃さ(濃淡)" については「露出補正」機能を使うのは、前回お話した通りですが、今回は加えて次の 3 つの要素がテーマとなります。
 すなわち、

  1. 「被写体の形」と
  2. 「背景」と
  3. 「光の反射と影」

です(これらは、デジタルカメラであっても銀塩カメラ(フィルムを使うカメラ)であっても、写真を撮るうえで大事な要素です)。

 そして、自分で「いいな」と思える以上に、他人にも「いいな」と思ってもらえる写真を目指しましょう。そのためには、雑誌などでプロが撮影した写真のイメージを真似てみることも必要でしょう。また、配偶者や友人知人の意見もおおいに参考にしてください。
 失敗を多く重ねるほど、上達は早いものです。

 それからもう一つ。ぜひ三脚のご用意を。三脚が一本あるだけで、撮ることができる写真の幅がグンと広がります。三脚が無い場合には、カメラをできるだけ固定してチャレンジしてください。ブレが生じることがありますが、なんとなくの感じはつかめるはずです。

2.1. 平面を撮る

 最近では、コピーマシンのように平面物を簡単に複写できる(スキャンできる)フラットベッドスキャナをお持ちの方も少なくないはずです。でも、考えてみればこのパソコン周辺機器は、"平面物だけを撮影するカメラ" と言えそうですよね*。
 だとすれば、デジタルカメラをフラットベッドスキャナ代わりにできるのは、当然の理(ことわり)です。

注*:反対に、デジタルカメラのことを "立体スキャナ(立体が撮れるスキャナ)" と呼ぶひともいます。

 もちろん、デジタルカメラではフラットベッドスキャナよりも平面物の複写に手間が掛かることは確かです。しかし、面白いことに、フラットベッドスキャナよりも自由度のある複写が可能になります。
 基本的には室内の蛍光灯照明を使用しますが、できれば卓上ランプ(数十ワット以上の電球を1 個 / 1 灯)と大きめのトレーシングペーパー(ディフューザー / 拡散板として使います)と白紙(レフ板 / 反射板として使います)を用意してチャレンジしてください。
 もちろん、必要に応じてホワイトバランスを選択・設定することも忘れずに。

2.1.1. 複写の基本

 まず、印刷物を複写する方法をマスターしましょう。何でもいいですから、手元にある印刷物を、これから紹介する方法で撮影し、それぞれの違いを自分の眼で確認してください。さらに、理解が深まるはずです。
 これらの方法をマスターすれば、イラストだろうが、絵画だろうが、写真だろうが、たいていの平面物の複写ができるようになります。

image★ ここがポイント !
 カメラ内蔵スピードライト(エレクトロニックフラッシュ)を使用すると、<写真1.>や<写真 2.>のように、スピードライト光の反射(テカリ)も写ってしまいます。
 複写の場合には、「発光禁止」モードに設定するのが基本です。室内照明や卓上ライトはあまり明るくありませんから、シャッタースピードは遅くなるでしょう。だから、ぜひ三脚を使用してください。
 三脚を使えばカメラ位置の微調整も非常に楽になります。


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<写真 1.>
スピードライト光が反射

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<写真 2.>
無光沢の原稿ではテカリは出ませんが、全体的にぼんやり写ります。写真 5. と比較してください。

 

▼ステップ 1.:直角を直角に写す

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<写真 3.>
少し歪んでしまう......

 <写真 3.>は、印刷物を机の上に置いて、普通の眼の位置から撮影したものです。
 照明は室内の蛍光灯だけですから、もっともお手軽な撮影方法と言えます。しかし、カラーコピー機で取ったコピー、フラットベッドスキャナでスキャンした画像とは決定的な違いがあります。何でしょう ?
 簡単ですね。「直角が直角に写っていない」のです。オリジナルは長方形なのに、写真には少し歪んだ平行四辺形に写っています。

 では、どうしたら、「直角を直角に写す」ことができるのでしょう ?

 答えを正確に書くのは少し難しいのですが、簡単にいえば、まずは「カメラと平面物を平行にすればいい」のです。
 少し詳しくいうと、「カメラのレンズの光軸と平面物の中心が直交する」ような位置関係にするわけです。
 ま、言葉でいうよりも、実際に液晶モニタで確認してみれば判ります(デジタルコンパクトカメラの光学式の透視ファインダーでは、微妙な調整はまず無理です)。

 より厳密に撮影したい場合には、<写真 4.>のような水準器(日曜大工店などで市販されています)を使うとよいでしょう。



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<写真 4.>
水準器(レベル)を使ってみる......

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<写真 5.>
カメラと平面物を平行に撮ってみる......

 そうして撮影したものが、<写真 5.>。これも室内の蛍光灯だけの照明です。
 フラットベッドスキャナで複写した(スキャンした)のとほとんど同じでしょ。
 カメラと平面的な被写体が近い場合には、カメラや撮影している自分の頭や身体の影が落ちることがありますので注意してください。照明器具の位置を考えてセッティングしなおすか、カメラのズームレンズを望遠 [ T ] 側にして、カメラを平面物から離して撮影すれば目立たなくなります。
 また、平面物が大きい場合には、カメラ位置の固定が大変ですから、被写体を壁に貼り付けるなどして撮影すると割合に楽です。

▼▼ステップ 2.:卓上ランプと白紙を使って撮影する。

 次に、卓上ランプがあれば、室内照明を消して、ランプだけで撮影してみましょう。
 <写真 6.>のように、だいたい斜め45度くらいの角度で平面物を照明するような位置にライトをセットします。これで撮影したのが<写真 7.>。写真の上部(撮影時には左側)が明るく、下部(撮影時には右側)が暗くなっています。

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<写真 6.>
卓上ランプだけでライティング

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<写真 7.>
上が明るく、下が暗い......

 この明暗差を小さくするために、<写真 8.>のようにランプの反対側に白紙を置いて照明光を反射してみましょう。
 撮影結果は、<写真 9.>。明暗差が小さくなりました。

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<写真 8.>
白い紙でライティングにひと工夫

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<写真 9.>

 ランプを平面物から離れた位置にセットすると、さらに明暗差が小さくなるはずです。
 さて、ここまでできれば、たいていの平面物の撮影ができる自信がついたはずです。明暗差を完全に無くすには、反対側から、もう一つ別のランプで照明すればいいのです。
 ここでは紹介しませんが、仕上がりはなんとなく想像はつくはずです。

2.1.2. 立体的に撮る

 複写の基本をマスターできたら、平面物を立体的に撮る方法にチャレンジです。
 「平面を立体的に ?」とか言われると何がなんだか判りませんが、写真のイメージをご覧になれば、いわんとするところはご理解頂けるでしょう。

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<写真10.>

image★ここがポイント !

 複数の平面物を、高さを微妙に変えてセットします。その高さの差によって生じる「影」がミソです。
 この「影」は、室内の蛍光灯照明だけでは、なかなかうまく出ないはずです。先に紹介したランプと白紙による照明方法をおこないます。

 下地(背景)についても考えましょう。

▼ステップ 1.:「影」を作る

 写真を 2 枚、ただ机の上に置いただけで、ランプと白紙を使って撮影したものが<写真11.>です。ちょっと味気ないですね。これなら、フラットベッドスキャナでも撮れます(スキャンできます)。
 ところが、それぞれの写真の背景からの高さを少しずつズラしてセットしてから撮影する(<写真12.>)と、<写真13.>のように、被写体の右側と下側にくっきりと影ができます。

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<写真11.>

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<写真13.>

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<写真12.>

 実は、この影があるから、私たちは、これらの写真が「浮いている」ように感じるのです。彫刻でいうレリーフ像に立体を感じる理由はここにあります。ですからもちろん、レリーフ像を撮影する場合も、この方法で「影」を作るといいわけです。

▼▼ステップ 2.:「影」の境界を滑らかにする

 ステップ 1. で撮影した影は、その境界がはっきりした線になっていることに注目してください。なぜならば、光源であるランプが小さいからです。
 ランプシェードなどのついた大きなランプを使ったり、ランプの前にトレーシングペーパーなどをセット(<写真14.>)すれば、この影の境界が滑らかになります。
 <写真15.>は後者の方法で撮影したものです。

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<写真14.>
トレーシングペーパーで照明光を拡散


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<写真15.>

 トレーシングペーパーがない場合には、薄手の白布や炭酸カルシウム製の買い物袋などで試してください。電球の前に何をセットするにしても、温度上昇〜火事には気をつけましょう。

▼▼▼ステップ 3.:斜めから撮ってみる

 カメラのズームレンズをやや広角(W)側にセットし、斜め方向から近づいて撮影したものが<写真16.>です(トレーシングペーパーは使っていません)。
 真上から撮影したものより、かなり大きな写真を撮影しているような感じがしませんか ?
 斜めから撮影しているため、正確な複写ではありませんが、写っている写真自体に遠近感があります。
 斜めから撮影するため、<写真17.>のようにランプが写真の表面に反射したり、周囲においた白紙など余計なものまで画面に入ったりすることがあります。注意して撮影してください。

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<写真16.>
遠近感が出た......

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<写真17.>

 これに住所や挨拶を書いた紙を添えて撮影すれば、それだけでポストカードの出来上がりです。
 さらに、アルバムやノートなどに写真を貼って撮影しても楽しいでしょう。

2.1.3. 額装した作品を撮る

 額装した作品を撮影する際にもっともやっかいなのが、ガラスや透明アクリルの存在です。これらの表面は極めて滑らかですから、光の角度によって強い反射を生じます。
 カメラ位置や額の向きを少し変えて角度をズラしたり、カメラ側に暗くなるように室内照明を調整してみましょう。
 可能なら、撮影する間だけ、ガラスやアクリルを額から取り除く方法も試してみましょう。

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<写真18.>
ガラスやアクリルの反射

image★ここがポイント !
 なにげに写真を撮影する時、私たちは被写体そのものを注視してしまって、被写体が反射している光の反射(テカリ)にはあまり注意がいかないものです。
 そこを少し頑張って、反射を見るようにしてください。
 デジタルカメラでスピードライトを使用する際は、撮影後に必ず、液晶モニタでテカリを確認します。

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<写真19.>

▼ステップ 1.:スピードライトで撮影するコツ

 作品がガラスや透明アクリルなどで保護されている場合に、内蔵スピードライトで撮影すると、強い反射が写ります。また、作品自体に光沢がある場合も同じです。これは、2.1.1. 複写の基本で紹介したことと同じです。

 スピードライトを使って、こうした反射をなくするには、作品を少し斜めから撮影するのがコツです。<写真19.>では、作品のやや左側から撮影しています。

 ズームを望遠 [ T ] 側にして遠くから撮影すると、形の歪みも小さくて済みます。

▼▼ステップ 2.:自分自身を写さない

 内蔵スピードライトを「発光禁止」にして撮影すると、<写真20.>のようにガラスやアクリルなどからの反射はほとんど写りません。
 しかし、作品が特に黒い(暗い)場合には、<写真21.>のように、撮影しているカメラや撮影者自身が明るく写り込む(映り込む)ことがよくあります。
 この場合、カメラのレンズを望遠 [ T ] 側にし、作品からできるだけ離れた位置から撮影すると、ある程度まで、この写り込みを軽減することができます(<写真22.>)。


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<写真20.>
「発光禁止」モードで撮る

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<写真21.>
カメラを構えた姿が......

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<写真22.>
できるだけ離れた位置から撮ってみる

 もし、室内の照明を調整・変更できるならば、照明を作品だけに当てて、カメラ & 撮影者がいる場所を暗くすると、写り込みはほとんどなくなります。
 写り込みを完全に無くすためには、

  1. ガラスやアクリルを額から取り外す、
  2. カメラの前にレンズ部分だけをくり抜いた黒幕を垂れて撮影する

などが考えられますが、ちょっと非常識ですね。必要があって、許可がおりる場合に限ってチャレンジしてください。

▼▼▼ステップ 3.:机の上の額を撮る

 <写真23.>は、机の上を片づけ、小さな額を置いて撮影したものです。ガラスは外しています。
 普通の蛍光灯照明下での撮影ですが、びっくりするほどきれいだと思いませんか ? これなら、ライティングのプロなんて必要ないですね......。困ったことです。はい。

 ただ、少し注意が必要なのが、この場合、パソコンのモニタ画面と額のガラスへの蛍光灯の写り込みです。撮影している時には、あまり気づかないものですが、写真として見ると、結構気になります(<写真24.>)。

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<写真23.>

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<写真24.>
写り(映り)込みに注意 !

 でも、モニタや額の角度を少し変えるだけで、見違えるほど、こうした写り込みは減らすことはできます。デジタルカメラの液晶モニタでテスト撮影した画像をしっかり確認し、それぞれの角度などを調整してください。

2.2. 立体を撮る

 平面物が自在に撮影できるようになれば、特に何も言わなくても小物の撮影くらいは楽にできるはずです。注目すべきは、「被写体の形」、「背景」、「光の反射と影」です。
 ここでは、1.)室内照明を消した窓際の光、2.)室内蛍光灯照明、3.)卓上ランプ、の 3 種類の光源で試してみますが、屋外で撮影する場合でも要領は同じです。

 ここでは紹介しませんが、自動車やバイク、衣装などの撮影でも、見るべきところは同じです。ただ、被写体が大きくなるぶん、光量や面積の大きな光源と、広いスペースが必要になります。これらを撮影したい場合には、事前にプラスチックモデルや人形などのミニチュアを使ってシミュレーション(テスト撮影)をしてみるといいでしょう。

2.2.1. 窓際で撮る

 窓際は、屋外の自然な光が、さまざまな表情をもって差し込む場所です。たいていの小物は、この光で撮影することができます。
 ただし、室内が蛍光灯や電球で照明されている場合には、それらを消灯してから撮影してください。なぜなら、屋外からの光と、蛍光灯や電球の光は、その色がかなり異なるからです(詳細は次回に整理します)。

image★ここがポイント !
 窓際の光の色(色温度)は、曇天の光の色(色温度)に近いものです。
 夕焼けや朝焼けでなければ、ホワイトバランスを「曇天」に設定すれば、美しい色で撮影できるはずです。
 もちろん直射日光が差し込む場合は「昼光」に設定します。

▼ステップ 1.:露出補正をおこなう

 当たり前ですが、窓際の光は窓の側から、つまり奥の方から差し込みます。結果的に被写体の手前が暗くなります(これが、いわゆる「逆光」あるいは「半逆光」という撮影条件です)。
 でも、心配御無用。基本中の基本である「露出補正」機能を使ってみましょう。
 たいていの場合、きれいに写したいのは、被写体の手前(こちらを向いている部分)です。ここに影が落ちて暗くなっているのですから、プラス側の露出補正(+0.5〜2 )をおこなって撮影するのです。
 たったこれだけで、見違えるようなイメージになるはずです。

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<写真1.>
露出補正なし

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<写真2.>
+1 の露出補正

 <写真1.>が露出補正「なし」、<写真2.>は「プラス 1」の補正をおこなったものです。たったこれだけでも随分、印象は違います。
 ただ、この場合、窓に近い場所は、真っ白になってしまう(飛んでしまう、データが飽和してしまう)のが難点です。

▼▼ステップ 2.:白紙で光を反射する

 もし、適当な大きさの白紙(ここで使っているのは30センチ角程度の大きさの紙です)が準備できるならば、それを被写体の手前にセットしてみましょう。
 白紙の角度や位置によって、被写体の手前側の暗い部分を明るくできることが判るはずです。
 影の部分が最も明るくなる位置に白紙をセットして撮影しなおしてみましょう(<写真3.>)。
 白紙がない場合は、白布、発泡スチロール、炭酸カルシウム袋などでも O.K.。白いものならば何でも使えます。  こうして撮影した画像が<写真 4.>です。
 露出補正だけをおこなった<写真 2.>と比較すれば、窓に近い部分の真っ白なところも(飛んでしまわずに)ちゃんと描写されていることが判ります。


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<写真 3.>
白い紙で、光を反射する

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<写真 4.>
白飛びを押さえました

 もちろん、どちらがきれいか、お好みに合うかは撮影している貴方が決めることです。でも、白紙一つで写真写りが大きく変わることだけは、覚えておいてください。

▼▼▼ステップ 3.:トレーシングペーパーを使う

 <写真 5.>のような状況で、窓の外(屋外)の様子まで写したくない場合などには、トレーシングペーパーを窓ガラスに貼って撮影するとよいでしょう(<写真 6.>)。
 もちろん薄手で白いカーテンでも代用できます。

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<写真 5.>

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<写真 6.>
窓ガラスに目隠しのつもりでトレーシングペーパーを貼ってみると......

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<写真 7.>
柔らかな拡散光が花々を包みました

 また、直射日光が差し込む状況では、トレーシングペーパーを貼ることで、太陽光を拡散できて柔らかい感じになります。薄手のカーテンと同じ効果ですね。
 さらに、前述した白紙などと併用すれば、<写真 7.>のように非常に柔らかい光を感じさせるイメージの写真を簡単に撮影できます。

2.2.2. 室内光で撮る

 何度か前述したように、室内の蛍光灯照明は非常に柔らかい美しい照明です。
 ですから、デジタルカメラでホワイトバランス機能がよく効く機種では、あまりライティングのことを考えなくても、眼の前に被写体を置いて撮影するだけで、非常に美しい写真が撮れます。

 ただ、あまり明るくはありませんからシャッタースピードは遅くなるでしょう。極力、三脚などを使用してブレを抑えて撮影してください。

image★ここがポイント !
 たいていの室内では、蛍光灯や白熱電球など、さまざまに色温度が異なる照明器具が使われています。
 デジタルカメラにて被写体の色を、見た目通りに撮影したいときには、屋外からの光を厚手のカーテンでカットし、蛍光灯以外の照明は消してください。
 ホワイトバランスの設定は「オート」でもかなり十分ですが、「蛍光灯」など細かな設定機能がある機種では、それらもいろいろと活用してみましょう。

▼ステップ 1.:レンズの焦点距離と「被写体の形」

 デジタルカメラでもズームレンズつきの機種は人気があります。
 このズーム変倍機能を、単純に、「写真の上で "被写体の大きさ" を変えるもの(撮影倍率を変えるもの)」と思っている方は少なくないはずですが、もうひとつ、「写真の上で "被写体の形" も変わる」ことにも注目して欲しいと思います。
 基本的に、広角 [W] 側にして、被写体にどんどん近づいて撮影すると、被写体の形が誇張(デフォルメ)され、実物よりも大きめに見えます。
 逆に、望遠 [T] 側にして、被写体との距離を遠く離れてから撮影すると、まるで設計図のような素直な形で写ります。
 「どちらが良いか ?」というのではなくて、それぞれの特徴を活かすように使いこなしたいものです。

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<写真 8.>
[ W ] 側で撮影

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<写真 9.>
[ W ] 側と [ T ] 側のあいだで撮影

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<写真 10.>
[ T ] 側で撮影

 <写真 8.>は、広角 [ W ] 側で撮影した画像、
 <写真 9.>は、広角と望遠の中間で撮影した画像、
 <写真10.>は、望遠 [ T ] 側で撮影した画像です。
 形の違いを見比べてください。カメラの大きさの印象がかなり異なることに気づくはずです。

 なお、これらの 8.〜10.の写真は全て、室内蛍光灯だけの照明で撮りました。驚くほどきれいだと思いませんか ?

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<写真11.>
被写体の置き方・浮かし方をひと工夫

▼▼ステップ 2.:被写体の向きを変える

 立体物は、その向きによって、さまざまに見えるものです。その向きによっては、その特徴がよく判るようにも、よく判らないようにも撮影することができます。
 もっとも一般的なのは、縦・横・奥行きの三方向が見渡せる向きからの撮影です。とはいえ、それだけでもさまざまな向きがありますね。自分自身で一番アピールしたい部分を前面に見せるように写してみましょう。

 さらに、<写真11.>のように被写体の置きかた(浮かし方)を工夫すると、それだけでちょっと立派な印象を受けます。
 写真には、被写体の後方は写りませんから、テープや消しゴムや粘土、あるいは針金などで支えて写してみましょう。注目度アップ間違いなしです。

▼▼▼ステップ 3.:被写体を動かしてみる。

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<写真12.>
スプリングカメラの使用時

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<写真13.>
同・収納(携行)時

 このようなスプリングカメラによらず、自身の形がおおきく変わる被写体(<写真12.> が <写真13.> に)は少なくありません。
 あるいは、先に例に出したフラワーアレンジでも、それぞれの花の位置を変えることで、写真の見え方は随分変わります。
 実物は立体物で、私たちはそれを両眼で視る(=両眼立体視する)のが普通ですが、写真には、その立体物を一点から視た(=つまり片目で視た時と同じ)ようすしか写りません。この違いは、意外なほど大きなものです。
 実物を見ながら写すだけでなく、液晶モニタ上に写るイメージを見ながら、被写体がもっとも美しく見えるように、あるいはその機能がよく判るように被写体の動かせる各部分を動かしてみましょう。

2.2.3. ライティングのヒント

 「写真のプロのライティング」などというと、それだけで難しそうな感じがします。
 確かに、容易なものではありませんが、被写体に光を当てるといった意味では、室内や卓上の照明を工夫するのと、根底では通じています。
 ここでは、光源に40ワットの卓上ランプをわずか一個(一灯)だけ使ったライティングの例をお見せします。これ以外に使っているのは、白紙とトレーシングペーパーだけです。たったこれだけの機材で、このような写真を撮影することができます。
 とにかくは自分の目で見て、工夫して撮ってみるだけです。ま、それが一番面倒なんですけれど、だから面白いとも言えます。ぜひ、チャレンジしてください。
 もちろん、時計や万年筆や宝石などの装身具といった小物の撮影にも応用できます。

image★ここがポイント !
 ここでは、トレーシングペーパーを支持するために専用のスタンドを使用しています。
 皆さんの手元には、おそらくこのようなスタンドはないでしょうから、友人や知人にお願いして、手持ちで支えてもらうところから始めてみては如何でしょう。専用のスタンドよりも、自由に位置を変えて貰えるだけ便利(?)だったりするかもしれませんよ。

▼ステップ 1.:卓上ランプだけで照明してみる

 ランプ一個(一灯)だけを使って、被写体をさまざまな方向から照明してみましょう。
 見える対象は同じ物なのですが、「光の反射と影」によって、さまざまな表情をすることに気づくはずです。
 まずは、これらの違いをしっかり見究めることがスタート地点です。

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<写真14.>
デジタルカメラの少し上に、卓上ランプをセット

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<写真15.>
被写体(「Nikon F2」というフィルムカメラです)の左側、斜め45度くらいから照明をあてる

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<写真16.>
卓上ランプを被写体の真上にセット

 <写真14.>は、照明を(デジタル)カメラの真上にセットして撮影したもの。
 <写真15.>は、照明を(デジタル)カメラの左側、だいたい斜め45度くらいの位置にセットして撮影したもの。
 <写真16.>は、照明を被写体の真上にセットして撮影したものです。
 それぞれの違いを見比べてください。

▼▼ステップ 2.:光の反射(テカリ)に注目する

 「2.1.3. 額の中の被写体を撮る」 では、光の反射(テカリ)をいかに無くすか、がテーマでした。しかし、ガラスや宝石、金属の表面などは、こうした光の反射(テカリ)があるからこそ、美しいのですね......。
 <写真18.>は、カメラのレンズにランプを直接当てて撮影(<写真17.>)したものです。ランプの光がレンズのさまざまな面で反射し、いくつものテカリになって写っています。また、レンズ鏡筒の先端部分とボディ右下部分にも強い反射があることが判ります。


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<写真17.>

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<写真18.>
カメラのレンズに照明をあてると......

 でも、これではあまり美しいとは言えません。

▼▼▼ステップ 3.:トレーシングペーパーを使ってみる

 ランプの前にトレーシングペーパーをセットすると、光が拡散されて柔らかくなります。なぜかというと、被写体から見た時、光源が大きくなったのと同じ効果があるからです。
 これはつまり、晴天の直射日光下では影が強くでるのに比べ、曇天下では影が弱くなることと同じ要領です。

 というわけで、ランプの前に大きなトレーシングペーパー(80センチ角)をセットして写した(<写真19.>)ものが<写真20.>です。<写真18.>に比べると雲泥の差ですね。
 さらに、トレーシングペーパーはそのまま、ランプの位置を変えてみたのが、<写真21.>。レンズ表面とボディ各部のテカリに、ずいぶんな違いがあります。


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<写真19.>
大きなトレーシングペーパーを専用スタンドにセット

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<写真20.>

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<写真21.>

 ここまでできたら、後は、皆さんの美意識の問題だけです。自分自身で「きれいだなぁ」と心底思えるように、ライティングを施して撮影してください。

2.3. 料理を撮る

 さて、本稿で紹介したかった全ての基礎知識は、ここまでで紹介し尽くしました。ここでは、作例を中心に、解説は最小限にして、料理の撮影について考えてみましょう。
 料理といってもさまざまですが、サンドイッチ、お弁当、シチューを例にします。
 一番の課題は「美味しそうに見えるかどうか ?」ですが、これには好みや趣味の問題が多く関わってきます。写真撮影の技術は、実をいうとその後の問題です。
 でも、以下に紹介するアイデアを参考にすれば、何もせずにカメラ任せで撮影するのとは違った料理写真が撮れるようになると思います。

2.3.1. 単品を撮る

 サンドイッチですね。料理と言えば、まず盛りつけ。写真には決して、本当の味は写りません。だから、まず見た目を大切に盛りつけるのがコツですね。いつもなら皿に置くだけなのですが、バスケットに入れてみる。ジュースを添えてみる。などなど......。

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<写真 1.>
カメラ内蔵スピードライトで撮影。カメラ任せで撮るとこういう具合になりがち。ま、"極めて一般的な料理写真(?)" といったところでしょうか ?

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<写真 2.>
蛍光灯照明での撮影(三脚は必要です)。見た目に近い感じですね。<写真 1.>と比べると、まさに"一味" 違いますよね ?

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<写真 3.>
窓際に置いて撮影しました。差し込んでいる直射日光が強すぎて、画面右上には "白飛び" が発生。でも、とても "朝" らしい雰囲気がありませんか ? 露出補正、白紙の使い方、そして窓際の光の扱いをいろいろ試しましょう

2.3.2. 下地(背景)とカメラアングルを考える

 お弁当です。まず、下地(背景)を変えて撮影してみましょう。いつも使っているテーブルクロスではないものに変えるだけでも、ずいぶん印象が変わります。
 次に、カメラのアングルを変えて、ズームレンズ機能を使って......、さまざまな角度から、距離から撮影してみましょう。意外な発見があるはずです。

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<写真 4.>
ベージュのクロスを敷きました。お弁当や弁当箱とクロスの色が似ていて、お弁当がちょっと目立ちませんね.....。

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<写真 5.>
柄もののハンカチーフ。カジュアルな感じは好ましいですが、柄が細かくて少しうるさい感じもします。

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<写真 6.>
緑のクロスを部分的に使ってみました。背景が立派すぎて、なんだか高級な懐石料理のようでもありますが、これも"お弁当を包んでいた布" と無理やり解釈。

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<写真 7.>
スプーンなどを添えて、真俯瞰から。中身が全て見えるのは、やはり高いところからの俯瞰位置ですね。記録用には、ぜひ押さえておきたいカメラアングルの基本です

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<写真 8.>
ズームレンズを広角(T)側にして、ググッと近づいて撮影すると、大きめのお弁当のような誇張感が。中身もよく見えます

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<写真 9.>
お弁当のご飯は、だいたいどれも同じ。となると、勝負所はおかず。そこで、ご飯は後方に、おかずを前面に、ググググーッと近づいて撮影


2.3.3. 食卓をイメージする

 食事を二人ぶん以上撮影してみましょう。 もちろん、二人分目は、一人前と同じ料理なのが普通ですから、どちらかを背景のように扱ってみます。さらに、ここでは真っ白の背景ですが、みなさんの素敵な(?)キッチンを背景にしたら、料理もいっそう引き立つはずです。


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<写真10.>
シチューです。グラスには、キリりとよく冷えた白ワイン......といいたいところですが、実は 油を薄めた水(! !)。写真に味までは写りません

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<写真11.>
縦位置で撮影。横位置とは雰囲気が少し変わりますね。構図の縦/横に合わせて、料理の配置も
変えてみましょう。

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<写真12.>
ズームを広角 [ W ] 側にして、ググッと近づいてみます。メインディッシュがよく見えます

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<写真13.>
食卓が白熱電球で照明されている場合、ホワイトバランスをわざと「太陽光」にマニュアルで設定すると、橙色がより強くなります。夜の雰囲気がでますね。

(「2.3. 料理を撮る」協力:いまだ 里香)

 さてさて、今回はここまで(毎度、データが重くなって恐縮しております)。でも、小物や料理など、動かないモノの撮影(ブツ撮り)は、これでバッチリ ! ではないでしょうか ?
 小物に限らずとも、自動車や衣装などでも、冒頭に述べたように注意して見るべきところは、「被写体の形」と「背景」と「光の反射と影」であることは共通しています。カタログや雑誌の記事に掲載された写真を眺める時に、これらにも注目するように心がけると、デジタルカメラでも銀塩カメラでも写真撮影の上達もいっそう早まるでしょう。頑張ってくださいね。

 あと、撮影に必要なさまざまな小道具類については次回(第 3 回目「足元を(基礎を)固めよう !」)にて整理します。お楽しみに。

コラム「写真でコレクションしよう」

 今回の記事は、例えば、ポストカードを作ったり、ネット上で小物を販売するときの画像ファイルをつくったり、あるいは料理コンテストに応募したりする際の写真の撮影方法を念頭においています。
 が、これだけにとどまらず、料理でしたらその傍らにレシピを添えて、さまざまな小物類にはその思い出話を添えるなどすれば、それだけでアルバムのような写真集ができますね。

 もちろん、ある程度の期間、持続・継続する必要があります。けれども、自分の品々を数十点おさめた写真集には、おのずから自分の歴史が刻まれていきます。

 また、料理はいうまでもなく、多くの小物たちもまた、いずれ今の姿を止め(とどめ)なくなるのは確かな事実でしょう。
 "写真の中には永遠がある" と私は考えます。ぜひ、フィルムあるいはデジタルデータに美しい姿で残しておいてもらいたいものです。

3. 「足元を(基礎を)固めよう !」

第 3 回目「足元を(基礎を)固めよう !」

似顔絵 デジタルカメラは(機種によっても異なりますが)、さまざまな状況に対応して撮影できるように設計されています。このため、機種によっても異なりますが、いくつものボタンやダイヤルを操作して設定できる項目は、非常に多岐にわたります。
 しかしこれらを使いこなせずに、結局、フルオートで撮影している方は少なくないはずです。とはいえ、第 1 回目「撮影を遊ぼう !」、第 2 回目「しっかり見て撮ろう !」で紹介してきたように「ホワイトバランス」機能と「露出補正」機能を使いこなすだけで、写真表現の自由度は格段に広がります。ですから、これら二つの機能は、ぜひとも皆さんの手で操作して欲しいのです。第 3 回目の今回は、そのために必要な基礎知識を整理します。
 そして最後に、三脚やレフ板(反射板)など、カメラまわりのアクセサリー類について簡単に紹介します。
 今まで、人に聞けなかったあれやこれやが、一挙解決 ! 眼からウロコが落ちるように感じて頂ければ、これ幸いです。

3.1. 「色」と「濃さ」を正しく写す

 「ホワイトバランス (WB) 機能」と「露出補正機能」は、被写体の「色」や「濃さ」をできるだけ忠実に再現するための強力な道具(ツール)です。しかし、多くのユーザーは、これらの機能を使うよりも先に、パソコンの画像加工(レタッチ)ソフトで修正しようと試みるようです。
 これは、パソコンの画像加工ソフトの方が視覚的に分かりやすい作りになっているためでしょう。逆にいえば、デジタルカメラのこれらの機能は、初心者にはわかりづらいもののようです。しかし、撮影時にしっかり調整することで、高品位の画像を得られると同時に、画像加工処理の時間をずいぶん短縮できます。
 ここでは、これら二つの機能を使い方の手順を簡単に紹介します。お手許のデジタルカメラを使い、卓上で白い被写体を撮影し、操作に馴染んでください。

3.1.1. オートまかせの限界 ?

 まず、カメラの設定はオートモード(カメラのマークか [P] モード)で始めます。
 ただし、スピードライトは「発光禁止」に設定し、卓上ランプか室内蛍光灯だけで撮影してください。
 ここでは、白熱電球と蛍光灯(昼白色)で撮影した例を掲載しますが、他の光源でも操作の手続きは同じです(作例の画像は「ニコン クールピクス 990」で撮影したものです)。

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<写真 1.>
ここでは、白い布地に白いガーベラの花を撮影します。この写真の「色」と「濃さ」がほぼ見た目に近い再現です

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<写真 2.a.>
蛍光灯(昼白色)で撮影した画像です。写真 1. に比べると、かなり暗い感じで、ほんのかすかな緑色を感じますが、実用的には許容範囲です

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<写真 2.b.>
白熱電球で撮影した画像です。写真 1. に比べると、橙色が濃く、見た目とはまったく異なっています

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<写真 3.>
カメラのモニタで複数の画像を確認する際、フル画面表示で交互に表示していては、なかなか違いが分かりません。サムネイル表示で画像を比較しながら、次のステップに進んでください

 非常に興味深いことに、一般的な蛍光灯で照明された被写体をデジタルカメラのオートモードで撮影すると、ほぼ正しい「色」で写ります。蛍光灯照明とデジタルカメラのオートモードは、色調再現において非常に相性がよいことは、特筆すべき事実です(銀塩カメラに馴染んでいる人にとっては、とても意外でしょう)。
 しかし、白熱電球で照明された被写体を撮影した場合には、見た目よりも橙色が強く写る傾向があります。

 いずれの場合でも、カメラの液晶モニタでフル画面表示にした場合、こうした色調の違いはなかなか分かりにくいものです。というのも、カメラのオート機能がかなり優れたものだからです。
 できれば、光源やカメラの設定を変えて撮影した画像同士を、カメラのサムネイル表示機能を使って比較してください。微細な「色」や「濃さ」の違いも一目瞭然になります。

3.1.2. 「ホワイトバランス」機能のマニュアル設定で「色」を調整する

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<写真 4.>

 ホワイトバランスのマニュアル設定とは、「ホワイトバランス、つまり色の基準点を手動で設定する」といった意味です。オートホワイトバランス (AWB) 機能は解除されますから、状況が変わる度に、ユーザーが設定しなおす必要があります。
 カメラのメーカーやタイプによって、機能が異なる場合がありますので、使用説明書で確認してください。
 ほとんど全ての機種でのマニュアル設定は、光源のタイプをユーザーが選ぶ方式になっています。つまり、被写体を照明している光の種類を選んで、それを選択すればいいだけです。
 光源の分類は、およそ下記のようになっています。

マニュアル設定のようす。カメラによって機能が異なります。

icon 「太陽光」 晴天の屋外で撮影する場合に設定します
icon 「電球」 白熱電球で撮影する場合に設定します(詳細は後述)
icon 「蛍光灯」 一般的な蛍光灯で撮影する場合に設定します(詳細は後述)
icon 「曇天」 曇りや日陰で撮影する場合に設定します
icon 「スピードライト」 外付けのスピードライトを使用する際に設定します

 さて、写真 2. で撮影した被写体を、それぞれ「蛍光灯(昼白色)」と「白熱電球」に設定して撮影し直した画像が、次に示す写真 5. です。

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<写真 5.a.>
ホワイトバランスを「蛍光灯(昼白色/クールピクスでは「FL2」)」モードにマニュアル設定して撮影。
この場合、オートホワイトバランスで撮った画像とほとんど変化はありませんでした

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<写真 5.b.>
ホワイトバランスを「電球」モードにマニュアル設定して撮影。
強い橙色はほとんどなくなりました

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<写真 5.c.>
写真 1.と同じ写真です。
比較用に掲載しました

 写真 5.a. と 5.b. 共に、実物の「白さ」はなく、なんとなく「グレー」っぽい濃さで写っていますが、「色」の大きな違いはほとんど感じなくなりました。実用的には、これで十分満足のいく色調再現といえるでしょう。

 なお、「クールピクス」シリーズのホワイトバランスのメニューには「プリセット」という項目があります。これは白い紙などをテスト撮影して、白の基準点を設定するモードです。操作は少し面倒ですが、より確実な正確なホワイトバランスのマニュアル設定ができます。

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<写真 6.a.>
「クールピクス」での「プリセット」操作

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<写真 6.b. >
「プリセット」で白紙をテスト撮影して、色の基準点を設定します

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<写真 6.c.>
「プリセット」の撮影結果。
「色」のズレはありませんが、「白」が「グレー」になっています

● ここがポイント !
 ホワイトバランス機能を使うことで、色再現のほとんどの問題が解決します。しかし、例えば、バラの「赤」、蘭の「紫」、藍染めの「藍」、ジーンズの「インディゴ」などといった色を見た眼どおりに再現するのは、非常に困難です。
 これらの微妙な色を正しく再現するには、カメラの設定だけでなく、パソコン、モニタそしてアプリケーションソフトのさまざまな設定を自分で調整する必要があるでしょう。


 さて、ホワイトバランスをマニュアル設定することで、「色」のズレがだいたい補正されました。とりわけ「プリセット」をおこなえば、より正しい白を再現することもできました。
 しかし、いずれにせよ、実物の白さはなく、グレーのままです。どうすれば、白を白の明るさで再現することができるでしょうか ?
 ここで登場するのが、「露出補正機能」です。

3.1.3. 「露出補正」機能で「濃さ」を調整する

 "白い被写体を、見た目どおりの白さで写す" のが、写真の基本といってもいいでしょう。

 しかし、オートまかせで撮影した場合、白い被写体は、なんとなくグレーっぽく写ってしまいます。なぜでしょう ?
 カメラは、人の眼とは違い、

  • 被写体に強い光が当たっているから「明るい」のか ? あるいは
  • 被写体が白いから「明るい」のか ?

を判断できません。
 このため、写真の仕上がりの濃さを、白と黒の中間のグレーの濃さに調整するように作られています。このために、白い被写体であってもグレーの濃さに写るわけです。

●ここがポイント !
 多くの初心者は、写真の仕上がりが暗く(濃く/黒く)なった場合、被写体に当たる光が少ないせいだと思いがちです。
 しかし、これは間違った考え方です。カメラは被写体に当たる光が多かろうが少なかろうが、写真の仕上がりの濃さをグレーにするように、シャッタースピードと絞り値の組み合わせを自動調整します。

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<写真 7.>
「露出補正」機能を使うと、写真写りの「濃さ」を調整できます

 写真の仕上がりの濃さを調整するのは、次に述べる「露出補正」機能を使うのが基本です。

 「露出補正」とは、写真写りの「濃さ」をユーザーが調整できる機能です。本連載の初回にも触れましたので繰り返しになりますが、もう一度書いておきます。

 仕上がりを濃く(暗く/黒く)したい場合には、マイナス(-)側に調整します。逆に、仕上がりを淡く(明るく/白く)したい場合には、プラス(+)側に調整します。数値が大きくなるほどに、変化も大きくなります。
 ボタンやダイヤルを操作して、「濃さ」の変化を確認してください。一度、両極端に変化してみると、その調整幅の大きさが分かるはずです。

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<写真 8.a.>
オートまかせの「濃さ」(写真 6.c.)。これは露出補正を +/- 0 にして撮ったのと同じです

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<写真 8.b. >
露出補正を「+1」に設定したもの。いい感じです

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<写真 8.c.>
露出補正を「+2」に設定したもの。ちょっと白すぎですね

 さあ、やっとできました。「ホワイトバランス」を正しく設定し、「露出補正」を「+1」に設定することで、実物の白さがやっと再現できました。

 ちょっと遠い道のりでしたね。でも、これら「ホワイトバランス」と「露出補正」の二つの機能の使い方はご理解いただけたのではないでしょうか。
 「色」や「濃さ」に問題を感じたら、これら二つの機能を設定しなおして撮影してみてください。きっと、満足できる結果を得られるはずです。

3.2. 光源の色の基礎知識

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<写真 7.>
太陽光で撮影したグレーと色見本。
下記の蛍光灯や電球の色と比べてください。

 「さまざまな光源の光に、それぞれ特有の「色」がある」などといってもピンと来ない方は多いはずです。なぜなら、私たちの眼は、さまざまな光に順応して、物の色を正しく認識できるからです。ただ、こうした言い方では、腑(ふ)に落ちない方も少なくないかもしれません。
 しかしながら、

  1. 蛍光灯照明下で写真を撮影した時、全体的に緑色が濃くなること。そしてまた、
  2. 電球照明で撮影すると、全体的に橙色が濃くなること、

の二つは、よく経験しているはずです。ご家庭にあるサービスサイズのプリントを探せば、きっとこうした事例を見つけ出すことができるでしょう。
 さまざまな光源の光には、それぞれ特有の「色」があって、私たちの眼では感じることがなくても、写真上にはそうした「色」が写ることは、確かな事実なのです。
 デジタルカメラの場合には、オートホワイトバランス機能により、さまざまな光源特有の「色」に対応することができます。人の眼の順応に近いような機能が、デジタルカメラには備わっています。しかし決して万能ではありませんので、光源についての知識を深めておくことは必要です。

 以下、蛍光灯と電球、スピードライトについて簡単に整理します。


3.2.1. 蛍光灯の光は「緑色」?

 蛍光灯は、非常に多く使われている人工光の一つです。消費電力が少ないわりに、十分な光量が得られ、発熱が少ないといった特徴があります。しかも現在では、形状や「色」などの異なる多様な品種があり、目的にあわせて選択できることも特徴の一つです。
 先の説明で、「蛍光灯照明とデジタルカメラのオートモードは非常に相性がよい」と書きました。実際、デジタルカメラで一般的な蛍光灯(白色 / 昼白色 / 昼光色)下でオートモードで撮影した場合、色の問題を感じることはほとんどありません。
 ただし、フィルムを使った銀塩カメラで撮影した場合、蛍光灯照明では緑色が非常に強くでる傾向がありますので注意が必要です。デジタルカメラのホワイトバランス機能を、マニュアルで「太陽光」に設定すると、フィルムと同様の緑色を再現できます。
 また、デジタルカメラでは、「暖かみがある」と最近流行り(はやり)の「電球色」の蛍光灯照明では、強い橙色になります。ただ、白熱電球の橙色とは異なりますので、「電球モード」にしても正しい色にはなりません。この場合にはマニュアル設定で「プリセット」を使います。

 もう一つ。スライドフィルムを観察するためのフォトビュアーに使われている蛍光灯は「太陽光」と同じ色調をもっており、「オートモード」か「太陽光モード」でもほぼ適切な色再現になります。
 "蛍光灯" と一口にいっても、驚くほどの品種があります。調べていると面白いと同時に、生活や御商売に豊かな彩りを加えてくれるかもしれませんよ。

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<写真 8.>
ホワイトバランスをマニュアルで「太陽光」に設定して、蛍光灯(昼光色)の下で撮影したチャート。"蛍光灯照明は緑色" というよりも青緑といった方がいいですね。白色、昼白色の蛍光灯照明では、これとも少し異なる緑色になります

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<写真 9.>
蛍光灯の種類を確認する。ご家庭にあるものや、写真撮影用に使用するものの種類を事前に確認しておきましょう

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<写真10.>
Nikon「COOLPIX」では、照明を白色(FL1)/ 昼白色(FL2)/ 昼光色(FL3)と細かく設定できます

3.2.2. 電球の光は「橙色」?

 電球(より正式には白熱電球)は、その名が示しているように、内部のコイル(フィラメント)を電気で熱することにより、発光するものです。ですから、とにかく熱くなることに注意しなければなりません。時には火災の原因にもなりえますので注意が必要です。
 さて、蛍光灯とは異なり、昼間に電球を点灯して太陽光と比べると、明らかに橙(だいだい)色の強い光(色温度が低い光)であることがわかります。写真に写る橙色は、まさにこの色です。
 ただ、この橙色は、電球の種類によって少し異なることを覚えておいてください。
 家庭内で使用される一般的な電球は、少し赤みの強い橙色です。
 これに対し、「写真用」と銘打たれた電球(300Wとか1kw といった大容量 / 大光量のものもあります)は、赤みを少し抑えた橙色で、光の色の基準に適合した設計になっています。
 現行の「COOLPIX」の「電球」モードは、汎用性をもたせるために、これらの中間の色を基準に設計されているそうです。実用的には、ほとんど違いはわからない程度ですが、厳密に色を調整したい場合には、さらに微調整をおこなうことも可能です。

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<写真11.>
ホワイトバランスを「太陽光」に設定して、電球(写真用)照明で撮影。橙色の強い光であることがわかります。家庭用の一般的な電球は、これよりも少し赤みが強い(色温度が低い)です

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<写真12.>
電球にも、さまざまな種類があります。写真撮影用の電球には、大容量 / 大光量のタイプがいくつもあります

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<写真13.>
Nikon「COOLPIX」では、色の微調整も可能。プラス側にすると少し青みがかり、マイナス側にすると少し赤みが増します

3.2.3. スピードライトって何 ?

 多くのデジタルカメラは、スピードライトを内蔵しています。皆さんもご承知のように、スピードライトは一瞬だけ強く発光する照明具(キセノンランプによる放電管)です。
 このため、写真撮影用に使うと、

  1. 手ブレや被写体ブレの防止になる、
  2. 小型でも大光量が得られるために夜間の撮影が非常に簡便になる、
  3. 太陽光に非常に近い色(色温度)のため、昼間の補助光としても差し支えなく使える、

といった特徴があります。
 反面、一瞬の閃光ですから、"どこに光が反射してどこに影が落ちるか ?" といったことが、直接視認することができません。経験に頼るか、テスト撮影を行って確認するしか手はありません。もっとも、液晶モニタつきのデジタルカメラでは、撮影後すぐに確認できますから、スピードライト撮影も気軽に確実におこなえるようになりました。が、それでも、蛍光灯や電球などの定常光に比べるならば、閃光にはやはり慣れが必要かと思われます。
 前述したように、スピードライトの光の色(色温度)は、太陽光に非常に近いものです。しかし、厳密にいうなら、ほんの少しだけ青みが強いものが多いようです。これも、現行の「COOLPIX」では、微調整できますから、厳密な色再現を求める場合には活用してください。

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<写真14.>
「COOLPIX 5700/5000/4500/995/990/
950/910」などでは、Nikon スピードライトを外付けで使用できます。
大きな光量を得たい場合や、少し凝ったライティングをしたい場合におおいに活用できます

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<写真15.>
スピードライトの光には、ほんの少し青みが強い光があります。
「スピードライト」モードは、これを補正するためのモードです

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<写真16.>
「COOLPIX 5700/5000/4500/995/990」では、外付けの Nikon スピードライトを使用する場合などに、色の微調整も可能です

3.3. あると便利なアクセサリー

 三脚の選び方、レフ板とディフューザーの作り方、背景用素材について、ごくごく簡単に紹介します。
 三脚は別にして、身近にある素材をいろいろ工夫して使ってみることからスタートしてください。写真用として市販されているものは、品質はいいのはもちろんですが意外と高価なものが多いです。ですので、これらの形や作りを参考に、身近なもので代用してみましょう。
 代用品の手作りは、それ自体楽しいですし、オリジナルな形や作りのものを新作すれば、自分にしか撮影できないイメージを創造することも可能です。

3.3.1. 三脚の選び方

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<イラスト 1.>
三脚選びの注目点。

 2 回目に書きましたように、三脚は、あまり明るくない場所での撮影にはなくてはならないものです。また、構図を微調整するのに役立ちますし、セルフポートレート撮影や記念撮影にも、たいへん有用です。
 さて、デジタルカメラは、蛍光灯や電球などといった、太陽光やスピードライトに比べれば決して明るいとはいえない照明でも、簡単に美しい色の写真を撮影できます。この点を考えあわせれば、"三脚とデジタルカメラの組み合わせで、写真の世界は数倍にも広がる" ことも予想できるはずです。まだお持ちでなければぜひ、三脚を入手なさるよう、強くおすすめします。

 さて、コンパクトタイプのデジタルカメラ用に三脚を新しく購入なさる場合の注目点を整理しておきましょう。

  1. 価格帯
     カメラより高価な三脚を購入する方は、まずいらっしゃらないと思います。しかし、三脚は、ある程度重くてしっかりしたものであり、なおかつ使い勝手のよいものがいいのは確かです。とすると、やはりある程度の価格にはなります。
     ただ、コンパクトタイプのデジタルカメラでしたら、カメラ自体が非常に小型・軽量ですから、(風が吹かない屋内ではリモートコードなどをうまく併用すれば)そんなに立派な三脚でなくても十分です。
     単純に割り切れば、雲台(うんだい:後述)つきで店頭価格で 5,000〜7,000 円クラスといったところでしょうか。

  2. 脚部
     伸縮の操作が簡単で確実で、また、脚部を全て伸ばした状態でも、あるていどしっかりしたタイプを選んでください。
     自分が直立した状態で、だいたい胸の高さにカメラが固定できる高さのものがよいでしょう。
     収納時により短くできる段数の多いタイプは、少し高価になります。

  3. 雲台
     カメラを載せて操作する部分を雲台(うんだい)といいます。
     写真に示したように、ワンタッチで自在に方向が変えられるボールマウントの「自由雲台」、回転と上下の向きを連続的に微調整できる「2 ウェイ雲台」、それらに加えてカメラの縦位置横位置を連続的に微調整できる「3 ウェイ雲台」などがあります。
     5,000〜7,000 円クラスだと、自由雲台か 2 ウェイ雲台が多いですね。
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<写真17.>
自由雲台の例。
ワンタッチ操作でカメラの向きを自在にすばやく調整できますが、水平出しなどの微調整はやりにくいのが難点

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<写真18.>
2 ウェイ雲台の例。
カメラの水平面での回転と上下の向きの微調整が簡単にできます。
縦位置 / 横位置の切り換えができないタイプでは、雲台を縦にしてカメラをセットしなおせば、縦位置にできます

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<写真19.>
3 ウェイ雲台の例。
カメラの縦位置と横位置の間、つまり斜め位置に微調整もできます。
2 ウェイ雲台よりは少し高価です

  1. 石突き
     三脚が地面に接する部分を石突きといいます(雨傘の地面に接する先端もそう呼びますね)。
     室内使用が前提で、なおかつ床に傷をつけたくない場合は、ゴムやプラスチックのタイプを選ぶといいでしょう。

3.3.2. レフ板やディフューザーって何 ?

 レフ板とは、光を反射する(レフレックスする)素材でできた板で、被写体の影の部分を明るくしたりするのに使います。
 ディフューザーとは、光を拡散する(ディフューズする)素材でできたもので、光源の前にセットして柔らかな光を得るものです。
 それぞれ、2 回目に紹介しましたね。
 ところで、レフ板とかディフューザーとか、専門用語で呼ぶだけで、いきなり何か特別な物といった印象になってしまうのはどうしたことでしょう ? レフ板は白紙や白布、ディフューザーはトレーシングペーパーや薄手の白布や白ビニールなどが主な素材です。何も特殊なものではありません。
 ただ、大きなサイズや、強度のあるものとなると、いったいぜんたいどこで揃えればいいのか ? わからなくなるかもしれません。
 もちろん写真用品店でも入手できますが、文具店や日曜大工店、あるいは手芸用品店などを探索してみるといいでしょう。意外な発見、そして発明(!)に出会えるかもしれませんよ。

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<写真20.>
スチレンボードを使って自作したレフ板。
継ぎ目に布テープを貼った折り畳み式に作っており、自立させたり広くして使えます

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<写真21.>
机の上なら、このように立てると、助手なしで一人で撮影ができます


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<写真22.>
このように立てることも......。
ま、たいした発想ではありませんが

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<写真23.>
この銀色のレフ板は、自動車用品です。
炎天下の自動車内部の温度上昇を防ぐため、
フロントガラスなどにセットするアレです。
100円ショップ(!)で見つけました

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<写真24.>
このように半分にして使うこともできます

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<写真25.>
クルクルっと巻くように畳めば、非常にコンパクトになります

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<写真26.>
ロール状のトレーシングペーパー。
ディフューザーの代表格で、必要な大きさにカットして使います。
大手文具店でも入手できます

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<写真27.>
薄手の布のようなもの。
トレーシングペーパーに比べ、透過光量の低下が大きいですが、非常に柔らかい拡散光を得られます

3.3.3. 集めるのも楽しい「背景」

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<写真28.>
背景に使える紙や布。
いろいろ集めておくと、いざという時に役立ちます

 第 2 回目で紹介した小物や料理の撮影では、いざ撮影しようとすると、背景の選び方に意外と苦労するものです。実際に家庭内などで使用しているものは、染みがあったり、汚れていたりして、あまり見栄えのよいものは少なかったりします。
 そこで利用したいのは、紙や布。いずれも巻いたり折ったりすることで、収納場所を選びません。また、他の用途に流用することもできますので経済的です。
 文具店に行ってみましょう。ケント紙やラシャ紙の洋紙、和紙などの他に、非常にデザインとカラーリングが豊富なラッピング用の紙を売っています。中には、大理石模様とか英字新聞模様などもあったりします。写真にはこれらの表面だけが写ります。大理石模様の紙は、本物の大理石のように写るのです。面白いでしょう !
 さまざまなデザインの紙を使ってみましょう。もちろん、自分で背景の絵を描いてもいいのです。

 手芸用品店に行けば、これまたさまざまな布が市販されています。サテンを宝飾類の背景に使えばそれだけで宝飾店のような雰囲気になります。また、麻布や木綿なら、カジュアルな感じを演出することが容易にできるでしょう。
 時間のある時に、いろいろなお店を探索してみてください。いつもとは逆に背景から撮影する物を考える楽しみも出てくるでしょう。ハマりますよ、きっと。

コラム「デジタルカメラが「写真」を変える ?」

似顔絵  IT(情報通信)技術の進化の速さを「ドッグイヤー(犬の一年は人間の七年に相当するという謂)」にたとえた言葉が流行したのも、もはや昔話になりました。
 この 3 回の短期連載記事を最初に書いたのは、ほぼ 2 年前の2001(平成13)年のことです。この間に、デジタルカメラは画質も操作性も向上し、機種も多様化。最近の日本では、携帯電話で写真を撮影し、そのまま送信するのが流行り(はやり)です。そしてまた誰もが、パソコンで自由自在に加工修正を施せるようになりつつあります。

 日本語で写真を「眞を寫す(まことをうつす)」と書く習慣は変わりません。しかし写真の意味内容は、大きく変貌し続けているように感じます。この先、いったいどのような変化が起こるでしょう。
 実をいうと、私にはさっぱりわかりません。"しかしそれでも写真は面白い" と私は思うのです。