第10回目「スピードライト撮影」は難しい ?
現在のスピードライト(ストロボ(R) 、エレクトロニックフラッシュ)は、小型ながら大光量を発する多機能な写真用照明装置です。多くの一眼レフカメラにまで内蔵されるようになり、一般的な撮影にも多用されています。
しかし、スピードライトの仕組みやその光の性質を正しく理解している人は、決して多くはないのではありませんか ? このスピードライトを上手く使うか否かで、写真写りは全く変わります。
今回は、現在のスピードライトが持つさまざまな機能を理解すべく、基本中の基本をできるだけ簡単に整理していきたいとおもいます。
1. スピードライトの基本知識
ニコンでは「スピードライト」と呼称しますが、一般的には「ストロボ(R)」とか「フラッシュ」のほうがお馴染みかも。
「エレクトロニック・フラッシュ」という言い方もあります。
「ストロボ(R)」はもともと、ストロボリサーチ社が発売していたスピードライトの登録商標だそうです。「フラッシュ」は英語で閃光の意。「スピードライト」は高速度照明とでもいったところで、「エレクトロニック・フラッシュ」は電気による閃光の意でしょう。
少し年配の方なら「フラッシュ」と言えば、閃光電球=フラッシュバルブを思い出す方もいらっしゃる筈。これは電球の中で金属(アルミニウムやジルコニウム)を一瞬の内に燃焼して発する光を利用したもので、現在のスピードライトが電気による閃光なら、フラッシュバルブは熱による閃光で原理が全く異なります。発光部が小型な割に大光量が得られる特徴がありますが、現在の写真撮影には殆ど使われなくなりました(理想科学の孔版印刷機の『プリントゴッコ』の電球は、このフラッシュバルブを応用したものです)。
写真撮影用にスピードライトが使われたのは、1939年のニューヨーク万国博覧会で、イーストマン・コダック社が高速度撮影を実演したのが最初といいます。もちろん現在のものに比べると、光量の割には非常に大きな装置です。
1970年代の始め頃になると、かなり小型のスピードライトが登場します。しかし、それほど一般的ではなく、フラッシュバルブが主流だったのです。
70年代の中頃には、日本でもスピードライト内蔵のコンパクトカメラが登場、この頃を境にフラッシュバルブは衰退し、スピードライトが主流の座を奪ったのです。
現在のスピードライトは多くの機種があり、かつまた新しい機能を兼ね備えたものが次々と登場しています。ですが、その本質は、多くの人が思うほどには変わっていません。
1.1. スピードライトの仕組み
スピードライトの発光部は、放電管のキセノンランプです。名前の通りキセノン(Xe)ガスを充填した管の中に雷のように放電することで、1. 太陽光に似た色温度の白色の、2. 強い光を、3. 一瞬だけ、発光するランプです。
キセノンランプの特徴を簡単に整理します。
- 太陽光に似た白色の光を発する
キセノンという特殊なガスの発光を利用し、太陽光に非常に似た白色の光を発します。このため、被写体の正しい色の写真をフィルター補正なしで撮影できます。また、屋外での撮影も非常に手軽です。 - 強い光を発する
キセノンランプ内で放電を起こすには、電気をコンデンサーに溜めて、一気に電極に流します。このため、主にコンデンサーの容量によって、光量の上限が決まります。つまり、概してコンパクトではない機種の方が、大きな光量を得られます。
一般的なスピードライトの光量は、ガイドナンバー(G. No. あるいは G.N.)という数値で表示します。 - 一瞬だけ発光する
スピードライトの種類によって異なりますが、一般的なもので数百分の一秒〜数万分の一秒といった非常な短時間だけ発光します(閃光時間といいます)。
オート(自動調光)機能付きのスピードライトの多くは、この閃光時間を変えることで、発光する光量を調整(調光といいます)しています。つまり、光量を小さく抑える場合には、放電を途中で停止し、閃光時間を短くして調光します。とはいえ、短くするのにも限界があります。
<写真 0.>スピードライトは
X 速以下のシャッタースピードでの使用が原則
一瞬だけ発光するので、一瞬を凍結して止めたようなブレのない写真を撮れるメリットがある反面、光の反射や影の落ち方を事前に人の眼では正しく観察できないというデメリットがあります。スピードライトを使って撮影した時、まるで予想していなかった反射や影が写っていたりするのは、このためです。
また、フォーカルプレーンシャッターのカメラの場合は、シャッター速度をシンクロ同調シャッター速度(X 速)以下で撮影しなければ、画面全体を露光できません(詳細は、5 回目の 2.1. 参照)。
余談ですが、近年、少し事情が違うものが登場してきました。例えばニコンスピードライト「SB-28DX / 28」は、F5 や F100、F90シリーズ 等のカメラとの組み合わせで、1 / 250〜1 / 4,000 秒といった高速のシャッタースピードでも同調する「FPモード」を使用することができます。
「FPモード」では、先幕と後幕のシャッター幕の隙間が画面を走る間、何回もの発光を繰り返し、あたかも閃光時間が長いFP級のフラッシュバルブを使用したのと同じような写真が撮れるのです。
現状としては、ガイドナンバーから被写体までの距離とレンズの絞り値を計算するマニュアル操作で使用しますが、近い将来、もっと簡便な機能になる可能性は十分あります。
1.2.ガイドナンバー(G.N.)って何 ?
スピードライトが発光する光量の大きさを示す数値をガイドナンバーといいます。この数値によって、マニュアル撮影時に適正露出を得られるレンズの f 値を簡単に計算できます。また、スピードライトの最大光量を比較する物差しになります。
35mm [135] 判カメラでは一般的に、感度が ISO100 のフィルムを使用し*、焦点距離35mmレンズの画角をカバーする照射角での数値を表示します。
*注:APS [IX240判] カメラでは一般的に、感度が ISO200 のフィルムを使用した場合の数値を表示します。
フィルムのISO感度の数字が 2 倍になれば(ex. ISO100 から ISO200 になれば)、G.N.はルート 2 倍(1.4142.....倍)になります。4 倍になれば(ex. ISO100 から ISO400 になれば)、G.N.は 2 倍になります。
また、光量切替えや照射角によっても、値が変わってきます。つまり同じスピードライトでも、使用条件によってガイドナンバーは変わります。
ガイドナンバーの意味は、次の数式によって表せます。
| ガイドナンバー(G.N.)=被写体までの距離(メートル)×適正露出になるレンズ f 値 |
これから判るように、G.N. が大きいスピードライトほど、大光量です。
一般的な商品でいえば、カメラ内蔵では G.N.10〜18 クラス、カメラのホットシューにセットするクリップオンタイプでは G.N.18〜36 クラス、グリップタイプでは G.N.32〜56 クラスといったところ(全て ISO100・メートル 表示で、照射角 35mm カバー時の数値)。
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近年、オートパワーズーム機構を搭載したフラッシュで、照射角を思いきり狭めたときの G.N. をセールストークに掲げる商品があります。 「ガイドナンバー54の大光量」の謳い文句に「クリップオンタイプでこの大光量とは素晴らしい !?」と驚いてスペック表をよ〜く読むと、「G.N. 54」は105mmレンズ装着時の数値で、35mmレンズ装着時にはやっぱり 30 台なのでがっかり......という類です。 照射角の条件には注意してください。 |
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アメリカ人は、国際間で定められた度量衡の単位系(SI単位系)の長さの単位=メートルのかわりに、フィートを愛用しています。 1 フィートは約 0.305メートル ですから、アメリカで売られているスピードライトの G.N. の数値は約 3.3 倍に膨れ上がった表示(ISO100・ft. 表示)になります。 アメリカの雑誌の広告を読んでいて、「G.N.178」の謳い文句に「Oh ! ワンダフル !」と驚いてスペック表をよ〜く読むと...... "ISO100・ft. 表示" でがっかりという類です。 |
では、ここで練習問題を(フィルム感度は全て ISO 100 とします)......。
Q.1. 被写体までの距離が 4メートル の場合に、G.N.36 のスピードライトをフル発光して、適正露出になるレンズの絞り値は ?
A.1. 36(G.N.)÷4(メートル)=9(f値) で、f 9 あたりにすればよい。
Q.2. 開放絞り値が F2 のレンズを使って、12メートル 離れた被写体を適正露出にするために必要なスピードライトのG.N.は最小限いくつ ?
A.2. 2(f 値)×12(メートル)=24(G.N.)で、G.N.24 以上のスピードライトが必要。
Q.3. 開放絞り値が F4 のズームレンズを用い、G.N.12 のカメラ内蔵スピードライトを使って、適正露出を得られる被写体の距離の限界は ?
A.3. 12(G.N.)÷4(f値)=3(メートル)で、3メートル が限界。
意外に使いでのある式でしょ ?
特に、Q.3 の A.3. から興味深い事実が判ります。一般的な一眼レフの内蔵スピードライトとズームレンズを使用しフィルム感度が ISO100だと、わずか数m 以上離れた被写体は露出アンダーになってしまうのです。これには、十分注意を要します。
もちろんですが、ISO400 のフィルムを使えば、この限界の距離は 2 倍になります!
ISO1600 のフィルムで 4 倍です。G.N. が大きくないカメラ内蔵スピードライトと明るくないズームレンズの組み合わせは、高感度フィルムを使ってフォローするのが基本です。
注意:より高感度のフィルムを装填すると、レンズの絞り値をより絞り込んでいくプログラムを搭載したカメラもあります。
高価な高感度フィルムを使っても、スピードライト光の到達距離というか調光可能な距離が意外に伸びないこともあるわけです。
<写真 1.>調光可能な距離の範囲を、
必ず撮影前に確認します。
この場合には、被写体までの距離が
0.8〜6メートル の範囲で調光可能。
また、後述するさまざまなオート(自動調光)機能を使う場合にも、調光可能な距離の範囲を必ずチェックしましょう。被写体が遠すぎる場合には露出アンダーに、被写体が近すぎる場合には露出オーバーになりがち。オート機能は万能ではありません。
ところで、スピードライトに、発光部にフレネルレンズを設け、このレンズ(または発光管)を前後させて照射角を可変する(ズーム機能)モデルがあります。
望遠側では、光を狭い範囲に集光して無駄なく被写体を照明します。このため G.N. も大きくなります。
反対に広角側では、画面の端までもムラなく照明すべく光を拡散します。このため、 G.N. は小さくなります。
使用するレンズの焦点距離(画角)をカバーするように合わせるのが基本です。レンズの焦点距離の情報を、カメラボディ経由で受け取って、スピードライトの照射角をズーミングするオートパワーズーム機構も1980年代初頭から存在します。
1.3. 撮影モードの選び方
最近のスピードライトは、恐ろしいまでの多機能高性能を誇っていますから、基本的にカメラやスピードライトに任せっきりで撮影できます。でも、このオート機能にもいろいろあって、何が何だか区別が付かないような気がする筈。
1.3. 項では、ニコンのスピードライトに使われている基本的な用語について簡単に整理します。
ただし、スピードライトやカメラボディ、レンズとの組み合わせによっては使えないことがあったり、制約がありますから、詳細は使用説明書にて確認ください。
1.3.1. マニュアルモード(M)
被写体の明るさやカメラ側の設定に関わらず、常に一定の光量を発光します。機種によって異なりますが、最大光量を発光する「フル発光」の他に、ガイドナンバーが半分にする「1/2 発光」、そのまた半分にする「1/4 発光」など、光量を少なく調整可能。光量を少なく設定すれば、発光間隔も小さくでき、連写向き。
前述した G.N. で計算するか、単体のフラッシュメーターなどで測光します。
1.3.2. 外部自動調光モード(A)
被写体が反射したスピードライトの光をスピードライト自体が持つ受光部で感知し、自動調光します。1.3.3.の「TTL調光」が主流となった今、古典的な方式ですが、意外に応用し易い特徴があります。
スピードライトに表示された f 値をレンズの f 値と揃えるだけで適正露出が得られるようになっています。
1.3.3. TTL 調光 
TTL とは、スルー・ザ・レンズの略で、要するにフィルム上の像の明るさを直接測定すること。TTL 調光では、スピードライトを発した出た光が被写体で反射し、それがレンズを通してフィルム面上に結んだ像の明るさを測定して、スピードライトの光量などを制御します。すごいでしょう!
要するに、スピードライトの発光の最中に測光および調光をおこなうので、適正露出を得られる確率は極めて高くなります。
1.3.4. BL 調光 
BL はバランスを意味します。つまり、スピードライトの影響を大きく受けやすい近い主要被写体と、スピードライトの影響をほとんど受けない背景とを区別し、それぞれの明るさをバランス良く写すようにする機能です。
日中(日昼)シンクロや夜景ポートレートなどで威力を発揮します。
1.3.5. マルチエリア調光 
TTL 調光をより高度にした BL 調光で、カメラやスピードライトに完全にお任せして撮影するモードと考えていいでしょう。スピードライトで照明された画面を、いくつかの部分に分割して測定したデータや、D タイプニッコールレンズからカメラに伝達される被写体までの距離のデータなどを基に、もっとも写真写りが良くなるように調光します。
日本の結婚式で金屏風をバックに人物を撮影するケース(=金屏風は反射率が大きいので、金屏風の前の人物の露出はTTL調光でも外部自動調光でもアンダーになりがち)などに、マルチエリア調光は失敗を防ぐ効果が大きいそうです。
1.3.6. プログラムフラッシュ
ニッコールレンズの絞りを最小絞り(最大の f 値)にセットしておけば、カメラが自動的に絞り値を適切に選択する機能です。
1.3.7. モニター発光
スピードライトの本発光の一瞬手前に、小さな光量で発光して(プリ発光して)テストデータを得、より確実な調光をおこなおうとするもの。
現在、ニコンのスピードライトでは、SB-28DX / 28 / 27 にこの機能が搭載されています。
1.3.8. アクティブ補助光
被写体がかなり暗い場合には、カメラの AF 機能が上手く働かないことがあります。こうした時に、スピードライト(またはカメラボディ)から弱い光を被写体に事前に投射することで、本発光前に AF 機能を働かせるようにするもの。
ニコンでは合焦しやすいようなパターンを投射します。
1.3.9. 赤目現象軽減機能 
<写真 2.>赤目現象の例
赤目現象とは、スピードライトの光が眼の網膜(眼底には毛細血管が露出しています)の上に結像し反射することで、それが逆に光源のようになって赤く照り返し、眼の瞳孔が赤く写る現象を指します。
コンパクトカメラの内蔵スピードライトを用いた時など、レンズの光軸とスピードライトの発光部が近接している場合によく生じます。
また、被写体の眼の性質によって、起きやすい人と起きにくい人がいるようです。イヌやネコなどは、網膜の後ろにさらに光を反射する膜状のものがあり、人よりもしばしばこの現象が生じます(人と違って、"緑目" や "青目" になるケースが多い)。
この現象を完全に防ぐには、基本的にはレンズの光軸とスピードライトの発光部を離すしか方法はありません。しかし、スピードライトの本発光の直前に、少し眩しい程度に発光して、被写体の瞳孔を収縮させる(=小さくする)ことで、この現象をある程度軽減できます。この機能を「赤眼軽減機能」と言います(ニコンのコンパクトカメラが草分けではないでしょうか)。上手く活用してください。
2. スピードライト撮影のコツ
一般的なスピードライト撮影でよくみかける失敗を、できるだけ少なくするためのコツを二つ紹介します。
2.1. 影の出方に注意しよう!
スピードライトは点光源に近い光源です。このため、被写体の後ろ側にかなりきつい影が落ちることがあります。特に、クリップオンタイプのスピードライトを使用した場合に、カメラを縦位置で撮影すると、この影が大きくでることがあります。よくよく考えてみれば当たり前のことなのですが、実際に撮影している時には、決してこの影は見えませんから、写真の仕上がりを見てはじめて愕然とするわけです。
スピードライトの光は発光部から出ていますから、影がどこに落ちるのかを、ファインダーを覗きながら、頭の中で想像するように心掛けてください。
影の出方を事前に確認するための「モデリング発光」ができるスピードライトも存在します。
<写真 8.a.〜c.>
カメラの構え方とスピードライトの影の出方
2.2. シャッタースピードの設定で写りが変わる !
スピードライトを使用する時は、原則としてシンクロ同調シャッター速度(X 速)以下で撮影します。では、この速度以下で撮影した時には、いったい写真写りの何が変わるのでしょうか ?
少し考えてみれば判りますが、シャッタースピードを遅くすればするほど、スピードライト光以外の光=定常光(自然光、電球や蛍光灯など、人の眼でちゃんと見える光)による露光量が増えていきます。
つまり、シャッター速度を変えることで、露出に占める定常光の明るさの割合を変化できるのです。
この仕組みを利用したオート機能に、夜景モードがあります(7 回目、2.3.参照)。
<写真 9.a.〜d.>
定常光の描写のシンクロ同調シャッタースピードによる変化
1/8 秒、f5.6、スピードライト非使用
1/250 秒、f5.6、スピードライト使用(Aモード)
1/60秒、f5.6、スピードライト使用(Aモード)
1/15秒、f5.6、スピードライト使用(Aモード)
3. 高度な使い方にチャレンジ!
スピードライトの高度な使い方のいくつかを簡単に整理します。最近のスピードライトは本当に多機能高性能ですから、こうした使い方もオートでできたりします。詳しいことを述べるスペースがありませんので、カタログや使用説明書でしっかり確認してください。
こうした使い方は面倒だと思われる方も、とりあえず、スピードライトの使い方を工夫することで写真写りの何が変わるのかを知っておいて欲しいとおもいます。
3.1. バウンス撮影
<写真 10.>バウンス機能付きのスピードライト
"首を振る" ことができるスピードライトで、この使い方ができます。これは、スピードライトの発光部を上や横方向に向け、光を天井や壁などに一旦反射させて(バウンスさせて)から、その散乱した反射光を被写体に当てることで、影の出方を柔らかく写すものです。
もちろん、バウンス先の天井や壁などが白でなければ、その色が照り返して加わったような写りになります。
基本的に、TTL 調光や外部調光モードでオート撮影が可能です。ただし、反射光を使用するため、バウンス先の反射率と経由の距離に応じて、被写体に届く光量はかなり低下します。
光量の低下を見越して、できるだけ高感度のフィルムを使うか、レンズの絞りを開放絞りに近い値にして撮影するのがコツです。
<写真 11.a.〜d.>
バウンスによる描写の変化
通常撮影
バウンス撮影
<図 2.>バウンス撮影のようす。
3.2. カメラから外して使う
<写真 12.>
スピードライトを
延長コードSC-17を介して
カメラから離して使う
専用の接続コードを介して使うことで、TTL 調光を機能させたまま、スピードライトをカメラから離した位置で発光できます。少し経験を積まないと失敗することが多いでしょうが、ある程度慣れれば、さまざまなライティングを楽しむことができます。
こうした一灯ライティングを基礎として、複数(多灯)のスピードライトを使えば、かなり高度なライティングも可能。こうした撮影に便利なアクセサリーもさまざま発売されています。まずは、アクセサリーカタログを入手してください。見ているだけでも、非常に興味深いですよ。
<写真 13.a.〜d.>
スピードライトの照射位置による描写の違い
(A.) レンズの光軸上
から発光
(B.) 被写体の斜め45度の位置
から発光
(C.) 被写体の真横の位置
から発光
<図 3.>撮影のようす
3.3. 後幕シンクロ
通常の一眼レフは、シャッターの先幕が開ききった直後にスピードライトを同調発光するようになっています(「先幕シンクロ」)。こうしたカメラで、動いている被写体を撮影すると、ブレが被写体の動きとマッチしない写りになることがあります。
これを解消するのが、「後幕」シンクロで、後幕が動きはじめる一瞬手前でスピードライトが同調発光します。このため、被写体の動きにマッチしたブレで写すことができます。
もちろん、後幕シンクロ機能の付いたカメラと、後幕シンクロ機能のあるスピードライトの組み合わせでしか撮影できません。
<写真 14.a.〜b.>
先幕シンクロと後幕シンクロの描写の違い(被写体は、写真右から左方向へ前進)
先幕シンクロ
(後ずさりしているかに見えます)
後幕シンクロ
(前に進んでいるかに見えます)
3.4. マルチ発光
<写真 15.> マルチ発光
連続的に何回もの発光を繰り返し、1 コマの写真の中に被写体の動きを連続的に写すことができます。発光量や発光間隔、発光回数などをある程度自在に調整できます。もちろん、発光間隔や回数にあわせて、シャッタースピードを長くしなければなりません。
基本的にマニュアル撮影になりますので、露出はガイドナンバーで計算して決めるのが基本です。しかも、画像が重なって写るためにかなり難しいです。できるだけ f 値を変えて、段階露光を幅広く試みる方がいいでしょう。
定常光の影響を受けないよう真っ暗な場所で撮影するのが基本です。
スピードライトだけで、一年を通して紹介したいくらいの内容が数多くあることを、この記事を書きながら深く感じました。それほどまでに、現在のスピードライトは多機能・高性能です。
しかしながら、最新のスピードライトをちゃんと使いこなすには、基本の基本をしっかり押さえておく必要があるのは確かです。


