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2.商品撮影を始める前に・・・・


商品の撮影をなさる方への助言みたいな、独り言です。


ちょっと立ち止まって

1)キレイな写真、いい写真、は大きな目標であることに疑いの余地はありません。しかし、これらはいずれも「主観的」な要素が強くて、価値判断が人によって大きくかわります。

2)逆に、お客様の視点で考えるなら、次のようなことが言えると思います。
a.写真によって、商品のよしあしよりも、ショップの信頼感が伝わる。
=ショップの方のセンスや、手間隙を惜しまない姿勢など。

b.商品写真がキレイすぎると、ウソっぽいというか、つくりモノっぽく感じる。
=リアリティが感じられなくなる。

c.商品の見たい部分がちゃんと見えると、安心できて、購入意欲に結びつく。
=ショップの人が見せたい部分とは違うことがよくあります。


簡単にまとめてみます

1)写真でショップのイメージが伝わる。
2)キレイすぎるとウソっぽく見える。
3)お客様は、見たい部分をちゃんと見たい。

 ここで話はズレるのですが、いわゆるプロカメラマンの基本的な考え方は次のようなもので、プロに頼む多くの人も以下を期待すると思います。

・・・「この商品はこう撮るのがキレイだ!」という価値観がはっきりしている。
 
 なんとなく頼りがいがあって、それなりにキレイに撮っていただけるので、十分満足することが多のですが、それで売れるか? というと、定番商品でないと難しいのが実態ではないでしょうか。

 こうしたプロの考え方を最初の1)2)3)に適応すると、
1)パターン化したショップに見せてしまう。
2)ウソっぽい商品に見せてしまう。
3)見たい部分が見えない写真になる。
ということに直接結びついてしまうのです。
ショップの人の「顔」が感じられない写真になってしまう、といってよいかもしれません。

 つまり、プロカメラマンの「技術」には学ぶべきことは多いけれど、「価値観」まで学んでしまうのは考えもの、ということ。

 もしかすると、今までプロに写真をお願いして、満足できる成果が上がらなかったショップの方は、このあたりに落とし穴があったのかもしれません。
(ショップの方が悪いのでも、プロが悪いのでもなく、お互いの目的が共有できていないことと、意思疎通が図れていないのが問題なのです。)

ショップとカメラマンが、ちゃんと話せる言葉がない

 ショップの方はいい商品を「売りたい」し、カメラマンはいい写真を「撮りたい」という気持ちがあるのは当然のことでしょう。
 ですから、カメラマンとショップの方々がうまくコミュニケーションできれば、「向かうところ敵な!」 なはず。
ところが、これが上手くいきません。なぜか?

 ショップの方は、カメラの技術で何ができて、何ができないか? がわからない。
カメラマンは、カメラの技術には詳しくても、売り手や買い手が写真に何を求めているかがわからない。
・・・これらが根っこの原因なのかな、と思うのです。

 これをお読みになっているショップの方はわかると思いますが、かつての実店舗運営には、カメラの技術などいらなかったはずです。
 カメラマンの側も、高度成長期~バブル期の拡大再生産、大量消費の時代にあっては、売り手買い手の気持ちなど気にせず、よりキレイなイメージを求めていればよかった、という歴史があります。
 こうした歴史が今、多くのショップやカメラマンの足かせになっている、ような気がします。

 と、何が不具合なのか? が少し見えてきたところで、では、これからどうすればよいのか? を少し考えてみましょう。

ショップとカメラマンの折り合いの付け方はあるか?

 ショップの方、つまり「売り手」の気持ちと、カメラマンつまり「写真を撮る人」の気持ちにどう折り合いをつけていくか?
 ショップの方が自分で写真を撮る時は、これらのいいように按配してしまうのが、新しい問題となるかもしれませんが・・・。

 たとえば、プロに頼むにしても、ぜんぶお任せ、ではなくて、「どの商品を、どんなお客様に、いつ、どこで、どのように使っていただきたいか?」を具体的に提案していただきたいのです。
 あるいは、
「その商品は、形や色や輝きや、性能や匂いや味に、どのような特徴があるのか?」
そしてできれば「それを写真でどのように伝えたいか?」まで、考えていただければ、残るところは、写真撮影の技術の問題だけですから、プロは無駄なことを考えずに、ノウハウを存分に発揮できます。

 自分で撮る場合でも、カメラをセットする前にこれらをしっかり考えておけば、お客様にちゃんと伝わる写真になる、はずです。(技術的な問題は残りますが、下手でも気持ちで伝わる写真になります。)

 よくいわれる言葉に直すと、前者は「イメージ写真」、後者は「スペック写真」ということになるのでしょう。
 イメージ写真だから、キレイな写真、かっこいい写真にすればよい(これは夢が見られるということです)、というだけでなくて「商品を買うことで、お客様は何を得られるか?」(夢にリアリティを持たせる)ことが大切。

 逆にスペック写真は、正直に撮ればよい、ということではなくて、ライティングやフォトショップなども駆使して、「商品の本質が正しく伝わる写真」にしなければなりません。

「イメージ写真」と「スペック写真」

 商品に夢が見られる「イメージ写真」と、商品の本質を伝える「スペック写真」の話など、かなり抽象的すぎて、自社で扱っている商品を実際にどう撮ればよいかわかならい、というのが多くの方の正直な反応かもしれません。

 こで、写真を抜きにして、対面のお客様にその商品を説明することを想像していただきたいのです。
 のような「トーク」をしますか? 商品のどこをどのように見せますか?
これらに写真を撮るヒントの多くが隠れているはずです。

 ネットショップでは、お客様は実物を手にとれませんから、対面よりも説明が必要になることは確かですが、基本は、対面で見せるのと同じではないでしょうか?

 お客の立場からすれば、次のような見せ方を望みます。
1)サイズがわかる。(大きさ、厚さ、枚数・・・・)
 これは手に持って実際に使っているようすの写真でも伝わります。この場合、使い方も想像できます。

2)使い方。
 実際に使っているようすを見たい。それは、「等身大」よりもよい見栄えの方が好ましい。というのも、そこに「夢」が見られるから。商品を買うのは「現実」から離れたいからなのです。

3)素材感。
 高級感ということでいえば、「背景の黒のグラデーションを活かす」、透かした感じを「透過光」で見せる、でこぼこの立体感を「影」で写す。ソフトな感じを演出したいなら「羽毛のような柔らかいイメージの物を添えて撮る」、というのも作戦かと思います。・・・こうした質感の写し方で、実際に触ることができないネットショップの欠点を補うことができます。

商品をどう写真で「説明」するか? 

 たとえば、「どんな使い方も出来ることを伝えたい!」という気持ちは、十分理解できます。

 しかしたとえば、経営が傾いた大手百貨店などが評されて、
「なんでもあるけれど、欲しいものがない」

 あるいは、売れないカメラマンが評されて、
「なんでも撮れるというわりに、上手くない」
・・・こういうのはよく耳にしませんか?

 百貨店もカメラマンもサボっているのではなく、見せ方が自分目線で、「お客さん目
線」でない、というのが問題かな、と思ったりするのです。
 ブランド力ややる気ありありな感じと「なんでもある、なんでも撮れる」が期待値を上げてしてしまい、結果がそれについていかない、ということかもしれません。

「(・・・はないけれど、)この手の商品は全部揃っている」
「(・・・は自信がないけれど、)これは自分も好きなので責任をもって撮る」
といわれた方が安心します。

 期待値を上げすぎませんから、もし上手くいかなかったとしても、頼み方や期待の仕方が悪かったかもしれないと諦めもつくし、次の別の期待につなぐことができます。
 「この店はこういうラインナップだ。このカメラマンはこういう物を撮らせたほうがいいかも・・。」と。お客様も学ぶのです。
 なので、否定的な部分、「当店ではこういう商品は扱わない」「自分にはこれはできない」ことを打ち出すことで差別化する、という方面から考えることも大切かもしれません。

 写真は、全部を写すことはできません。何にでも使えることを写すこともできません。
「部分を提示すること」「一面を見せること」しかできないのです。
部分や一面で、全体を想像してもらうしかできないのです。

 だからこそ、
「たとえば、○○○に使うと便利です。」「たとえば、○○の時に使うとおしゃれです。」
の○○を決めないと、絶対、写真には写せませんし、伝わりません。

 手をとって「○○○には使えません。」「○○○に使うのは御法度です。」という方面から考えるのも作戦かもしれません。

▲使用シーンのモデル・・・どのような撮影をするのか、どんな服で、どんなイメージの写真を撮りたいのか?(ここでも同じことが問われています)をモデルの方にしっかり伝えれば、かなりの高確率でokがとれるはずです。
 「なんでもいい」「何にでもつかう」などと、漠然とお願いすると、モデルを頼まれた人も、不信感と不安で一杯になって、二の足を踏む、のではないでしょうか。
 「誰でもいい」とかいわれると、カメラマン側は正直だったとしても、モデル側からすると腹が立ちますよね。心のどこかでは必ず、「あなたにこそお願いしたい」と言って欲しいのですから。

ココロの準備。簡単にまとめてみます

 皆様ご自身が「お店」の運営側なのですが、他の店舗からすれば「お客さま」でもあります。
 つまり、もし、自分が客だったら・・・・その写真で買う気が起きるかどうか?
 どんな写真にしたら、買う気になるか? 写真で見たい部分はどこか? どんなシーンか?
 を、他の店舗様の写真で考えていただき、伝えてほしいと思っています。

 ・・・ご存じでしょうが、「傍目八目(おかめはちもく)」と言って、当事者ではないからこそ先が読める、ことは多いです。
 商売の経験の少ない(あるいは全くない)アドバイザーやコンサルタントが、意外に的を得た指摘ができるのは、ここに理由があるはずです。必要なのは「経験」ではなく、「お客さま視点」なのですから。

 自分は買わない商品だとしても、だからこそ見えてくる重要ポイントもあるはずです。

 店舗様にとっては言われたくないことだってあるでしょうし、他の店舗様の欠点みたいな部分を指摘したくない、という気持ちがあるかもしれませんが、ここはお互いの将来のためと割り切って、どんどん意見を交わしていただきたいのです。

 他の店舗様の写真の善し悪しを考えることで、自分自身の反省になることも多くあるはずです。嫌なことを言われても、「もっとヒドイ見方をするお客様だっているはず」と考えていただければ、参考になることばかりだと思います。

 予行練習として、他の店舗のサイトの写真を見ながら、「よい点」「悪い点」、そして「疑問点」などを考えてみてください。
 見方のポイントは、店舗はその写真でお客様に何を伝えようとしているか? です。これが分からない写真は、キレイだとしても、あまりよい写真とは言えません。

・・・・・以上。(2010年10月、撮影セミナーの準備として執筆。加筆訂正。)