2008年12月アーカイブ

  まず始めに、イメージという言葉の意味を正確に理解しておきましょう。広辞苑をひもとくと 次のように書かれています。
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  『イメージ【image】』
   1)心の中に思い浮かべる像。全体的な印象。心象シンショウ。
   2)姿。形象。映像。
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 ちょっと注意してくださいね。1)は心の中の像であって、人の目で見ることのできないものです。これに対して、2)は写真にも共通するもので、人の目で見ることができるものです。

 ここで、「商品のイメージ」という言葉の意味を再確認しておきます。

 目に見える商品の姿や形象、あるいはその写真を指すのは当然ですが、本当に大切なのは消費者やユーザーが心の中に抱く像そのもののはずです。ちょっと不細工な形をしているけれど、本当に使い勝手がよい商品。あるいは、めちゃ臭いけれど、実に旨い商品。こうした商品は、

 世にたくさんあります。逆に言えば、見栄えだけ、匂いだけ、といった詐欺的(?)な商品もたくさんあります。

 ここで、商品写真。

 ある意味で、これこそが詐欺的商品の代表格といっていいです。なんてったって、実物を見たり触ったり食したりすることができない人に、実物以上のイメージ(使用感や触感や味覚など)を抱かせるのが、商品写真だからです。

 詐欺的というと、響きはよくありませんが、商品写真に求められる肝心要は、ここにこそあることを正しく認識しておくことは大切です。

  ▼ステップ1・さまざまな商品写真を観察しよう。  
 

 日頃、普通に目にしているカタログや雑誌の類を、ちょっと別の目で見ることからスタートします。

 カタログや雑誌の商品写真を私たちが普通に見る時、私たちの意識は、その商品を使ったり触ったり食したりすることを前提としています。要するに、写真を見ているのではなく、商品そのものを見ています。

 そうではなくて、その商品写真の撮影は、どのように行われているのか? と考えながら見るようにしてみましょう。

 もちろん、今の皆さんには、わからないことだらけかもしれません。でも、わからないながらも、商品そのものでなく、写真を見るようにしていると、まったく別のものが見えてきます。

 ここで見えてくるものは、写真の技術であるだけでなく、その商品を作っている会社や人のセンスであったり哲学であったりします。これらが見えてくるようになった時、皆さん自身の商品撮影の技術やセンスや哲学は相当高度なものになっているはずです。

  ▼ステップ2・基本的な考え方。
 
 写真A
 写真B
 写真C

 上の3点の写真を見比べてください。Aは、ごくごく普通に撮ったような感じがしませんか?そして、これに比べるとBは、中身がよく見えます。なぜかというと、中身が大きく写っているからです。そして、一応、形の違う商品の全てが写っています。Aの中央部分を大きく撮影しただけなのですが、AとBを見せられた時の印象はかなり異なるはずです。

   どちらが好ましいですか? 

 もちろんですが、写真の用途によります。

 さて、Cはどうでしょう。Bの背景部分の白地を、ちょっとかわいい、ねずみの模様の和紙に変えてみたものです。「福」という文字も見えます。こうするだけで、なんとなくお祝い事をイメージできませんか? 入学祝いや卒業祝いにも、このお菓子がいいですよ。ってな感じ。

 写真は、基本的に四角い画面です。この中に見える要素だけで、全てを表現する芸術であり、仕事であり、遊びです。画面の中に、どの要素を入れ、どの要素を入れないか、だけで、イメージは大きく変わります。

  ▼ステップ3・中身を見せる。

 写真A
 写真B
 写真C

 先程のお菓子。中身を取り出して写したのが、Aです。まあ、味気ないことこの上ありませんね。

 ちょっとお皿に入れてみましょうか。って一個だけ載せたのがB。まあ、貧乏くさいことこの上ありません。お皿を変えて撮っても(C)同じですね。 

 写真D
 写真E
 写真F

 Dは二つのお菓子の一つを半分にカットして、小さなお皿に入れ、カットした部分がよく見える角度から撮影したものです。もう、格段の差ですね。ちなみに、ライティングはA〜Cとほとんど同じです。

 Eは、お菓子のパッケージを左側後方に、右側後方にグラスをおいてみたものです。これから食べるところっていう感じがしませんか? ちなみに、グラスは献血30回記念で頂いたもの・・・。もちろんですが、こんなことは書かなければ誰にもわかりません。写真って、事の真相を伝えるものではありません。

 さて、F。和紙の上においてみました。これだけで、和風の感じが強くしますね。Dとは少し違ったイメージになりました。

   ▼ステップ4・商品が作り出す世界。

 写真A
 写真B
 写真C
 
 今度は懐中時計です。黒い大理石の上におかれています。大理石=高級といったイメージは多くの人に共有されていますから、それだけで高級な時計のように見えます。もっとも、私の価値観でいうなら相当高級な、2万円もした時計ですが・・・。

 でも、Aのように離れて写すと、その高級感が薄れますね。なぜでしょう。単純に言えば、見せすぎているからです。高級感=隠される物、といったイメージも、多くの人が共有しているもののはずです。さらにいえば、画面の中に時計が占める面積が小さいこともあげられるでしょう。

 Bのように時計だけを大きく写すと、少し高級感がでました。でも、やはり黒い大理石が画面の多くを占めていますから、ちょっと陰鬱な感じが残っています。

 Cは、もっと時計を大きく写し、チェーンや止め金具の銀色を多くしたもの。AとCでは、価格がかなり違う感じがしますね。

さて、先のA〜Cでは、時計の大きさがよくわかりません。もちろん懐中時計ですから、数センチくらいの大きさであることは常識的にわかります。しかし、それが2センチなのか5センチなのか?はわかりません。でも、懐中時計の2センチと5センチの差はとても大きなものです。

  写真D   左の写真 Dは、時計の手前に万年筆をおきました。こうすると、時計がだいたい3〜4センチくらいであると予想できます。実物は3.5センチ程度です。そして、万年筆により高級感が増したようにも感じます。
 写真E
 
 左のEは、 ジーンズのポケットの上に置いたもの。全然関係ありませんが、撮影中にはいていたジーンズですから、この撮影を行っている間は、パンツ一丁・・・。これも、写真ではわかりません。でも、この写真を見ていると、懐中時計もカジュアルに使えるなって思いますね。
 写真F
 左の写真 Fは、白サテン地の布の上においたものですが、これを見ていると、女性が持つ時計のようなイメージもします。

  下地と商品の組み合わせだけで、それが使われる世界のイメージががらりと変わることが理解できると思います。
  同じ商品でも、写真でどのように見せるか?で、誰がどのように使うものか、といった商品世界が変わってくることに注意しましょう。この変わり方をうまく使えば、新しい顧客層の開拓にもつながります。

 さて、今回は、ここまで。

 次回までに、皆さん自身、上に紹介したステップ1〜4を参考にして、さまざまな商品写真を見ながら、それらの写真が何をイメージしているのか? を少し考えてみてください。さまざまな興味深い発見があるはずです。

 
 さて、先の「商品のイメージを考える」の中の作例写真ですが、いったいどのようにして撮影したのでしょうか?まずは種明かしから。

▼ステップ1・種明かし。

 作例写真を撮影している様子です。他のカットでもほとんど同じです。


 どうでしょう。画面に写っているさまざまの役目がわかりますか?

 もちろんですが、この写真だけを見てわかる人は、すでにプロなみの知識を持っているといっていいです。ですから、とりあえず、こんな雰囲気で撮影したんだな、といった印象を抱いていただくだけでOKです。

 簡単に説明しておきます。

 1)画面中央部奥にあるのが三脚にセットしたデジカメです。つまり、写真を写そうとしている  反対側から、撮影風景を見ている状況です。

 2)照明はキャッチRIFA(リファー)一台のみ。画面上部に写っている黒い傘のような格好  をしているのがそれです。

 3)下地に商品を載せ、その周りを白いレフ板で囲って、光を反射しています。

 ▼ステップ2・基本的な撮影スタイル。
 下のイラストを見てください。商品撮影の基本的なスタイルを描いてみたものです。

 数字は、手順を示してもいます。一つずつ確認していきましょう。

 それぞれの詳細は、後々、手取り足取り(?)紹介していくつもりですので、ここではなんとなくの「感じ」と「流れ」を把握してください。

 

 机の上に下地となる紙や布などをおき、その上に商品をセットします。商品が下地のか  なり手前にあることに注目してください。このように手前に商品をセットすることで、画面の中央に商品を写した時、画面の上端までを下地でカバーすることができるのです。

 デジカメを三脚にセットし、商品を写す角度や距離を微調整します。三脚は、必ず使用してください。ブレの防止ができるだけでなく、構図などを微調整するのに大変有用です。購入時の注意事項は、1−3.背景と三脚の選び方。で詳述します。

 窓から入射する屋外の光は、厚手のカーテンなどでシャットアウトします。室内が真っ暗になる暗室のようにする必要はありませんが、薄暗闇になるていどにはしてください。
 カーテンがない場合などは、黒紙や黒布を一時的に張りつけるなどします。

 室内の蛍光灯や電球などの照明もOFFにします。つまり、商品を照明する光はRIFA(リファー)のみとするわけです。こうすることで、商品の微妙な色再現が可能になると同時に、美しいライティングも可能になります。

 RIFA(リファー)を点灯し、商品を照明します。画面内にRIFAが写り込まない位置で、なおかつできるだけ商品に近い位置で照明するのが基本です。また、位置をさまざまに変えてみて、商品がもっとも美しく見えるような位置を探すことも大切です。

 
 ▼ステップ3・一人で撮影する場合には・・・。

 ステップ2.のイラストには、カメラの担当が一人、そして照明担当が一人の二人がいます。二人で撮影することで、こまかなライティングの調整が楽に行えます。また、何かわからないことが生じた場合でも、二人いれば割合冷静に判断できるメリットもあります。ですが、そんな贅沢な・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 むろん、私もそう思う一人でして、アシスンタトなど、よほどの仕事でないかぎり使いません。 (使えないという説も・・・?)

 RIFA(リファー)をライトスタンドにセッ トしたようす。

 もっとも基本的なスタイルです。ライトの高さ、向き、上下方向などを自由に調整できます。ただ、商品の真上にRIFAをセットするのは難しいです。 
 RIFA(リファー)を手に持っているところ。

 発熱のほとんどない蛍光灯専用RIFAは、安全に手持ちで使うことができます。被写体を真上から照らしたい時など、構図を決めてカメラを固定したら、RIFAを片手で持って下向きに照らし、もう片方の手でデジカメのシャッターを押します。

 RIFA(リファー)を自由な位置に固定するための機材やさまざまな撮影用の道具を揃えれば、全ての作業をスムースに一人で行うことができます。しかし、その分、必要なコストはずいぶん増します。

 ライトの位置を調整し、カメラのモニターで確認。ちょっと気に入らないので、ふたたびライトの位置を調整し、カメラのモニターを見直したら、何を調整したのかわからなくなってしまった、なんてこともあるでしょう。慣れないうちは尚更でして、撮影に時間がかかってしまうかもしれません。

 しかし、とにかくは努力なくして何事もなしえません。頑張るしかないですね・・。

 ここでは、商品撮影の背景と、カメラをセットする三脚の選び方を簡単に紹介します。

 ▼▼背景の選び方

 商品写真で一番大切なのは、なんといっても当の商品の写り方です。しかし、四角い写真にスッポリと商品だけが写るということは滅多にありません。商品以外の何かが写ります。商品以外の何か。つまり背景となる部分に注目してみましょう。摩訶不思議なことに、背景を工夫して撮影するだけで、商品自体の見え方がずいぶん変わってきます。

 ▼ステップ1・見せたい部分だけを写す。



 上の写真の画面に写っているのは、大理石の台の上に置かれたジュースのパックとグラスに入ったジュースです。さて、この写真はどのような状況で撮影されたと思いますか?

 答えは、下の写真。

 小汚い木製の机の上に、大理石模様の紙(!) を敷き、その上にジュースなどをおいて撮影しているのです。照明は左上の蛍光灯RIFA(リファー)のみ。
 画面右側に写っているのはレフ板です。(レフ板の作り方、使い方は次回に紹介します。)

 どう思われますか?
 なんか嫌らしいといいますか、詐欺みたいでしょう?
 でも、これが商品写真の本質の一つです。

                            種明かし・・・

 要するに、写真は被写体の限られた範囲の表面(!)しか写さないのです。大理石模様が印刷された紙は、本物の大理石のように見える写真になります。必ずしも本物にこだわる必要はないのですね。

 このような紙(ラッピング用の紙など)は文具店やファンシーショップなどで入手できます。また、手芸店にいけば、さまざまな模様や素材の布が売られています。とにかくは、「見た目」で選んで、自由に使ってみてください。



 紙や布は巻いておけば収納場所を選びませんし、折れ目や皺などもつきにくいです。  ▼ステップ2・背景に注目する。

 
 
 

 上の写真をそれぞれ見比べた時の印象を簡単に書いてみましょう。

/机の木目と壁が背景になっています。ついでに電気製品のコードも写っているのがわかりま  す。こうした背景からは、日常の現実感が思い起こされます。ただの牛乳。いや、ただでは  なくて138円でしたが、ともかくも印象はあまり良くありません。

/白バックです。白=牛乳の色=清潔感、といった連想が働きませんか? それと同時に余分  な背景が写っていないだけ、牛乳パックに注意が向かいます。

/背景にグラデーションがあって暗くなっています。奥行きを感じませんか? bよりも牛乳  パックの形や文字が浮き立って見えますね。

 ▼ステップ3・背景のセット方法。
  撮影状況a

  撮影状況b
 
  撮影状況c
 上の写真は、先の作例の撮影状況です。同じ場所で、同じ照明で撮影していることが分かります。要するに背景を変えただけなのです。

 ここでちょっと注目して頂きたいのは、白のバック紙(撮影状況b)およびグラデーションペーパー(撮影状況c)のセット方法です。背景となる紙を壁に画鋲で止め、折れ線がつかないよう、なだらかな曲面にして、机の上に垂らすようにしています。

 こうすることで背景となる部分に折れ線が写りませんから、商品への注目度がより向上します。商品にある程度の高さがある場合には、ぜひ行っていただきたいセット方法です。

 壁を使えない場合には、箱を積み重ねたり椅子の背もたれを使うなどして、壁代わりになるものを作るとよいでしょう。

▼ステップ4・バック紙やグラデーションペーパーってどこで買うの?
 
   単色の色紙(ラシャ紙やケント紙など)は、文具店で入手できます。B−0(約1×1.5m)、B−1(B−0の半分)などの大きさがあります。
  写真撮影用のグラデーションペーパー。季節や商品に合ったカラーを揃えておくと便利です。
  撥水加工されていますので、氷や水を使った撮影も可能です。
  SDの伊藤さんが撮影したものです。

 グラデーションペーパーは、写真撮影用に作られたものがお勧めです。プラスチックのような素材でできていますから、目立つ傷や汚れさえつけなければ、長期使用にも耐えられます。また、表面は撥水加工もされており、水を扱った撮影でも安心です。上記の色紙と同じで、B−0やB−1サイズがあります。

   大きな商品を撮影する際に使うロール紙。

 ある程度大きな商品を撮影するとなると、それなりの大きさのバック紙が必要になります。衣装などを撮影するなら、上の写真のようなロール状(幅1.32×長さ11m)のバック紙を使うとよいでしょう。ロール状ですので、少しずつ繰り出して、汚れてきたらその部分をカットして使います。色にはある程度のバリエーションがありますから、必要や目的に合わせて購入してください。

 ▼▼三脚の選び方

 三脚は、丈夫でがたつきがなく、ある程度の重さがあるものの方が、カメラをより安定してセットできます。しかし、理想を求めれば求めるほど、高価になります。

 いたしかたありませんね。
 ただ、多くの方が使われているコンパクトタイプのデジタルカメラであれば、そんなに立派な三脚でなくても、大丈夫です。

 価格帯でいうなら、5000円ていどのもので十分でしょう。購入時の注目点をイラストで示します。予算の都合に合わせてお求めになってください。

 ●雲台(うんだい)
 カメラ位置を微妙に調整できる「2ウェイ」、または「3ウェイ」と呼ばれるタイプがおすすめです。2ウェイはレバーが1本。3ウェイはレバーが2本あります。イラストは3ウェイタイプです。

 ●エレベーター
 安価な三脚にはついていないタイプもありますが、三脚の「脚」の部分はそのままでカメラの高さの調整ができるので便利です。


 ●三脚部
 結局は慣れの問題ですが、操作性がよさそうなものを選んでください。実物を触れるならしっかりしているタイプを選択します。

 ●全高  
三脚とエレベーターを最大に伸ばした高さを全高といい、1.5m程度(カメラを胸の位置にセットできる高さ)は欲しいところです。
 いよいよ本格的なライティングに挑戦です。「写真のライティング」というと、ただそれだけで難しい印象をお持ちのはずですが、日本語に直せば「写真用の照明」といったほどの意味でして、決して難しいものではありません。ご自身の目で見て、綺麗だなと思えるように光を当てればよいだけの話です。

 しかし、決して簡単ではないこともまた確かですが。
 でもまあ、とにかくは初めてみないことには話も始まりません。

 ▼ステップ・レフ板を作る。1

 レフ板(れふばん)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? なんだか専門用語のようですが、日本語に直すと「反射板」です。要するに、白い紙などを使って、光を反射し、商品の影の部分などを明るくしたりする小道具の一つです。

 てっとり早いところでは、白紙や白布を段ボールなどに貼るだけでも結構です。文具店などで白いスチレンボード(ハレパネなど)を購入してもいいでしょう。

 レフ板の大きさは、撮影する商品の3倍くらいが一つの目安です。例えば、10センチ角くらいの商品でしたら、30センチ角ほどのレフ板があれば、たいてい間に合います。これを目安として、一回り大きいサイズと小さいサイズを作っておけば、万全です。

 下の写真のように、二つ折りができるようにしておくと、レフ板を自立させることができるので大変便利です。

 
スチレンボードに白紙を貼って自作。 二つ折りにすれば自立します。 このようにしても自立します。


 ▼ステップ2・レフ板の効果を知る。

 さて、レフ板の準備はできましたか?
 では早速、その効果をご自身の目で確認してください。できれば、実際に撮影して、その写りを比較してください。
 右側から蛍光灯RIFA
 で照明しています。
 室内照明は消灯します。
 こちらから見て、福助の
 左側にレフ板を置くと・・・。
 画面左側の影が明るくなっ
 ていることがわかります。

 なんだ、たったそれだけ? とお思いになる方は少なくないはずです。

 でも、これが、これこそが写真写りを大きく変える要(かなめ)なのです。そしてできれば、レフ板の角度や向きを調整して、影の明るさの変化を調べてみてください。

 ▼ステップ3・レフ板の意外な効果。

 レフ板で光を反射して影を明るくする、というだけなら小学生にだって理解できるでしょう。では、その写真写りにおける意味とは何か、を少し考えてみましょう。

 写真A〜Cは、先の福助と同じ要領で撮影したものです。




A 右側から照明しています。 レフ板を使うと・・・。  高級感が増したような・・・。

 ここで、写真Aと写真Bをしっかり見比べてください。

 少し細かくいうと、布地の織り目の荒さの見え方が違うこともわかるはずです。布地の織り目のそれぞれに落ちる細かな影が明るくなることで、織り目そのものが細かくさえ見えます。

 話はずれますが、女性ポートレート撮影で大きなレフ板を使うのも、これと同じ仕組みです。つまり、レフ板で影を明るくすることで、肌の凸凹が目立たなくなり、きめ細かな肌をしている(かのように?)写すことができるのです。

 さて、金でできた高級なブレスレット、というのは全くの嘘でして、金メッキのキーホルダー(焼酎を買ったらオマケでついてきました)を注意深く見てください。

 レフ板を使っていない写真Aでは、金色の粒々に黒い部分が目立ちますね。この黒は何かというと、影ではありませんで、室内の暗い部分が写っているのです。それぞれが小さな小さな丸い鏡のようになっているせいです。

 レフ板を使うことで、この黒い部分にレフ板の白を写し込むことができます。そうすることで初めて、写真Cのように金色が、黒ではなく金色として写真に写るのです。

 どうですか? レフ板を使う醍醐味が少しは見えてきましたか?

 ▼ステップ4・照明機材の注意。
 ほとんど全てといっていいほど、多くのデジカメにはストロボが内蔵されています。

 この内蔵ストロボは、暗い場所でも撮影が簡単にできる便利な照明装置ですが、商品撮影では原則として使いません。理由は簡単で、このストロボで撮影すると、あまり見栄えのしない写真になってしまうからです。

 論より証拠。下の3枚を見比べてくだされば理解できると思います。

(ここから先の作例写真は、カメラの測光モードをスポットにして撮影しています。)

 内蔵ストロボで撮影したもの。  室内蛍光灯で撮影したもの。
 (ホワイトバランスに注意)
 蛍光灯RIFAを商品の手前上方にセットして撮影したもの。

 内蔵ストロボを使って撮影した写真Aでは、商品自体の立体感が失われ、さらに後方に強い影が落ちています。と同時に、誰にでも撮れる写真のイメージですから、商品が貧乏くさく見えるのですね。(これは人物撮影でも言えることです。)

 室内蛍光灯で撮影した写真Bは、実物を目で見ているのとほとんど同じです。ですが、意外なほど美しく写ります。ただ、これ以上に工夫する余地がないのが難点です。

 写真Cは、RIFAを商品の手前上方にセットして撮影したものです。このままでは室内照明の方が綺麗と思われる方は少なくないでしょう。しかし・・。

 ▼ステップ5・RIFAの位置を変えて撮影してみる。

 ここでは照明の位置で、光と影がどのように変わるのかを見てみましょう。

 画面右側から照明しています。  画面左側から照明しています。  真上から照明しています。

 RIFA(リファー)は、コンパクトで軽量、しかも非常に柔らかい均質な光を発する照明器具です。手持ちでも結構ですから、商品をさまざまな方向から照明してみてください。そして、実際に撮影し、その結果を見比べてください。

 いい感じなのもあるでしょうし、ちょっと問題ありだなぁ、と思えるカットもあるでしょう。

   でも、その中から最良のカットだけを公表すればいいのです。従来のプロ写真家がやってきた仕事の多くは、ここにあります。

 ▼ステップ6・レフ板ありやなしや、それが問題だ。

 最終的に、このMOドライブの撮影で、私自身がいいな、と思えたRIFAの位置は、商品の真上から少し奥にもっていったところでした。その撮影シーンが、こちらです。

 手前の左右にレフ板を置いています。
 その結果が下の写真A。

 悪くありません。というよりも、十分に満足できる結果です。


 でも、ものは試し、というよりも比較写真を準備するためにレフ板なしを撮影してみたのが、写真Bです。

 見比べてみて、皆さんはどう思われますか?

 私自身は、この写真の方が、画面全体の透明感があり、なおかつ商品の実存感があっていいように思ったのです。そしてまた、ボディのギザギザが写真Aよりも際立って見えるのもカッコいいと感じました。レフ板を無くすことで、ギザギザの影が強調されたのですね。

 もっとも、このあたりこそが、商品のどこをどのように強調したいか、といった哲学に通じていますから、たいへんに難しいのですが・・・・。というのは、このページの全ての作例を並べてみるなら、それぞれに一長一短があるのです。

 先に内蔵ストロボ撮影はしないのが前提と述べましたが、貧乏くさいイメージで見せたいなら、内蔵ストロボ撮影をすれば済む、という話でもあるのです。世の中の商品全てが、高級でなければならないという話ではありませんものね。

 しかしながら、RIFAを使えば、商品のどこをどのように写真で表現するか、をご自身でコントロールできるようになる事実だけはご理解頂けたのではないでしょうか?

 さて。商品撮影入門は、ここで一息つきます。
 次回は、デジカメそのものの使い方のさまざまを紹介していきます。
 乞ご期待。